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王都編
くぁ~…
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「くぁ~…」
「…という事がありましたので報告までに。
…おや?ノア君も呼ばれたのかい?」
宿で眠っていたノアの元にライリが襲来。
寝ぼけ眼のノアは呼ばれた理由もそこそこに王室に入ると、ジョーが既に何かの報告を行っていた。
恐らく海洋種の件だろう。
室内にいる隊員や職員らが口々にその辺りの事を話しているのが<聞き耳>から耳に入ってくる。
「ジョーさん、今の話しはもしかして…」
「そ。例のあの話だよ。」
「皆の者、静粛に!王含め私も驚いていますが【鬼神】殿が来られましたので本題に戻りましょう。」
側近のシアロがこのざわついた空間を収める為に声を上げる。
集まっている者達が落ち着きを取り戻すのに、時間は差程掛からなかった。
「急な呼び掛けに応じてくれて感謝する【鬼神】殿。
ライリから聞いているだろうが、昨日あのヒュドラ変異体との戦闘時の様子を、覚えている範囲で報告して欲しい。」
王から促されたノアは、部屋の天井を仰ぎ顎に指を添えながら当時の事を思い出す。
「…そうですね…造魔核、とやらを取り込んだ直後、筋量が著しく増加、明らかに人間が行える変化では無いですが、自我は保たれてました。
あと、骨を砕き頭部を破壊したにも関わらず再生したので、その段階でかなり厄介な存在でした。」
サラサラサラ…
ノアの発言を聞いた書記官らが紙に書き込む音が室内に響く。
「ただ、その段階では肉体の主導権はコモンのまま、戦闘面は素人同然でしたので、再生能力が厄介なだけって感じですね。
直後に一方的にやられていく状況に耐えかねて力を欲した結果、コモンの自我が取り払われ、造魔核に使用された素材に乗っ取られた。
って所でしたね。」
「突然苦しみだしたと思ったら外見や動きが別物になったが…
やはり中身まで別物になっておったのか…」
「正直この辺りが1番厄介でした。
行動がまんまモンスターでしたから動きが読めず、臨機応変な対応求められましたしね。
触手生やして集束ブレスまで撃ってきたので大変でしたよ。」
当時の事を思い出し、苦笑いを溢すノアだが、端からノアの戦闘を見ていた者達は一様に、『何故アレに対応出来るのか』という顔をしている。
「まぁその後も戦闘を続けていたら、観客の避難が大分進んだので王様が必殺技を撃ったんですよね。」
「なぁノア君聞きたいのだが、あの技は私の放てる中で最も威力のある物だ。
アレをどうやって凌いだのだ?」
「あの時は影移動で凌いでも良いかと思ったのですが、奴は知能が非常に高かったので使える手札はギリギリまで隠しておこうと判断し、自前の防御技で凌ぎました。」
「アレを防ぐとはな…」
「…で、その後は更に強力に変異した奴を仕留めに掛かる為、王やジャロルさん達を避難させました。」
「そう、そこからだ、試合場には君と奴しか居なかったから状況が分からんのだ。」
「そうですね…
王の必殺技を耐えた変異体は、更に体を強固に凶悪に変化させたので手札の1つであるグリードを呼ぶ事にしました。」
「君の契約獣だったな?今呼ぶ事は出来るかい?」
(街中でも連れ立っていたりしたから別に隠し立てする事も無いか…)
少し思案したノアはグリードを呼ぶ事にした。
「グリード、出て来て貰って良いかな?」
グルルッ!
姿を現したグリードは周囲を睨め回し、ノアの周囲にとぐろを巻く。
グリードの体を見たノアだが、前日に負った負傷箇所は何事も無かったかの様に完治していた。
<うぉぉ…>
<何だ、あの生物は…蛇?>
<アルバラストで見た奴だ…>
「これがグリード…なぁノア君、聞きたいのだが"グリード"と言うのは愛称か、モンスター名か聞いても良いかな?」
王からの質問に、隊員達が「え?」と言う顔をする。
皆王の意図が読めないからだ。
「名前は考えるのが苦手なので、モンスター名をそのまま付けました。」
「おお…ではその契約獣は【餓龍王】なのだな…?」
「え!?この子の正体を知っているのですか?」
「あぁ、私は伝説上の生物とか空想上の生物等の話が好きでね、昔はよく古い文献を読み漁ったものだよ。」
王の意外な趣味に目を丸くする側近のシアロ。
恐らく彼もその事は知らなかったのだろう。
「ここ300年程は姿が無かったので絶滅したと思われていた様だが、何処で見付けたのだ?」
王は軍事利用とかそう言った疚しい思いで聞いているのでは無く、単に好奇心からくる感情をノアに向けている様だ。
何故なら王の目は少年の様に爛々と輝かせているのだから。
ノアがどう答えたら良いものか、と思案しているとノアの周囲でとぐろを巻いていたグリードがシュルリと体を這わせ、前に進み出る。
ノアもどうしたのか分からないと言った顔をしていると
グ…グヌァ、ヌァ、ゥイ、ジョ…(内緒)
ザワッ…
拙いながらグリードの口から"内緒"と言う言葉が出る。
突然の事に驚いたノアだが、直ぐに我を取り戻しノアはグリードの頭を撫でくりながら喜んだ。
「グ、グリード!?何か最近調子に違和感あったけど喋れる様になったんだな!?」
ズゴ、ジガァゲ、ダゲェド(少しだけだけど)
喜び過ぎて「うはーっ!」っと謎の声を上げるノアに対して隣に立つジョーと王含めた全員が凍り付いていた。
通常契約獣は人語を理解する事はあっても、一部を除いて話す事等不可能である。
では『一部』とは何を指すかと言うと、龍種や妖精、魔人等の知能の高い高位の存在である。
古い文献を読み漁っていたと言う王ですら、実際に見てみるとその衝撃の度合いは計り知れなかった。
「あ、すいません、嬉しくてつい…
グリード、今度どっかで練習しような。」
グァイ(はい)
「あぁ、いや、構わない。
こちらも少し驚いてしまったよ…
…えーっと、どこまで話したかな…」
「彼の契約獣を呼んだ所までですよ。」
側近のシアロが王に耳打ちをする。
それを聞いた王は慌てて話を戻す事に。
「そうだったな。
その契約獣グリードを呼んだ様だが、君の戦いを見ていた者達が"三つ巴の戦いを繰り広げている"と申しておったが、どういう事か説明出来るかな?」
「王様は僕の【適正】をご存じで?」
「うむ。私は愚かここにいる者は全員知っておるぞ。」
「であれば話しますが、『共闘』と言う形を取れないのでグリードには"僕を狙え"と指示していました。」
それを聞いた王や周りの隊員達の何名かが察した様だ。
「ま、まさか奴を挟んで攻撃させ、『共闘』と言う形を取らせなかったのか!?」
「その通りです。」
…ポスッ…
王は呆れた様な顔をして、座っていた椅子の背もたれに体重を預ける。
「ただ、僕の不注意で一瞬『共闘』と言う形を取ってしまい弱体化。
その上奴は2体に分裂してしまいました。」
「な!?分裂!?奴がか!?」
「えぇ、その後奴はグリード同様喋りだし、素材に使われたであろうヒュドラが色々と話してくれましたよ。
"ヒュドラ単体だと補えない弱点の克服の為、宿主となったコモンの骨格と細胞を利用して進化させて貰った。"とね。
これは流石にマズイ、こんなのが更に増えでもしたら堪った物では無い。
そう思ったので最後の切り札を切る事にしました。」
「…という事がありましたので報告までに。
…おや?ノア君も呼ばれたのかい?」
宿で眠っていたノアの元にライリが襲来。
寝ぼけ眼のノアは呼ばれた理由もそこそこに王室に入ると、ジョーが既に何かの報告を行っていた。
恐らく海洋種の件だろう。
室内にいる隊員や職員らが口々にその辺りの事を話しているのが<聞き耳>から耳に入ってくる。
「ジョーさん、今の話しはもしかして…」
「そ。例のあの話だよ。」
「皆の者、静粛に!王含め私も驚いていますが【鬼神】殿が来られましたので本題に戻りましょう。」
側近のシアロがこのざわついた空間を収める為に声を上げる。
集まっている者達が落ち着きを取り戻すのに、時間は差程掛からなかった。
「急な呼び掛けに応じてくれて感謝する【鬼神】殿。
ライリから聞いているだろうが、昨日あのヒュドラ変異体との戦闘時の様子を、覚えている範囲で報告して欲しい。」
王から促されたノアは、部屋の天井を仰ぎ顎に指を添えながら当時の事を思い出す。
「…そうですね…造魔核、とやらを取り込んだ直後、筋量が著しく増加、明らかに人間が行える変化では無いですが、自我は保たれてました。
あと、骨を砕き頭部を破壊したにも関わらず再生したので、その段階でかなり厄介な存在でした。」
サラサラサラ…
ノアの発言を聞いた書記官らが紙に書き込む音が室内に響く。
「ただ、その段階では肉体の主導権はコモンのまま、戦闘面は素人同然でしたので、再生能力が厄介なだけって感じですね。
直後に一方的にやられていく状況に耐えかねて力を欲した結果、コモンの自我が取り払われ、造魔核に使用された素材に乗っ取られた。
って所でしたね。」
「突然苦しみだしたと思ったら外見や動きが別物になったが…
やはり中身まで別物になっておったのか…」
「正直この辺りが1番厄介でした。
行動がまんまモンスターでしたから動きが読めず、臨機応変な対応求められましたしね。
触手生やして集束ブレスまで撃ってきたので大変でしたよ。」
当時の事を思い出し、苦笑いを溢すノアだが、端からノアの戦闘を見ていた者達は一様に、『何故アレに対応出来るのか』という顔をしている。
「まぁその後も戦闘を続けていたら、観客の避難が大分進んだので王様が必殺技を撃ったんですよね。」
「なぁノア君聞きたいのだが、あの技は私の放てる中で最も威力のある物だ。
アレをどうやって凌いだのだ?」
「あの時は影移動で凌いでも良いかと思ったのですが、奴は知能が非常に高かったので使える手札はギリギリまで隠しておこうと判断し、自前の防御技で凌ぎました。」
「アレを防ぐとはな…」
「…で、その後は更に強力に変異した奴を仕留めに掛かる為、王やジャロルさん達を避難させました。」
「そう、そこからだ、試合場には君と奴しか居なかったから状況が分からんのだ。」
「そうですね…
王の必殺技を耐えた変異体は、更に体を強固に凶悪に変化させたので手札の1つであるグリードを呼ぶ事にしました。」
「君の契約獣だったな?今呼ぶ事は出来るかい?」
(街中でも連れ立っていたりしたから別に隠し立てする事も無いか…)
少し思案したノアはグリードを呼ぶ事にした。
「グリード、出て来て貰って良いかな?」
グルルッ!
姿を現したグリードは周囲を睨め回し、ノアの周囲にとぐろを巻く。
グリードの体を見たノアだが、前日に負った負傷箇所は何事も無かったかの様に完治していた。
<うぉぉ…>
<何だ、あの生物は…蛇?>
<アルバラストで見た奴だ…>
「これがグリード…なぁノア君、聞きたいのだが"グリード"と言うのは愛称か、モンスター名か聞いても良いかな?」
王からの質問に、隊員達が「え?」と言う顔をする。
皆王の意図が読めないからだ。
「名前は考えるのが苦手なので、モンスター名をそのまま付けました。」
「おお…ではその契約獣は【餓龍王】なのだな…?」
「え!?この子の正体を知っているのですか?」
「あぁ、私は伝説上の生物とか空想上の生物等の話が好きでね、昔はよく古い文献を読み漁ったものだよ。」
王の意外な趣味に目を丸くする側近のシアロ。
恐らく彼もその事は知らなかったのだろう。
「ここ300年程は姿が無かったので絶滅したと思われていた様だが、何処で見付けたのだ?」
王は軍事利用とかそう言った疚しい思いで聞いているのでは無く、単に好奇心からくる感情をノアに向けている様だ。
何故なら王の目は少年の様に爛々と輝かせているのだから。
ノアがどう答えたら良いものか、と思案しているとノアの周囲でとぐろを巻いていたグリードがシュルリと体を這わせ、前に進み出る。
ノアもどうしたのか分からないと言った顔をしていると
グ…グヌァ、ヌァ、ゥイ、ジョ…(内緒)
ザワッ…
拙いながらグリードの口から"内緒"と言う言葉が出る。
突然の事に驚いたノアだが、直ぐに我を取り戻しノアはグリードの頭を撫でくりながら喜んだ。
「グ、グリード!?何か最近調子に違和感あったけど喋れる様になったんだな!?」
ズゴ、ジガァゲ、ダゲェド(少しだけだけど)
喜び過ぎて「うはーっ!」っと謎の声を上げるノアに対して隣に立つジョーと王含めた全員が凍り付いていた。
通常契約獣は人語を理解する事はあっても、一部を除いて話す事等不可能である。
では『一部』とは何を指すかと言うと、龍種や妖精、魔人等の知能の高い高位の存在である。
古い文献を読み漁っていたと言う王ですら、実際に見てみるとその衝撃の度合いは計り知れなかった。
「あ、すいません、嬉しくてつい…
グリード、今度どっかで練習しような。」
グァイ(はい)
「あぁ、いや、構わない。
こちらも少し驚いてしまったよ…
…えーっと、どこまで話したかな…」
「彼の契約獣を呼んだ所までですよ。」
側近のシアロが王に耳打ちをする。
それを聞いた王は慌てて話を戻す事に。
「そうだったな。
その契約獣グリードを呼んだ様だが、君の戦いを見ていた者達が"三つ巴の戦いを繰り広げている"と申しておったが、どういう事か説明出来るかな?」
「王様は僕の【適正】をご存じで?」
「うむ。私は愚かここにいる者は全員知っておるぞ。」
「であれば話しますが、『共闘』と言う形を取れないのでグリードには"僕を狙え"と指示していました。」
それを聞いた王や周りの隊員達の何名かが察した様だ。
「ま、まさか奴を挟んで攻撃させ、『共闘』と言う形を取らせなかったのか!?」
「その通りです。」
…ポスッ…
王は呆れた様な顔をして、座っていた椅子の背もたれに体重を預ける。
「ただ、僕の不注意で一瞬『共闘』と言う形を取ってしまい弱体化。
その上奴は2体に分裂してしまいました。」
「な!?分裂!?奴がか!?」
「えぇ、その後奴はグリード同様喋りだし、素材に使われたであろうヒュドラが色々と話してくれましたよ。
"ヒュドラ単体だと補えない弱点の克服の為、宿主となったコモンの骨格と細胞を利用して進化させて貰った。"とね。
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そう思ったので最後の切り札を切る事にしました。」
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