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王都編
薪の煤と脂が混じった良い香り
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ホーミングボアの肉がチリチリと低温で炙られ、ポタリポタリと肉汁が薪に滴る度、辺りには薪の煤と脂が混じった良い香りが漂っていた。
ジジジ…ジュゥウウ…
プスッ
「うん、透明な肉汁しか出てこないからキチンと火が通ってますね。」
ザッ、ズッズッズッ…
パラリ
「ほい、ヴァモスとベレーザには両後ろ脚のお尻の辺りの部分をどうぞ。」
柔らかく、肉汁たっぷりに焼き上がったホーミングボアの肉の塊に軽く塩を振り、2人に差し出す。
先程からキラキラした目で肉の塊を凝視している2人の視線を背中に感じていたノアは、妙な焦燥感に晒されていたのだ。
「い、良いのですか!?
こんな『ジュルリ』美味しそうな『ジュルリ』部分をボク達に…
しかもノア様より先になど…」
「ふわぁ…お肉なんて半年ぶり…
あぁ…食べるのが勿体無いですよぉ…」
「え、そう?
じゃあ食べないと勿体無いからグリード食べる?」
ガパッ ンアー。
「やーぁっ!やーぁ!食べます!美味しく頂きますから今一度御慈悲を!」
食べたそうに体を震わせるベレーザだが、変に気を使っている様なので強行策に出た。
グリードもそれを察したのか、ノアのノリに付き合ってくれた様だ。
肉汁たっぷりの肉の塊をガパッと口を開けたグリードに入れようとすると、半べそになりながらノアにしがみ付いて懇願してきた。
ベレーザとしては本当に絶望を感じたのだろう、ノアの足に爪が食い込んで中々に痛かったとの事だ。
「……。」モグモグ…
「……。」ガフガフ…
「おお…無言で一心不乱に食べてるな…」ムグムグ…
「そりゃそうよ、獣人族の中でも特に肉が好物な種族だもの。
こんな美味しいお肉食べたらああなるわ…」ムグムグ…
「へー、肉が好物なのか…
じゃあ腕に縒りを掛けておいて良かったよ。
はいお待ちどお様、どうぞ。」
ホーミングボアのこんがり肉から、食べやすい大きさに切り取った肉を【錬金術】ギルドの女性2人に渡すノア。
「え?私調理風景見てたけど、特段変わった事はしてなかったと思うけど…
ねぇ、ドリー。」
「うん…」
【料理人】のレイルは顎に手をやり、少し前のノアの調理を思い出す。
「まぁそこまで変わった事はしていませんよ、クサミトリクサで肉の臭み取って、その辺に生えていたパインナップルとレモニアで作った液に軽く浸けて、最初に肉の表面を炙って肉汁を閉じ込めてから低温で焼いただけですし…」
「十分、ノア君それ十分過ぎるって。
ってか、いつそんな事やってたの…?」
「ふふん、手間を見せないのが料理人ってもんですよ。」
「うっ、確かに…」
ノアの言葉にぐぅの音が出ないレイルであった。
その後も各ギルドの面々14人と、獣人2人やヴァンディットも食べているが未だホーミングボアの肉の塊は1分の3程残っていた。
切り分けを行っていたノアも漸く食べ始めつつ周囲を散策していた。
ムシャムシャ…
(ん?これは、馬車の車輪の跡が…
…この先は見た所、険しい山道の様だが大丈夫か?)
ふと道の一端を見ていた所、商人の馬車が通った痕跡を見付けたのだが、どう見ても獣道だったので違和感を覚えるノアだった。
「どう?2人共満足したかな?」
「あ、ノア様。
はい、凄く美味しかったです。」
「私あれ程美味しいお肉食べたの初めてです。」
ヴァモスとベレーザの2人は、大変満足したのか、表情が緩みきって恍惚の表情となっていた。
「今まで食べ物に困っていたと思うけど、僕といる間は食い物に困らない様にしてあげる。
だから変な気を回すのは今後は無しだ、良いね?」
「ふふ、ノア様、それは獣人族にとっては最高の口説き文句にございますよ。」
「え?そうなの?」
人間の間では求婚の際に高価な指輪等を相手に贈るのが一般的だが、獣人族として最も重視するのは"武力"である。
強者と闘える力が備わっていれば相手方を、食うに困らせる事が無いので特に重要視されている。
ちなみに、獣人族にとって人間で言う指輪に相当するのが異世界の言葉で言う"マンガ肉"だそうだ。
「はは、それじゃあベレーザに求婚する人は少し大変だねぇ。」
「ええ、もし相手が居なかったら貰って下さいね。」
「はは、考えとくよ。」
この時は軽く考えていたノアだが、ベレーザは獣人が暮らす国『ヴァーリアスフェアレス』へ訪れると、 忽ち数多くの獣人から求婚される事になる。
だがその時に一悶着が起こるとは全く想像していなかった。
「さて、少し休んだし最初に目指す西の村目指して向かいましょうか。」
「「「「「おおー!」」」」」
皆腹も膨れ、食事効果も相まって数段元気に出発を開始した。
先程まで食事を摂っていたのは、森を抜けて少し開けた場所であった。
森の中にはホーミングボアが数体居たが、どうやらこの先にもホーミングボアはまだまだ居る様なのと、食事中と言う事もあって狩りは控える事にした。
ちなみに、森を抜けると再び草原が広がり、ホーミングボアの数は減り、代わりにカラメル牛が散見される様になった。
モー。ヴモ~。
「おお、良い色のカラメル牛が居るなぁ。」
「本当、綺麗な毛並み。」
「猪も良いけど牛も良いなぁ…」
1人は別の事を考えている様だが一先ず置いておこう。
カラメル牛を見るのが初めてのノアは、周囲を見回して観察する事に。
カラメル牛は体長3メル程で頭に2本の丸まった角が生えており、体毛は飴色をしている。
よく見てみると、どうやらカラメル牛と言っても個体によっては毛色に多少の違いがある様だ。
「レイルさん。
カラメル牛って狩る場合、どう言った個体を狙うと良いとかありますか?」
「カラメル牛は毛色が濃い個体の方が良いわ。
見極めとしては毛色が濃い牛は気性が他の牛に比べて荒いから直ぐに分かるわ。
ほら、"モー"じゃなくて"ヴモー"って鳴いてるのが居るじゃない?
気性が荒いのは、餌を豊富に食べて大きくなった証拠なの。」
「なる程、狩るのはある意味間引きにも良いんですね?」
「そうね、他の牛も良質な餌場に預かれるから良い事には違いないわね。」
(あ、そうだ、この事クロラさんの所にも伝えておこう。
全然連絡してなくて最近肝が冷えたからなぁ…)
ノアは早速クロラに連絡を取る事に。
「レター。
クロラさん、こちらに居る【料理人】の人の情報で…」
と、ノアが連絡を取ろうとしていると、草原に居る1頭のカラメル牛がノアの方を見ている。
「ね、ねぇノア君…
あのカラメル牛こっち見てるよ…」
「その体毛が…え?あぁ、その様ですね。
体毛が濃い方が…」
レイルがそう伝えるもノアは気にした様子も無く、そのままクロラへと連絡を続けていた。
ヴモ!ヴモ~ッ!ドガガッ!
「ぎゃーっ!ノア君!来る!来るって!」
「ノア様!危ないですよ!」
レイルやヴァモスらが慌てるがノアは手で制して前へと進み出る。
ヴモォアア『ガシッ!』アアッ!ガガガガッ!
立ち尽くすノアに諸に突っ込んだカラメル牛は、その膂力を遺憾無く発揮し、ノアをその場から2、3メル程押し込む事になった。
が
「うん、良い突進力だ。
中々の膂力があるから、まともに受け止めると痛い目にあうから受け流した方が良いよ。
…さて、片手だと踏ん張り利かなくて押し込まれちゃったよ。」
ガシッ!
突進を仕掛けて来たカラメル牛の片角を掴んでいるノアは、クロラに連絡を取り終えると、もう片方の角を掴み、<渾身>を発動。
舟の舵を切るかの様に左に強く旋回させた。
ゴギンッ!
ジジジ…ジュゥウウ…
プスッ
「うん、透明な肉汁しか出てこないからキチンと火が通ってますね。」
ザッ、ズッズッズッ…
パラリ
「ほい、ヴァモスとベレーザには両後ろ脚のお尻の辺りの部分をどうぞ。」
柔らかく、肉汁たっぷりに焼き上がったホーミングボアの肉の塊に軽く塩を振り、2人に差し出す。
先程からキラキラした目で肉の塊を凝視している2人の視線を背中に感じていたノアは、妙な焦燥感に晒されていたのだ。
「い、良いのですか!?
こんな『ジュルリ』美味しそうな『ジュルリ』部分をボク達に…
しかもノア様より先になど…」
「ふわぁ…お肉なんて半年ぶり…
あぁ…食べるのが勿体無いですよぉ…」
「え、そう?
じゃあ食べないと勿体無いからグリード食べる?」
ガパッ ンアー。
「やーぁっ!やーぁ!食べます!美味しく頂きますから今一度御慈悲を!」
食べたそうに体を震わせるベレーザだが、変に気を使っている様なので強行策に出た。
グリードもそれを察したのか、ノアのノリに付き合ってくれた様だ。
肉汁たっぷりの肉の塊をガパッと口を開けたグリードに入れようとすると、半べそになりながらノアにしがみ付いて懇願してきた。
ベレーザとしては本当に絶望を感じたのだろう、ノアの足に爪が食い込んで中々に痛かったとの事だ。
「……。」モグモグ…
「……。」ガフガフ…
「おお…無言で一心不乱に食べてるな…」ムグムグ…
「そりゃそうよ、獣人族の中でも特に肉が好物な種族だもの。
こんな美味しいお肉食べたらああなるわ…」ムグムグ…
「へー、肉が好物なのか…
じゃあ腕に縒りを掛けておいて良かったよ。
はいお待ちどお様、どうぞ。」
ホーミングボアのこんがり肉から、食べやすい大きさに切り取った肉を【錬金術】ギルドの女性2人に渡すノア。
「え?私調理風景見てたけど、特段変わった事はしてなかったと思うけど…
ねぇ、ドリー。」
「うん…」
【料理人】のレイルは顎に手をやり、少し前のノアの調理を思い出す。
「まぁそこまで変わった事はしていませんよ、クサミトリクサで肉の臭み取って、その辺に生えていたパインナップルとレモニアで作った液に軽く浸けて、最初に肉の表面を炙って肉汁を閉じ込めてから低温で焼いただけですし…」
「十分、ノア君それ十分過ぎるって。
ってか、いつそんな事やってたの…?」
「ふふん、手間を見せないのが料理人ってもんですよ。」
「うっ、確かに…」
ノアの言葉にぐぅの音が出ないレイルであった。
その後も各ギルドの面々14人と、獣人2人やヴァンディットも食べているが未だホーミングボアの肉の塊は1分の3程残っていた。
切り分けを行っていたノアも漸く食べ始めつつ周囲を散策していた。
ムシャムシャ…
(ん?これは、馬車の車輪の跡が…
…この先は見た所、険しい山道の様だが大丈夫か?)
ふと道の一端を見ていた所、商人の馬車が通った痕跡を見付けたのだが、どう見ても獣道だったので違和感を覚えるノアだった。
「どう?2人共満足したかな?」
「あ、ノア様。
はい、凄く美味しかったです。」
「私あれ程美味しいお肉食べたの初めてです。」
ヴァモスとベレーザの2人は、大変満足したのか、表情が緩みきって恍惚の表情となっていた。
「今まで食べ物に困っていたと思うけど、僕といる間は食い物に困らない様にしてあげる。
だから変な気を回すのは今後は無しだ、良いね?」
「ふふ、ノア様、それは獣人族にとっては最高の口説き文句にございますよ。」
「え?そうなの?」
人間の間では求婚の際に高価な指輪等を相手に贈るのが一般的だが、獣人族として最も重視するのは"武力"である。
強者と闘える力が備わっていれば相手方を、食うに困らせる事が無いので特に重要視されている。
ちなみに、獣人族にとって人間で言う指輪に相当するのが異世界の言葉で言う"マンガ肉"だそうだ。
「はは、それじゃあベレーザに求婚する人は少し大変だねぇ。」
「ええ、もし相手が居なかったら貰って下さいね。」
「はは、考えとくよ。」
この時は軽く考えていたノアだが、ベレーザは獣人が暮らす国『ヴァーリアスフェアレス』へ訪れると、 忽ち数多くの獣人から求婚される事になる。
だがその時に一悶着が起こるとは全く想像していなかった。
「さて、少し休んだし最初に目指す西の村目指して向かいましょうか。」
「「「「「おおー!」」」」」
皆腹も膨れ、食事効果も相まって数段元気に出発を開始した。
先程まで食事を摂っていたのは、森を抜けて少し開けた場所であった。
森の中にはホーミングボアが数体居たが、どうやらこの先にもホーミングボアはまだまだ居る様なのと、食事中と言う事もあって狩りは控える事にした。
ちなみに、森を抜けると再び草原が広がり、ホーミングボアの数は減り、代わりにカラメル牛が散見される様になった。
モー。ヴモ~。
「おお、良い色のカラメル牛が居るなぁ。」
「本当、綺麗な毛並み。」
「猪も良いけど牛も良いなぁ…」
1人は別の事を考えている様だが一先ず置いておこう。
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カラメル牛は体長3メル程で頭に2本の丸まった角が生えており、体毛は飴色をしている。
よく見てみると、どうやらカラメル牛と言っても個体によっては毛色に多少の違いがある様だ。
「レイルさん。
カラメル牛って狩る場合、どう言った個体を狙うと良いとかありますか?」
「カラメル牛は毛色が濃い個体の方が良いわ。
見極めとしては毛色が濃い牛は気性が他の牛に比べて荒いから直ぐに分かるわ。
ほら、"モー"じゃなくて"ヴモー"って鳴いてるのが居るじゃない?
気性が荒いのは、餌を豊富に食べて大きくなった証拠なの。」
「なる程、狩るのはある意味間引きにも良いんですね?」
「そうね、他の牛も良質な餌場に預かれるから良い事には違いないわね。」
(あ、そうだ、この事クロラさんの所にも伝えておこう。
全然連絡してなくて最近肝が冷えたからなぁ…)
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「レター。
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と、ノアが連絡を取ろうとしていると、草原に居る1頭のカラメル牛がノアの方を見ている。
「ね、ねぇノア君…
あのカラメル牛こっち見てるよ…」
「その体毛が…え?あぁ、その様ですね。
体毛が濃い方が…」
レイルがそう伝えるもノアは気にした様子も無く、そのままクロラへと連絡を続けていた。
ヴモ!ヴモ~ッ!ドガガッ!
「ぎゃーっ!ノア君!来る!来るって!」
「ノア様!危ないですよ!」
レイルやヴァモスらが慌てるがノアは手で制して前へと進み出る。
ヴモォアア『ガシッ!』アアッ!ガガガガッ!
立ち尽くすノアに諸に突っ込んだカラメル牛は、その膂力を遺憾無く発揮し、ノアをその場から2、3メル程押し込む事になった。
が
「うん、良い突進力だ。
中々の膂力があるから、まともに受け止めると痛い目にあうから受け流した方が良いよ。
…さて、片手だと踏ん張り利かなくて押し込まれちゃったよ。」
ガシッ!
突進を仕掛けて来たカラメル牛の片角を掴んでいるノアは、クロラに連絡を取り終えると、もう片方の角を掴み、<渾身>を発動。
舟の舵を切るかの様に左に強く旋回させた。
ゴギンッ!
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