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獣人国編~森の番人~
目が覚めると
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チュンチュン、チチチチ…
「…う、うぅ…ん…」
顔に陽光が当たり、暖かさと眩しさに目を覚ますノア。
だが、瞼が酷く重く、目を瞑ったままである。
(…あれ?ここは…宿かな…?
…何で僕ここにいるんだっけ…?)
ノアはぼんやりとした思考で現状を把握しようとするが、睡魔が凄まじい為全く頭が働かない。
一先ず顔に掛かる陽光を遮る為、腕を上げようとするも
「う…」
陽光を手で遮ろうとしたが、自身の腕が異様に重く感じ、短い悲鳴を上げる。
「う…ぅ…」
次に身を捩ろうとしたノアだが、これまた体が重く感じ、再び短い悲鳴が上がる。
要は現在ノアは一切身動きが出来ない状態である。
フッ…
ノアが眩しそうにしているのを察したのか、誰かが直ぐ近くに立ち、陰を作ってくれた。
黙っているのもなんだったので、重々しい瞼を開き、せめて目礼だけでもしようとすると
「よぉノア。漸く目を覚ましたか。」
「ふぉっ…!?いででででででっ!?」
ノアの顔を覗き込む様に顔を突き合わせた熊顔のマドリックに、思わず驚いたノアは体を強張らせると、全身に激痛が走った。
「落ち着けノア。
毒がまだ抜けきっていないし、傷も塞がってないんだから安静にしとけ。」
「…え?毒…?傷…?」
未だ思考がハッキリしていないノアにマドリックが優しく問い掛ける。
「ノア。混乱しているみたいだが、お前さん何か覚えてる事あるか?」
「…え?…えっと…今が朝?だから…昨日の昼頃に『滅びの森』でレン…
…あっ!マドリックさん!レントはどうなりましいででででででっ!?」
ノアは樹冠での戦闘を思い出し、逆にマドリックに問い質そうとするも、再び全身に激痛が走り、踞るノア。
すると
『主、落ち着けって。
レントの事なら心配するな、お前さんがあの場を離れた後で俺とグリード。
あとそこのマドリックの3人でしっかり討伐しといたぜ。』
ノアが今まで眠っていたベッドの頭の位置から鬼神の声が聞こえた。
「あ、良かった、無事だったんだね鬼じ…
…ってあれ?何か薄くなってない…?」
軋む様な音が聞こえてきそうな首を捻り、何とか声のした方を向くと、椅子にドカリと座りこんだ鬼神の姿があった。
但しその姿は、窓から差し込む陽光をさして遮る事の無い程に透けていた。
『主に余計な負荷を掛ける訳にはいかんから時間を掛けて戻ってる所だ。
本当であればこれ位ゆっくり戻すはずだったんだよ。』
鍋から立ち昇る湯気の如き揺らめきを体から発している鬼神のオーラがゆっくりとノアへと戻っていく。
そのお陰か、ノアに反動は押し寄せていない様だ。
『取り敢えず俺が完全に主の中に戻ったら多少マシに動けるハズだ。
だが最低でも今日1日は安静にしとけ。』
「その方が良い。
全身の傷のせいで2日ばかし掛かっていた熱が漸く引いて従者のヴァンディット嬢が寝に入った所だ。
変に動いて悪化させる訳にもいかんだろう。」
マドリックが部屋の奥に視線を送り、ノアがその方向を見ると、部屋にもう1つあるベッドの上で毛布にくるまってスヤスヤ眠るヴァンディットと、その隣で同じく丸まって添い寝する眷属のブラッツの姿があった。
ピクッ。ピョンッ。トタタ…
ワフッ、ハッハッハッ…
そのブラッツが急に起き上がり、ヴァンディットの隣から離れ、ノアの元までやって来る。
「…皆には心配掛けちゃったな…
そういえばラインハードさんの姿が見えないけどどこ…」
徐にブラッツの頭を撫でようと、痛む腕をベッドから出したノアが自身の腕を見て言葉に詰まる。
何故ならノアの腕は、所々がドドメ色に変色していたからであった。
「……。」
「ヴァンディット嬢の見立てでは、今現在ノアの体内には3種類の毒が蓄積されているらしい。」
『ヴァンディットは高熱でうなされるノアを看病しつつ解毒を試みたが、遅延させる事しか出来ないとの事だ。』
ノアの体内には『腐蝕毒』『茨毒』『苦毒』の3種の毒が溜まっているらしく、レントの戦闘で注入されたのは明らかである。
ヴァンディットが言うには、これらの毒は天然物である為、有効成分を見付け出して解毒剤を作るには途方も無い時間が掛かるらしい。
するとラインハードが"打って付けの物があります"と言って宿を飛び出して行ったと言う。
一応最終手段としてスロア領のお婆と【薬学弓士(ネイチャー)】のエスメラルダ、つかえるキノコ達が協力し、何とか解毒剤を作ってみせると言っていた。
「…ちなみにこの事知ってるのは…?」
「一応一通りの者には伝えといたぞ。
王城の者達やギルド関係、仲の良い商人にも知らせようとしたんだが、入れ違いになってしまってまだ伝えてない。」
『ヴァモスとベレーザ、主の彼女とそのパーティメンバーには俺から伝えた。
皆主の姿を見て一様に心配していたが、変に気を遣うなとは言っといた。』
「そ、そう…」
『主の性格からして大っぴらに伝えるのは好まんだろうが、症状が症状だしな。
クロラは甲斐甲斐しくも日に3回は様子見に来てたぜ。
次来た時は良い報せが出来るな。』
ヴァモスとベレーザの2人は、ノアが目覚める10分程前に出勤し、クロラ達も時を同じくしてダンジョンの『時の迷宮』に向かったと言う。
「…ちなみに、僕はどれ位眠ってたの?」
『今日で丸4日って所だ。
だから体がガチガチに固まってるだろう?
もう少し症状が緩和したらヴァンディットが鍼で解してくれるだろうさ。』
「4日…思いの外眠ってたんだ…
こりゃ暫くはリハビリが必要だな…」
「そんな心配は後にして寝た寝た。
詳しい事はまた後で話してやっから。」
「う、うん……ぐぅ…」
マドリックに寝るよう促されたノアは、未だ重々しい体をベッドに横たわらせると意図も簡単に夢の中へ。
レント戦の事が気掛かりだったが、今は回復に努める事にしよう。
<…ふぁ~…よく寝れました…>
<おはようさん、朝方ノアが起きたぜ。>
<本当ですか!?あぁ…良かった…>
ガチャ
<ただいまです。>
<ただいまにゃ、ノア様の様子はどうですかにゃ?>
<丁度その話をしていた所『ガチャ』<お待たせしました!特効薬をお持ちしましたよ!>
<お、お邪魔します…>
<ラインハード嬢に、クロラ嬢。
丁度良い時に来たな。
ほらノア、少し前から起きてただろう?
辛いだろうが、皆集まったから起きてはくれないか?>
「う…」
(バレてたか…)
「…う、うぅ…ん…」
顔に陽光が当たり、暖かさと眩しさに目を覚ますノア。
だが、瞼が酷く重く、目を瞑ったままである。
(…あれ?ここは…宿かな…?
…何で僕ここにいるんだっけ…?)
ノアはぼんやりとした思考で現状を把握しようとするが、睡魔が凄まじい為全く頭が働かない。
一先ず顔に掛かる陽光を遮る為、腕を上げようとするも
「う…」
陽光を手で遮ろうとしたが、自身の腕が異様に重く感じ、短い悲鳴を上げる。
「う…ぅ…」
次に身を捩ろうとしたノアだが、これまた体が重く感じ、再び短い悲鳴が上がる。
要は現在ノアは一切身動きが出来ない状態である。
フッ…
ノアが眩しそうにしているのを察したのか、誰かが直ぐ近くに立ち、陰を作ってくれた。
黙っているのもなんだったので、重々しい瞼を開き、せめて目礼だけでもしようとすると
「よぉノア。漸く目を覚ましたか。」
「ふぉっ…!?いででででででっ!?」
ノアの顔を覗き込む様に顔を突き合わせた熊顔のマドリックに、思わず驚いたノアは体を強張らせると、全身に激痛が走った。
「落ち着けノア。
毒がまだ抜けきっていないし、傷も塞がってないんだから安静にしとけ。」
「…え?毒…?傷…?」
未だ思考がハッキリしていないノアにマドリックが優しく問い掛ける。
「ノア。混乱しているみたいだが、お前さん何か覚えてる事あるか?」
「…え?…えっと…今が朝?だから…昨日の昼頃に『滅びの森』でレン…
…あっ!マドリックさん!レントはどうなりましいででででででっ!?」
ノアは樹冠での戦闘を思い出し、逆にマドリックに問い質そうとするも、再び全身に激痛が走り、踞るノア。
すると
『主、落ち着けって。
レントの事なら心配するな、お前さんがあの場を離れた後で俺とグリード。
あとそこのマドリックの3人でしっかり討伐しといたぜ。』
ノアが今まで眠っていたベッドの頭の位置から鬼神の声が聞こえた。
「あ、良かった、無事だったんだね鬼じ…
…ってあれ?何か薄くなってない…?」
軋む様な音が聞こえてきそうな首を捻り、何とか声のした方を向くと、椅子にドカリと座りこんだ鬼神の姿があった。
但しその姿は、窓から差し込む陽光をさして遮る事の無い程に透けていた。
『主に余計な負荷を掛ける訳にはいかんから時間を掛けて戻ってる所だ。
本当であればこれ位ゆっくり戻すはずだったんだよ。』
鍋から立ち昇る湯気の如き揺らめきを体から発している鬼神のオーラがゆっくりとノアへと戻っていく。
そのお陰か、ノアに反動は押し寄せていない様だ。
『取り敢えず俺が完全に主の中に戻ったら多少マシに動けるハズだ。
だが最低でも今日1日は安静にしとけ。』
「その方が良い。
全身の傷のせいで2日ばかし掛かっていた熱が漸く引いて従者のヴァンディット嬢が寝に入った所だ。
変に動いて悪化させる訳にもいかんだろう。」
マドリックが部屋の奥に視線を送り、ノアがその方向を見ると、部屋にもう1つあるベッドの上で毛布にくるまってスヤスヤ眠るヴァンディットと、その隣で同じく丸まって添い寝する眷属のブラッツの姿があった。
ピクッ。ピョンッ。トタタ…
ワフッ、ハッハッハッ…
そのブラッツが急に起き上がり、ヴァンディットの隣から離れ、ノアの元までやって来る。
「…皆には心配掛けちゃったな…
そういえばラインハードさんの姿が見えないけどどこ…」
徐にブラッツの頭を撫でようと、痛む腕をベッドから出したノアが自身の腕を見て言葉に詰まる。
何故ならノアの腕は、所々がドドメ色に変色していたからであった。
「……。」
「ヴァンディット嬢の見立てでは、今現在ノアの体内には3種類の毒が蓄積されているらしい。」
『ヴァンディットは高熱でうなされるノアを看病しつつ解毒を試みたが、遅延させる事しか出来ないとの事だ。』
ノアの体内には『腐蝕毒』『茨毒』『苦毒』の3種の毒が溜まっているらしく、レントの戦闘で注入されたのは明らかである。
ヴァンディットが言うには、これらの毒は天然物である為、有効成分を見付け出して解毒剤を作るには途方も無い時間が掛かるらしい。
するとラインハードが"打って付けの物があります"と言って宿を飛び出して行ったと言う。
一応最終手段としてスロア領のお婆と【薬学弓士(ネイチャー)】のエスメラルダ、つかえるキノコ達が協力し、何とか解毒剤を作ってみせると言っていた。
「…ちなみにこの事知ってるのは…?」
「一応一通りの者には伝えといたぞ。
王城の者達やギルド関係、仲の良い商人にも知らせようとしたんだが、入れ違いになってしまってまだ伝えてない。」
『ヴァモスとベレーザ、主の彼女とそのパーティメンバーには俺から伝えた。
皆主の姿を見て一様に心配していたが、変に気を遣うなとは言っといた。』
「そ、そう…」
『主の性格からして大っぴらに伝えるのは好まんだろうが、症状が症状だしな。
クロラは甲斐甲斐しくも日に3回は様子見に来てたぜ。
次来た時は良い報せが出来るな。』
ヴァモスとベレーザの2人は、ノアが目覚める10分程前に出勤し、クロラ達も時を同じくしてダンジョンの『時の迷宮』に向かったと言う。
「…ちなみに、僕はどれ位眠ってたの?」
『今日で丸4日って所だ。
だから体がガチガチに固まってるだろう?
もう少し症状が緩和したらヴァンディットが鍼で解してくれるだろうさ。』
「4日…思いの外眠ってたんだ…
こりゃ暫くはリハビリが必要だな…」
「そんな心配は後にして寝た寝た。
詳しい事はまた後で話してやっから。」
「う、うん……ぐぅ…」
マドリックに寝るよう促されたノアは、未だ重々しい体をベッドに横たわらせると意図も簡単に夢の中へ。
レント戦の事が気掛かりだったが、今は回復に努める事にしよう。
<…ふぁ~…よく寝れました…>
<おはようさん、朝方ノアが起きたぜ。>
<本当ですか!?あぁ…良かった…>
ガチャ
<ただいまです。>
<ただいまにゃ、ノア様の様子はどうですかにゃ?>
<丁度その話をしていた所『ガチャ』<お待たせしました!特効薬をお持ちしましたよ!>
<お、お邪魔します…>
<ラインハード嬢に、クロラ嬢。
丁度良い時に来たな。
ほらノア、少し前から起きてただろう?
辛いだろうが、皆集まったから起きてはくれないか?>
「う…」
(バレてたか…)
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