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獣人国編~【勇者】アーク・ダンジョン『時の迷宮』~
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~再びヴァンディットの影の中~
「えええっ嘘ぉっ!?何であの装甲を破れるのですか!?(棒)(ラインハード)」
「えええっ!?何であの装備を貫けるのですっ!?(ヴァンディット)」
魔装鉄甲の開発者であるラインハードと、魔装鉄甲に使われた素材の強固さを知っているヴァンディットは、ほぼ同時に驚きの声を上げていた。
「あんなヤバい威力の攻撃を2度も放ったんだから、装備の方が持たなかったんじゃないか?(アーク)」
「黙らっしゃい若造が!
あれは私の本体が造った最高傑作であり、ノア君がくれたクラーケンの素材をふんだんに使用したまたと無い逸品「わーっ!ハーちゃん!それまだ大っぴらに言っちゃいけないモノですよぉー!(ヴァンディット)」
「「「…え?クラーケン?」」」
「「あ、いや…(ラインハード、ヴァンディット)」」
思わずラインハードが公に言ってはいけない情報を言い放ってしまう程、魔装鉄甲の装甲を突破された事が信じられない様子。
2人が驚いていると言う事は、装着者であるノアも同様に驚いている訳で…
ザザザッ!
「ちょ!待…嘘だろ!?…何だあの武器は!?」
(『あの嬢ちゃんの事だ、この武装の製作に手を抜く事はしねぇハズだ…
つまりあの槍に何か仕掛けがあるハズだ。』)
(だろうな!)
回避に成功したノアは、金成から距離を取り、先程金成が時空の裂け目から取り出した槍の穂先に注視した。
真っ黒い槍の刀身は超高速で振動し、穂先が霞んで見える様になっていた。
ちなみに槍の穂先が貫通した箇所は、魔装鉄甲左腕の人差し指付け根辺り。
ノア自身の手には何らダメージが無かったのが唯一の救いである。
「ふふふ、御自慢の装備が貫かれて焦っているな?これぞ"恩恵"の力よ!」
「なーにが"恩恵の力よ!"だよ。
要は強武器手に入れて意気がってるだけじゃないか。」
「ふ…これでも余裕ぶっていられるかな?」
ボッ!
そう言って金成は再び槍を用いて攻撃を開始した。
先程と唯一違う点があるとするならば、攻撃速度が明らかに上がっていたのである。
ボボボボボボボボボボボボボボボボッ!!
ヒュババババババババババババババッ!
金成は高速の突きを繰り出し、ノアはそれを首を傾けたり半歩下がる事で、最小限の動作で回避し続けていた。
「ふははははははははっ!
どうしたどうしたどうしたどうしたぁっ!
避けてるだけでは我に勝てんぞ!」
(…恐らくさっき足軽兵達に施した"加速"を自身にも掛けていたな?
…だけど速度が上がった程度で技術も差程感じられないから避けるのは容易いな…)
驚異的な速度で連続攻撃を仕掛ける金成だが、どうやら"ただ"速くなっているだけの様で、脅威度はそんなに上がっていない様子。
(ははぁん、もしかしてコイツ、雑魚の物量と"減速"や"加速"を駆使して今までやって来たから、技術面は大した事無いんじゃないか?)
(『あぁ、俺もそんな気がしてきた。
コイツ、こんだけ主が避けてるっつーのに特段手を変えて来てねーし、今までの事も納得出来る。』)
と、ノアと鬼神がそう考察しているが、2人の考えは概ね正解である。
金成は"神々の恩恵(ベネフィシアル)"を所持する前は技術を伴った攻撃を得意として数多くの武勲を挙げてきた。
だが所持後は"減速"と"加速"、更に"3段階目の恩恵"を授かってからは一気に手を抜き始め、大抵の攻撃手段が"時"を消費して生み出した大部隊をけしかけて圧倒的物量差で押し潰す戦法であった。
そして今日この日も"定番"と化した物量戦法で時雨の国を滅ぼし掛けた金成であったが、1対多数を得意とするノアがこの国にやって来てしまったのである。
結果、いつもの戦法が一切通用せず、"神々の恩恵(ベネフィシアル)"と言う圧倒的有利性があるにも関わらず、金成側は既に壊滅状態であった。
『時空召喚』で再び生み出した暴坊将軍、地均明王、闇蜘蛛は2分と持たずに屠られ、500を越える足軽兵達は、ノアと時雨の猛攻に遭い、既に1/5が残っているかどうかと言う状況である。
そんな中で『時空召喚』を用いて授かった武器が、漸くノアの脅威となり得た事で、金成に心理的余裕が生まれてきた。
ここで思考を切り換え、クールタイムを調整して戦いに望めばまだチャンスがあったのだが、ここから金成は調子に乗り出すのであった。
ボッ!ボボッ!スドドッ!ドドッ!
「ほらほらほらほらぁっ!
反撃出来ぬか!そうであろうなぁっ!
遥か未来の時代より召喚した、この"高出力振動ブレード"の前では斬れぬ物等無いのだぁっ!」
槍による連撃を放ち続ける金成は、手も足も出せずにいる(と思っている)ノアに気分を良くし、笑みを浮かべつつ先程召喚した武器"高出力振動ブレード"を見せびらかす様に振るっていた。
高出力振動ブレード…今より1500年程先の世界で開発された切断能力に特化した技術。
原子間結合を強固にして刀身の強度を高め、逆に刀身に触れた物体の原子間結合を弱める為、切断能力が格段に上がるのだとか。
(『何だアイツ?急に元気になりやがって、気持ち悪ぃ。
ご丁寧に武器の解説までしてくれるとはな。』)
(まぁこっちにとっては好都合だ。
隙だらけだし、付け上がるだけ付け上がって貰おう。)
(『だが、あの槍が脅威である事は間違いねぇ。
さっさと奪い取っちまおうぜ。』)
(それもそうだね。)
ズザッ!
「っ!?」
回避行動を中断したノアは、打って変わって金成に急速接近を仕掛けた。
「ふはははっ!
攻めに転じたか!再び貴様の武装を貫いてくれよう!」ボッ!
「シッ!」ゴッ!
金成は迫るノアに向けて槍(高出力振動ブレード)を放ち、ノアはそれに合わせて先程貫かれた方の腕を放つ。
ギャリィイイッ!
「なぁっ!?」
針の穴に糸を通すが如く、高出力振動ブレードを魔装鉄甲の掌に空いた穴に通して更に金成に迫る。
ガギッ!ゴギンッ!
「ひゅ…ぉおおおおおおっ!?」
そのまま槍を掴んでいた左手を掴み、圧砕。
左手を潰されながら砕かれた金成は悲鳴を上げた。
「やはりな。
高出力何たらってヤツは脅威だが、柄の造りは変わらないハズだ。
アンタが馬鹿正直に武器を振るってくれて助かったよ。」
ぐんっ!
ヒュボボボボボッ!
激痛に伴い、槍の握りが甘くなった隙に金成から槍を奪ったノアは、槍を振り回して構え直した後
ブンッ!
ゾッ!ゾリッ!ズバッ!ズババッ!
金成の首、両手足、胴体を奪い取った槍の連撃で以て次々に撥ね飛ばすノア。
「おおっ!御見事に御座いますぞノア殿!」
そんなノアの姿を、後方に残存していた足軽兵と戦っていた時雨が感嘆の声を上げていた。
ガチン!チキチキチキ…
(く、糞っ…何だこのガキは…強いなんてモノでは無い…全く勝負にならない…)
再び神々の恩恵(ベネフィシアル)の効果が始まり、回帰が行われる中、金成は何か策は無いモノかと必死に考えを巡らせていた。
(我が所有する兵全てを投入しても駄目。
未来の武器を用いても技術面がヤツには遠く及ばず、"恩恵"の有利性も皆無…
このままでは【神】になる所か直ぐにでもあの世行きになってしまう…
何か、何か手は無いのか…)
と、金成が模索していると
"『時空召喚』のクールタイムが終了しました。
有機物の召喚は23時間50後まで不可ですが、無機物であれば召喚可能です。如何致しましょう?"
「えええっ嘘ぉっ!?何であの装甲を破れるのですか!?(棒)(ラインハード)」
「えええっ!?何であの装備を貫けるのですっ!?(ヴァンディット)」
魔装鉄甲の開発者であるラインハードと、魔装鉄甲に使われた素材の強固さを知っているヴァンディットは、ほぼ同時に驚きの声を上げていた。
「あんなヤバい威力の攻撃を2度も放ったんだから、装備の方が持たなかったんじゃないか?(アーク)」
「黙らっしゃい若造が!
あれは私の本体が造った最高傑作であり、ノア君がくれたクラーケンの素材をふんだんに使用したまたと無い逸品「わーっ!ハーちゃん!それまだ大っぴらに言っちゃいけないモノですよぉー!(ヴァンディット)」
「「「…え?クラーケン?」」」
「「あ、いや…(ラインハード、ヴァンディット)」」
思わずラインハードが公に言ってはいけない情報を言い放ってしまう程、魔装鉄甲の装甲を突破された事が信じられない様子。
2人が驚いていると言う事は、装着者であるノアも同様に驚いている訳で…
ザザザッ!
「ちょ!待…嘘だろ!?…何だあの武器は!?」
(『あの嬢ちゃんの事だ、この武装の製作に手を抜く事はしねぇハズだ…
つまりあの槍に何か仕掛けがあるハズだ。』)
(だろうな!)
回避に成功したノアは、金成から距離を取り、先程金成が時空の裂け目から取り出した槍の穂先に注視した。
真っ黒い槍の刀身は超高速で振動し、穂先が霞んで見える様になっていた。
ちなみに槍の穂先が貫通した箇所は、魔装鉄甲左腕の人差し指付け根辺り。
ノア自身の手には何らダメージが無かったのが唯一の救いである。
「ふふふ、御自慢の装備が貫かれて焦っているな?これぞ"恩恵"の力よ!」
「なーにが"恩恵の力よ!"だよ。
要は強武器手に入れて意気がってるだけじゃないか。」
「ふ…これでも余裕ぶっていられるかな?」
ボッ!
そう言って金成は再び槍を用いて攻撃を開始した。
先程と唯一違う点があるとするならば、攻撃速度が明らかに上がっていたのである。
ボボボボボボボボボボボボボボボボッ!!
ヒュババババババババババババババッ!
金成は高速の突きを繰り出し、ノアはそれを首を傾けたり半歩下がる事で、最小限の動作で回避し続けていた。
「ふははははははははっ!
どうしたどうしたどうしたどうしたぁっ!
避けてるだけでは我に勝てんぞ!」
(…恐らくさっき足軽兵達に施した"加速"を自身にも掛けていたな?
…だけど速度が上がった程度で技術も差程感じられないから避けるのは容易いな…)
驚異的な速度で連続攻撃を仕掛ける金成だが、どうやら"ただ"速くなっているだけの様で、脅威度はそんなに上がっていない様子。
(ははぁん、もしかしてコイツ、雑魚の物量と"減速"や"加速"を駆使して今までやって来たから、技術面は大した事無いんじゃないか?)
(『あぁ、俺もそんな気がしてきた。
コイツ、こんだけ主が避けてるっつーのに特段手を変えて来てねーし、今までの事も納得出来る。』)
と、ノアと鬼神がそう考察しているが、2人の考えは概ね正解である。
金成は"神々の恩恵(ベネフィシアル)"を所持する前は技術を伴った攻撃を得意として数多くの武勲を挙げてきた。
だが所持後は"減速"と"加速"、更に"3段階目の恩恵"を授かってからは一気に手を抜き始め、大抵の攻撃手段が"時"を消費して生み出した大部隊をけしかけて圧倒的物量差で押し潰す戦法であった。
そして今日この日も"定番"と化した物量戦法で時雨の国を滅ぼし掛けた金成であったが、1対多数を得意とするノアがこの国にやって来てしまったのである。
結果、いつもの戦法が一切通用せず、"神々の恩恵(ベネフィシアル)"と言う圧倒的有利性があるにも関わらず、金成側は既に壊滅状態であった。
『時空召喚』で再び生み出した暴坊将軍、地均明王、闇蜘蛛は2分と持たずに屠られ、500を越える足軽兵達は、ノアと時雨の猛攻に遭い、既に1/5が残っているかどうかと言う状況である。
そんな中で『時空召喚』を用いて授かった武器が、漸くノアの脅威となり得た事で、金成に心理的余裕が生まれてきた。
ここで思考を切り換え、クールタイムを調整して戦いに望めばまだチャンスがあったのだが、ここから金成は調子に乗り出すのであった。
ボッ!ボボッ!スドドッ!ドドッ!
「ほらほらほらほらぁっ!
反撃出来ぬか!そうであろうなぁっ!
遥か未来の時代より召喚した、この"高出力振動ブレード"の前では斬れぬ物等無いのだぁっ!」
槍による連撃を放ち続ける金成は、手も足も出せずにいる(と思っている)ノアに気分を良くし、笑みを浮かべつつ先程召喚した武器"高出力振動ブレード"を見せびらかす様に振るっていた。
高出力振動ブレード…今より1500年程先の世界で開発された切断能力に特化した技術。
原子間結合を強固にして刀身の強度を高め、逆に刀身に触れた物体の原子間結合を弱める為、切断能力が格段に上がるのだとか。
(『何だアイツ?急に元気になりやがって、気持ち悪ぃ。
ご丁寧に武器の解説までしてくれるとはな。』)
(まぁこっちにとっては好都合だ。
隙だらけだし、付け上がるだけ付け上がって貰おう。)
(『だが、あの槍が脅威である事は間違いねぇ。
さっさと奪い取っちまおうぜ。』)
(それもそうだね。)
ズザッ!
「っ!?」
回避行動を中断したノアは、打って変わって金成に急速接近を仕掛けた。
「ふはははっ!
攻めに転じたか!再び貴様の武装を貫いてくれよう!」ボッ!
「シッ!」ゴッ!
金成は迫るノアに向けて槍(高出力振動ブレード)を放ち、ノアはそれに合わせて先程貫かれた方の腕を放つ。
ギャリィイイッ!
「なぁっ!?」
針の穴に糸を通すが如く、高出力振動ブレードを魔装鉄甲の掌に空いた穴に通して更に金成に迫る。
ガギッ!ゴギンッ!
「ひゅ…ぉおおおおおおっ!?」
そのまま槍を掴んでいた左手を掴み、圧砕。
左手を潰されながら砕かれた金成は悲鳴を上げた。
「やはりな。
高出力何たらってヤツは脅威だが、柄の造りは変わらないハズだ。
アンタが馬鹿正直に武器を振るってくれて助かったよ。」
ぐんっ!
ヒュボボボボボッ!
激痛に伴い、槍の握りが甘くなった隙に金成から槍を奪ったノアは、槍を振り回して構え直した後
ブンッ!
ゾッ!ゾリッ!ズバッ!ズババッ!
金成の首、両手足、胴体を奪い取った槍の連撃で以て次々に撥ね飛ばすノア。
「おおっ!御見事に御座いますぞノア殿!」
そんなノアの姿を、後方に残存していた足軽兵と戦っていた時雨が感嘆の声を上げていた。
ガチン!チキチキチキ…
(く、糞っ…何だこのガキは…強いなんてモノでは無い…全く勝負にならない…)
再び神々の恩恵(ベネフィシアル)の効果が始まり、回帰が行われる中、金成は何か策は無いモノかと必死に考えを巡らせていた。
(我が所有する兵全てを投入しても駄目。
未来の武器を用いても技術面がヤツには遠く及ばず、"恩恵"の有利性も皆無…
このままでは【神】になる所か直ぐにでもあの世行きになってしまう…
何か、何か手は無いのか…)
と、金成が模索していると
"『時空召喚』のクールタイムが終了しました。
有機物の召喚は23時間50後まで不可ですが、無機物であれば召喚可能です。如何致しましょう?"
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