ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

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獣人国編~御前試合の代表決め~

討伐報酬

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~少し前の『オセアノ』・司令塔~


ビーッ!ビーッ!

「状況確認急げ!怪我人等は出ていないか!?(人魚4)」

「揺れと衝撃は凄まじいモノでしたが、各エリアから被害は出ていません!(人魚6)」

「くっ…何て衝撃…防御結界を張るのが僅かでも遅れていたら街に多大な被害が出ていたでしょう…(セレイア)」


司令塔内にけたたましい音が鳴り響く。
先程ラーヴァが発生させた衝撃波と、後の強烈な波によって『オセアノ』内は混乱に包まれていた。

不幸中の幸いだったのは、セレイアの判断で展開された防御結界が機能して街に被害が出なかった事だろう。

テーブルの下からは、恐々とした様子でヤンとラビッツが頭を出してキョロキョロと周りを見渡していた。


「こ、怖…ディザスター映画の主人公になった気分だったわ…
ラビッちゃん、ニャーゴちゃん大丈夫…?(ヤン)」

「だ、大丈夫です…
ニャーゴちゃんが私の下に潜り込んでクッションになってくれましたから…(ラビッツ)」

もにゅん。にゃーご。


ラビッツは尻餅を付いた体勢でニャーゴのプルンプルンな体に埋まっていた為、全く無傷であった。


「そ、れ、よ、り、も!
ノア君と海層竜ラーヴァはどうなりましたか!
窓の外が見えませんよ!(セレイア)」ペシペシ!

「い、今の衝撃波で一時的にブラックアウトしてしまった様です。
復旧に努めております、1分程お待ち下さい!(人魚4)」

「ふぬぬぬぬぬ…(セレイア)」


そうは言うものの、状況が把握出来ずに歯痒そうにしているセレイアは真っ暗な窓を前にして


「『ペシ!』こう言う物は!『ペシ!』大抵叩けば直る『ペシ!』って、昔の人は『ペシ!』言ってましたよ!『ペシ!』(セレイア)」

「んなブラウン管じゃないんだから…(ヤン)」

『ブンッ!』

「あ、付きましたよ。(ラビッツ)」

「うそん。(ヤン)」


セレイア流の修理法(?)によって映像が回復したが、運悪く恐ろしい場面が皆の視界に入ってきた。


″バシュッ!

『ごくんっ!』グェオオオッ!?ゴァアアアアアアアアッ!?″

 「「「「「「「「ぎゃーーーーーっ!?(一同)」」」」」」」」

にゃ?


高速移動したノアがラーヴァの口内に飛び込んだ瞬間であった。
ヤンやラビッツらもそうだが、セレイアに至っては顎が外れんばかりに叫び、顔を青ざめさせて固まってしまった。


「た、食べられ…どどど、どうしましょうセレイアさ『コォオオオ…』

「「「「「「「「…え?(一同)」」」」」」」」


ノアがラーヴァに食われた(と皆は思っている)光景を目の当たりにしている中、ラーヴァが吐き出そうとえづいたり、もがいたりしている姿が見えていなかった。

そんな中ラーヴァの胸の辺りが煌々と光出す。
その光量は先程岩盤下のマグマからエネルギーを供給していた時の″無敵状態″よりも更に激しいものだった。

まるで鉄が溶け出したかの様な真っ白い…等と考えたのも束の間、一瞬でラーヴァの全身が一気に膨張したかと思った瞬間


『『『『ズバァアアアアアアアアアアアンッ!』』』』

ジュバッ!

『『『ドバババババババババババババァッ!』』』


ラーヴァの体内から大爆発が発生。
水圧によって直ぐ様爆発が集束したと思ったら、それ以上の威力の大爆発が発生。

一瞬ラーヴァの内側に光の塊の様な物が見えたが、誰もその正体を知る術はなかった。

大爆発はものの数秒で収まり、辺りは静けさに包まれた。

ノア所か先程まで暴れていたハズのラーヴァの姿は何処にも無く、何かが炭化した様な物体があちこちに散らばっているのみであった。


「「「「「「「「…………(一同)」」」」」」」」


一同何が起こったのか分からず、呆然としていると


『ピコンッ!』 

「あ、爆発地点で反応があります!
反応の大きさからしてノア様と思われます!(人魚3)」

「な、何ですって!?
行きましょう!今すぐ!まだ助かるかも知れません!(セレイア)」

「「「は、はい!(人魚達)」」」

「「わ、私達も行くわ!(ヤンとラビッツ)」」

にゃーご。


固まって呆然としていたセレイアが再起動し、数人の人魚とヤンとラビッツ、ニャーゴを引き連れて司令塔を飛び出していった。





もがき。ズサーッ。

もがきもがき。ズササーッ。

(出れん。)

(『アリジゴクみてぇだな、俺ら。』)


爆発で吹き飛ばされたノアは砂地の中から出れずにいた。
砂の中で平泳ぎの姿勢でもがくも、砂だけが移動するだけでノアの体はその場からピクリとも動かなかった。

すると


ガシッ。

「お?」

ズボッ。

《お疲れ様です、主様。》

「あ、助かったよグリード。」


誰かに腕を掴まれたと思ったら一気に砂の中から引き抜かれた。
そこには<人化>形態のグリードが立っており、ノアを出迎えてくれた。


《ラーヴァは莫大な熱量と爆発により、再生する間も無く消し飛びました。》

「作戦成功だな。
本来の討伐方法とは違うだろうけど、1人で挑むならこれが手っ取り早…ん?アレ何だ?」


助け出されたノアは砂を払いつつ周囲を見渡していると、爆発地点直ぐ近くに謎の物体が落ちていたのを視認した。





ザッザッザッザッ…

「…ハンマーが2本と槍が1本…
それと色鮮やかな宝石(?)に、鉱石…
…『″孤高の武器庫″引換券』…?何のこっちゃ…?
それと何だろうこの箱…げっ!?ご、500万ガル!?」

《討伐報酬と言う奴ですね。》


物体の下まで行くと、どうやらラーヴァ討伐の報酬だった様で、各種素材や武器、謎の引換券に、『500万ガル』と書かれた箱が置いてあった。


ギシッ…

「…重っ…いけど、振れない程では無いか…
『地爆豪鎚(ジバクゴウツチ)』…?
あぁ、ポセイドンが何形態目かで使ってたハンマーか。
えっと性能は…」



地爆豪鎚(ジバクゴウツチ)…″深海″エリアボスであるポセイドン第三形態が顕現させる事が出来る3メルもある巨大な魔鎚。

打撃箇所から半径3メルに及ぶ<衝撃波>が付与され、その類いの内部機構が備わっており、これはあらゆる耐性を突破する。



「あらよっと。『ズドンッ!ドゴゴンッ!』おわわっ!?」 


地爆豪鎚を海底に叩き付けると、着弾点を中心に砂煙が上がり、衝撃波が円形に伝播していく。
範囲内にノア自身も立っているが、所持者は衝撃波を受けない様子。


『『ゴゴンッ!ドズンッ!』』
『『ズガンッ!ドゴンッ!』』 


地爆豪鎚2本を両手に持って2・3度振ってみて使い心地を確認するノア。


(うーん、使い心地は悪くないんだけど、手数重視の僕としては使い所に困るかな…
もしドワーフ3人組に出会したら勧めてみようかな?)


普段使いの荒鬼神ノ化身が性能的に良過ぎた為、ノアの中で地爆豪鎚はお気に召さなかった様子。


「えーっと、後武器はコレだな。」ガシッ。


ノアは続いて砂地に刺さっていた槍に手を掛けたのであった。 
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