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取り敢えず南へ編
思わぬ出会い
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~試験街テスタを出て少し南に進んだ山の麓~
サクサクサク…
「あの、ノアさん。
もしかして山沿いを進んでいるのは暑さを凌ぐ為ですか?(ミリア)」
チリ…チリチリ…
「うん、そーだよ。
僕1人ならどーとれもなるけど、皆が居るからね。」
「それと、今やってる″ソレ″は何かのおまじないですか?(ミリア)」
試験街テスタで休憩と夏季氷を食した一行は、道なりに進みながら街道ではなく山沿いを進んでいた。
街道からなら目的の村『ウォルタメ』まで一本道だが、特に急ぐ用事も無いので日があまり差し込まず、比較的涼しい山側から向かう事にした。
お陰で特に暑さに悩まされる事も、(ラインハード限定で)体内が高温になる事も無く歩を進めていた。
ちなみにノアは現在抜刀状態で、剣の先端にその辺で生っていたミカンを突き刺し、魔力を流して半焼状態にして周囲にその煙を燻らせていた。
ミリアには何かのまじないの類いに見られたらしくノアに質問している所であった。
「これはね、″簡易的な蚊除け″だよ。
蚊はミカンの様な柑橘系の匂いを嫌うからね。
ミントでも効果あるんだけど、匂いがキツいのと、ここら辺は畑が多いから下手な処理をすると一面ミントだらけにしちゃうからね。」
「へぇ~。(ミリア)」
ノア達が進む道の左側には山があり、右側には一面の畑が広がっている。
夏が時期のトマトやナス、南瓜等も生っている。
ここでミント等のハーブを落としてしまえば、下手すると大繁殖してしまう恐れがある。
ノアの住む村には、薬草を育てて【薬師】の様な事をやっているお婆が居るのだが、以前何処かから紛れ込んだミントが大繁殖して壊滅しかけた事がある。
お婆が2日に渡り鉈と篝火を振るい続けた結果根絶する事が出来たが、村に住む子供達の間では『鉈と篝火を振るう根絶婆』として暫く恐れられたと言う。
テクテク…
「子供の時分で見たら、さぞトラウマモノでしょう。(ヴァンディット)」
「そりゃもう…」
「あ、ノア君畑に何かモンスター居らん?
ほら、細っこい棒で出来た様なの居るでしょ?(ミダレ)」
「あれはモンスターとかじゃないけど結構珍しいよ!
多分畑をやってる人が【呪術】か何かをやってたんだと思う。
あれは『案山子下肢(カカシカシ)』って言うまじないの一種で、作った案山子にまじないを掛けて足(下肢)を生やして畑を守らせてるんだ。」
「「「「「へぇ~。」」」」」
今度は一面に広がる畑の中にひょろりとした影を認めた。
生い茂る野菜から見える姿は普通の案山子なのだが、心許ない脚が付き、ヨタヨタと歩いている。
知らない者が見ればモンスターと間違えてしまうのも仕方の無い事だろう。
だからなのか、少し歩いた所に
″『モンスターではありません、案山子下肢(カカシカシ)という見張りです。』″
と書かれた立て看板がなされていた。
「なる程、確かに立て看板でも設置しなければモンスターと間違えてしまいそうですな。(クリストフ)」
「じゃあ看板持つ?」
「何故ですか?(クリストフ)」
今はノア達と一緒に居るから良いが、1人で山道を歩いていれば真っ先にモンスターと間違われてしまうキノコを前にしているが、当の本人はその自覚が一切無いようであった。
そんな感じで和気藹々と会話をしつつ、いよいよ山道に差し掛かった所で
チリ…
「ん?…山の反対側かな?
10体以上のモンスターが″何か″を囲んでる反応がある…」
「その″何か″は4体…しかもかなりの魔力を有している様ですな…
確認してきましょうか?(クリストフ)」
山道に入った直後、山の反対側大体6合目付近に何かの反応があった。
ノアとほぼ同時に気付いたクリストフが確認を申し出る。
「いや、どうやら動きが無さそうだからもう少し様子を見『『『ドォンッ!』』』
っ!?皆直ちにクリストフの周りに!
周りに居た10体のモンスターがこっちにやって来る!」
『『ヒュパパッ!ギリリ…』』
獣人国を発ってからまだ2日程だが、肉を得る為に弓で狙撃紛いな事をした位で戦闘らしい戦闘は無かった。
ここに来てある意味初戦闘となるので、場に一気に緊張が走った。
ヴァンディットやラインハードは慣れた様子だが、ミリアとミダレはおっかなびっくりしつつクリストフに回っていた。
指示を出したノアはアイテムボックスからガントンファーを軽く振り回しつつ取り出し、操作感を確かめていた。
かなりの魔力反応を見せていた4体の″何か″から逃げる様に、10体のモンスターが山の反対側に居るノア達の方へと迫る。
もしかすれば4体の″何か″が親玉で、10体のモンスターは手下では?
とも考えられるが、一先ず後にしておこう。
『『『ガサササッ!』』』
迫るモンスター群との距離が30メル位まで縮まった時に漸くその姿を視認出来た。
身体に対して脚部が異様に発達した50セメル程のネズミが猛スピードで斜面を駆け降りて来ていた。
「ででで、でっかぁっ!?あれネズミだよね!?ネズミなんだよね!?(ラインハード)」
「あ、脚だけムッキムキで気色悪いっちゃね!(ミダレ)」
「あ、あれは農作物を″掻っ払って″いく事で有名なネズミ、『カッパラット』です!
発達した脚の筋肉の影響で逃げ足が異様に速いんです!(ミリア)」
「情報提供ありがとうミリア!
要は脚の速いネズミ…ん?何だアレ…?」
あちこち旅をしていたからか、迫り来るモンスターの姿形を見て『カッパラット』と見抜くミリア。
迎撃体勢を整えたノアだが、迫る『カッパラット』達の頭上に″謎の物体″が浮かんでいるのを見て動きを止める。
それは″握り拳大の氷の塊″で、『カッパラット』の頭上にピタリと張り付き、動きに合わせて着いてきていた。
てっきり『カッパラット』の攻撃手段では?と思ったが、次の瞬間にそれは間違いであると判明した。
『『『ドドドッ!』』』『ズドッ!』『『ドスッ!』』『『『『ドゴッ!』』』』
「え?何だ何だ?」
『カッパラット』の頭上に浮遊していた″氷の塊″が杭の様に変化し、次々に『カッパラット』の頭蓋を粉砕していったのだった。
ノアは何が起こったのか分からずに戸惑っていると
「そこの人達だーいじょーぶー?(???)」
(…あれ?この声どこかで…)
間延びした声と共に、山の6合目辺りから光を発しながら接近する4つの反応があった。
それと共に魔力の反応も大きくなっている事から、先程感じた″4体の何か″である事は間違いない。
しかもその声の主は、以前ノアが何処かで聞いた事のあるモノであった。
その正体と言うのが
「私は火の妖精、リファイア!」
「私は雷の妖精、エレクトラ!」
「私は風の妖精、ウィンディア!」
「私は氷の妖精、フリージア!」
「「「「4人揃って『エレメンタル・フェアリーズです!』」」」」
「あー、そうそう。」
一行の頭上で決めポーズと共に名乗りを上げたのは、『再びアルバラスト編』で遭遇した″最上級冒険者パーティ″『エレメンタル・フェアリーズ』の4人であった。
『妖精』…身長30セメル、基本的に少女の姿で存在。
個体毎に適正属性魔法を持ち、その属性の6枚羽根や生体鎧を身に纏う。
見た目的には貧弱な生体鎧ではあるが、持ち前の多重防御障壁を持っている為、下手な防具よりも防御力は備わっている。
魔力の扱いに長けている事から、目に見えない存在を感知しやすい。
種族の8割がボクっ娘。
サクサクサク…
「あの、ノアさん。
もしかして山沿いを進んでいるのは暑さを凌ぐ為ですか?(ミリア)」
チリ…チリチリ…
「うん、そーだよ。
僕1人ならどーとれもなるけど、皆が居るからね。」
「それと、今やってる″ソレ″は何かのおまじないですか?(ミリア)」
試験街テスタで休憩と夏季氷を食した一行は、道なりに進みながら街道ではなく山沿いを進んでいた。
街道からなら目的の村『ウォルタメ』まで一本道だが、特に急ぐ用事も無いので日があまり差し込まず、比較的涼しい山側から向かう事にした。
お陰で特に暑さに悩まされる事も、(ラインハード限定で)体内が高温になる事も無く歩を進めていた。
ちなみにノアは現在抜刀状態で、剣の先端にその辺で生っていたミカンを突き刺し、魔力を流して半焼状態にして周囲にその煙を燻らせていた。
ミリアには何かのまじないの類いに見られたらしくノアに質問している所であった。
「これはね、″簡易的な蚊除け″だよ。
蚊はミカンの様な柑橘系の匂いを嫌うからね。
ミントでも効果あるんだけど、匂いがキツいのと、ここら辺は畑が多いから下手な処理をすると一面ミントだらけにしちゃうからね。」
「へぇ~。(ミリア)」
ノア達が進む道の左側には山があり、右側には一面の畑が広がっている。
夏が時期のトマトやナス、南瓜等も生っている。
ここでミント等のハーブを落としてしまえば、下手すると大繁殖してしまう恐れがある。
ノアの住む村には、薬草を育てて【薬師】の様な事をやっているお婆が居るのだが、以前何処かから紛れ込んだミントが大繁殖して壊滅しかけた事がある。
お婆が2日に渡り鉈と篝火を振るい続けた結果根絶する事が出来たが、村に住む子供達の間では『鉈と篝火を振るう根絶婆』として暫く恐れられたと言う。
テクテク…
「子供の時分で見たら、さぞトラウマモノでしょう。(ヴァンディット)」
「そりゃもう…」
「あ、ノア君畑に何かモンスター居らん?
ほら、細っこい棒で出来た様なの居るでしょ?(ミダレ)」
「あれはモンスターとかじゃないけど結構珍しいよ!
多分畑をやってる人が【呪術】か何かをやってたんだと思う。
あれは『案山子下肢(カカシカシ)』って言うまじないの一種で、作った案山子にまじないを掛けて足(下肢)を生やして畑を守らせてるんだ。」
「「「「「へぇ~。」」」」」
今度は一面に広がる畑の中にひょろりとした影を認めた。
生い茂る野菜から見える姿は普通の案山子なのだが、心許ない脚が付き、ヨタヨタと歩いている。
知らない者が見ればモンスターと間違えてしまうのも仕方の無い事だろう。
だからなのか、少し歩いた所に
″『モンスターではありません、案山子下肢(カカシカシ)という見張りです。』″
と書かれた立て看板がなされていた。
「なる程、確かに立て看板でも設置しなければモンスターと間違えてしまいそうですな。(クリストフ)」
「じゃあ看板持つ?」
「何故ですか?(クリストフ)」
今はノア達と一緒に居るから良いが、1人で山道を歩いていれば真っ先にモンスターと間違われてしまうキノコを前にしているが、当の本人はその自覚が一切無いようであった。
そんな感じで和気藹々と会話をしつつ、いよいよ山道に差し掛かった所で
チリ…
「ん?…山の反対側かな?
10体以上のモンスターが″何か″を囲んでる反応がある…」
「その″何か″は4体…しかもかなりの魔力を有している様ですな…
確認してきましょうか?(クリストフ)」
山道に入った直後、山の反対側大体6合目付近に何かの反応があった。
ノアとほぼ同時に気付いたクリストフが確認を申し出る。
「いや、どうやら動きが無さそうだからもう少し様子を見『『『ドォンッ!』』』
っ!?皆直ちにクリストフの周りに!
周りに居た10体のモンスターがこっちにやって来る!」
『『ヒュパパッ!ギリリ…』』
獣人国を発ってからまだ2日程だが、肉を得る為に弓で狙撃紛いな事をした位で戦闘らしい戦闘は無かった。
ここに来てある意味初戦闘となるので、場に一気に緊張が走った。
ヴァンディットやラインハードは慣れた様子だが、ミリアとミダレはおっかなびっくりしつつクリストフに回っていた。
指示を出したノアはアイテムボックスからガントンファーを軽く振り回しつつ取り出し、操作感を確かめていた。
かなりの魔力反応を見せていた4体の″何か″から逃げる様に、10体のモンスターが山の反対側に居るノア達の方へと迫る。
もしかすれば4体の″何か″が親玉で、10体のモンスターは手下では?
とも考えられるが、一先ず後にしておこう。
『『『ガサササッ!』』』
迫るモンスター群との距離が30メル位まで縮まった時に漸くその姿を視認出来た。
身体に対して脚部が異様に発達した50セメル程のネズミが猛スピードで斜面を駆け降りて来ていた。
「ででで、でっかぁっ!?あれネズミだよね!?ネズミなんだよね!?(ラインハード)」
「あ、脚だけムッキムキで気色悪いっちゃね!(ミダレ)」
「あ、あれは農作物を″掻っ払って″いく事で有名なネズミ、『カッパラット』です!
発達した脚の筋肉の影響で逃げ足が異様に速いんです!(ミリア)」
「情報提供ありがとうミリア!
要は脚の速いネズミ…ん?何だアレ…?」
あちこち旅をしていたからか、迫り来るモンスターの姿形を見て『カッパラット』と見抜くミリア。
迎撃体勢を整えたノアだが、迫る『カッパラット』達の頭上に″謎の物体″が浮かんでいるのを見て動きを止める。
それは″握り拳大の氷の塊″で、『カッパラット』の頭上にピタリと張り付き、動きに合わせて着いてきていた。
てっきり『カッパラット』の攻撃手段では?と思ったが、次の瞬間にそれは間違いであると判明した。
『『『ドドドッ!』』』『ズドッ!』『『ドスッ!』』『『『『ドゴッ!』』』』
「え?何だ何だ?」
『カッパラット』の頭上に浮遊していた″氷の塊″が杭の様に変化し、次々に『カッパラット』の頭蓋を粉砕していったのだった。
ノアは何が起こったのか分からずに戸惑っていると
「そこの人達だーいじょーぶー?(???)」
(…あれ?この声どこかで…)
間延びした声と共に、山の6合目辺りから光を発しながら接近する4つの反応があった。
それと共に魔力の反応も大きくなっている事から、先程感じた″4体の何か″である事は間違いない。
しかもその声の主は、以前ノアが何処かで聞いた事のあるモノであった。
その正体と言うのが
「私は火の妖精、リファイア!」
「私は雷の妖精、エレクトラ!」
「私は風の妖精、ウィンディア!」
「私は氷の妖精、フリージア!」
「「「「4人揃って『エレメンタル・フェアリーズです!』」」」」
「あー、そうそう。」
一行の頭上で決めポーズと共に名乗りを上げたのは、『再びアルバラスト編』で遭遇した″最上級冒険者パーティ″『エレメンタル・フェアリーズ』の4人であった。
『妖精』…身長30セメル、基本的に少女の姿で存在。
個体毎に適正属性魔法を持ち、その属性の6枚羽根や生体鎧を身に纏う。
見た目的には貧弱な生体鎧ではあるが、持ち前の多重防御障壁を持っている為、下手な防具よりも防御力は備わっている。
魔力の扱いに長けている事から、目に見えない存在を感知しやすい。
種族の8割がボクっ娘。
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