ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

.

文字の大きさ
864 / 1,117
取り敢えず南へ編

普通は回想が挟まる流れ

しおりを挟む
バチチチチチチッ!

(〔くっ…何て奴だ…
もしや″あの国″、″既に完成まで漕ぎ着けた″んじゃないだろうな…
雷鳴竜!今一度『大白雷』を行使し、奴を殲滅するぞ!(ドラグナ)〕)

(〔……(雷鳴竜)〕)

(〔雷鳴竜?雷鳴竜!どうしたのだ雷鳴竜!(ドラグナ)〕)


雷鳴竜と共に上空で静止していたドラグナは、眼下に立つグリードを殲滅すべく、力を貸してくれている雷鳴竜に声を掛けるが応答が無い。

だが何度か呼び掛けた所


(〔あ、″あの方″の気配に覚えがある…
遥か昔に″全てを呑み込んでいった飢えきお方″の気配と同じだ…(雷鳴竜)〕)

(〔?…ウエキ…?
何を言っているのだ?(ドラグナ)〕)

(〔わ、我らの様に″天候を操れる竜種″は稀有であり誇りでもあった…
だが″あの方″は違う…
我らの誇りを何でもない様に呑み込み、喉を鳴らしていた…
あの者は″あの方の末裔″に違いない…(雷鳴竜)〕)


眼下でこちらを見詰めているグリードの正体に気付き、声と体を震わせる雷鳴竜。


(〔????雷鳴竜、一体何

(〔ドラグナ、お主とは友好関係にあったが、今日限りとなる事だろう。(雷鳴竜)〕)

ど、どういう事だ雷鳴竜!?(ドラグナ)〕)


唐突な関係解消を求められたドラグナは更に混乱する事になる。


(〔…我は売ってはならない相手に喧嘩を売ってしまった…ここからどう弁解したとて命を落とす事になるのは必定。
それ故この場では命を睹してお主と共に″あの方″とお相手致す…(雷鳴竜)〕)

(〔…雷鳴竜がそれ程の覚悟を…!?
そんな…それでは奴は″アレ″に匹敵する程の相手だと…?(ドラグナ)〕)

(〔…それ以上だ。(雷鳴竜)〕)


眼下に立つグリードに対し、絶望の色を滲ませた声音で話す雷鳴竜。
そんな雷鳴竜の覚悟に、ドラグナは″初めて会った日″の事を思い返すのだった。





~約5年程ま

《何ボケッとしてんのよ、来ないなら私から行くわよ?》

バクンッ!(顎を大きく開く。)

〔〔っ!?〕〕


いつの間にか背後に迫っていたグリードが下顎を大きく開き、恐ろしい口内が露となる。


『『『ズゥウウウッ!』』』(吸う。)  

『『『ギュゥウウウウッ!』』』(周囲に満たされている電撃が吸収される。)

〔が、ぁああああっ!?ち、力が抜ける!?(ドラグナ)〕

〔くっ!『イナヅマドラグノスブレス』!(雷鳴竜)〕

『『『ズバババババ『『ギュォオオオッ!』』(稲妻の様な拡散性ブレスが放たれるが、全てグリードの口内に吸収される。)

『『『バヒュゥウウッ!』』』(プラズマレーザー+吸収した『イナヅマドラグノスブレス』上乗せした一撃。)

〔は…?『『『ドパパパパパパパッ!』』』


たった今雷鳴竜が放った苦し紛れの拡散ブレスを吸収した上、その性質を取り入れ、属性が加算された『拡散性プラズマレーザー』がグリードから放たれた。

至近距離であった為、回避出来ずに雷鳴竜・ドラグナ共々全身の8割が消し飛ぶ事になった。


バチッ!バチチチッ!(雷鳴竜・ドラグナに雷が降り注ぐ。)


現在直上にある積乱雲から電撃を供給している為、消し飛んだ体は直ぐに再生するのだが、その際″雷鳴竜は一瞬浅黒い表皮が露″になり、″ドラグナは一瞬元の姿が露″になっていた。


(《ははーん、そういう事ぉ…》)


それを見逃さなかったグリードは、ニヤリと口角を上げるのであった。





~地上~


〔な、何て奴だ…あのままじゃ解除前に殺られちまう!加勢に行くぞ!(ビスマス)〕

〔ヴォオオッ!(昂雷猿帝)〕

「悪いですがあなた達の相手は私になりますな。(クリストフ)」





〔ヴォオオッ!?(昂雷猿帝)〕ズザザザッ!

〔い、いつの間に??と言うか何だお前!
金ぴかで気持ち悪ぃな!(ビスマス)〕

「あなたの一撃、最高で御座いましたよ?
お陰でこの得体を手に入れる事が出来ましたので。(クリストフ)」クネクネ。

〔その姿でクネクネすんな!
気持ち悪い通り越しておぞましいわ!
昂雷猿帝!コイツを消し炭にしてやれ!(ビスマス)〕

〔ゥボォオ″オ″オ″オ″ッ!〕

『『『バリリリリリリッ!』』』(直上から雷落下。)

バ『キュン』『『『ズドドドドドドンッ!』』』(落雷がクリストフの間近で方向転換し、そのまま地面に落ちる。)

〔〔!?〕〕


金クリストフを消し飛ばす為に放った一撃が直撃せずに逸れた事に、放った昂雷猿帝とビスマスは驚きを露にしていた。


バ『キュン』『『ドドンッ!』』(take2)

バ『キュン』『『『ズドドッ!』』』(take3)

バ『キュン』『『ドドドドンッ!』』(take4)

「はっはっは、あなた達の雷はもう食らいませんよ。(クリストフ)」

〔ブフーッ…ブフーッ…グゥウウ…!(昂雷猿帝)〕

〔くそっ!何故だ!何故当たらん!(ビスマス)〕


次々に放たれる雷が次々にクリストフを逸れて地面に着弾する。
昂雷猿帝は体力を消耗したのか息を荒げて苛立ちを露にしていた。

クリストフはそんな2人に解説を挟む。


「今私の周りには『アマヨケカラカサキノコの胞子』と『避雷芯の胞子』を舞わせています。
これによって雨と雷を弾いている為、あなた達の攻撃が届く事はありません。(クリストフ)」



『アマヨケカラカサキノコ』…とある地域に生育しているキノコの一種。雨季に胞子を撒くのだが、雨を弾く為広い範囲に散布される。
一部地域では雨具に加工使用される。


『避雷芯』…見た目はクリストフの様に巨大なキノコなのだが、中心部分に金属成分が多く含まれているので文字通り″避雷針″として活用出来る代物である。



〔御丁寧な説明ありがとうよ!
雷が効かねぇのなら直接攻撃を仕掛けりゃ良いだけじゃねぇか!
行くぞ昂雷猿帝!(ビスマス)〕

〔ヴ…ォオオ…!(昂雷猿帝)〕

(〔…ん?何か消耗が激しく無いか…?
さっき半分消し飛ばされたが、まだ積乱雲はあるよな…(ビスマス)〕)


数発の雷を放っただけで息が上がっている昂雷猿帝に、ビスマスは空を見上げて積乱雲を確認していた。


〔なら俺が行く!
お前はそこで力を溜めていろ!(ビスマス)〕バチュンッ!

バシッ!バシュゥッ!(雷の様な超高速移動。)

バシュッ!バチ…チッ…『ガクンッ!』ドシャァアッ!(体から雷が消失し、元の姿に戻る。そのまま地面に倒れ込む。)

「??…っ!?(ビスマス)」


自分で【竜攘虎迫】を解除した訳でも無いのに体から雷が消失して脱力。
声も発せられなくなる程に体力が消耗したビスマスは何が起こったのか分からない様子。


「分からなくて当然です。
私はもう1つ『蓄電キノコの胞子』を撒いております。
あなた達が纏っている雷撃はかなりのものですからその分早く″育った″のでしょう。(クリストフ)」

「っ…!?…っ…(ビスマス)」


地面に倒れ、体を動かす事もままならないビスマスは自身の手を見てみると、薄らと発光している″白い物体″が目に入る。

それらはビスマスの全身に付着し、纏わり付いていた。




『蓄電キノコ』…落雷の多い地域に生息。
組織内に微細な魔石が内蔵されており、蓄えた雷を後々自身の育成に利用する。
一部地域では一般家庭に応用出来ないか研究しているという。



〔ブフーッ…ブフーッ…(昂雷猿帝)〕

「ふーむ、雷が煩わしかったので放ったモノでしたが、まさかあなた方から力を奪ってしまうモノだったとは…
ふむ、″本来の姿″はその様な姿なのですな。(クリストフ)」


先程まで全身に雷を纏っていた昂雷猿帝の姿はそこには無く、浅黒い毛並みの巨大な猿が何とか踏ん張ってクリストフを睨み付けていた。
 


『昂雷猿帝』…雷雲を呼び、自身に纏わせる事で大幅な身体強化を可能にし、雷を操って戦闘に組み込む事が可能な巨猿。
受けたダメージによって損傷した体は、雷雲から雷を供給する事で直ぐ様再生させる事が可能。

ほぼ不死身に思われるが、雷雲から離し供給を止めれば本来の姿が露となるので、ダメージを与える事が可能になる。
しおりを挟む
感想 1,253

あなたにおすすめの小説

【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』

ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。 全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。 「私と、パーティを組んでくれませんか?」 これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!

自由でいたい無気力男のダンジョン生活

無職無能の自由人
ファンタジー
無気力なおっさんが適当に過ごして楽をする話です。 すごく暇な時にどうぞ。

無能扱いされ、パーティーを追放されたおっさん、実はチートスキル持ちでした。戻ってきてくれ、と言ってももう遅い。田舎でゆったりスローライフ。

さら
ファンタジー
かつて勇者パーティーに所属していたジル。 だが「無能」と嘲られ、役立たずと追放されてしまう。 行くあてもなく田舎の村へ流れ着いた彼は、鍬を振るい畑を耕し、のんびり暮らすつもりだった。 ――だが、誰も知らなかった。 ジルには“世界を覆すほどのチートスキル”が隠されていたのだ。 襲いかかる魔物を一撃で粉砕し、村を脅かす街の圧力をはねのけ、いつしか彼は「英雄」と呼ばれる存在に。 「戻ってきてくれ」と泣きつく元仲間? もう遅い。 俺はこの村で、仲間と共に、気ままにスローライフを楽しむ――そう決めたんだ。 無能扱いされたおっさんが、実は最強チートで世界を揺るがす!? のんびり田舎暮らし×無双ファンタジー、ここに開幕!

ブラック企業で心身ボロボロの社畜だった俺が少年の姿で異世界に転生!? ~鑑定スキルと無限収納を駆使して錬金術師として第二の人生を謳歌します~

楠富 つかさ
ファンタジー
 ブラック企業で働いていた小坂直人は、ある日、仕事中の過労で意識を失い、気がつくと異世界の森の中で少年の姿になっていた。しかも、【錬金術】という強力なスキルを持っており、物質を分解・合成・強化できる能力を手にしていた。  そんなナオが出会ったのは、森で冒険者として活動する巨乳の美少女・エルフィーナ(エル)。彼女は魔物討伐の依頼をこなしていたが、強敵との戦闘で深手を負ってしまう。 「やばい……これ、動けない……」  怪我人のエルを目の当たりにしたナオは、錬金術で作成していたポーションを与え彼女を助ける。 「す、すごい……ナオのおかげで助かった……!」  異世界で自由気ままに錬金術を駆使するナオと、彼に惚れた美少女冒険者エルとのスローライフ&冒険ファンタジーが今、始まる!

ダンジョントランスポーター ~ 現代に現れたダンジョンに潜ったらレベル999の天使に憑依されて運び屋になってしまった

海道一人
ファンタジー
二十年前、地球の各地に突然異世界とつながるダンジョンが出現した。 ダンジョンから持って出られるのは無機物のみだったが、それらは地球上には存在しない人類の科学や技術を数世代進ませるほどのものばかりだった。 そして現在、一獲千金を求めた探索者が世界中でダンジョンに潜るようになっていて、彼らは自らを冒険者と呼称していた。 主人公、天城 翔琉《あまぎ かける》はよんどころない事情からお金を稼ぐためにダンジョンに潜ることを決意する。 ダンジョン探索を続ける中で翔琉は羽の生えた不思議な生き物に出会い、憑依されてしまう。 それはダンジョンの最深部九九九層からやってきたという天使で、憑依された事で翔は新たなジョブ《運び屋》を手に入れる。 ダンジョンで最強の力を持つ天使に憑依された翔琉は様々な事件に巻き込まれていくのだった。

おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう

お餅ミトコンドリア
ファンタジー
 パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。  だが、全くの無名。  彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。  若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。  弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。  独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。  が、ある日。 「お久しぶりです、師匠!」  絶世の美少女が家を訪れた。  彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。 「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」  精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。 「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」  これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。 (※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。 もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです! 何卒宜しくお願いいたします!)

スキルで最強神を召喚して、無双してしまうんだが〜パーティーを追放された勇者は、召喚した神達と共に無双する。神達が強すぎて困ってます〜

東雲ハヤブサ
ファンタジー
勇者に選ばれたライ・サーベルズは、他にも選ばれた五人の勇者とパーティーを組んでいた。 ところが、勇者達の実略は凄まじく、ライでは到底敵う相手ではなかった。 「おい雑魚、これを持っていけ」 ライがそう言われるのは日常茶飯事であり、荷物持ちや雑用などをさせられる始末だ。 ある日、洞窟に六人でいると、ライがきっかけで他の勇者の怒りを買ってしまう。  怒りが頂点に達した他の勇者は、胸ぐらを掴まれた後壁に投げつけた。 いつものことだと、流して終わりにしようと思っていた。  だがなんと、邪魔なライを始末してしまおうと話が進んでしまい、次々に攻撃を仕掛けられることとなった。 ハーシュはライを守ろうとするが、他の勇者に気絶させられてしまう。 勇者達は、ただ痛ぶるように攻撃を加えていき、瀕死の状態で洞窟に置いていってしまった。 自分の弱さを呪い、本当に死を覚悟した瞬間、視界に突如文字が現れてスキル《神族召喚》と書かれていた。 今頃そんなスキル手を入れてどうするんだと、心の中でつぶやくライ。 だが、死ぬ記念に使ってやろうじゃないかと考え、スキルを発動した。 その時だった。 目の前が眩く光り出し、気付けば一人の女が立っていた。 その女は、瀕死状態のライを最も簡単に回復させ、ライの命を救って。 ライはそのあと、その女が神達を統一する三大神の一人であることを知った。 そして、このスキルを発動すれば神を自由に召喚出来るらしく、他の三大神も召喚するがうまく進むわけもなく......。 これは、雑魚と呼ばれ続けた勇者が、強き勇者へとなる物語である。 ※小説家になろうにて掲載中

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

処理中です...