ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

.

文字の大きさ
911 / 1,117
取り敢えず南へ編

次同じ事やったら″め!(滅!)″だからね?

しおりを挟む
「…え?何やってるんです…?」

〝え、えええ、いや、あああの…〟

「…″食糧の出現数:激減″、″食事による回復量:激減″、″空腹速度:5割増″、″クリーチャー感度:極狭″…あ。(察)」

〝あ、あれれ~?こ、これは、なんなんでしょ

『『ジャキィンッ!』』 (荒鬼神ノ化身抜刀。)

「クリーチャー″3″はっけーん♪」

〝いやぁあああっ!ちょっと待って『バッサリ!』んぁあああーーっ!〟


みっちりと配置されたボタンの数々を見て真っ黒い笑みを浮かべたノアは、″3体目のクリーチャー″討伐に向けて攻撃を開始するのであった。





アハハ、コロシテアゲルー!
イヤーン!

「あ、あの、『モコモコ(仮称)』さん…だっけ…?
ごめんなさい…訳も分からずノア君と″主従契約″を結んじゃって君を勝手に夢魔…?なんかにして…(ミダレ)」

《そんな事無いよー。
元々精霊だったボクは自我も希薄で目的も無くその辺を漂ってるだけだったから、今こうなったのも何かの巡り合わせだと思っているんだ。
だからボクはこれからが楽しみでしょうがないよ。》


遠くでキリングマシーンと化したノアの声と識童子の悲鳴が聞こえる一方、訳も分からず″主従契約″をしてしまい、ミダレの夢魔となった闇の精霊に謝罪するミダレ。

だが夢魔となった『モコモコ(仮称)』は、気にした様子も見せず、くりっとした目を輝かせてこの状況すらも楽しんでいる様であった。


《それに精霊と出会すには一定以上の条件が必要になるから、2人が悪しき人達で無い事をちゃーんと見定めた上で君を主人としているから心配しないで。》

「『モコモコ(仮称)』さん…(ミダレ)」


巻き込まれた側である闇の精霊ではあるが、一方的にミダレを主人にさせられた訳では無く、一応精霊側にも相手を見極める余地はあるらしい。




ドズンッ!

〝へぶぅっ!?〟

「《ひぃっ…!?》」『『ニョキッ!』』


ミダレと『モコモコ(仮称)』の頭上を荒鬼神ノ化身が通過。
何かが刺さったまま壁に突き刺さる。

突然の事に驚く2人だが、特に『モコモコ(仮称)』に至っては、ビックリして思わず毛玉の中からニョキっと″ツノ″と″翼″が飛び出していた。

良く見ればそれは『幽閉霊』のダンジョンマスター識童子で、しっかりと心臓部分に突き刺さっていた。


「ふ、ふふふ…つーかまーえたー♪」

《は、はわわわ…わ、悪い人では無いと思うんだけどスゴく怖いです…》

「ふ、普段は優しくて、とても頼もしい人っちゃよ…今は殺意が上回ってるけど…(ミダレ)」


薄暗い廊下の奥から刀を持った満面の笑みを浮かべるノアがゆっくりと歩を進めてくる。
ある意味今までのクリーチャー騒ぎよりも恐ろしいまであり、ミダレと『モコモコ(仮称)』の2人は抱き合って怯えていた。


「まさか昨日と今日の2日連続でダンジョンを潰す事になろうとは…」

〝そ、それは…それだけはダメです…『シュンッ!』ほ、本当にすいませんでしたぁあっ!〟


壁に突き刺さっていた識童子だが、一瞬の内に抜け出し、ノアの足下に移動して見事な土下座をかましていた。


〝ダ、ダンジョンマスターの私を殺す事は容易では無いですよ…!
ね、ね?この事は誰にも、誰にも言いませんから許してつかぁさいっ…!〟

「チッ…それなら記憶が飛ぶまで殴り続けてやるか…どうだ?5000発位殴れば飛ぶかな…?」

〝ああああ…この少年なら本当に5000発殴ってきそう…〟


ダンジョンマスターとは言え、幼女による全力の土下座を全く意に介さずぶちギレている様子のノア。


《え、えっと″契約者様″…?
もうその辺でゆ、許してあげては…》

「あ?」

「う、うん…この子(『モコモコ(仮称)』)もそこまで気にしてないし、あっちも大丈夫っちゃから…(ミダレ)」


ノアがぶちギレてる分、周りの2人が妙に冷静となり識童子のフォローに回っている。

そんな識童子は、ノアの見えない所で手を組んでフォローに回った2人へ涙を流しながら祈りのポーズを決めていた。





「…なんでそう楽観視してられるんだ…?
コイツの思惑とか偶然が重なって″主従契約″なんてモノを結んだんだぞ…?
俺はあくまでミダレとはちゃんとした付き合いをしたかったのに…これじゃあまるで奴隷と同じに聞こえるじゃないか…」

「ノア君…(ミダレ)」
《″契約者様″…》 


怒りが収まらない様子のノアは荒鬼神ノ化身を握る手を震わせ、今にも斬り掛かりそうな形相でそう溢していた。




『『ズルリ…』』

『おぅ主よ、それはちょっと違うんでねぇの?』 

「っひぃ…(ミダレ)」
《ちょ、主人様!?》

「鬼神…?突然出て来てどうしたの…?」


ノアが【一神同体】を発動した訳でも無く鬼神がノアの体から出て来た。
鬼神の気配に当てられたミダレは思わず腰砕けとなった。


『おぅ″毛玉″、その娘にとって俺は刺激が強すぎる。少しの間娘を連れて離れといてくれ。』

《は、はい…『『ニョキ…』』うんしょっ、こらしょ…》


突然出て来た鬼神に驚きつつも、『モコモコ(仮称)』は毛玉の中からモフモフの腕と3本の爪を出し、指示通りミダレを連れて距離を取ってくれた。


『で、だ。
主は″主従契約″を奴隷みたい、と言ったが、そうなると俺と主の関係も主人と奴隷の関係と同様って事になるな?』

「あ…」

『まぁ主の性格上そんな事には万が一にもならねぇだろう。
さっきも嬢ちゃんと″毛玉″当人達が言った様に気にして無ぇ、っつーならこちらがそれ以上とやかく言う事も無ぇ。
あくまで名目上は″主従契約″ってだけで、今まで通り俺やそこの嬢ちゃんにしていた関係性を続けりゃ良いんじゃねぇか?』

「…あぁ、確かにその通りだ…
俺が深刻に考え過ぎてただけみたいだな…」

『そうだな。主は変な所で頭固ぇからな。
もっと″自分に正直に″なって良いと思うんだがなぁ…くっくっく。』

「うっ、うるさいなっ!
説教が済んだなら早く戻ってくれよ!」

『中でも見てたんだから外に居ようと中に居ようと変わんねぇだろうに…
へいへい、戻りますよ~。』ズズズ…


手短に話をした鬼神だが、何故かノアが顔を赤らめてさっさと中に戻るよう促すノア。
鬼神はやれやれと言った様子で戻っていった。





「はぁ~~~~~~~~~…
取り敢えず、2人と鬼神に免じて許しますから、もうここまで悪い事しないで下さいよ?」

〝は、はい…これを教訓にして以後気を付けたいと思います…
(よ、良かった…マジで殺されると思った…)〟


これを機に、『幽閉霊』の経営が改善され、より良いデートスポットと化すのだが、それはまた別の話で。
しおりを挟む
感想 1,253

あなたにおすすめの小説

『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる

仙道
ファンタジー
 気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。  この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。  俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。  オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。  腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。  俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。  こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。 12/23 HOT男性向け1位

【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』

ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。 全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。 「私と、パーティを組んでくれませんか?」 これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

隠して忘れていたギフト『ステータスカスタム』で能力を魔改造 〜自由自在にカスタマイズしたら有り得ないほど最強になった俺〜

桜井正宗
ファンタジー
 能力(スキル)を隠して、その事を忘れていた帝国出身の錬金術師スローンは、無能扱いで大手ギルド『クレセントムーン』を追放された。追放後、隠していた能力を思い出しスキルを習得すると『ステータスカスタム』が発現する。これは、自身や相手のステータスを魔改造【カスタム】できる最強の能力だった。  スローンは、偶然出会った『大聖女フィラ』と共にステータスをいじりまくって最強のステータスを手に入れる。その後、超高難易度のクエストを難なくクリア、無双しまくっていく。その噂が広がると元ギルドから戻って来いと頭を下げられるが、もう遅い。  真の仲間と共にスローンは、各地で暴れ回る。究極のスローライフを手に入れる為に。

ブラック企業で心身ボロボロの社畜だった俺が少年の姿で異世界に転生!? ~鑑定スキルと無限収納を駆使して錬金術師として第二の人生を謳歌します~

楠富 つかさ
ファンタジー
 ブラック企業で働いていた小坂直人は、ある日、仕事中の過労で意識を失い、気がつくと異世界の森の中で少年の姿になっていた。しかも、【錬金術】という強力なスキルを持っており、物質を分解・合成・強化できる能力を手にしていた。  そんなナオが出会ったのは、森で冒険者として活動する巨乳の美少女・エルフィーナ(エル)。彼女は魔物討伐の依頼をこなしていたが、強敵との戦闘で深手を負ってしまう。 「やばい……これ、動けない……」  怪我人のエルを目の当たりにしたナオは、錬金術で作成していたポーションを与え彼女を助ける。 「す、すごい……ナオのおかげで助かった……!」  異世界で自由気ままに錬金術を駆使するナオと、彼に惚れた美少女冒険者エルとのスローライフ&冒険ファンタジーが今、始まる!

ダンジョンに行くことができるようになったが、職業が強すぎた

ひまなひと
ファンタジー
主人公がダンジョンに潜り、ステータスを強化し、強くなることを目指す物語である。 今の所、170話近くあります。 (修正していないものは1600です)

「餌代の無駄」と追放されたテイマー、家族(ペット)が装備に祝福を与えていた。辺境で美少女化する家族とスローライフ

天音ねる(旧:えんとっぷ)
ファンタジー
【祝:男性HOT18位】Sランクパーティ『紅蓮の剣』で、戦闘力のない「生産系テイマー」として雑用をこなす心優しい青年、レイン。 彼の育てる愛らしい魔物たちが、実はパーティの装備に【神の祝福】を与え、その強さの根源となっていることに誰も気づかず、仲間からは「餌代ばかりかかる寄生虫」と蔑まれていた。 「お前はもういらない」 ついに理不尽な追放宣告を受けるレイン。 だが、彼と魔物たちがパーティを去った瞬間、最強だったはずの勇者の聖剣はただの鉄クズに成り果てた。祝福を失った彼らは、格下のモンスターに惨敗を喫する。 ――彼らはまだ、自分たちが捨てたものが、どれほど偉大な宝だったのかを知らない。 一方、レインは愛する魔物たち(スライム、ゴブリン、コカトリス、マンドラゴラ)との穏やかな生活を求め、人里離れた辺境の地で新たな暮らしを始める。 生活のためにギルドへ持ち込んだ素材は、実は大陸の歴史を塗り替えるほどの「神話級」のアイテムばかりだった!? 彼の元にはエルフやドワーフが集い、静かな湖畔の廃屋は、いつしか世界が注目する「聖域」へと姿を変えていく。 そして、レインはまだ知らない。 夜な夜な、彼が寝静まった後、愛らしい魔物たちが【美少女】の姿となり、 「れーんは、きょーも優しかったの! だからぽるん、いーっぱいきらきらジェル、あげたんだよー!」 「わ、私、今日もちゃんと硬い石、置けました…! レイン様、これがあれば、きっともう危ない目に遭いませんよね…?」 と、彼を巡って秘密のお茶会を繰り広げていることを。 そして、彼が築く穏やかな理想郷が、やがて大国の巨大な陰謀に巻き込まれていく運命にあることを――。 理不尽に全てを奪われた心優しいテイマーが、健気な“家族”と共に、やがて世界を動かす主となる。 王道追放ざまぁ × 成り上がりスローライフ × 人外ハーモニー! HOT男性49位(2025年9月3日0時47分) →37位(2025年9月3日5時59分)→18位(2025年9月5日10時16分)

お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~

志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」 この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。 父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。 ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。 今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。 その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。

処理中です...