ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

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取り敢えず南へ編

紹介

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~宿『ポルターガイスト』~


ガチャ…

「た、ただいまー…」
「ただいまっちゃね。(ミダレ)」

「あらお帰りなさいませノ…(ヴァンディット)」
「遅かったね2人と…え?(ラインハード)」

「お帰りですノアさ…(ミリア)」

「お帰りですぞお二方。
 親睦は深められましたか…な?(クリストフ)」


ダンジョン『幽閉霊』から戻り、宿へとやって来たノアとミダレ。

部屋の中には工房に行っていた一同が戻ってきており、各々談笑していたのだが、2人の帰宅に声を掛けるも、真っ先にミダレの変化に驚くのだった。

何せミダレは夏だと言うのにファー付きのフードを被っており、しかもそのフードからは″ツノ″と″翼″が生えていた。

てっきりアクセサリー等の装飾の類いだと思ったが、″翼″は時折パタパタと動いている。

実はこのファー付きのフードは、ミダレの夢魔となった『モコモコ(仮称)』が″変装用に変化した姿″なのである。

更にフードの隙間から覗く、ミダレの下腹部辺りの健康的な小麦色の肌には″紋様″の様な物が描かれていた。

これはダンジョンを出た時に気付き、『モコモコ(仮称)』によればミダレとの″主従契約″を結んだ際に刻まれた証であり、通称″淫紋″と呼ばれる物らしい。

ノアとの繋がりを意味し、″全てを捧げても良い相手が見付かった者″を表す印を意味し、同族のサキュバスからは敬われるのだとか。

他にも″淫紋″には色々と効果や意味合いがあるのだが、それはまた別の話となる。





「あらあら、あら…!(ヴァンディット)」
「おやおやおや…!(ラインハード)」
「体に″紋様″…あ、【商人】の勉強で習った…(ミリア)」
「あー…はー…ふーん…(クリストフ)」

「……。」

「「「「ノア様・君・さん・殿、おめで「待って待って皆、ちょーっと勘違いしてると思うなぁ…
こ、こうなった経緯を掻い摘まんで話すから少ーし時間くれるかな…?」


医学を齧っている故、サキュバスの特性も理解しており″淫紋″の意味を知るヴァンディット。

″淫紋″の意味は知らずとも、女としての勘でミダレの変化で何と無く察するラインハード。

【奴隷商】の勉強も少し齧った時に、対象の体に″紋様″を刻む意味を習ったミリア。

そこはかとなく″淫紋″の知識を持っているクリストフ。

一同はノアが″致した″な、と勘違いして祝福するも、瞬時に察したノアとミダレを交えて経緯を説明するのであった。

※勿論ですがお手手ペロンペロンや口内レイプは除外しています。





「あらあら、そんな事があったのですね。
…何と言いますか、ご苦労様です…(ヴァンディット)」
「いやー…ダンジョンマスターの趣味趣向が反映される事はあるけどそれは災難だったね。(ラインハード)」
「それは(色々な意味で)大変でしたね…(ミリア)」

「余計な横槍があった様ですが、御二人の仲が深まった様で何より…ですかな。(クリストフ)」


一先ずノアはダンジョンマスターである識童子との出会いから主従契約までの経緯を説明。
取り敢えず一定の理解は示してくれたと思うが


キュッ…(ノアの手にミダレの手が絡む。)

「仲深まったっちゃよねー?(ミダレ)」
「あ、あぁ…」

((((あ、ふーん…(察)))))


ミダレからのスキンシップ増加とノアの辿々しさから、他にも何かあったんだろうなー、とは思われている様子であった。





「それよりミダレちゃん、その可愛らしい服や頭飾りはどうしたの?
もしかしてダンジョンのドロップ品?(ラインハード)」

「あ、これはね服とかアクセサリーの類いじゃなくてね…
″『イスクリード』″ここに居るのがクランの皆さんっちゃ、挨拶してね。(ミダレ)」

《はーい!》

「「「「え?」」」」


恐らくこの部屋に居る誰しもがずーっと気になっていたであろうミダレが身に付けていた″ファー付きのフード″がミダレの呼び掛けに応じて喋り出した。

前述したが正体は『モコモコ(仮称)』なのだが、主人であるミダレによる正式な名付けにより『イスクリード』と言う名になった。


スルスル…(ミダレの肩に掛かっていた『イスクリード』が離れ)

パタパタ…(小さな翼を羽ばたかせて)

モフン。(床に降り立った。)

《はじめまして、ボクはミダレ様の夢魔『イスクリード』だよ。
みなさんとははじめましてだからお名前教えてね。》

「「「わー!可愛いー!」」」

「ほほぅ、まるでモコモコの人形の様…
これでクランにまた新たなマスコットが増えましたなぁ。(クリストフ)」

「え?」

「え?(クリストフ)」


ミダレの肩から下りた『イスクリード』はツノを入れても腰程の高さしか無く、くりっとした大きな目と背中に生えた小さな翼、尻尾が特徴的である。

全身をモフモフで灰色の毛に覆われ、腕が長いのか足が短いのか定かでは無いが、気を付けの姿勢になると、腕の先にある3本の長いツメが地面に付いてしまう。

ちなみにツノやツメの先は丸まっているので相手を傷つける心配は無い。

簡単に自己紹介を終えた『イスクリード』は、女性陣から黄色い声援を浴びて揉みくちゃにされるのであった。





~アンテイカーから南に5山越えた場所にある街『カステロ』~


「おやっさん、またアンテイカーから報告が来たんだが…?」

「今度は何だ?」

「なんでもアンテイカーにある洞窟の奥にダンジョンが形成されつつあったらしく、たまたま居合わせた冒険者によって阻止されたらしい。」

「…で?その冒険者、【鬼神】なのだろう?」

「…あぁそうだ。」

「はぁ…【鬼神】か…
【鬼神】が居た獣人国では大氾濫、【鬼神】の通り道に【勇者】軍。
【鬼神】の行く先々で面倒事が毎度発生しておる…
【勇者】軍を撃退してくれた事に関しては感謝するが、この街でもそういった面倒事を起こされたら堪ったものでは無い…」

「『ウォルタメ』、『アンテイカー』と来れば、間違いなくここ『カステロ』にも【鬼神】は来るでしょうな。」

「…ウチは先日大規模な行政事業を行ったばかりで金が少ないんだぞ…
面倒だ、門に看板を立てておけ、『【鬼神】立入禁止』とな。
序でに門兵も立てて警戒に当たってくれる様頼めるか?」

「…まるで対応が″モンスター″ですな…
…しかし良いんですか?【鬼神】は領主のロスト伯爵のお気に入り。
下手な手を打っては此方に悪い印象を持たれるのでは…?」

「貴族様の考えている事は分からん。
どうせ一時の名声にあやかろうとしているだけだろう。
ほら、つべこべ言わずに警戒にあたれ。
もしかしたらもう街の近くに来ているかも知れないだろ?」

「へいへい、了解しましたとも。」
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