ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

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取り敢えず南へ編

鬼の尋問

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~カステロ裏門~


「ゾネスさん。少し良いですか?」

「あら?【鬼神】君どうしたのかしら?(ゾネス)」

「これから自領に戻られるのですよね?
出来れば『アルゴダ』に向かってシトラちゃんの情報を流してきて欲しいのですが…」

「シトラちゃんの?
…良いけど、どうして?(ゾネス)」

「それはですね…

「敢えて情報を流し、間者を誘き寄せて逆に情報を集める。
って所かな?(ロスト)」

「あ、ロストさん。
えぇ、そうですそのつもりです。」


バルディック・ロスト伯爵と私設傭兵部隊一行は、保養施設の再建を待つ事無く自領へと戻ろうとしていた。

元々は元領主代理のシルヴィオがノアに掛けた立入禁止措置を解除する為、半ば衝動的に屋敷を後にしていたので色々と業務が溜まっているのだそうだ。

まぁシルヴィオの処分等や今回の騒動を各方面に報告しなければならないだろうから仕方の無い事ではある。

ノアは私設傭兵部隊のゾネスに、ロスト伯の隣領にあるミコトとシトラの家族が暮らす街『アルゴダ』へ向かう様に願い出た。


「君の場合、彼女達を無事『アルゴダ』まで届けるだけで無く、主要人物全てを潰し、根刮ぎ精算させるタイプであろう?
となれば誰かが情報を流し、間者を誘き寄せた方が都合が良い。
それにはゾネスよりも私が行った方が間者の目を引いて都合が良いだろう。(ロスト)」

(う、思い当たる節しかない…)

「は、ははは…その通りです…
でも良いのですか?宜しくない連中が彷徨いているかも知れない場所に向かうのは危険では…?」

「はっはっは、私には頼れる者(ゾネス)達が居るし、そこそこの歳だがまだまだ現役なのだぞ?(ロスト)」

「そ、そうですか…」


伯爵は快く引き受けてくれたが、何だか顎で使っている気がして申し訳無くなってくる。
傭兵部隊のリーダーゾネスには十分気を付けてくれと伝え、一行は一路『アルゴダ』へと馬を走らせていった。

その後、ロスト伯爵が良い感じに情報を流したからなのだろう、シトラに扮したミコトに釣られた間者を幾人か捕らえる事が出来たのだった。





~現在・薄暗いとある場所~


トントントン…(肩を叩く音。)

「…う~ん…(間者1)」



トントントン…(肩を叩く音。)

「…ぅう~ん…(間者1)」


「『ッバァチィイイインッ!!!』っぶぅっ!?(間者1)」

「さっさと起きやがれこの野郎っ!」

ドガッ!

「コッ…カハ…(間者1)」ビクンビクン…


シトラに扮したミコトが捕まえた間者1に尋問する為に叩き起こしたノアだが、ビンタの威力が強過ぎてしまい、間者の左耳は鼓膜が破裂し、左上顎の骨と歯が粉砕。

勢いが強過ぎて舌を半分以上噛み千切ってしまい、口からダラダラと血を吐きながら痙攣して再び気を失ってしまった。


「あぁしまった、強く叩き過ぎてしまった。
悪いがクリストフ、治療の方を頼むよ。」

「畏まり。(クリストフ)」

「いけないいけない、″次″はしっかりとしなきゃダメだなぁ…
…さて、間者の″皆さん″お待たせしました。
ここに連れて来られた理由に心当たりがあるでしょう?
素直に話た方が皆さんの為になりますよ?」


見せしめとして犠牲になった間者に回復を施す様に伝えるノア。
クリストフは指示通りに動き、ノアは後方で縛られている″間者達″に向き直った。


「「「「…っ…(間者達)」」」」


同様の手口で捕縛した間者は追加で4人。
追加の間者は男3人、女が1人であった。

4人は間者1とは違い、既に目覚め、口を割るモノかと強気の姿勢を見せていたが、見せしめを作った為か、少し焦りの表情を浮かべていた。


「じゃ、次はアンタだ、おじさん。
僕の知り合いに襲い掛かったよね?
何で?」

「お、襲い掛かったとは心外だ…少し話を聞こうと『ガシッ!』っひっ!?(間者2)」

「話を

『ドガッ!「がっ!」』

聞くのに

『ドゴッ!「ッイッ!?」』

ナイフを振り被る奴が

『ズシンッ!「ッ…」』

何処に居るんだよぉっ!」


シラを切る間者2の襟を掴んで引き起こし、レンガ造りの壁に数度叩き付けてやる。
間者2は赤ん坊の手に握られた人形の様な動きをし、容易に意識を手離したのであった。


ドシャッ!(動かなくなった間者2を地面に投げ捨てる。)

「クリストフ、そいつも頼む。」

「りょ。(クリストフ)」

「じゃあ次は貴女だ。
今までの2人と違って、僕は女性に手を出す事はしないから安心して欲しい。
知っている事を話してくれれば

「は、ははっ!噂通りね【鬼神】!
本当に女性には弱いらしいのね!言っておくけど私は何も喋らないわよ!(間者3)」


続いて女性の間者3に移る。
先程までの口調から明らかに柔らかなモノに変えて情報を聞き出そうとするが、間者の間では『【鬼神】は女性に甘い』と言う噂があったらしく、間者3は余裕の笑みを浮かべていた。




パチンッ!(指パッチン。)

《なーにー契約者様ー?》ふよふよ…

「け、毛玉!?え、何何?(間者3)」


ノアが指を弾くと、何処からともなくミダレの使い魔、夢魔のイスクリードがふよふよと飛んでやってきた。

※ちなみにこの場にミダレは居ません。


「良いかイスクリード、彼女に『(ピーー)を生やしたガサガサ(要はG)に○される夢を見させてやれ。五感が現実と全く変わらないレベルのヤツ』だ。5分置きに目覚めさせてやってくれ。
情報を聞き出さねばならないからな。」

《う、うーん、お試しで掛けるには中々鬼畜な夢だけど分かったよ契約者様。》


ノアは間者3に″悪夢″を見させる様に促すノア。

実は元々ノアのトラウマについてミダレとイスクリード双方から相談され、夢を介する治療が出来るらしいとの情報を聞き付け、良きタイミングで試してから頼もうかと思っていた時にこの事案が発生した為、即実戦投入したと言う訳である。


「な、何!?(ピーー)を生やしたガサガサ!?
何言って

《はーい″眠って″ー。》

…ぐぅ…(間者3)」


混乱してジタバタしている間者3だが、イスクリードのたった一言で意識を手離したのである。


《(ピーー)を生やしたガサガサ…
ガサガサに○されるよ君…
イヤだよねぇ、ボクだったら死んでもやだよ…
頑張ってね。》ゴニョゴニョ…

(え?耳元で囁くだけ…?)

(『何か暗示とか催眠術みてぇだな。』)


眠りについた間者3に、イスクリードは耳元で幾つか囁く。
どうやらそうやって対象に思い通りの夢を見させるらしい。

そんな方法で見させる事が出来るのか?と、少し不安であったが


「……………ぇ?あっ!?嫌ッ!嫌ぁ!止め…ッぁあ!はぁ…ッ!
止めて!許して!嫌ああああああああっ!(間者3)」

「おー、何やら苦しみ出したな…」

《契約者様が指定した夢を見てるからね。
中々″酷な事″になってますよ。》


間者3が眠った状態のまま、ボロボロと涙を流し大声を上げて体を捩っていた。
イスクリード曰く″エグい″夢になっているらしい。


「ああっ!嫌ああああああああっ!(間者3)」

《まぁ5分したら起きるよ。》

「了解。それじゃあそれまでは…

『ガシッ!』「うぉっ!?(間者4)」

はい、アンタ。」


間者3に悪夢を見させている間、時間を浪費したくなかったノアは間者4に着手。
徐に足を掴んだかと思えば逆さ吊りにしたのであった。
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