ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

.

文字の大きさ
949 / 1,117
取り敢えず南へ編

圧倒的暴力

しおりを挟む
『『『『ドガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガッ!!』』』』

『あがががががががががががががががががががががががが…(ノーダメージ)』


チャージを終えた後口からプラズマレーザーをぶっ放した黒ノア。


対してミダレは、この状況で黒ノアに対抗出来るであろう自身の思う″最強″の相手『鬼神』をこの場に召喚したのであった。

突然喚ばれた『鬼神』はミダレとイスクリードの前に出現し、放たれたプラズマレーザーをモロに食らう。

だがダメージ等は皆無(だが突然すぎてびっくりはしている。)で、夢の中で主導権を握れるかどうかはイスクリードが前述した様に″感情の揺れ動き″に左右される。

もとより力の根源である『鬼神』には″恐怖″等と言う感情は無く、現在食らっているプラズマレーザーですら″突然強風に煽られてんな″位にしか思われていないのであった。


『っぜぇな!さっさと止めやがれ畜生がっ!』

ズバババッ!「なっ『ガギッ!』!?(黒ノア)」

『『『『『ガボォンッ!!』』』』』


黒ノアからの擬似プラズマレーザーがウザったく感じた『鬼神』は、プラズマレーザーを物ともせずに腕を突き出して黒ノアの顔面を掴む。

口を塞がれて逃げ場を失った擬似プラズマレーザーが黒ノアの体内で炸裂し、大爆発が発生したのであった。


オオオオオオオ…

《す、凄ー…》

「さ、流石『鬼神』さんっちゃね…
ノア君のアドバイスが無かったら気付けなかったっちゃ『むんずっ!』よぉっ!?(ミダレ)」


立ちはだかる『鬼神』の正面を爆炎と爆煙が包み、後ろに立つミダレとイスクリードには一切余波は襲ってこなかった。

『鬼神』の登場に安堵したのか、普段の口調が飛び出すミダレであったが、くるっと反転してこちらにやって来た『鬼神』に、突然額の辺りから生えた片方の角を掴まれてしまった。


グニグニ…

『おい娘っ子!呼ぶなら呼ぶって前もって言え!
ダメージ無いとは言え、突然目の前に雷落ちてきたらビックリするだろう?』

「あ、あっ!ご、ごめんなさい!
ノア君から何か伝わってると思って…
そ、それと角をグリグリしな…あっ!(ミダレ)」

《あの、初めまして…
モロに当たってましたけど、大丈夫でしたか…?その、恐怖心とか芽生えてません…?》

『おぅもじゃもじゃ。気にすんな、凪。』

《もじゃ…》


唐突に喚び出された事を注意するつもりでミダレに詰め寄ってきた様子。

威力よりも恐怖を乗せた擬似プラズマレーザーが直撃した『鬼神』であるが、本人も言った様に『凪』であった。





ゴォオオオ…ズシャッ!

「…れだ貴様ぁ…
このガキの分身か何かか…?(黒ノア)」

『記憶を盗み見しているくせに″誰だ″はねぇだろ。』

グヂュルッ…ズチュッ…ズルズル…(黒ノアの体が徐々に再生。)

「知った事か。
このガキを支配下に置く事が最優先目標なのだ。そこの小蝿2匹と貴様の様な外敵を排除する為に有用そうな幾つかの記憶と、ガキのトラウマを駆り立てる記憶にしか興味等無い。(黒ノア)」

『ほーん…じゃあお前の敗因は″それ″だな。
悪ぃが主の安眠を妨げる輩はご退場願おうか。』

ドンッ!


支配下に置きつつあるノアから搾取した負の魔力を糧に、損傷した体を再生する黒ノア。

どうやらノアの全ての記憶を覗き見ている訳では無く、有用そうな記憶だけを掻い摘まんでいるらしい。

にも関わらず『鬼神』を召喚させなかったのは、単純に記憶の総量に比べて出現回数が少なかったからだと思われる。

『鬼神』は腰に手を当てて話を聞いた直後、黒ノアへ向けて発進するのだった。


「不意をついたからといって良い気になるなよ?先程の様に上手くいくと『ゾリッ!』おぼぁっ…あっ!?(黒ノア)」


向かってくる『鬼神』に対して不敵な笑みを浮かべ余裕の表情の黒ノアだが、突如顔の半分が吹き飛んだのであった。


ズザッ!

『あ?反応出来なかったか?』

「ぐぬっ!」ブォ『キュッ!』ッ!

ボンッ!『キュッ!』ゾリッ!『キュッ!』ドシュッ!『キュッ!』バヒュッ!『キュッ!』ズバッ!


いつの間にか背後に立った『鬼神』に高速の裏拳を繰り出して反撃しようとした黒ノアだが、それを上回る速度で移動を開始。

1秒にも満たない時間で黒ノアに幾度も衝撃が走り、肉体が次々に弾ぜていく。
黒ノア自身、一体何が起こっているのか分かっていなかった。


「おぉおおおっ!『『『ギュンッ!』』』
は、離れろぉおおおっ!『『『ズァッ!『ガシッ!』『『『ブチブチブチッ!』』』
ぃぁあああああああっ!?(黒ノア)」


超高速で移動し、自身を破壊してくる『鬼神』に対し、黒ノアは体内で圧縮した擬似プラズマレーザーを衝撃波として体外の全方位に向かって放つ。

所謂″体内放射″と言うモノであるが、そんな事では動じない『鬼神』はゼロ距離でそれを食らいつつ黒ノアの首根っ子を掴んで引き千切る。

慟哭に似た叫び声を上げつつも引き千切られた首元の辺りから、取り込まれたノアの青白い肌が見え隠れしていた。


『ビンゴ。
おぅもじゃもじゃ!お目当ての者を見付けたがこの後どうすんだ?』

《え?あ、先ずは囚われているそいつの体内から隔離してあげて!》

『その後は?』

《トラウマによる恐怖を与えている元凶のウネウネをボクが食べちゃえば一旦状況は落ち着けるよ!》

『食えんのか?これ。』

《契約者様の負の魔力を取り込んで肥大化した状態じゃ厳しいかも…
攻撃して負の魔力を枯渇させて弱体化させれば捕食する事が出来るよ!》

『なる程な、それじゃあコイツの相手は俺が引き受けよう。
コイツから主を引き剥がすから娘っ子は捕まんねぇ様に時が来るまで逃げてな。』

「は、はい!(ミダレ)」


イスクリードからこの後の流れを聞いた『鬼神』は黒ノアの相手を受け持つ事を決意。
その後の指示を2人へ飛ばした後、早速行動を開始…したいのだが、黒ノアが抵抗してこないハズも無く


グヂュルッ…グヂュグヂュ…

『『『ギュォンッ!』』』

「「「さ、させる『うっせぇっ!!』

『『『バチュンッ!』』』っぴ!?(黒ノア)」


首から上が弾け飛んでもノアから搾取し、蓄えていた負の魔力で何度でも再生する黒ノアだが、動作全てが破壊行動に繋がる『鬼神』の前では何の効力も無い。

首を3本に増やして擬似プラズマレーザーを発射しようとしても、それを上回る威力の″怒声″で再び首から上を吹き飛ばされてしまう。

このままでは、負の魔力を無駄に消費し、枯渇するのをただただ待つだけとなってしまうが、黒ノアは最後の悪足掻きとばかりに


グジュグジュ…

「は、ははは!い、良いか!
このガキのトラウマは根深い!例えそこの小蝿(イスクリード)が私を食らったとてガキ自身が心変わりしなければ私は何れまた蘇るであろう!
私は悪霊!負の魔力がある限り幾らでも姿を現す!
お前達が今やっている事は全て徒労に終わってしまうのだ!あははははっ!(黒ノア)」

「で、でもイスクリードがトラウマを食べてくれるから…(ミダレ)」

《…いや、契約者様のトラウマとなっている幼少期の夢と、恐怖を増長させているこの悪霊を食べる事は出来ても、″記憶″自体を排除事は出来ないから奴の言ってる事は正しい…》


黒ノアからの悪足掻きに歯痒い表情のイスクリード。
確かに今回ミダレとイスクリードが夢の中へやって来たのは、ノアのトラウマとなっている夢へと介入し、原因の排除であって記憶の排除ではない。

悪夢を取り去り、トラウマを増長させている悪霊を退治した後は、当事者本人の心の持ちようなのである。

黒ノアはその点を突き、何れまたノアの心に巣食ってやると、声高らかに笑みを浮かべていた。

のだが


『あぁ気にすんな。
主は最近になって漸く″心の整理″がついてきたから、お前さえ居なくなってくれりゃ直ぐにでも良くなるさ。』

「《え?》」

「え?(黒ノア)」
しおりを挟む
感想 1,253

あなたにおすすめの小説

隠して忘れていたギフト『ステータスカスタム』で能力を魔改造 〜自由自在にカスタマイズしたら有り得ないほど最強になった俺〜

桜井正宗
ファンタジー
 能力(スキル)を隠して、その事を忘れていた帝国出身の錬金術師スローンは、無能扱いで大手ギルド『クレセントムーン』を追放された。追放後、隠していた能力を思い出しスキルを習得すると『ステータスカスタム』が発現する。これは、自身や相手のステータスを魔改造【カスタム】できる最強の能力だった。  スローンは、偶然出会った『大聖女フィラ』と共にステータスをいじりまくって最強のステータスを手に入れる。その後、超高難易度のクエストを難なくクリア、無双しまくっていく。その噂が広がると元ギルドから戻って来いと頭を下げられるが、もう遅い。  真の仲間と共にスローンは、各地で暴れ回る。究極のスローライフを手に入れる為に。

『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる

仙道
ファンタジー
 気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。  この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。  俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。  オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。  腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。  俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。  こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。 12/23 HOT男性向け1位

【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』

ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。 全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。 「私と、パーティを組んでくれませんか?」 これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

ブラック企業で心身ボロボロの社畜だった俺が少年の姿で異世界に転生!? ~鑑定スキルと無限収納を駆使して錬金術師として第二の人生を謳歌します~

楠富 つかさ
ファンタジー
 ブラック企業で働いていた小坂直人は、ある日、仕事中の過労で意識を失い、気がつくと異世界の森の中で少年の姿になっていた。しかも、【錬金術】という強力なスキルを持っており、物質を分解・合成・強化できる能力を手にしていた。  そんなナオが出会ったのは、森で冒険者として活動する巨乳の美少女・エルフィーナ(エル)。彼女は魔物討伐の依頼をこなしていたが、強敵との戦闘で深手を負ってしまう。 「やばい……これ、動けない……」  怪我人のエルを目の当たりにしたナオは、錬金術で作成していたポーションを与え彼女を助ける。 「す、すごい……ナオのおかげで助かった……!」  異世界で自由気ままに錬金術を駆使するナオと、彼に惚れた美少女冒険者エルとのスローライフ&冒険ファンタジーが今、始まる!

【コミカライズ決定】勇者学園の西園寺オスカー~実力を隠して勇者学園を満喫する俺、美人生徒会長に目をつけられたので最強ムーブをかましたい~

エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】 【第5回一二三書房Web小説大賞コミカライズ賞】 ~ポルカコミックスでの漫画化(コミカライズ)決定!~  ゼルトル勇者学園に通う少年、西園寺オスカーはかなり変わっている。  学園で、教師をも上回るほどの実力を持っておきながらも、その実力を隠し、他の生徒と同様の、平均的な目立たない存在として振る舞うのだ。  何か実力を隠す特別な理由があるのか。  いや、彼はただ、「かっこよさそう」だから実力を隠す。  そんな中、隣の席の美少女セレナや、生徒会長のアリア、剣術教師であるレイヴンなどは、「西園寺オスカーは何かを隠している」というような疑念を抱き始めるのだった。  貴族出身の傲慢なクラスメイトに、彼と対峙することを選ぶ生徒会〈ガーディアンズ・オブ・ゼルトル〉、さらには魔王まで、西園寺オスカーの前に立ちはだかる。  オスカーはどうやって最強の力を手にしたのか。授業や試験ではどんなムーブをかますのか。彼の実力を知る者は現れるのか。    世界を揺るがす、最強中二病主人公の爆誕を見逃すな! ※小説家になろう、カクヨム、pixivにも投稿中。

「餌代の無駄」と追放されたテイマー、家族(ペット)が装備に祝福を与えていた。辺境で美少女化する家族とスローライフ

天音ねる(旧:えんとっぷ)
ファンタジー
【祝:男性HOT18位】Sランクパーティ『紅蓮の剣』で、戦闘力のない「生産系テイマー」として雑用をこなす心優しい青年、レイン。 彼の育てる愛らしい魔物たちが、実はパーティの装備に【神の祝福】を与え、その強さの根源となっていることに誰も気づかず、仲間からは「餌代ばかりかかる寄生虫」と蔑まれていた。 「お前はもういらない」 ついに理不尽な追放宣告を受けるレイン。 だが、彼と魔物たちがパーティを去った瞬間、最強だったはずの勇者の聖剣はただの鉄クズに成り果てた。祝福を失った彼らは、格下のモンスターに惨敗を喫する。 ――彼らはまだ、自分たちが捨てたものが、どれほど偉大な宝だったのかを知らない。 一方、レインは愛する魔物たち(スライム、ゴブリン、コカトリス、マンドラゴラ)との穏やかな生活を求め、人里離れた辺境の地で新たな暮らしを始める。 生活のためにギルドへ持ち込んだ素材は、実は大陸の歴史を塗り替えるほどの「神話級」のアイテムばかりだった!? 彼の元にはエルフやドワーフが集い、静かな湖畔の廃屋は、いつしか世界が注目する「聖域」へと姿を変えていく。 そして、レインはまだ知らない。 夜な夜な、彼が寝静まった後、愛らしい魔物たちが【美少女】の姿となり、 「れーんは、きょーも優しかったの! だからぽるん、いーっぱいきらきらジェル、あげたんだよー!」 「わ、私、今日もちゃんと硬い石、置けました…! レイン様、これがあれば、きっともう危ない目に遭いませんよね…?」 と、彼を巡って秘密のお茶会を繰り広げていることを。 そして、彼が築く穏やかな理想郷が、やがて大国の巨大な陰謀に巻き込まれていく運命にあることを――。 理不尽に全てを奪われた心優しいテイマーが、健気な“家族”と共に、やがて世界を動かす主となる。 王道追放ざまぁ × 成り上がりスローライフ × 人外ハーモニー! HOT男性49位(2025年9月3日0時47分) →37位(2025年9月3日5時59分)→18位(2025年9月5日10時16分)

ダンジョンに行くことができるようになったが、職業が強すぎた

ひまなひと
ファンタジー
主人公がダンジョンに潜り、ステータスを強化し、強くなることを目指す物語である。 今の所、170話近くあります。 (修正していないものは1600です)

処理中です...