ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

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ヴァリエンテ領・大規模氾濫掃討戦編~街(前哨基地)建設~

理解のある両親

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「ちょっとインヴェルノさん!
あの時の話は2人だけの間に留めておきましょうって!
ステラさんが混乱して″だわさ″が抜けてるじゃないですか!」



〈あ、あれ…?リューさんここ来るの初めてって…でも坊やと殺り合ったって…あれれ…?〉



《いや、済まぬ…
″暦″殿によって時間を戻された経験など無かったので抜けておった。》


ミリアを肩車したノアは四季龍インヴェルノに詰め寄り、先程の発言を咎めていた。

ちなみに普通に話しているが、ミリアには逆に通じていないので、2人が何を話しているのかは分かっていない。


「どーするんですか!
如何にも戦闘狂っぽい2人組が目をキラッキラさせてますよ!
今はチュルチーさんが抑えてますけど、手ぇ離したら飛んできますよ!」

《う、うーん…
″島″には中々手頃な相手が居ないから飢えてる者が少なからずおるのだ…》


インヴェルノ自身、口を滑らせてしまった事に責任を感じている様子。


《ではこういうのはどうだろう。
今回儂の不手際でこういった事態となった。
その見返りと言ったらなんだが、貴君の″入国許可″を与えようと思うのだがどうだろうか?》

((『…おや?この流れ、以前も経験あるぞ…?』))


何処と無く海洋種と初めて出会った時と似た流れを感じるノアと鬼神。

とい事はつまり


「…って事はどちらにしろ彼女達とは戦わないとダメって感じ…?」

《まぁ彼女らには早い内に実力を示しておいた方が都合が良いぞ?
入国の際は彼女ら【制空の守護者(グアジアンド・セウ)】にある程度の実力を示さねばならんからな。》

「あー…そんな制度があるのなら、戦闘狂の1人や2人は生まれてしまうのは納得だわさ。」


ケット・シーのステラとは穏便に事が運ばれ、四季龍インヴェルノは″暦″の介入があり何とか軌道修正されたにも関わらず、最終的には戦う必要があるのかとステラの口調を真似しながら肩を落とすノアであった。


「ミリアちゃーん?ちょーっと降りようか。」

「え?あ、はしゃぎ過ぎちゃいましたか…?(ミリア)」

「いや、彼女達と戦う事になりそうな流れだから…」

「え?どういう事ですか…?(ミリア)」


言葉が通じていないミリアは、急な話の方向転換に頭が追い付いていなかったのだった。





「あのー…本当にやるんですか…?
僕らまだ出会ったばかりですし、街の建設も途中ですので、あまり騒ぎを起こしたくないのですが…」

〔いーじゃないの。
ちょっとした手合わせみたいなモノよ。(ヤンチャラット)〕

〔実は私達ねぇ、上で入国審査なんかも担ってるから、もし私達が満足出来たら特例で入国許可をあげても良いわよ。
ね?リーダー。(シッチャカ)〕

〔何でリーダーを通さずにそういう事を言うのよ…
まぁ、もし入国しに来る場合は一定の武力を示して貰わなければならないので、この場で示せれば省略しても構いませんが…(チュルチー)〕

「と言っても、こっちの件(大氾濫)が終息してからになるから別に今じゃなくても…」


どうにかしてノアと戦ってみたいハーピー族(特にヤンチャラットとシッチャカ)と、穏便に済ませたいノア。

やんわりと理由を付けて流そうとするも


〔〔やーだー、やーだー!
インヴェルノ殿のお気に入りとやってみたーい!〕〕


「…子供か!」

〔申し訳ない…
上は比較的平穏で、脳筋共は戦い(娯楽)に飢えてるのよ…(チュルチー)〕

〔あ、あの…ごめんなさい…
2人共いつもは頼もしいんですけど、戦闘になると周りが見えなくなって…(チャチャ)〕オドオド

〔ねーねー、仲良くしよーよー。
ごめんねーボクぅ。(ゴチ)〕グー。

(良かった…一応穏健派も居るみたいだ…)

(『止めるまでには至らないがな。』)


商店で欲しい物を買って貰えなかった時の子供ばりに駄々をこねるヤンチャラットとシッチャカに思わず突っ込むノアに、リーダーとして頭を下げるチュルチー、オドオドするチャチャ、腹を鳴らしながら侘びるゴチであった。





「分かりました、やりますよ。やりゃあ良いんでしょ。」

〔お、理解が早くて助かる。(ヤンチャラット)〕
〔流石人族ね、優しくて頼めばやらしてくれる…(シッチャカ)〕

「うるへー。
取り敢えず街の人達は何のこっちゃ分かってないので適当に理由話してきますからね?
″亜龍が口滑らせて戦うハメになった″なんて言えないでしょ?あの見た目で。」

〔ごめんなさい、後で2人はしっかり叱りますので…(チュルチー)〕

(『今叱れ。』)


見た目20代後半の美人ハーピーに駄々をこねられ続けるのも何なので、渋々承諾するノア。

部下の手綱を握りきれていないチュルチーに中でツッコミを入れる鬼神であった。


〔…でも本当は嬉しいんだと思います。(チュルチー)〕

「ん?」

〔私達以外の種族と交流が持てた事に、あの子達なりの好奇心が働いたのだと思います…(チュルチー)〕

「チュルチーさん…」


柔和な笑みを浮かべてヤンチャラットとシッチャカを見てそう語るチュルチーに、思わずノアが聞き入る。




「良い感じ風な話にしようとしてますけど無理ですからね?」

〔うわーん。あなた、あの子達よりも大人だー…(チュルチー)〕


終わり良ければ何とやらな話の持っていきたかったチュルチーだが、戦闘前からバッサリと断ち斬られてしまうのだった。





「えーっと、ハーピー族の人達と戦う事になりました。」

「「「「「「「「〈は?〉」」」」」」」」

「…その反応はごもっとも。
えーっと…交流の一環やら審査の一環やら何とかかんとか…」


取り敢えず集まっている者達に説明すると、全員素頓狂な声を上げて驚いていた。

ノアは一先ず適当な理由を付けて皆に説明すると、「そんなモノか…」と納得していないが納得してくれた。

だが


「なぁノア、あの子達…ハーピー族の子達とはちゃんと話し合いしたのか?(レドリック)」

「そうよノアちゃん、家訓でもあるでしょ?
先ずは話し合いだ、って。(アミスティア)」

「勿論したよ。
その上で、って感じだね。」


集団の中から両親が進み出てきて神妙な面持ちで問い掛ける。
それに対してノアは淡々と事実を告げると


「じゃあ″戦争″だな。(レドリック)」

「話し合いがダメなら後は″戦争″しか無いわね♪頑張ってらっしゃいノアちゃん。」

「はーい。」

((((((((((何この家族怖い…))))))))))


「種族によっては、戦闘で交流を図る事もあるからな」とレドリックが付け足すが、話し合い✕→戦争○となる展開の早さに、改めて一家の恐ろしさを知るのだった。
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