ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

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ヴァリエンテ領・大規模氾濫掃討戦編~万死一生~

take2

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~巻き戻し完了・骸鏖峰獄蟲の召喚権行使後~


『『……ビキッ!』』(竜征趙から破砕音)

『『『『『『『『フッ…』』』』』』』』(雷撃&召喚陣全消失)

オ″オ″オ″オ″…オ…?



竜征趙へと肉薄したノアが『骸王峰獄蟲(ガイオウフガクムシ)』の召喚権を行使。

直後、雷撃の発射態勢&召喚陣の複数展開を行っていた竜征趙の胸の辺りから光が消失。
それに合わせて雷撃と召喚陣が立ち所に消滅した。

自分の意思では無い事からか、竜征趙は咆哮から困惑の鳴き声へと変化させ、周囲に目を泳がせていた。


『『……バリンッ!』』(胸の辺りから半透明の欠片が次々に落下)

オ…オオ…


竜征趙が音のする方に目をやる。
そこは巨大な魔石が搭載されていた胸の辺りで、高密度の魔力からなる光の輝きは疾うに失せ、そこにはポッカリと空いた空洞だけが残されていた。


『『『バギンッ!』』』

オガァッ!オアアアアアアッ!

『『『ビキビキビキビキビキビキッ!』』』

『『『バガァッ!』』』(氷の牢獄崩壊)


四季龍インヴェルノが竜征趙に対して放った『絶対零度(アブソリュートゼロ)』が崩壊を開始。

これはノアが『骸王峰獄蟲(ガイオウフガクムシ)』の召喚権を行使した事で、周囲の魔力を吸収し尽くし、氷の牢獄がただの氷の塊と化した為地面に向かって落下に至ったのである。

形態を変化させてから飛行に関する一切を莫大な魔力で補っていた竜征趙も同じく落下を開始。

翅を持ち合わせてはいても巨大な魔石という原動力が消滅した今、氷の中から這い出す事すら叶わず悲鳴を上げるしかなかった。


『『『ズズズ…』』』(虚空から刀剣出現)

ブォンブォンッ!バシィッ!(ノアの手に長大な大太刀)

オガァアアッ!ゥギヤォアアッ!

【戻ってきたぜ竜征趙!
本当の意味で今度こそ終わりだぁっ!】


『『『ゾリンッ!』』』(斬首)


ゴッ……

『『『『『ゴォオオオオォ…』』』』』


身体を捩り、氷の牢獄から何とか這い出そうとする竜征趙を尻目に身の丈の数倍はある大太刀を出現させたノアは手元でくるりと回して遠心力を乗せ、勢いそのまま首を撥ね飛ばした。

首とさよならした竜征趙は、氷の牢獄に半分埋没した胴体と共に地表に向かって落下していった。





ガルルッ!

『『ギュォン!』』(低出力の雷撃)


首を撥ね飛ばされた竜征趙だが、自前の生命力は高く、未だ死んではいなかった。

竜征趙は、自身の体内に僅かに残っていた魔力を口腔に集め、ノアに向けて放とうとしていた。


『『『ギュォオオオ…』』』


1度ならず2度も奴を地に落とした。

我が殺られるハズは無い、我こそが頂点なのだ、とばかりに大口を開けて照準をノアに向け


『『『ガブジュッ!』』』ッピ!

『『グシャッ!』』『ブジュッ!』

グルォオオオオオオオオオオオオオオオオッ!


地表で大口を開けて待ち構えていたグリードが竜征趙の頭部に食らい付き、グシャグシャと咀嚼し、高らかに咆哮を上げる。


『『『ギュォオオオ…』』』(チャージ)

『『『ズバァアアアアアアアッ!』』』(最大出力プラズマレーザー )


『『『ジュァアアアアアアアアアッ!』』』(竜征趙の胴体消滅)


ゴァアアアアアアアアアアアアアッ!


そのままプラズマレーザーの発射体勢に入ったグリードは、溜まりまくった鬱憤を晴らすかの様に力を溜めに溜め、天空に光の柱を建てた。

グリードが放った最大出力プラズマレーザーの威力は凄まじく、<炎属性無効化>であるにも関わらず、威力のみで竜征趙の体組織を完全に吹き飛ばしてしまった。

この日天に向かって屹立した光の柱は、遠く王都の方まで目撃されたという。





『バシュッ!』(転移)

【…っと、竜征趙の後片付けはグリードがやってくれたな…】

(『後は召喚陣から骸鏖峰獄蟲が出て来なきゃ丸く収まる訳だが…』)



『『『『『コォオオオオオ…』』』』(上空の召喚陣が眩しく発光)



((『出てくんな出てくんな出てくんな…』))



『『『『『コォオオオオオオォォォ…』』』』(召喚陣の光量減少)


『『『フシュ…』』』(召喚陣消滅)


夜空に広がった巨大な召喚陣は当初、激しく発光し、骸鏖峰獄蟲の再出現を予感させたがその後光量が減少しそのまま召喚陣が消滅。

再び満天の星夜空が広がっていた。


【…お、終わった…今度こそ…】

(『色々あったがお疲れさんだなある…』)

《そ、そこの者!気配がまるっきり違うがノア殿で間違いないのか!?》

【ん?】
(『ん?』)


ノアは上空で滞空していた四季龍インヴェルノの太股辺りに着地し召喚陣消滅を見届けた。
そんな四季龍インヴェルノが恐る恐るといった様子で太股に立つノアへと問い質す。

四季龍インヴェルノは、ハーピー族から〔ノアが来る〕としか聞かされていない上、『龍衣無双刀・比類無鬼神ノ顕現』によって龍人の様な見た目となり、龍と『鬼神』の気配を漂わせる人陰をとてもノアだとは判断出来なかったのである。


『『シュン…』』(大太刀消滅)

「ほら、ごの通り…」

《お、おお…確かに。》


手にしていた大太刀を消し、顔を晒して漸くインヴェルノにノアであると認識して貰った。


「…インヴェルノさんも大怪我を負っている所悪いけど、ちょっと休ませて…
色々あってクタクタで…」

《お、おお!構わんぞ!亜龍にとってこれ位の傷は怪我に入らん、直ぐに完治するであろう!
ゆっくり休め!
…それにしても今の光は何やら召喚を臭わせるモノであったハズ…何故か不発に終わった様だが一体…》


太ももの上で座り込み天を仰ぐノア。
四季龍インヴェルノはノアを労い夜空に展開し掛かった召喚陣をいぶかしみつつ降下を開始、ゆっくりと街の方へと向かっていった。


「…ブッ!ゴフッ!」ビチャチャッ!(吐血)

《お、おい大丈夫か!?やはりさっきの姿はかなりの負荷を伴う…》

「だ、大丈夫…アレはぞんなんじゃ…
コレは…色々と攻撃を受けた影響。関係無いよ。」

《そ、そうか…》


降下中ノアは突然吐血し、思わず踞る。
四季龍インヴェルノには竜征趙から受けた攻撃の数々の影響と話したが、実際はもっと深刻な理由であった。
が、その理由を直ぐには話そうとはしなかった。





~回想~


〝…″人生の巻き戻し″…ですか…
確かにそれは可能ですが、リスクしかありませんので″禁忌″とされています。(暦)〟

「…″禁忌″…?」

〝えぇ、例え人生を巻き戻したとはいえ、今と同じ様な人生を迎える事は殆んど不可能。
俗に言うタイムパラドックス…矛盾を生み出し兼ねません。
今と昔の整合性が取れなくなり、最悪の場合巻き戻した本人の″存在を消滅″しなければならない事もあり得ます。
それが自分を起点とした物語の変革、それによって課せられた責任です。(暦)〟

「…っ…!…まぁ…そうですよね…
…今のは只の思い付きの1つ、として受け取って下さい…」


自身では『思い付き』と言っていたが、割と本気で考えていたであろう″人生の巻き戻し″をほぼ不可能と断言されたノアは少し意気消沈した様子であった。





~3日後・街兼前哨基地『フロンテイラ』~


カラーン…カラーン…(鈴の音)

「おーい昼の炊き出しの時間だぞー!
材料は腐る程あるが、腐る前に食いに来てくれ!(シンプソン)」

「「「「「うぇーい!」」」」」



「おじちゃんお昼はなーに?(子供1)」

「スープとグラスホッパーのフリット、大量ドロップの蜂蜜と木の実を使った果実水だよ。
使われているのは虫だけど味は保証するよ。(ヒューガ)」

「「「「「はーい。」」」」」



ムシャッ!モグモグ…

「毎度の事だが美味いな。(冒険者1)」
「余計な臭みが無いから下手すりゃ肉よりも美味いぞ。(戦闘職1)」

「これ食ったら南側の防壁周りの虫の死骸を排除するぞ。(技術職1)」

「あっち側は虫同士が折り重なって圧死した奴らが殆どだから素材回収は難しいだろう。
いっそ纏めて燃やしちまった方が早くないか?(ザラット)」
「それが良いな。よし、カルル領主殿に掛け合ってみよう。(技術職2)」



『『『ガラガラガラ…』』』(複数台の荷馬車の音) 

「『微細鱗粉』、『吸血虫の吸血管』、『飛虫の硬質翅』…
うむ、傷も少なく良質なものばかり…
相場を鑑みてこれこれこの位でどうだろう?(ジョー)」

「はい、それでお願いします。
ではまた支払方法は物々交換で、小麦粉と薬品をこの位で。(ミリア)」

「了解した、伝手のある商人に掛け合っておこう。(ジョー)」

「お願いします。(ミリア)」



~再び街『フロンテイラ』・炊き出し場~


タッタッタッタッタ!

「シンプソンさーん!またお願いしても良いっちゃが?(ミダレ)」 

「ノア殿の分だね?あぁ、良いよ。
どうだいノア殿の調子は?(シンプソン)」

《体調は良いけどまだ腕が本調子じゃない、って。(眷属のイスクリード)》

「なる程、まぁあの火傷では仕方無いな。(シンプソン)」


シンプソンやヒューガ等の教会関係者達が取り仕切っている炊き出しの場に眷属のイスクリードを連れたミダレがやって来た。

活動に要するエネルギー源を精気で賄っているサキュバス族にとって食事は不要であるが、ここにやって来たのは、ノアの為の食事を確保しに来た様子。


「ほら、後はスープだ。
溢さない様に注意してくれ。(シンプソン)」

《はーい。》


シンプソンからスープを受け取ったイスクリードは、器用に頭に乗せ、モフモフの体毛に埋めて固定していた。




~防壁上~


タッタッタッタッ!

「父上、動きはありましたか?(カルル)」

「そう急くなカルルよ、もう直調査に向かっていた調査隊とステラさんが戻ってくる。
報告については私が、商人方はミミルナ(妻)が、兵士の振り分けはミミカ(妹)に任せて街の方に専念せよ。
さっきも虫共の死骸をどうするかの嘆願が冒険者、技術職から持ち上がっていたぞ。(ルルイエ)」

「か、畏まりました父上!(カルル)」

タッタッタッタッ!

「ふ…ノア殿が頑張ってくれたのだ、次はお前が頑張る番だぞ、カルル。(ルルイエ)」


『フロンテイラ』の若き領主でもあり息子でもあるカルルの、慌ただしく駆け巡る背中を眺めつつ呟くヴァリエンテ領領主のルルイエ。


「あなた、もう2日半程寝ていないでしょ。
終結宣言直後程慌ただしくもなくなったから、せめて仮眠を取っては如何?(ミミルナ)」

「そうですよお父様。
お兄様にも同じ事を言いましたが、″父上が休まれないのに休めるか″と言って聞かないのですよ?(ミミカ)」

「ははは、カルルの見本にならねばならんのに、いきなり悪い見本となってしまったな。
…本音を言えば、死力を尽くしてくれたノア殿の頑張りに応えねば、と考えてしまってな…(ルルイエ)」


目の下にクマを作って防壁上から外を眺め見るルルイエは、数日振りの家族との再会を果たす。

今編の始めに名前だけ登場していた、ルルイエの妻ヴァリエンテ・ミミルナとカルルの妹ヴァリエンテ・ミミカは、ルルイエとカルルがこの街、現『フロンテイラ』に滞在している間、自領であるヴァリエンテ領の運営や兵士の指揮にあたっていた。

大氾濫終結後は、商人の手引きや派兵、自領から女衆や男衆を送って炊き出しや兵士に混じって被害状況の調査や怪我人の治療に駆り出せたりと、陰ながら尽力してくれていた。


「それでノア様は…?(ミミルナ)」

「長屋の一室で安静にしている。
半身の大火傷とそれによる軽い感染症・高熱で魘されていると聞いた。
先程目を覚ましたと報告を受けたから、もし寄るのなら念の為確認を取ってからな。(ルルイエ)」


〈ルルイエさーん、調査が終わって戻ってきたのだーわさー!〉


「…っと、噂をすれば戻ってきたな。(ルルイエ)」


家族と話をしていると、防壁の外から特徴的な語尾の間延びした声が聞こえてきた。

そちらの方を見てみると、メロディア・ジプシーバナーに乗った数人の兵士と、ケット・シーのステラ、上空には護衛であろうか数人のハーピーが舞い、それら一団が街に戻ってきていた。調査が終わったのである。



「見立て通り巨大な繭の跡地に″竜の遺骸″を確認!
ステラさんによれば『侵食竜』の物で間違いないとの事!
此度発生した史上稀に見る規模の大氾濫は″『侵食竜』の持っていた莫大な魔力が起因″と断言出来ます!(兵士1)」


「そうか!詳しくは中で聞こう!
それで『流星蝶(竜征趙)』については何か分かったか!?(ルルイエ)」


「いえ!何も!
『流星蝶』自体目撃例が非常に少ない上、ノア殿と契約獣のグリードによって塵1つ残されていないので…!(兵士2)」


「むむむ…それに関しては仕方が無い…
2日に渡る調査ご苦労であった、中で休んでくれ。(ルルイエ)」


過去の大氾濫と違い、桁違いの魔力量であった為、ケット・シーのステラは当初から『侵食竜』の影響が懸念されていた。

ルルイエから派遣された調査隊の他、ステラと護衛のハーピー族達は巨大な繭が建っていた場所に赴き、巨大な魔石があったであろう根元辺りに『侵食竜』の亡骸を発見したとの報告であった。    
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