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二章 虚なる化け物
10. 鉱山の化け物
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「名前、言ってなかったな。ドヴァーだ、よろしくな」
「ハイドラ。こっちのおっさんがケイロンだ」
廃墟の地下に住んでいた男と、鉱山地帯の端も端で合流した。
ドヴァーと名乗る男は、一本のツルハシと少量の宝珠の原石を持って現れた。悲しいことに、どうやらそれが彼の総資産である。ぶつぶつと文句を垂れながら肩を落とすドヴァーは、俺と別れた後、地下室からの立ち退きを余儀なくされたのだ。
「なんというか、同情するぜ」
「……軍の野郎ども、俺の家を占領しやがって……」
「見つかってはないんだろ。まあ、時間の問題だろうが」
軍営には廃墟も使用された。所有者などいないし、残った壁に幕を貼れば雨風を凌げる天幕より丈夫な建物となるのだから、使用しない手はない。不法でこそあれ、所有者がいたことは軍の想定外である。
今はちょうど、コレーがアルテミスと面会している時間だろう。
不機嫌そうなドヴァーを先頭に、軍の認識外にある入り口から狭い坑道へ入っていく。
「ここをずっと進めば、主坑道に辿り着く」
「ガスは、ここまで来てないのか?」
「……いや」
ケイロンの質問に、ドヴァーは坑道の傍を指差して答えた。
死体──盗賊のものだろうか、身なりの悪い腐敗したものが、入り口を少し進んだ場所に複数並んでいる。気味の悪いそれらの死体は、目に見えないガスの代わりに侵入者を防ぐ結界の役割を成しているようだ。ここより先を侵すとお前もこうなるのだぞ、と。
死体の転がるこの場所が鉱山の端だということは、ガスは坑道の全域に及んでいると考えるべきである。
「で? なんでお前は、それで死んでないんだ。事故の後も、鉱山に入って宝珠を採ってたんだろ?」
「知らねぇよ。ただ、経験則でしかないが、俺と一緒に坑道に入った奴は被害に合わん」
「どんな理屈だよ。本当に大丈夫だろうな」
「信じたくないなら帰れ。俺は行く」
「待て、アンタの目的はなんなんだよ、ドヴァー」
ケイロンがドヴァーを引き留め、たずねた。
ドヴァーは俺たちを親切心から案内してくれたわけではない。彼には彼なりの目的がある。
「ガスとやらの問題を解決すれば、俺はまたまともな鉱夫になれる。パイスの街が、また蘇るんだ」
「鉱山の復活が目的か。パイスってのは、あの廃墟だな」
「とにかく、事故が起こった坑道まで連れていってくれ」
ドヴァーには、「ガスを消滅させる有効な手段がある」と説明している。それが誰にも明かせない方法なのだとも。
俺の言葉を信じ、ドヴァーは坑道の案内をした。信じていないのだとしても、三十年前に鉱山を追われ、そして昨日地下室を追われ、二度も全てを失ったドヴァーにとっては藁をも掴む思いだろう。
だが、俺にはドヴァーの夢を叶えさせてやることができない。そもそも、叶えさせてやるつもりもなかった。
(なぁ、おっさん。コレーは上手くやってるかな)
(信じるしかねえな。アルテミスなら、住民避難の必要性を少しでも感じればすぐに行動に移すはずだから、あとはコレー次第だ)
(コレーに重要な役割を押し付けすぎたか? あいつにそこまでしてくれる義理があるか?)
(いや……命救ったんだろ? 一生でもかけてくれんじゃ?)
(人を信じすぎだ)
「何喋ってんだ、お前ら?」
「いや、こっちの話だよ」
坑道は木組の枠が均等に並んだ土壁の空間で、人が二人並べない程度の狭さだった。高さに至っては、身長二メートル以上の人間が入ることを一切想定されていない。ケイロンの髪の毛先が、土の天井をわずかに触れていた。……背、高いな。
「何見てんだ、ハイドラ」
「いや、別に」
坑道を進むにつれ、段々と道が広くなってきた。姿勢を低くしていたせいで腰を気にしていたケイロンも、腕を伸ばして目一杯に伸びをした。
「この辺りは広いな」
「今までの道は、事故の後に俺がひとりで掘った坑道だ。三十年かけてな。だが、ここからは鉱山が稼働してた頃、みんなで掘ってた場所だから」
「みんな……鉱山仲間か。お前みたいに生き残った奴らはどうしてるんだ」
「死んだよ。もともと何にもできねぇ馬鹿が石の掘り方ばっかり教わったのが俺たちだ。それもできなくなって、あとは食いっぱぐれるか賊をやるか傭兵になるか、で、みんな死んでった」
職を失った者に対し、この国は厳しい現実を突きつけがちである。都市圏を離れた集落が盗賊や愚者によって簡単に捻り潰されるこの世界で、ティタノ王国は狭く頑強な都市圏を最大限に活用しようと『量より質』という理念に基づき、若年者の教育に熱心だ。その反面、職にあぶれた大人を切り捨てる考え方を持つ。
特に学のない労働者など、子供のための限られた教育リソースを割けず、最大の敵である愚者に対抗できる聖者でもない。その扱いは除け者というよりかは無関心だ。切り捨てた者が愚者となる恐れもあるが、国はそれを凌ぐ聖者を生み出すことを国家戦略としている。
「……せっかく生き残ったのに、お前以外、全員か」
「そうだ。いろいろ調べ回ったりもしたが、ダメだった。ここの鉱山は国営だったが、国も領主も生き残りを気にかけなかったせいで情報を追うのに苦労したんだぜ、全く……」
ドヴァーは握り拳を作り、壁をひとつ叩いた。トスッ、と軽い音を立てた壁から土埃……のような細かい粒が舞った。ランタンの光を反射し、煌びやかな粒子だった。それを吸い込んだドヴァーは苦しそうにした後、大きく咳払いをした。
「ゴァハッ!! ……ああ、クソ……」
「大丈夫か?」
「もう六十近くになる……ガタくらい来るさ。ケイロンだっけか? お前もそろそろ覚悟しとけよ……」
「余計なお世話だ。こんなところでころっと死ぬなよ?」
いよいよ坑道も、人が四人横並びになれるくらいに広がる。それに合わせ、壁と天井を支える木枠や台車などの設備も充実していく。
「主坑道に出る。事故の現場までもうすぐだ」
「軍が入ったのはその坑道だったんだよな、ケイロン」
「ああ、主坑道を十メートル進んだあたりで撤退し始めたがな」
真っ直ぐに伸びた大きな坑道である。主坑道の片側からは太陽の光が薄く差し込んでいるが、もう片側は深淵のような闇路が続いている。方々へ枝分かれする主坑道は人の往来も多かったのだろう、壁掛けの明かりがいくつも並んでおり、きちんと辺りを照らしている。
「明るいな」
「昨夜、軍が付けたんだ。奥の明かりなんざ、ほとんど意味なかったけど」
「遠方の宝珠で魔法を使うには、事前にそこに宝珠があることがわかっていないといけない。ある程度は内側の調査をしてたということか?」
「いいや、俺たちは昔、等間隔に明かり用の宝珠を並べた。外から軽く覗けばわかる。簡単な事だ、撤退するのに明かりを消さなかったような軍にとってもな」
軍の行動がぞんざいだった、と言わんばかりに、ドヴァーは軍を嘲った。そういえば、傭兵もやってたんだったか。
代わり映えのしない坑内を、ドヴァーは迷わず奥へ進んでいく。
ふと、ドヴァーが振り返った。
「ここだ」
指された指の先を追うと、不揃いな木の板が壁に打ち付けられていた。何かを封じ込める蓋のようなそれは、化け物を防ぐには心許ない薄さで劣化さえしていた。腕で軽く押しただけで、音を立てて崩れ去りそうだ。
つまり、この板を向こう側から打ち破ろうとする存在は無かったのだ。
「待て、ドヴァー」
「なんだ」
「ひとつ聞きたい。お前は王国に不信を抱いていたはずだ。だが、宝珠鉱山の鉱夫に戻れば、また王国の下で働くことになる。それはいいのか?」
「たしかに、国は嫌いだ。……だけどよ、それ以上に俺は、またパイスが栄えるのを見たいんだ。嫌なことくらい我慢するさ」
決意の籠った表情で、ドヴァーは板に手をかけた。ガスの問題を解決して、鉱山を再稼働させ、廃墟となってしまったパイスの町を再生するために。俺たちを案内することが、問題の解決に繋がると信じて。
「……開けてくれ」
「ハイドラ、気を付けろ。何か気配がする」
「風の音……か?」
板の奥から、ヒュー、という音がする。しかし、風は隙間だらけの板を超えてこない。
ケイロンは弓を構えた。閉ざされた坑道に、何かを察知したのだ。
ひとえに気配といっても、それは物理的なものに限らない。例えば訓練中の兵士がいやに神妙な雰囲気ならそこには上官がいるし、ゴキブリは一匹いれば千匹いる。
中で風が吹いているのに、それが外に漏れ出ないのは違和感があった。
──ガタ……。板が外れる。
化け物がいななくように、ゴウゴウと空気の揺れ動く音。
俺たちはいよいよ、事故の起こった坑道へ足を踏み入れた。
「ヒッ……」
「……これは、想像以上だ」
それは、坑道の中で渦巻いていた。赤色の風が竜巻のように、狭い坑道に吹き荒んでいる。風の音の正体だった。恐怖心をいたずらに煽る赤と、自然がその威容を誇示するような竜巻。それらが合わさった目の前の存在は、物言わずとも「帰れ」と警告した。
「なんだよ……これ。ガスがなんだ! やっぱり、化け物がいたんじゃねぇか!」
「ドヴァー、落ち着け。ケイロン、何かいると思わないか?」
「ああ。気配は、この中だ」
感じた気配は竜巻それ自体ではない。そう確信したのは、竜巻と同じ空間にあっても肌に風を感じなかったからだ。このような場所で発生した竜巻は、決して自然が起こした奇跡ではない。
ケイロンは弓を番えたまま退路の確認をし、考えを口にする。
「何かが風を操ってやがる。盗賊や兵士は殺しにかかり、ドヴァーとその同伴者には何もしない。ってことは、あの赤いのは……」
「ガス、か。見えないはずじゃ?」
「やばいのがあそこに密集してるんだ」
気配は、ガスを操る存在だった。
竜巻の中心に人形の影が見える。ドヴァーのように大柄だが、線は細い。こちらをうかがっているようだ。敵意はない……どころか、何もしなければガスを吸って倒れる俺たちからガスを隔離しているように見える。
「おい、あいつまさか……!」
「ドヴァー? 待て! 近付くな!」
俺の静止を聞かず、ドヴァーは竜巻に向かって走り出してしまった。足音はすぐに竜巻の轟音に掻き消え、赤い猛風によろけながらも人影の元へ駆け寄った。引き留めようとした時にはドヴァーはすでにガスの渦中。追いかけることもできなかった。
その時、竜巻の奥から声がした。
「マーフィ!!!!」
轟音を超える叫び声だった。友人との、三十年ぶりの再開だった。
「マーフィ……誰だ?」
「ドヴァーの、昔の鉱夫仲間だ。事故が起こった日に死んだはずだが……」
ケイロンの質問に答えながら、俺も新たな疑問を抱いた。マーフィは事故の際、仲間を守るべく後ろから迫る化け物に立ち向かった、と聞いている。生きているはずがない。
ドヴァーはマーフィに駆け寄ると、そのままの勢いで抱きついた。マーフィはよろけ、三十年来の友人と抱き合った。──実体はある。
「……! ケイロン、見ろ。あれは、聖者の光印だ。左腕にある」
「ああ、らしいな。輝いてる……だとすれば、誓約は?」
赤い竜巻の隙間から、その光は見えた。マーフィが聖者であることを示す光だ。
一般常識として、聖者は鉱夫のような単純労働者たりえない。聖者は人よりも力が強いが数が致命的に少なく、どんな労働者であっても聖者と化した時点で王国の管轄下に置かれ、剣槍や魔導の教練を受けることとなる。
「マーフィが聖者になったのはおそらく、事故があったその時だ。ドヴァーから聞いた状況を踏まえれば、誓約は……」
──仲間を守ること。
ケイロンは目を見開いた。だが、ありふれた誓約の内容だ。世の中には『海を守りたい』とかいって聖者になるような変人も存在するが、『誰かを守る』という誓約は二番目に多い。決して驚くようなことではない。
「仲間を……か。そりゃあ、ドヴァーのことだよな」
「そうだな。当時の鉱夫仲間のことだろうが、残ってるのはドヴァー一人だけだ」
竜巻の中で、ドヴァーとマーフィは大声で泣き喚いていた。雄々しい泣き声は、軍にいればそう珍しいものではなかった。
「うおおぉぉん!! マーフィィィ!!」
「ドヴァー……アァ……アイタ……ガッ……ダ……」
マーフィは酷い掠れ声だったが、非常に嬉しそうだ。三十年といつ年月は、俺には知り得ない。だが、それがどんな貴重なものかに関わらず、俺の左手に宿った愚者の灼印は、それを無に帰そうとしていた。
しかし、
「マーフィ……ゴボ……ゲハッ! ガ……アッ!」
「ドヴァー……?」
聖者に対する敵意が膨らむ前に、ドヴァーの影が、マーフィの足元に崩れ落ちた。蛙の鳴くような、声にならない音を地面に洩らすドヴァーの体を、マーフィは慟哭しつつ揺すった。
泣き声は姿を、意味を一変させた。
「ドヴァー! ガスを吸いやがったか! コレーはまだか!?」
「……ケイロン、下がるぞ!」
ドヴァーは動かなくなった。これはつまり、かつてこの鉱山で働いていた鉱夫が、マーフィを除いて全員死んだことを意味する。
「マーフィの鉱夫仲間が誰もいなくなった! 奴は、虚骸化する!!」
『仲間を守る』ことを誓約とする聖者が守るべき仲間を全て失う──。それは、聖者としての死を意味する。
竜巻の奥、マーフィの影が人の形を損じ、異形の生命体へと姿を変えた。
幅四メートルはある坑道を埋め尽くすようなドロドロとした塊は、身震いをするようにプルンと揺れた。竜巻が、その虚骸に吸い込まれていく。
巨大な水泡の如き軟体の異形が、俺たちの前に現れた。
なりたくない虚骸として常に上位にあがる──スライム、である。
「スライムだな……まだ御し易い相手だ! ハイド──」
先手を取ったのは、宝珠の原石を液体にしたような七色のスライムだった。竜巻を吸い込んだ穴から、今度は暴風をこちらへ浴びせてきたのだ。
「ゴボ……! ガ……ガァア!?」
それが致命的な一撃だと気付いたのは、喉を切り裂くような勢いの咳が止まらず、ついに血を吐いた時だった。
意識が遠のいていく。ガスを吸ってしまった。
今までは、マーフィがドヴァーのついでに俺たちがガスを吸い込まないようにしてくれていただけだった。立ち入れば死ぬ空間で生かされていたのだ。だが、マーフィは虚骸と化し、あらゆる感情を廃した。
スライムは地を這うナメクジのように音も無く、膝をつく俺たちを飲み込まんと接近する。竜巻を吸い吐き出した穴がスライムの口である。それは用途によって数も大きさも変容する口で、今は人が通れる穴が二つ、こちらを向いていた。
力を振り絞り、腰の剣に手をかける……が、握るだけの力が湧き出ない。
──こんなところで……終わりなのか。
圧倒的に不利なフィールドだった。仮に主導権を取ったとして、勝てる戦いではなかった。
右足が柔らかい物質に触れるやいなや、水泡に飲み込まれていく。体を支える腕は肘が折れ、落ちた血で頬が濡れる。
死ぬ。
終わる。
所詮、俺はヘルクリーズの腰巾着だったのか。聖者になれさえすればあいつに肩を並べられると評された俺の実態は、不利な盤面を覆す力など微塵も持たないただの一兵卒だったのか。
いや、違う。違わなければならない。
敵は王国、教会、聖者。ヘルクリーズへ復讐するなら、この王国、世界全てが、不利盤面だ。俺はそれを覆さなければならない。覆せる存在でなければならない。
勝機を逸するな。勝利を諦めるな。
──まだ終わっていないはずだ……!!
「二人とも! 大丈夫!?」
声がした。優しい声だ。俺が落ち込んでいる時、いつも支えてくれた……勇気をくれたあの声。
腕に力が戻る。すかさず柄を握りしめ、無感情に足を咥えるスライムを、横一文字に切り裂いた。
怯んだスライムはガスを吐き出して退くが、もはやガスを吸っても体は自由に動かせた。
「ハイドラ! 血が……!」
俺を心配する声と共に、あざだらけになった足が魔法で回復していく。
懐かしい感覚だ。敵陣に突貫するヘルクリーズに無理して追随しボロボロになった俺を、心身ともに慰めてくれた暖かい魔法……。
「意識はある……! 私のこと、わかる!?」
「姉さ…………」──違う。
「……え?」
「いや、コレーか。ありがとう、助かった。ガスに対抗する魔法が分かったんだな!」
「う、うん」
コレーが俺たちを見つけ出し、救ってくれた。戦闘音はほとんどしなかったはずだが……コレーの灼印は、誓約の対象である愚者の存在を感知できるのかもしれない。同様の能力を、今代の教皇も身につけている。
「おいおい……俺の、ことも、心配してくれよ……」
ケイロンはおちゃらけたようにそう言い、ヘロヘロと立ち上がった。
「ケイロン、大丈夫か? 俺よりだいぶしんどそうだが」
「……歳かよ、まだいけるがな」
改めて、虚骸化したマーフィと対峙する。
「コレー。アルテミスは住民の避難を始めたか?」
「うん。派遣された兵と街の駐屯兵も合わせて、軍総出で住民を退避させてくれてる」
「なら、いいな」
アルテミスは住民の命を優先する。わかりきっていたことだ。
死にかけこそしたが、計画の続行は可能だ。スライムを撃破し、コルトスに吹き下ろす風に有毒ガスを乗せる。王都に最も近いコルトスの港を麻痺させるのだ。
「いくぞ」
最後まで柄を離さなかった手に、グッと力を込めた。
「ハイドラ。こっちのおっさんがケイロンだ」
廃墟の地下に住んでいた男と、鉱山地帯の端も端で合流した。
ドヴァーと名乗る男は、一本のツルハシと少量の宝珠の原石を持って現れた。悲しいことに、どうやらそれが彼の総資産である。ぶつぶつと文句を垂れながら肩を落とすドヴァーは、俺と別れた後、地下室からの立ち退きを余儀なくされたのだ。
「なんというか、同情するぜ」
「……軍の野郎ども、俺の家を占領しやがって……」
「見つかってはないんだろ。まあ、時間の問題だろうが」
軍営には廃墟も使用された。所有者などいないし、残った壁に幕を貼れば雨風を凌げる天幕より丈夫な建物となるのだから、使用しない手はない。不法でこそあれ、所有者がいたことは軍の想定外である。
今はちょうど、コレーがアルテミスと面会している時間だろう。
不機嫌そうなドヴァーを先頭に、軍の認識外にある入り口から狭い坑道へ入っていく。
「ここをずっと進めば、主坑道に辿り着く」
「ガスは、ここまで来てないのか?」
「……いや」
ケイロンの質問に、ドヴァーは坑道の傍を指差して答えた。
死体──盗賊のものだろうか、身なりの悪い腐敗したものが、入り口を少し進んだ場所に複数並んでいる。気味の悪いそれらの死体は、目に見えないガスの代わりに侵入者を防ぐ結界の役割を成しているようだ。ここより先を侵すとお前もこうなるのだぞ、と。
死体の転がるこの場所が鉱山の端だということは、ガスは坑道の全域に及んでいると考えるべきである。
「で? なんでお前は、それで死んでないんだ。事故の後も、鉱山に入って宝珠を採ってたんだろ?」
「知らねぇよ。ただ、経験則でしかないが、俺と一緒に坑道に入った奴は被害に合わん」
「どんな理屈だよ。本当に大丈夫だろうな」
「信じたくないなら帰れ。俺は行く」
「待て、アンタの目的はなんなんだよ、ドヴァー」
ケイロンがドヴァーを引き留め、たずねた。
ドヴァーは俺たちを親切心から案内してくれたわけではない。彼には彼なりの目的がある。
「ガスとやらの問題を解決すれば、俺はまたまともな鉱夫になれる。パイスの街が、また蘇るんだ」
「鉱山の復活が目的か。パイスってのは、あの廃墟だな」
「とにかく、事故が起こった坑道まで連れていってくれ」
ドヴァーには、「ガスを消滅させる有効な手段がある」と説明している。それが誰にも明かせない方法なのだとも。
俺の言葉を信じ、ドヴァーは坑道の案内をした。信じていないのだとしても、三十年前に鉱山を追われ、そして昨日地下室を追われ、二度も全てを失ったドヴァーにとっては藁をも掴む思いだろう。
だが、俺にはドヴァーの夢を叶えさせてやることができない。そもそも、叶えさせてやるつもりもなかった。
(なぁ、おっさん。コレーは上手くやってるかな)
(信じるしかねえな。アルテミスなら、住民避難の必要性を少しでも感じればすぐに行動に移すはずだから、あとはコレー次第だ)
(コレーに重要な役割を押し付けすぎたか? あいつにそこまでしてくれる義理があるか?)
(いや……命救ったんだろ? 一生でもかけてくれんじゃ?)
(人を信じすぎだ)
「何喋ってんだ、お前ら?」
「いや、こっちの話だよ」
坑道は木組の枠が均等に並んだ土壁の空間で、人が二人並べない程度の狭さだった。高さに至っては、身長二メートル以上の人間が入ることを一切想定されていない。ケイロンの髪の毛先が、土の天井をわずかに触れていた。……背、高いな。
「何見てんだ、ハイドラ」
「いや、別に」
坑道を進むにつれ、段々と道が広くなってきた。姿勢を低くしていたせいで腰を気にしていたケイロンも、腕を伸ばして目一杯に伸びをした。
「この辺りは広いな」
「今までの道は、事故の後に俺がひとりで掘った坑道だ。三十年かけてな。だが、ここからは鉱山が稼働してた頃、みんなで掘ってた場所だから」
「みんな……鉱山仲間か。お前みたいに生き残った奴らはどうしてるんだ」
「死んだよ。もともと何にもできねぇ馬鹿が石の掘り方ばっかり教わったのが俺たちだ。それもできなくなって、あとは食いっぱぐれるか賊をやるか傭兵になるか、で、みんな死んでった」
職を失った者に対し、この国は厳しい現実を突きつけがちである。都市圏を離れた集落が盗賊や愚者によって簡単に捻り潰されるこの世界で、ティタノ王国は狭く頑強な都市圏を最大限に活用しようと『量より質』という理念に基づき、若年者の教育に熱心だ。その反面、職にあぶれた大人を切り捨てる考え方を持つ。
特に学のない労働者など、子供のための限られた教育リソースを割けず、最大の敵である愚者に対抗できる聖者でもない。その扱いは除け者というよりかは無関心だ。切り捨てた者が愚者となる恐れもあるが、国はそれを凌ぐ聖者を生み出すことを国家戦略としている。
「……せっかく生き残ったのに、お前以外、全員か」
「そうだ。いろいろ調べ回ったりもしたが、ダメだった。ここの鉱山は国営だったが、国も領主も生き残りを気にかけなかったせいで情報を追うのに苦労したんだぜ、全く……」
ドヴァーは握り拳を作り、壁をひとつ叩いた。トスッ、と軽い音を立てた壁から土埃……のような細かい粒が舞った。ランタンの光を反射し、煌びやかな粒子だった。それを吸い込んだドヴァーは苦しそうにした後、大きく咳払いをした。
「ゴァハッ!! ……ああ、クソ……」
「大丈夫か?」
「もう六十近くになる……ガタくらい来るさ。ケイロンだっけか? お前もそろそろ覚悟しとけよ……」
「余計なお世話だ。こんなところでころっと死ぬなよ?」
いよいよ坑道も、人が四人横並びになれるくらいに広がる。それに合わせ、壁と天井を支える木枠や台車などの設備も充実していく。
「主坑道に出る。事故の現場までもうすぐだ」
「軍が入ったのはその坑道だったんだよな、ケイロン」
「ああ、主坑道を十メートル進んだあたりで撤退し始めたがな」
真っ直ぐに伸びた大きな坑道である。主坑道の片側からは太陽の光が薄く差し込んでいるが、もう片側は深淵のような闇路が続いている。方々へ枝分かれする主坑道は人の往来も多かったのだろう、壁掛けの明かりがいくつも並んでおり、きちんと辺りを照らしている。
「明るいな」
「昨夜、軍が付けたんだ。奥の明かりなんざ、ほとんど意味なかったけど」
「遠方の宝珠で魔法を使うには、事前にそこに宝珠があることがわかっていないといけない。ある程度は内側の調査をしてたということか?」
「いいや、俺たちは昔、等間隔に明かり用の宝珠を並べた。外から軽く覗けばわかる。簡単な事だ、撤退するのに明かりを消さなかったような軍にとってもな」
軍の行動がぞんざいだった、と言わんばかりに、ドヴァーは軍を嘲った。そういえば、傭兵もやってたんだったか。
代わり映えのしない坑内を、ドヴァーは迷わず奥へ進んでいく。
ふと、ドヴァーが振り返った。
「ここだ」
指された指の先を追うと、不揃いな木の板が壁に打ち付けられていた。何かを封じ込める蓋のようなそれは、化け物を防ぐには心許ない薄さで劣化さえしていた。腕で軽く押しただけで、音を立てて崩れ去りそうだ。
つまり、この板を向こう側から打ち破ろうとする存在は無かったのだ。
「待て、ドヴァー」
「なんだ」
「ひとつ聞きたい。お前は王国に不信を抱いていたはずだ。だが、宝珠鉱山の鉱夫に戻れば、また王国の下で働くことになる。それはいいのか?」
「たしかに、国は嫌いだ。……だけどよ、それ以上に俺は、またパイスが栄えるのを見たいんだ。嫌なことくらい我慢するさ」
決意の籠った表情で、ドヴァーは板に手をかけた。ガスの問題を解決して、鉱山を再稼働させ、廃墟となってしまったパイスの町を再生するために。俺たちを案内することが、問題の解決に繋がると信じて。
「……開けてくれ」
「ハイドラ、気を付けろ。何か気配がする」
「風の音……か?」
板の奥から、ヒュー、という音がする。しかし、風は隙間だらけの板を超えてこない。
ケイロンは弓を構えた。閉ざされた坑道に、何かを察知したのだ。
ひとえに気配といっても、それは物理的なものに限らない。例えば訓練中の兵士がいやに神妙な雰囲気ならそこには上官がいるし、ゴキブリは一匹いれば千匹いる。
中で風が吹いているのに、それが外に漏れ出ないのは違和感があった。
──ガタ……。板が外れる。
化け物がいななくように、ゴウゴウと空気の揺れ動く音。
俺たちはいよいよ、事故の起こった坑道へ足を踏み入れた。
「ヒッ……」
「……これは、想像以上だ」
それは、坑道の中で渦巻いていた。赤色の風が竜巻のように、狭い坑道に吹き荒んでいる。風の音の正体だった。恐怖心をいたずらに煽る赤と、自然がその威容を誇示するような竜巻。それらが合わさった目の前の存在は、物言わずとも「帰れ」と警告した。
「なんだよ……これ。ガスがなんだ! やっぱり、化け物がいたんじゃねぇか!」
「ドヴァー、落ち着け。ケイロン、何かいると思わないか?」
「ああ。気配は、この中だ」
感じた気配は竜巻それ自体ではない。そう確信したのは、竜巻と同じ空間にあっても肌に風を感じなかったからだ。このような場所で発生した竜巻は、決して自然が起こした奇跡ではない。
ケイロンは弓を番えたまま退路の確認をし、考えを口にする。
「何かが風を操ってやがる。盗賊や兵士は殺しにかかり、ドヴァーとその同伴者には何もしない。ってことは、あの赤いのは……」
「ガス、か。見えないはずじゃ?」
「やばいのがあそこに密集してるんだ」
気配は、ガスを操る存在だった。
竜巻の中心に人形の影が見える。ドヴァーのように大柄だが、線は細い。こちらをうかがっているようだ。敵意はない……どころか、何もしなければガスを吸って倒れる俺たちからガスを隔離しているように見える。
「おい、あいつまさか……!」
「ドヴァー? 待て! 近付くな!」
俺の静止を聞かず、ドヴァーは竜巻に向かって走り出してしまった。足音はすぐに竜巻の轟音に掻き消え、赤い猛風によろけながらも人影の元へ駆け寄った。引き留めようとした時にはドヴァーはすでにガスの渦中。追いかけることもできなかった。
その時、竜巻の奥から声がした。
「マーフィ!!!!」
轟音を超える叫び声だった。友人との、三十年ぶりの再開だった。
「マーフィ……誰だ?」
「ドヴァーの、昔の鉱夫仲間だ。事故が起こった日に死んだはずだが……」
ケイロンの質問に答えながら、俺も新たな疑問を抱いた。マーフィは事故の際、仲間を守るべく後ろから迫る化け物に立ち向かった、と聞いている。生きているはずがない。
ドヴァーはマーフィに駆け寄ると、そのままの勢いで抱きついた。マーフィはよろけ、三十年来の友人と抱き合った。──実体はある。
「……! ケイロン、見ろ。あれは、聖者の光印だ。左腕にある」
「ああ、らしいな。輝いてる……だとすれば、誓約は?」
赤い竜巻の隙間から、その光は見えた。マーフィが聖者であることを示す光だ。
一般常識として、聖者は鉱夫のような単純労働者たりえない。聖者は人よりも力が強いが数が致命的に少なく、どんな労働者であっても聖者と化した時点で王国の管轄下に置かれ、剣槍や魔導の教練を受けることとなる。
「マーフィが聖者になったのはおそらく、事故があったその時だ。ドヴァーから聞いた状況を踏まえれば、誓約は……」
──仲間を守ること。
ケイロンは目を見開いた。だが、ありふれた誓約の内容だ。世の中には『海を守りたい』とかいって聖者になるような変人も存在するが、『誰かを守る』という誓約は二番目に多い。決して驚くようなことではない。
「仲間を……か。そりゃあ、ドヴァーのことだよな」
「そうだな。当時の鉱夫仲間のことだろうが、残ってるのはドヴァー一人だけだ」
竜巻の中で、ドヴァーとマーフィは大声で泣き喚いていた。雄々しい泣き声は、軍にいればそう珍しいものではなかった。
「うおおぉぉん!! マーフィィィ!!」
「ドヴァー……アァ……アイタ……ガッ……ダ……」
マーフィは酷い掠れ声だったが、非常に嬉しそうだ。三十年といつ年月は、俺には知り得ない。だが、それがどんな貴重なものかに関わらず、俺の左手に宿った愚者の灼印は、それを無に帰そうとしていた。
しかし、
「マーフィ……ゴボ……ゲハッ! ガ……アッ!」
「ドヴァー……?」
聖者に対する敵意が膨らむ前に、ドヴァーの影が、マーフィの足元に崩れ落ちた。蛙の鳴くような、声にならない音を地面に洩らすドヴァーの体を、マーフィは慟哭しつつ揺すった。
泣き声は姿を、意味を一変させた。
「ドヴァー! ガスを吸いやがったか! コレーはまだか!?」
「……ケイロン、下がるぞ!」
ドヴァーは動かなくなった。これはつまり、かつてこの鉱山で働いていた鉱夫が、マーフィを除いて全員死んだことを意味する。
「マーフィの鉱夫仲間が誰もいなくなった! 奴は、虚骸化する!!」
『仲間を守る』ことを誓約とする聖者が守るべき仲間を全て失う──。それは、聖者としての死を意味する。
竜巻の奥、マーフィの影が人の形を損じ、異形の生命体へと姿を変えた。
幅四メートルはある坑道を埋め尽くすようなドロドロとした塊は、身震いをするようにプルンと揺れた。竜巻が、その虚骸に吸い込まれていく。
巨大な水泡の如き軟体の異形が、俺たちの前に現れた。
なりたくない虚骸として常に上位にあがる──スライム、である。
「スライムだな……まだ御し易い相手だ! ハイド──」
先手を取ったのは、宝珠の原石を液体にしたような七色のスライムだった。竜巻を吸い込んだ穴から、今度は暴風をこちらへ浴びせてきたのだ。
「ゴボ……! ガ……ガァア!?」
それが致命的な一撃だと気付いたのは、喉を切り裂くような勢いの咳が止まらず、ついに血を吐いた時だった。
意識が遠のいていく。ガスを吸ってしまった。
今までは、マーフィがドヴァーのついでに俺たちがガスを吸い込まないようにしてくれていただけだった。立ち入れば死ぬ空間で生かされていたのだ。だが、マーフィは虚骸と化し、あらゆる感情を廃した。
スライムは地を這うナメクジのように音も無く、膝をつく俺たちを飲み込まんと接近する。竜巻を吸い吐き出した穴がスライムの口である。それは用途によって数も大きさも変容する口で、今は人が通れる穴が二つ、こちらを向いていた。
力を振り絞り、腰の剣に手をかける……が、握るだけの力が湧き出ない。
──こんなところで……終わりなのか。
圧倒的に不利なフィールドだった。仮に主導権を取ったとして、勝てる戦いではなかった。
右足が柔らかい物質に触れるやいなや、水泡に飲み込まれていく。体を支える腕は肘が折れ、落ちた血で頬が濡れる。
死ぬ。
終わる。
所詮、俺はヘルクリーズの腰巾着だったのか。聖者になれさえすればあいつに肩を並べられると評された俺の実態は、不利な盤面を覆す力など微塵も持たないただの一兵卒だったのか。
いや、違う。違わなければならない。
敵は王国、教会、聖者。ヘルクリーズへ復讐するなら、この王国、世界全てが、不利盤面だ。俺はそれを覆さなければならない。覆せる存在でなければならない。
勝機を逸するな。勝利を諦めるな。
──まだ終わっていないはずだ……!!
「二人とも! 大丈夫!?」
声がした。優しい声だ。俺が落ち込んでいる時、いつも支えてくれた……勇気をくれたあの声。
腕に力が戻る。すかさず柄を握りしめ、無感情に足を咥えるスライムを、横一文字に切り裂いた。
怯んだスライムはガスを吐き出して退くが、もはやガスを吸っても体は自由に動かせた。
「ハイドラ! 血が……!」
俺を心配する声と共に、あざだらけになった足が魔法で回復していく。
懐かしい感覚だ。敵陣に突貫するヘルクリーズに無理して追随しボロボロになった俺を、心身ともに慰めてくれた暖かい魔法……。
「意識はある……! 私のこと、わかる!?」
「姉さ…………」──違う。
「……え?」
「いや、コレーか。ありがとう、助かった。ガスに対抗する魔法が分かったんだな!」
「う、うん」
コレーが俺たちを見つけ出し、救ってくれた。戦闘音はほとんどしなかったはずだが……コレーの灼印は、誓約の対象である愚者の存在を感知できるのかもしれない。同様の能力を、今代の教皇も身につけている。
「おいおい……俺の、ことも、心配してくれよ……」
ケイロンはおちゃらけたようにそう言い、ヘロヘロと立ち上がった。
「ケイロン、大丈夫か? 俺よりだいぶしんどそうだが」
「……歳かよ、まだいけるがな」
改めて、虚骸化したマーフィと対峙する。
「コレー。アルテミスは住民の避難を始めたか?」
「うん。派遣された兵と街の駐屯兵も合わせて、軍総出で住民を退避させてくれてる」
「なら、いいな」
アルテミスは住民の命を優先する。わかりきっていたことだ。
死にかけこそしたが、計画の続行は可能だ。スライムを撃破し、コルトスに吹き下ろす風に有毒ガスを乗せる。王都に最も近いコルトスの港を麻痺させるのだ。
「いくぞ」
最後まで柄を離さなかった手に、グッと力を込めた。
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