現代に転生した賢者は推しの国民的アイドルと恋愛中♡

HOBU

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第3話 2年振りの再会

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国民的アイドルグループ【LOVEFUL】のセンターである水瀬心依が、何故か一般人である俺に躊躇いもなく抱き付いたのだ。
しかも、彼女は俺の名前を知っていた。
握手会では確かに何度も接触はしている。
が、それはファンと推しの関係であり、それ以上の関係性はない。
俺と彼女の接点はそれしかない為、全く持って心当たりが無いのだ。
何故このような状況に至ったのか全く見当がつかない。
国民的アイドルの心依が一般男子に抱き付いたシーンを目撃した他のファン達の悲鳴と絶叫が館内に轟いた。

「うわあああぁぁぁぁ!!!!!!」
「きゃあああぁぁぁぁ!!!!!!」

悲鳴や絶叫だけでなく、号泣するファンも中にはいた。
館内はカオス状態と化した。

「ちょ、ちょっと、心依ちゃん!?」
「何ですか、陽翔君?」

天使のような表情でチラッと俺を見つめる。
俺の身長が175cmある為が、彼女は足の指先を上げて背を高くし、俺の顔を見つめる為に下から見上げている。
その仕草が途轍もなく可愛い。

「い、いつまで抱きついてるんですか!?」
「私に抱きつかれるのそんなに嫌だった?」
「嫌じゃないです!……寧ろ、嬉しいです!」
「じゃあ~離さない♡ だって、やっと陽翔君に会えたんだもん♡」

何なのだ……この展開は!?
展開が斜め上すぎて、思考が追い付かない!

心依ちゃんにギュッと抱きしめられた俺はたじたじで、顔面を真っ赤にし悶絶していた。

「やっと会えた? さっきからずっと気になってたんだけど……俺、心依ちゃんとどこかであった事があるのかな?」
「陽翔君、もしかして覚えてないの?」
「え? ご、ごめん……会った記憶が無いと思うんだけど……」
「2年前の事を忘れちゃったの?」

2年前? 2年前に何かあったか?

やっぱり何も思い出せないと頭をぐしゃぐしゃにしていると、心依ちゃんが2年前にあった出来事を簡潔に説明してくれた。

「2年前、中学2年だった私と池袋で会ってるんだよ?」
「へ? 池袋?」

心依ちゃんの口から「中学2年」「池袋」という2つのキーワードが出た。
その2つのキーワードを聞いた事ででうっすらと昔の記憶が浮上した。

「酷いな。また思い出せない?」
「……もしかして、池袋の路上で高校生に絡まれていた中学生の女の子?」
「正解♪ その中学生の女の子が私だったんだよ♡」
「えっ!? 全然別人だったじゃないか!?」
「【LOVEFUL】の水瀬 心依として池袋でふらふらする訳ないでしょ? あの時の私は変装してたんだよ(笑)」

心依ちゃんの口から衝撃的な発言がスラッと出た。
その発言に俺は唖然とするしかなかった。

デビュー時からずっと応援していた推しとそんな出会いをしていたとは想像もしてなかった。

「全然気が付かなかった……ファンとして最低だ」
「確かに忘れられていたのはショックだったな……」
「ご、ごめん! あの時の君の事は普通の中学生の女の子だと思っていたから!」
「冗談、冗談だよ(笑) それにちゃんと思い出してくれたから私は嬉しいよ♡」

満面な笑みを浮かべる心依ちゃんを見て、俺は頬を赤くしてデレデレしていた。
会話を重ねていると、俺の背後から殺意と冷たい視線を感じた。
俺と心依ちゃんがまだ抱き合っている事が原因だと思われる。

「な、何で、あの男は心依ちゃんと抱き合っているんだ!?」
「お互いの事を知ってるみたいだけど、あの二人どんな関係なんだ?」

館内は俺と心依ちゃんの事でざわついていた。

「これって不味いんじゃ?」
「私はこのままでも大丈夫だよ(笑)」
「全然大丈夫じゃないでしょ!?」

どんどんファン達の視線が殺意へと変わっていく。
もうカオスでしかない。
とその時、明らかに他と異なる殺意が俺ではなく、心依ちゃんに向けている事に感知した俺はある方角へと振り向いた。
振り向いた先には、気絶していた筈の男がナイフを構え心依ちゃんを刺突しようとしていた。

「きゃあ!」
「心依ちゃん、ごめん!」

が、既に感知していた俺は身を呈にして心依ちゃんを守りつつ瞬時に相手の懐に入り、右手でナイフを握っている左手首を捻りナイフを地面に落とす。
左手で相手の左肩を支えて、右手で左腕を捻り上げる。
相手が抵抗出来ないように身動きを封じた。

「ぐわっ!?」
「……そうはさせないよ」
「何故、気付いた……」
「気絶のふりをしていた事か? あんな殺気が漂っていたら気絶してないって直ぐに分かるよ……あんた、軍人の人間だろ?」
「なっ!? な、何故その事を!?」
「さぁ、何故でしょう(笑)」

正体を俺に知られた事で男の顔が青ざめていく。
力で抵抗しつつも、俺が腕を抑制していた為、全く身動きが取れず焦りを見せていた。

「あんたがどんな人間だろうが俺は知った事じゃない! だがな、あんたは心依ちゃんのファンだったんだろ? 何故、彼女を悲しませるような行為をした!」
「心依は俺の物だ! 俺が心依をどうしようとお前には関係ないだろ!」

と言われた瞬間、俺は更に力強く腕を抑えつけた。

「がっ!?」
「それはあんたのエゴだろうか! ファンが推しを泣かしてんじゃねえよ!」
「陽翔君……」
「こ、この野郎……」

男は怒り狂った顔で俺を睨み付けた。
自分のした事に反省も理解も全くしてない様子だった。

「陽翔氏、大丈夫でありますか!」
「お! 裕太!」
「その男が銃撃事件の犯人ですな?」
「あぁ、そうだ……」
「陽翔君、彼は?」
「こいつ? こいつは俺の幼馴染みの裕太だよ」
「よろしくね、裕太君」
「よろしくお願いします……って!? こ、心依氏!?」

普通に俺から心依ちゃんを自己紹介された裕太は言葉を失い唖然としていた。

「……ど、どういう事ですか、これは!?」
「どうもこうも、色々とあったとしか説明が出来ない……」

裕太に2年前の事を説明した。
意外と俺よりも2年前の事を覚えていた。

「その時の事なら覚えていますよ。約束の場所に陽翔氏は血だらけになって現れたのですから」
「よく2年前の事を覚えてだな(笑)」
「2年前の池袋と言えば、【LOVEFUL】のイベントでしたからね」
「【LOVEFUL】に関してはさすがだわ」
「そのお言葉、褒め言葉として受け取ります(笑)」
「2人って仲が良いんだね。何だか妬けるな……」

俺達2人に嫉妬しているようだ。
国民的アイドルに嫉妬されるのはそれはそれで嬉しくはある。

「心依! 心依は無事なの!?」
「ん? この声は明日羽ちゃん?」

すると、別のブロックから血相を変えて【LOVEFUL】のリーダーである雛森 明日羽が駆けつけてきた。

「どこも怪我してない? 頭は? 手は? 足は?」
「だ、大丈夫だよ。あすちゃん」

駆けつけた途端、顔を青ざめながら心依ちゃんの身体を隅から隅までチェックしていく。

「明日羽氏は心配性ですからね。特に心依氏なるとどうしても心配になってしまうんでしょう。心依氏の事を本当の妹のように可愛がっていますからね」
「それだけ大切な存在って事だろ? 本当の姉妹のように見えるよ」
「そうですね。微笑ましい光景です」

心依ちゃんと明日羽の関係性に心身癒されていると、ファン達がいる方角から俺に向ける殺気を感じた。

「……あんたが犯人ね?」
「へ?」

と、言いながら女性がスッと心依ちゃんと明日羽の横を通った瞬間、助走をつけて疾走してくる。

「へ!? なっ!?」
「チェストーーー!!!!!!」

地面を強く蹴り上げ飛躍し、右膝を曲げ、そのまま飛び膝蹴りを俺の顔面へと命中させた。
女性の膝は俺の顔面にメリメリとめり込んだ。

「うっ!?」
「決まった!」

飛び膝蹴りを食らった俺は見事に吹き飛び、地面に背を向けて倒れた。
あっという間の出来事に周囲にいた者達は全員目が点になり唖然としていた。

「心依! 悪い奴はやつけたぞ!」
「い、いきなり、何なんだよ!?」

見覚えのある女性に飛び膝蹴りを食らった俺は何がなんだか訳が分からなかった。



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