前世女子高生の私は今、悪役令嬢を経て月の女神と呼ばれてますけどムカついたヤツはぶん殴る肉体派ですわ!

DAKUNちょめ

文字の大きさ
35 / 52
第二章•魔王編

34話◆魔王のお世話係、おかん降臨。

しおりを挟む
夜の森の中で、スティーヴンが小さな光の球を出す。

暗くて視界が悪いので、ライトを出したような感じだ。



「はじめまして、私はスティーヴン。
昔はラジェアベリアという国の王をしていました。
今は、レオンハルト殿とディアーナ嬢の友人であり、神の世界で従者をしております。」



「王様…父上と同じだ。…同じです…。

俺…僕は、ディアナンネ国の第一王子、ライアンです。」



大人の男性に対等な立ち位置で敬語で話された経験が無いライアンは少しばかり緊張気味で、言葉を探し選びながら返事をする。

スティーヴンは微笑みつつ、そんなライアンの本音を聞きたくてわざと意地悪な言葉を投げた。



「先ほども言いましたが、君にはロージア様と結婚する資格はありません。」



「何でだよ!!」



投げた言葉を真っ正面から受け取り、せっかく被った猫もかなぐり捨てて食って掛かって来たライアンに、スティーヴンは苦笑する。



「君は、すぐ何で?って聞くんだね。聞けば誰か答えてくれるのかな?
自分で何故かを考えたりしないのは…そう、それは何で?」



スティーヴンはライアンの質問に、同じように質問を投げ返した。



「…!そ、それは…俺、馬鹿だから…分からないから…。」



「誰かに聞かないと分からない馬鹿だから…
それでは、そんな馬鹿な男が神に名を連ねる魔王の夫として相応しくないのは分かるよね?
それすらも、何で?と尋ねる?」



ライアンは黙りこくってしまった。

ロージアの見た目が少年のようではあるが美しい少女で、普通に会話が出来る相手だと認識した時から、ロージアが神の一族の一人だという事を、そんな大した事ではないと思い込んでいた。

父が怒った理由を、改めて知った気がした。

神を冒涜したのだと、父は言いたかったんだ。



「……ロージアは神で……俺は、ただの人間…です。
…だから、俺が馬鹿じゃなくても……
きっと、結婚する資格はない……」



スティーヴンは微笑みながら頷いた。



「良かった、ただの馬鹿なだけの子じゃなくて。
…まあ、悪いのは君だけじゃないよ。
君の気持ちを暴走させた馬鹿な夫婦の責任でもあるし。
特に妻の方ね。」



地べたに座り込んだままのオフィーリアが「てへ!」的な顔をしている。

ウザイのでスルーする。お前の妻の事だ。



「もし君が、ロージア様と結婚出来なくてもロージア様を守り、側に居たいと思ってくれるのであれば…
このままレオンハルト殿達と旅を続けてもらい、腕を磨いて欲しいのと…
私としては、君に魔王の従者をしてもらえないかと。
この際、補佐でも側近でも執事でも何でもいいんだけどね。」



「……ジャーマネとか?」



オフィーリアが口を挟む。どこの世界の言葉だそれ。

やかましいわ。黙ってろ。



「魔王と呼ばれるけど、ロージア様もまだ幼い。
もっと色々見聞を広げて貰いたい。
破滅を導く神とは言えど、良い事も悪い事もたくさん見て、経験して欲しい。
……君に、その手助けをして貰いたいと、私は思っている。」



スティーヴンの話を黙ったまま聞いていたライアンが、真剣な面持ちでスティーヴンを見る。

強い意志を宿した瞳を向けると、自身の決意を語る。



「俺は、ロージア…を魔王にさせたくない。
だから…その為に人を殺さなきゃいけないなら…ロージアの為になら、出来る。
俺は人間だから、ディアーナ姉ちゃん達みたいに長生き出来ないけど、俺が生きてる間だけでもロージアを守る。」



スティーヴンとオフィーリアは、感心したようにライアンを見る。

ただのアホな子じゃなくて良かったと。



「良かった…。では、私は帰ります。
時々様子を見に来ますよ。
ライアン君は、あの夫婦の暴走に巻き込まれて馬鹿度をパワーアップさせないように。
また、ロージア様を嫁にするだの、何で?だの、ほざいていたら私が斬り倒しますからね。」



スティーヴンはクルリとオフィーリアの方を見る。



「レオンハルト殿。オフィーリアではなく、レオンハルト殿。

いい加減、目を覚まして下さい。
とりあえずレオンハルト殿に戻って、そういうクソみたいなお悩み相談は後日、誰も居ない場所で夫婦二人で解決して下さい。
ディアーナ嬢も……ずっと隠れて様子を伺っていたの気付いてましたからね。
あんたら、えー加減にしとけ?」



にこやかな笑顔とは裏腹に、寒々とした空気を纏いディアーナの隠れている場所に向かい声を掛けると、スティーヴンは足元の地面を指差す。



「お二人には、ライアン君を預かっている責任があります。
青少年を正しい道に導いてあげるのも、大人の役目ですよ。
ディアーナ嬢、姿が16歳だからって、大人じゃないもん女の子だもんとか言うのは無しですよ?
……とにかく、反省しなさい。」



おかんが、怒っている……。


ディアーナとオフィーリアはスティーヴンの指差した場所に行き、正座した。



「いいですか?あなた方は、だいたいいつもいつも……」



おかんの長い説教が始まった……早く帰って下さい…。

スティーヴンの前に並んで正座する、ディアーナとオフィーリアの思考がシンクロした。









「まぁ、では話はまとまったけど……
何だか、おかしな問題が浮上してますわね。」



スティーヴンの湯飲みに、新たに玄米茶を注ぎながらウィリアが苦笑している。



「私を呼び出した元々の理由を忘れてパニックになっていたが…それは私には無関係だ。知らん。
後は二人で何とかしてくれればいい。」



「……いい気味ですわねぇ。」「だろう?」



二人で茶をすすりながらほくそ笑む。



「あの夫婦は散々、我々を振り回して好き勝手やってきたんだ。少し位苦しんどけ。
……いつもはレオンハルト殿が折れるが、今回はどうかな?」



「レオンハルト様は、ディアーナ様に甘いですもの。
今回も逃げ切るのでは?」



実は何年かの周期で、今回のようなオフィーリア暴走が起こる。

毎回、ディアーナがあーだこーだ言って逃げ切っている。



「まあ、愛していても身体を重ねるとなったら…気持ちは分からなくはないが…。」


「あら、わたくしはスティーヴンが女性でも構いませんわよ?女性同士になっても愛しますわ。」



スティーヴンが茶を吹く。



「えっ…?」



「逆に、わたくしが男性になっても…
わたくしはスティーヴンを受け入れますわよ?
男性同士でも。」



少し意地の悪い笑顔を向けウィリアが言う。



「勿論、スティーヴンが女性でわたくしが男性になったならば、受け入れて貰いますし。」



スティーヴンが頭を抱えた。

ディアーナ嬢の事を、いい気味だと思っていたが…
これを自分に当て嵌めると、かなりの覚悟を要する。



「そ、そうだな…万が一、そうなってしまったならば、私も、ウィリアを受け入れるよ……。」



現実にならない事を祈って。

ジャンセンには絶対に聞かせられない……。



しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。

カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。 今年のメインイベントは受験、 あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。 だがそんな彼は飛行機が苦手だった。 電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?! あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな? 急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。 さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?! 変なレアスキルや神具、 八百万(やおよろず)の神の加護。 レアチート盛りだくさん?! 半ばあたりシリアス 後半ざまぁ。 訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前 お腹がすいた時に食べたい食べ物など 思いついた名前とかをもじり、 なんとか、名前決めてます。     *** お名前使用してもいいよ💕っていう 心優しい方、教えて下さい🥺 悪役には使わないようにします、たぶん。 ちょっとオネェだったり、 アレ…だったりする程度です😁 すでに、使用オッケーしてくださった心優しい 皆様ありがとうございます😘 読んでくださる方や応援してくださる全てに めっちゃ感謝を込めて💕 ありがとうございます💞

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます

難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』" ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。 社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー…… ……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!? ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。 「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」 「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族! 「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」 かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、 竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。 「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」 人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、 やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。 ——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、 「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。 世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、 最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕! ※小説家になろう様にも掲載しています。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

処理中です...