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条件をクリアした勇者、御剣走15歳。
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「ちょ…っと待て…。やめろ。」
「ゴメン真弓。無理だ。止まらない。」
昭和に建てられた木造建築平屋の日本家屋。
畳の和室に敷かれた布団の上で胡座をかき、目を覚ましたばかりで寝ぼけ眼の俺の唇に、制服姿の少年が何度も角度を変えて唇を押し付けて来る。
鬱陶しいと言わんばかりに手の甲で少年の顔を押しのけて離そうとするが、チュッチュッと小鳥が餌を啄む様な絶え間ないキスは一向に収まる気配が無い。
いつまでも止まらないキスの雨に、俺は枕を掴んでバフッと少年の顔に押し付けながら腕を伸ばし、俺の肩に手を置いてへばりつくヤツの身体を押し離した。
「やめろっつッてんだろ!!ラン!
朝からサカってんじゃねぇ!!」
俺の腕の長さの分だけ離れた場所にペタンと尻をついた少年は、片膝を立て太腿と身体とで挟むように抱いた枕をポンポンと叩きながら俺の方を見てニヤっと笑った。
「俺が来るの分かっていたのに寝坊した真弓が悪い。
そんな無防備な寝顔を見せられたら、俺が我慢出来るワケ無いじゃん。」
悪びれる様子も無くしたり顔で言われてしまえば、確かにその通りだと俺はグヌッと口を結ぶ。
確かに、コイツがそういうヤツだと分かっていて寝坊した俺が悪い。
だが、オッサンの寝顔に無防備もクソもネェだろうと思わずにはいられない。
起きたばかりで布団の上で胡座をかく俺は、ダークグレーのボクサーパンツ一枚に、帯が腰回りを一周してぶら下がった状態で、着ていた浴衣がガウンかマントみたいに広がっている。
こんなだらしない姿に発情するなんて、ヤツは頭がおかしい。
俺はノソリと布団から立ち上がり、乱れた髪を更に乱す様にガシガシと頭を搔いて大きな欠伸をした。
「クァ…顔を洗って来る………。」
「朝ごはん食べる?
もう昼ごはんに近いけど俺が何か作ろうか?」
膝の上に抱えた枕を布団の上に置いて立ち上がった少年は、制服であるブレザーの上着を脱いでネクタイを外した。
俺が洗面所に向かう間に台所に行き、早くも冷蔵庫を開いている。
勝手知ったるなんとやら━━
この少年は俺の家に入り浸り過ぎて、家主の俺と同じ位に何が何処に在るかを熟知している。
「真弓、オイスターソースが少ない。
あと七味唐辛子も残り僅かだし。
買っておかないと。」
なんでコイツが我が家の調味料事情まで知ってんだ…。
いや、知っていて当然と言えば当然なのか。
今年の春に高校一年生になったばかりの少年、御剣走は、小学5年生の秋頃から約5年間毎週必ず我が家に来て入り浸っていた。
会った頃の印象としては、特撮ヒーローが大好きで少林寺拳法を習っているヤンチャで元気な小学生、そして時に生意気でふてぶてしい小僧だった。
俺は子役時代に、特撮ヒーロー作品に出演しており、ランが大好きだったキャラクターを演じていた。
そんな俺に会いたくて、ランはファンとして俺の家に来た。
それがきっかけで知り合ったのだが…。
その作品が20年前の物とは知らなかったランの中では5歳位年上だと思っていた役者が、実は22歳も年上の俺だったってワケだ。
詐欺かってほどショックを受け、熱中症でぶっ倒れていたな。
アイツからすれば、俺はかなりオッサンなワケで。
しかも見た目がコワイ人だ。
ショックを受けて、もう顔も見たくないと思うだろうと思っていたが、なぜかまた会いに来た。
で、会って一週間ほどですぐ懐かれてしまい……
結果、今に至る。
「スクランブルエッグとソーセージならすぐ用意出来るけど、食べる?
昨日の残ったご飯、リゾットにしてしまうよ。」
「…リゾットか……。あぁ、頼む。」
いや懐かれて今に至るなんて、実際はそんな簡単に言って済ませられない。
何しろ俺とアイツは一応…付き合っているらしい…。
恋人同士ってやつだ。
「ちゃんと、真弓の好きなチーズも入れるから座って待っててくれていいよ。」
「…おぅ。」
ランは顔を洗って来たばっかの俺の前に立ち、俺の頬に手を添えてチュッと唇を重ねた。
いやもう…いちいちいちいち…
ことあるごとキスをしてくる様になりやがった。
つい、こないだまで俺のみぞおち辺りにしか顔が付かなかった様な小さな小僧が、中学を卒業する頃には爪先立ちすらしなくても俺の唇に自分の唇を押し付ける位の身長にまで成長した。
「ラン、お前なぁ…ヤリ過ぎなんだよ。」
「ヤリ過ぎ。何を?」
「……だから……キ……ス……。」
キスなんて単語を自分で言っておいて、自分が聞いて恥ずかしくなる。
思わず隠す様に口を押さえてランから顔を背けた。
37にもなるいい歳こいたオッサンが、なんで高校生にキスされてんだって、この状況を客観的に見ておかしいだろうと突っ込みたい自分。
俺が突っ込みたい位のおかしな行為を、さも当然の事の様に行うアイツ。
「なんで?中学を卒業するまで我慢したら、その後はキスしてもいいって真弓が言ったんじゃないか。」
口を隠す様に覆った手を掴んで除けられる。
現れた唇には、ランの唇がすぐ重ねられる。
「だからっ!ヤリ過ぎだ!
顔を見りゃキス!すれ違いざまにキス!
会話の途中にキス!
何回やりゃ気が済む!中毒者か、お前は!!」
ランのシャツの後ろ襟に指を掛け、グイッと後ろに引っ張る様にして強引に顔を離させた。
確かに、中学を卒業するまでキスはお預けだと俺が言った。
それが、俺と恋人として付き合いたいと言った小学5年生だったランへの、俺と付き合う条件だった。
俺としては5年の間に同じ歳位の女子と普通に恋をして普通に彼女も出来るだろうし、22歳も年上の俺を好きだなんて気持ちはすぐ忘れてしまうだろうと思っていたんだ。
時間を稼ぐつもりで出した条件を見事にクリアしたアイツは、5年間ブレずに俺を好きなままで居た。
だから中学の卒業式の日に約束通り、初めて恋人としてのキスを許した。
幾度となく重ねた唇の角度を変え、長い長いキスをされたのだが……。
「真弓とのキスなら何度もしたい。
何回しても、まだまだ足りない……ね、真弓。
もっと深いキス、させてくれたら今日はもうキスしない。我慢する。だから……」
ランの言葉に、思わずコクリと唾を飲む。
あからさまに緊張した面持ちを見せた俺に、ランが再びチュッと唇に吸い付くキスをした。
「もう少しで出来上がるから。
真弓は座って待ってて。」
少し残念そうな表情を見せて俺から離れたランは、料理の仕上げを始めた。
俺は安堵の表情をしつつも、罪悪感にも似たモヤモヤとしたモノを胸に持ったまま茶の間に行き、ちゃぶ台の前に座った。
ランが高校生になって、じき2ヶ月。
中学を卒業した日から幾度となく唇を重ねたが、ランが欲しがる深い口付けは俺がまだ許していない。
そこを許すと、なし崩し的にそれ以上を求められ続けそうで。
今のアイツとの関係すらも、マトモな関係じゃないと少なからず思ってしまう俺には、そのハードルは余りにも高い。
ランの事を嫌いなワケではない。
むしろ好きなのだが、これを恋心だと言い切って良いのか……俺にはまだ、判断がつかない。
そんな曖昧な気持ちのまま、ランの恋人を名乗って居て良いのかも疑問だ。
コトッと目の前にトマトのリゾットが置かれた。
昨夜、帰宅前にウチで食った夕食の、余った冷や飯を使ってパパっと作ったらしい。
器用なヤツ……。
皿を差し出したランの手に目が行く。
手の平が大きく指が長い。
いつの間にか立派に男の手になったランの手に、かつて繋いで歩いていた頃の小さな手を思い出す。
「変わったな………。」
独り言つ様に、リゾットを掬ったスプーンを口に運ぶ際にボソッと俺が呟いた言葉を拾われた。
「ナニ、俺が変わったって?
どういう意味?何か俺の事、嫌になった?」
俺が何の気無しに呟いた言葉のアクセントを拾い、不安を口にする。
所々で厚かましい態度を取る癖に、いまだに俺に別れを告げられるのじゃないかと不安を口にする。
だが幼い頃とは違い不安げな態度を見せても、それを認めたりはしないと、目だけは射抜くように鋭く俺をその場に縫い留める。
「悪い意味で言ったんじゃない。
成長して大人びたっつってんだ。
手もデカいし、肩幅も広くなったし。
身長も180越えたんだろ。
あと、ガキの頃と違って泣きそうな顔をしなくなったな。」
「泣きそうな顔は元々してないだろ?」
「いや、よく泣きそうなツラしてた。
俺に嫌われたんじゃないかって時とか。」
「泣きそうじゃなくて泣いてたと思うよ。
今だって真弓に嫌われたら俺、大号泣する。
でも、嫌われても離さないけどな。」
離さないって。
コイツはこの先、俺をどうしたいんだかな……。
「ゴメン真弓。無理だ。止まらない。」
昭和に建てられた木造建築平屋の日本家屋。
畳の和室に敷かれた布団の上で胡座をかき、目を覚ましたばかりで寝ぼけ眼の俺の唇に、制服姿の少年が何度も角度を変えて唇を押し付けて来る。
鬱陶しいと言わんばかりに手の甲で少年の顔を押しのけて離そうとするが、チュッチュッと小鳥が餌を啄む様な絶え間ないキスは一向に収まる気配が無い。
いつまでも止まらないキスの雨に、俺は枕を掴んでバフッと少年の顔に押し付けながら腕を伸ばし、俺の肩に手を置いてへばりつくヤツの身体を押し離した。
「やめろっつッてんだろ!!ラン!
朝からサカってんじゃねぇ!!」
俺の腕の長さの分だけ離れた場所にペタンと尻をついた少年は、片膝を立て太腿と身体とで挟むように抱いた枕をポンポンと叩きながら俺の方を見てニヤっと笑った。
「俺が来るの分かっていたのに寝坊した真弓が悪い。
そんな無防備な寝顔を見せられたら、俺が我慢出来るワケ無いじゃん。」
悪びれる様子も無くしたり顔で言われてしまえば、確かにその通りだと俺はグヌッと口を結ぶ。
確かに、コイツがそういうヤツだと分かっていて寝坊した俺が悪い。
だが、オッサンの寝顔に無防備もクソもネェだろうと思わずにはいられない。
起きたばかりで布団の上で胡座をかく俺は、ダークグレーのボクサーパンツ一枚に、帯が腰回りを一周してぶら下がった状態で、着ていた浴衣がガウンかマントみたいに広がっている。
こんなだらしない姿に発情するなんて、ヤツは頭がおかしい。
俺はノソリと布団から立ち上がり、乱れた髪を更に乱す様にガシガシと頭を搔いて大きな欠伸をした。
「クァ…顔を洗って来る………。」
「朝ごはん食べる?
もう昼ごはんに近いけど俺が何か作ろうか?」
膝の上に抱えた枕を布団の上に置いて立ち上がった少年は、制服であるブレザーの上着を脱いでネクタイを外した。
俺が洗面所に向かう間に台所に行き、早くも冷蔵庫を開いている。
勝手知ったるなんとやら━━
この少年は俺の家に入り浸り過ぎて、家主の俺と同じ位に何が何処に在るかを熟知している。
「真弓、オイスターソースが少ない。
あと七味唐辛子も残り僅かだし。
買っておかないと。」
なんでコイツが我が家の調味料事情まで知ってんだ…。
いや、知っていて当然と言えば当然なのか。
今年の春に高校一年生になったばかりの少年、御剣走は、小学5年生の秋頃から約5年間毎週必ず我が家に来て入り浸っていた。
会った頃の印象としては、特撮ヒーローが大好きで少林寺拳法を習っているヤンチャで元気な小学生、そして時に生意気でふてぶてしい小僧だった。
俺は子役時代に、特撮ヒーロー作品に出演しており、ランが大好きだったキャラクターを演じていた。
そんな俺に会いたくて、ランはファンとして俺の家に来た。
それがきっかけで知り合ったのだが…。
その作品が20年前の物とは知らなかったランの中では5歳位年上だと思っていた役者が、実は22歳も年上の俺だったってワケだ。
詐欺かってほどショックを受け、熱中症でぶっ倒れていたな。
アイツからすれば、俺はかなりオッサンなワケで。
しかも見た目がコワイ人だ。
ショックを受けて、もう顔も見たくないと思うだろうと思っていたが、なぜかまた会いに来た。
で、会って一週間ほどですぐ懐かれてしまい……
結果、今に至る。
「スクランブルエッグとソーセージならすぐ用意出来るけど、食べる?
昨日の残ったご飯、リゾットにしてしまうよ。」
「…リゾットか……。あぁ、頼む。」
いや懐かれて今に至るなんて、実際はそんな簡単に言って済ませられない。
何しろ俺とアイツは一応…付き合っているらしい…。
恋人同士ってやつだ。
「ちゃんと、真弓の好きなチーズも入れるから座って待っててくれていいよ。」
「…おぅ。」
ランは顔を洗って来たばっかの俺の前に立ち、俺の頬に手を添えてチュッと唇を重ねた。
いやもう…いちいちいちいち…
ことあるごとキスをしてくる様になりやがった。
つい、こないだまで俺のみぞおち辺りにしか顔が付かなかった様な小さな小僧が、中学を卒業する頃には爪先立ちすらしなくても俺の唇に自分の唇を押し付ける位の身長にまで成長した。
「ラン、お前なぁ…ヤリ過ぎなんだよ。」
「ヤリ過ぎ。何を?」
「……だから……キ……ス……。」
キスなんて単語を自分で言っておいて、自分が聞いて恥ずかしくなる。
思わず隠す様に口を押さえてランから顔を背けた。
37にもなるいい歳こいたオッサンが、なんで高校生にキスされてんだって、この状況を客観的に見ておかしいだろうと突っ込みたい自分。
俺が突っ込みたい位のおかしな行為を、さも当然の事の様に行うアイツ。
「なんで?中学を卒業するまで我慢したら、その後はキスしてもいいって真弓が言ったんじゃないか。」
口を隠す様に覆った手を掴んで除けられる。
現れた唇には、ランの唇がすぐ重ねられる。
「だからっ!ヤリ過ぎだ!
顔を見りゃキス!すれ違いざまにキス!
会話の途中にキス!
何回やりゃ気が済む!中毒者か、お前は!!」
ランのシャツの後ろ襟に指を掛け、グイッと後ろに引っ張る様にして強引に顔を離させた。
確かに、中学を卒業するまでキスはお預けだと俺が言った。
それが、俺と恋人として付き合いたいと言った小学5年生だったランへの、俺と付き合う条件だった。
俺としては5年の間に同じ歳位の女子と普通に恋をして普通に彼女も出来るだろうし、22歳も年上の俺を好きだなんて気持ちはすぐ忘れてしまうだろうと思っていたんだ。
時間を稼ぐつもりで出した条件を見事にクリアしたアイツは、5年間ブレずに俺を好きなままで居た。
だから中学の卒業式の日に約束通り、初めて恋人としてのキスを許した。
幾度となく重ねた唇の角度を変え、長い長いキスをされたのだが……。
「真弓とのキスなら何度もしたい。
何回しても、まだまだ足りない……ね、真弓。
もっと深いキス、させてくれたら今日はもうキスしない。我慢する。だから……」
ランの言葉に、思わずコクリと唾を飲む。
あからさまに緊張した面持ちを見せた俺に、ランが再びチュッと唇に吸い付くキスをした。
「もう少しで出来上がるから。
真弓は座って待ってて。」
少し残念そうな表情を見せて俺から離れたランは、料理の仕上げを始めた。
俺は安堵の表情をしつつも、罪悪感にも似たモヤモヤとしたモノを胸に持ったまま茶の間に行き、ちゃぶ台の前に座った。
ランが高校生になって、じき2ヶ月。
中学を卒業した日から幾度となく唇を重ねたが、ランが欲しがる深い口付けは俺がまだ許していない。
そこを許すと、なし崩し的にそれ以上を求められ続けそうで。
今のアイツとの関係すらも、マトモな関係じゃないと少なからず思ってしまう俺には、そのハードルは余りにも高い。
ランの事を嫌いなワケではない。
むしろ好きなのだが、これを恋心だと言い切って良いのか……俺にはまだ、判断がつかない。
そんな曖昧な気持ちのまま、ランの恋人を名乗って居て良いのかも疑問だ。
コトッと目の前にトマトのリゾットが置かれた。
昨夜、帰宅前にウチで食った夕食の、余った冷や飯を使ってパパっと作ったらしい。
器用なヤツ……。
皿を差し出したランの手に目が行く。
手の平が大きく指が長い。
いつの間にか立派に男の手になったランの手に、かつて繋いで歩いていた頃の小さな手を思い出す。
「変わったな………。」
独り言つ様に、リゾットを掬ったスプーンを口に運ぶ際にボソッと俺が呟いた言葉を拾われた。
「ナニ、俺が変わったって?
どういう意味?何か俺の事、嫌になった?」
俺が何の気無しに呟いた言葉のアクセントを拾い、不安を口にする。
所々で厚かましい態度を取る癖に、いまだに俺に別れを告げられるのじゃないかと不安を口にする。
だが幼い頃とは違い不安げな態度を見せても、それを認めたりはしないと、目だけは射抜くように鋭く俺をその場に縫い留める。
「悪い意味で言ったんじゃない。
成長して大人びたっつってんだ。
手もデカいし、肩幅も広くなったし。
身長も180越えたんだろ。
あと、ガキの頃と違って泣きそうな顔をしなくなったな。」
「泣きそうな顔は元々してないだろ?」
「いや、よく泣きそうなツラしてた。
俺に嫌われたんじゃないかって時とか。」
「泣きそうじゃなくて泣いてたと思うよ。
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