【R18】小学生から高校生に成長したファンの少年が、中年男の俺を愛してやまない。

DAKUNちょめ

文字の大きさ
18 / 18

転校していった、昔は友人だった奴。

しおりを挟む
「くぁ…」


口を大きく開けて出た欠伸を噛み殺し、学校までの道をダラダラと歩く走の背が後ろからトンと小突かれた。

不意をつかれた弾みでつんのめる様に上体が前に傾き、走はイラッとした表情で背後の友人を睨む。


「よぉ御剣、今日も眠そうだな。
お前、いっつも寝不足気味じゃないか?」


「イッテェな、金森。
真弓からの返事を待っていて寝たのが今朝の3時なんだよ。
で、朝5時に起きて数キロ走って…シャワー浴びて飯食って…
今日2時間位しか寝てない。」


金森は走を小馬鹿にしたように笑い、小さくプッと吹き出した。
そんな金森の表情を見た走は苛立ちの表情を隠さずに金森を睨む。


「……なんだよ、お前。イラッとすんなぁ…。」


「寝ずに待ってたのか、オッサンからの返事。
どうせ急ぎで返事が必要ってなほど大したモンじゃないんだろ?
お前、オッサンの事となると妥協出来ねーもんな。
ストーカーかって位に。
つか明け方まで起きていた日くらい、ジョギング休んでギリまで寝てろよ。」


金森の言う通り、走が待っていた真弓からの返事は「おやすみ」のたった一言だ。
理解されなくとも、たったそれだけの些細なやり取りを走はずっと大事にしてきた。


「ギリまで寝てるのな…それはそれで何か落ち着かない。
それに走らない日でも目が覚めちまうんだよな。」


金森は「へー」と納得した様に小さく呟き、走の首に腕を回してグイッと顔を寄せてからニヤっと笑い、ボソッと走に囁いた。


「オッサンと、やらしい事をした朝は酷使した足腰が立たなくて起きれくなるんじゃないか?
別の所は朝イチ勃ってそうだけどな。」


からからう金森の言葉に対し、文句を言うより先にその状況を頭に思い描いてしまった走は、ほんのり赤く頬を染めて片手で口元を覆った。


「お?まさか想像しちまったのかよ、エロいな御剣。」


「お前が、そんな事を言うからだろ!
……真弓とシた後の朝は、早起きして真弓の寝顔をずっと見てるつもりだ。」


「いや、お前エロいから絶対に朝から発情してんだろ。
あまりオッサンに無理させんなよ、足腰痛むと大変だろ?歳なんだから。
うちのジイちゃんは、膝にはコンドロイチンがいいって。」


「うるせぇな…真弓をジィちゃん扱いすんな。
その痛みとは違うだろ。」


顔を寄せた金森の腹に走が軽くパンチを入れる。
「イテぇ」と腹部を押さえながら笑う金森が身体を離し、走の背中をパンと叩いた。


「それになー年寄りは心配性だからな。
お前がいつも寝不足気味だとオッサンに心配されるぞ。
それが自分のせいかもなんて思われたら、しまいにゃ会ってくれなくなるんじゃね?」


金森がからかい半分に脅すように大袈裟に言っているのは理解しているが、日頃からサラッと的を得た物言いをする金森の言葉は、フザけたフリをしたやんわりとした忠告でもある。

真弓に寝不足を指摘された事を思い出した走は、それが重なり過ぎたなら根が真面目な真弓が心配する姿が容易に想像出来てしまった。

そして走が体調を崩したり、両親が寝不足に気付き心配したりすれば、真弓がその責任を感じてしまう事も。


「そうか…んー…そうだよな…。分かった。
気をつける…ちゃんと睡眠とるようにする。」


「何だ、やけに素直じゃん。
うるせぇとか余計なお世話だとか言ったりしねぇの。」


「からかってるだけなら言うけどな。
今のは金森なりのアドバイスだろ?
お前の言ってる事は確かにそうだし、それ無視すると後から「だから言ったじゃねえか」とか言ってケンカ腰になるからヤなんだよ。鬱陶しいし。」


校門が見えて来た頃、金森の彼女である澤田さんが走って来た。
小学生の頃から澤田さんは、ギリ遅刻しない時間に学校に登校して来る。


「おせぇよ、優乃!」


「はぁ?遅刻はしてないからセーフでしょ。
あ、御剣クンおはよう~!」


澤田さんは金森に真顔で受け答えてから、走に満面の笑顔で挨拶した。


「優乃、俺と御剣の扱いの差がヒデぇ。」


「当たり前じゃん、御剣クンはずっと私の王子様だもの。
丈太郎はずっと私の子分だし。」


小学生の頃は走を好きだった澤田さんは、今も走には笑顔で話しかける。
だが幼馴染みの金森とはいつも無愛想な表情で言い合ってばかりいる為、一見カップルには見えない。


━━言い合ってばかりだけど…何か…
昔から二人を知ってるせいか、長年連れ添った夫婦みたいに見えてしまうんだよな。
この二人って。━━


仲が悪いように見えて二人は仲が良い。
金森は澤田さんに対しぶっきらぼうな態度を取るが、長年の片想いだった澤田さんと付き合える事になった時に金森は泣きそうな程喜んだ。
澤田さんも「仕方ないから彼女になってあげた」と言っているが、ツンの分かり易い照れ隠しだ。

走はそんな二人の姿をニヤニヤと生温かい目で見ながら、羨ましくも思う。


━━このまま…二人の付き合いが続いて、いざ結婚しようってなった時
二人の障害になるものって少ないんだろうな…━━


先に校舎に走って入った二人に続き、歩いて校舎に向かった走は遅れて下駄箱に着いた。

既に教室に向かったと思っていた二人が、下駄箱の前で神妙な表情で立ち尽くしている。


「金森、澤田さんも…玄関に突っ立って何やってんだ。
早く教室に入らないと。」


走は二人に声を掛けながら中履きに履き替えて教室に行くように促した。


「御剣クン、輪島が居る……。」


澤田さんの言葉に走がピクッと僅かに反応する。

小学五年の時に同じクラスだった輪島拳。
一時期は友人の一人であったが、走の方から絶交を告げた。

六年生になる頃に家の都合で遠方に越して行った為すっかり存在も忘れていたが、走も金森も逢いたくない相手だ。


「見間違いじゃなくて?」


「俺も見たから見間違いじゃない。
御剣、拳の相手なんかすんなよ。」


「しないが…もう4年も前の話だろ。
俺に絡んで来たりしないんじゃないか。」


金森が「は?甘ぇよ」と無言のまま表情だけで訴える。


「この学校、おんなじ小学校からに来た人も多いから、
輪島の虚言癖を知ってる人もたくさん居るし。
嘘ついて周りを混乱させるとか出来ないと思うけど。
転校先で性格が改善されてる事を祈りたいわね。」


チャイムが鳴り、ハッと我に返った3人は急いで教室に向かった。
金森と走は同じクラス。
教室の扉を開いた時、他の生徒は皆着席状態だった。

空席になってる机が無い事で拳が同じクラスで無いと確認した二人は、ホッと安堵して互いの顔を見た。


二人はそれぞれ自分の席に着き、朝礼が始まった━━











さっきスマホに天気予報が表示されたが、今日は晴れ間が多い日だそうだ。

午後からバイカーズブランドの撮影の仕事があるので、ついでに布団をクリーニングに…と思った状態で、浴衣姿の俺は布団を眺めつつ縁側に佇んでいる。

この、つゆだくはんぺんみたいな布団をクリーニング店まで運ぶ手段が思いつかない。

車があれば良かったのだが俺にはバイクしかないし…
グチョグチョに濡れたこれをバイクには乗せたくない。
だったらバイクが濡れない様に、布団が入る大きさのビニール袋みたいなモンを…って、そんなモン無いし。


「あ、直接取りに来て貰えるサービスあったっけな。」


宅配クリーニングの存在を思い出した俺はスマホを手にして画面を開いた。

そう言えば…と、深夜にランにメッセージを送ったら即、返信が来た事を思い出した。


「あんな時間に、まだ起きてやがったのかアイツ。
朝は走るから早起きするって言ってたよな。
じゃあ、今朝は殆ど寝てないんじゃねぇか?」


先日ウチに泊まった時は、かなり早寝だったが。
いや違うわ、あれはアイツが俺と布団に入りたがったからで………


その、先日泊まった時の行為を思い出した俺は、その場でのたうち回りたくなるほど恥ずかしくなった。
外から丸見えの縁側で俺みたいなナリのオッサンがのたうち回っていたら、ただの危ないヒトだ。
ジャンキーだと思われてしまうかも知れない。

俺は縁側から寝室に入り、障子を閉めて庭先からの視界を遮った。
と同時に両手で顔を覆って寝室でへたり込む。


「あー…何で、思い出しちまうんだよ。
………あんな、クソ恥ずかしい事を……。」


受け身での愛撫も、性器を握られて手淫で達した事も初めてだった。

思い出すのがシンドくなる程に恥ずかしいのに、その行為自体は嫌では無かった。

ランは俺に何度も愛を囁き、愛おしむ様に唇や指先、手の平で俺に触れてきた。


「って言うか………アイツ、まだ未経験なハズなのに、俺より上手いんじゃね?……」


何だか微妙なショックを受けてしまった。
テクニックがどうこうと言うよりは、自分が過去に彼女としてきた行為が、いかにコミュニケーション不足だったかを今更知った気がする。


「……あー…布団のクリーニング、宅配……と。」


気持ちを切り替え、宅配可能なクリーニング店を検索し始めた。


しおりを挟む
感想 1

この作品の感想を投稿する

みんなの感想(1件)

まこ
2023.02.24 まこ

いいですね(*//艸//)最高です!

2023.02.24 DAKUNちょめ

ありがとうございます!
元ショタ☓オッサンからの継続恋愛、今後ともよろしくお願いいたします(⁠^⁠^⁠)

解除

あなたにおすすめの小説

オッサン課長のくせに、無自覚に色気がありすぎる~ヨレヨレ上司とエリート部下、恋は仕事の延長ですか?

中岡 始
BL
「新しい営業課長は、超敏腕らしい」 そんな噂を聞いて、期待していた橘陽翔(28)。 しかし、本社に異動してきた榊圭吾(42)は―― ヨレヨレのスーツ、だるそうな関西弁、ネクタイはゆるゆる。 (……いやいや、これがウワサの敏腕課長⁉ 絶対ハズレ上司だろ) ところが、初めての商談でその評価は一変する。 榊は巧みな話術と冷静な判断で、取引先をあっさり落としにかかる。 (仕事できる……! でも、普段がズボラすぎるんだよな) ネクタイを締め直したり、書類のコーヒー染みを指摘したり―― なぜか陽翔は、榊の世話を焼くようになっていく。 そして気づく。 「この人、仕事中はめちゃくちゃデキるのに……なんでこんなに色気ダダ漏れなんだ?」 煙草をくゆらせる仕草。 ネクタイを緩める無防備な姿。 そのたびに、陽翔の理性は削られていく。 「俺、もう待てないんで……」 ついに陽翔は榊を追い詰めるが―― 「……お前、ほんまに俺のこと好きなんか?」 攻めるエリート部下 × 無自覚な色気ダダ漏れのオッサン上司。 じわじわ迫る恋の攻防戦、始まります。 【最新話:主任補佐のくせに、年下部下に見透かされている(気がする)ー関西弁とミルクティーと、春のすこし前に恋が始まった話】 主任補佐として、ちゃんとせなあかん── そう思っていたのに、君はなぜか、俺の“弱いとこ”ばっかり見抜いてくる。 春のすこし手前、まだ肌寒い季節。 新卒配属された年下部下・瀬戸 悠貴は、無表情で口数も少ないけれど、妙に人の感情に鋭い。 風邪気味で声がかすれた朝、佐倉 奏太は、彼にそっと差し出された「ミルクティー」に言葉を失う。 何も言わないのに、なぜか伝わってしまう。 拒むでも、求めるでもなく、ただそばにいようとするその距離感に──佐倉の心は少しずつ、ほどけていく。 年上なのに、守られるみたいで、悔しいけどうれしい。 これはまだ、恋になる“少し前”の物語。 関西弁とミルクティーに包まれた、ふたりだけの静かな始まり。 (5月14日より連載開始)

またのご利用をお待ちしています。

あらき奏多
BL
職場の同僚にすすめられた、とあるマッサージ店。 緊張しつつもゴッドハンドで全身とろとろに癒され、初めての感覚に下半身が誤作動してしまい……?! ・マッサージ師×客 ・年下敬語攻め ・男前土木作業員受け ・ノリ軽め ※年齢順イメージ 九重≒達也>坂田(店長)≫四ノ宮 【登場人物】 ▼坂田 祐介(さかた ゆうすけ) 攻 ・マッサージ店の店長 ・爽やかイケメン ・優しくて低めのセクシーボイス ・良識はある人 ▼杉村 達也(すぎむら たつや) 受 ・土木作業員 ・敏感体質 ・快楽に流されやすい。すぐ喘ぐ ・性格も見た目も男前 【登場人物(第二弾の人たち)】 ▼四ノ宮 葵(しのみや あおい) 攻 ・マッサージ店の施術者のひとり。 ・店では年齢は下から二番目。経歴は店長の次に長い。敏腕。 ・顔と名前だけ中性的。愛想は人並み。 ・自覚済隠れS。仕事とプライベートは区別してる。はずだった。 ▼九重 柚葉(ここのえ ゆずは) 受 ・愛称『ココ』『ココさん』『ココちゃん』 ・名前だけ可愛い。性格は可愛くない。見た目も別に可愛くない。 ・理性が強め。隠れコミュ障。 ・無自覚ドM。乱れるときは乱れる 作品はすべて個人サイト(http://lyze.jp/nyanko03/)からの転載です。 徐々に移動していきたいと思いますが、作品数は個人サイトが一番多いです。 よろしくお願いいたします。

今度こそ、どんな診療が俺を 待っているのか

相馬昴
BL
強靭な肉体を持つ男・相馬昴は、診療台の上で運命に翻弄されていく。 相手は、年下の執着攻め——そして、彼一人では終わらない。 ガチムチ受け×年下×複数攻めという禁断の関係が、徐々に相馬の本能を暴いていく。 雄の香りと快楽に塗れながら、男たちの欲望の的となる彼の身体。 その結末は、甘美な支配か、それとも—— 背徳的な医師×患者、欲と心理が交錯する濃密BL長編! https://ci-en.dlsite.com/creator/30033/article/1422322

イケメン後輩のスマホを拾ったらロック画が俺でした

天埜鳩愛
BL
☆本編番外編 完結済✨ 感想嬉しいです! 元バスケ部の俺が拾ったスマホのロック画は、ユニフォーム姿の“俺”。 持ち主は、顔面国宝の一年生。 なんで俺の写真? なんでロック画? 問い詰める間もなく「この人が最優先なんで」って宣言されて、女子の悲鳴の中、肩を掴まれて連行された。……俺、ただスマホ届けに来ただけなんだけど。 頼られたら嫌とは言えない南澤燈真は高校二年生。クールなイケメン後輩、北門唯が置き忘れたスマホを手に取ってみると、ロック画が何故か中学時代の燈真だった! 北門はモテ男ゆえに女子からしつこくされ、燈真が助けることに。その日から学年を越え急激に仲良くなる二人。燈真は誰にも言えなかった悩みを北門にだけ打ち明けて……。一途なメロ後輩 × 絆され男前先輩の、救いすくわれ・持ちつ持たれつラブ! ☆ノベマ!の青春BLコンテスト最終選考作品に加筆&新エピソードを加えたアルファポリス版です。

黒瀬部長は部下を溺愛したい

桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。 人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど! 好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。 部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。 スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。

エリート上司に完全に落とされるまで

琴音
BL
大手食品会社営業の楠木 智也(26)はある日会社の上司一ノ瀬 和樹(34)に告白されて付き合うことになった。 彼は会社ではよくわかんない、掴みどころのない不思議な人だった。スペックは申し分なく有能。いつもニコニコしててチームの空気はいい。俺はそんな彼が分からなくて距離を置いていたんだ。まあ、俺は問題児と会社では思われてるから、変にみんなと仲良くなりたいとも思ってはいなかった。その事情は一ノ瀬は知っている。なのに告白してくるとはいい度胸だと思う。 そんな彼と俺は上手くやれるのか不安の中スタート。俺は彼との付き合いの中で苦悩し、愛されて溺れていったんだ。 社会人同士の年の差カップルのお話です。智也は優柔不断で行き当たりばったり。自分の心すらよくわかってない。そんな智也を和樹は溺愛する。自分の男の本能をくすぐる智也が愛しくて堪らなくて、自分を知って欲しいが先行し過ぎていた。結果智也が不安に思っていることを見落とし、智也去ってしまう結果に。この後和樹は智也を取り戻せるのか。

【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜

来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、 疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。 無愛想で冷静な上司・東條崇雅。 その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、 仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。 けれど―― そこから、彼の態度は変わり始めた。 苦手な仕事から外され、 負担を減らされ、 静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。 「辞めるのは認めない」 そんな言葉すらないのに、 無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。 これは愛? それともただの執着? じれじれと、甘く、不器用に。 二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。 無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。