孤高の女王の国と狂戦士。そして傍若無人の若き王。

DAKUNちょめ

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元傍若無人な若き王の怒り

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「彼の国」の若き女王、デルフィナは困惑していた。


夫であるアンドリューの様子がおかしい。


どれ位おかしいかと尋ねられたならば、女王的には天変地異が起こるのと相違ない程におかしいと答えよう程におかしいのだ。




たまたまだ。

たまたま女王はオブザイアの姿で城内を歩いていた。

父のダイオスには「アンドリューの気を引きたいからって、オブザイアになっても意味が無いでしょ?」と言われたが


違う。アンドリューの気を引こう等と思っていない!

   
たまたま、私は、オブザイアに、なって、城内を歩きたかっただけだ!

そう、オブザイアもきっと城内をぶらっと歩きたかった。

   



アンドリューは中庭に居た。
  

そして、中庭付近を通り掛かったオブザイアの姿を…



見つけなかった。


そんな事、今まで無かったのに!


どこに目が付いているのか、どんな場所に居ても気味が悪い程の感知能力でオブザイアの居場所を突き止めて、へばり付いて来た、あのアンドリューが……



一枚の書簡に目を向けたまま、恐ろしい位の怒気を放っていた。



大好きな大好きなオブザイアの姿が目に入らない程に。




「ほー…不思議な事もあるもんだ。
何かあったのかもな。」




オブザイアは、この異変をさほど気にもしない。


さっさと中庭から離れて女王の私室に戻ると、さっさと女王に姿を戻した。


そして女王に戻った途端に私が、ひどく落ち込む。




「なぜ私はオブザイアの姿のまま、アンドリューに何があったか尋ねなかったのか…!
オブザイアにだったら答えてくれたかも知れぬのに…
くそぅ!オブザイアめ!」




狂戦士は自身ではあるが、性別と外見に引っ張られるせいか、思考は共有していても人格は別人のようになる。

 

同じ悩み事に遭遇しても、オブザイアは見たまんまガサツなので深く考える事をしない。


「ま、いーだろ」とオブザイアが考える事を放棄した問題を、いつもデルフィナに戻ってから頭を悩ます事となる。



いやいや…アンドリューが「彼の国」に来てから、オブザイアを追わない日など無かった…。


なぜ気にならんのだ…オブザイアめ…。


女王一人が悶々と悩んでいたが、「最近アンドリューの様子が変。」


その答えを知っていたのは、意外にも母のマリアンナだった。

  




「「獅子の国」を通じてアンドリュー宛に、アンドリューの治めていた国から書簡が届いていたわ。」



母の生国、伯父のサーリオンが王をしていた「獅子の国」は今「彼の国」の属国となっている。

 

「獅子の国」と呼ばれるその国は今、サーリオンの従兄弟が王の代理人となり、諸外国が「彼の国」と国交を結びたい時などの窓口となっている。



「ああ…アンドリューは、オブザイアと共に何度も国境に出てますものね…。

死んだはずの傍若無人な若き王アンドリューが生きていたと、知られた訳ですね?」



「ふふっ…書簡を見た瞬間から、彼は相当おかんむりのようね…。
かつて、傍若無人な若き王と呼ばれた彼の片鱗を見た気がしたわ。」



おかんむり…?あ、怒ってるって事?

母上、なぜ嬉しそうなのだろう。




「この国に来てからのアンドリューは…寝ても覚めてもオブザイア…

本当にコレ、傍若無人の王って呼ばれてたの?って位に病気ですからね…。」




オブザイア溺愛変態馬鹿病。


そんな病気持ちのアンドリューがオブザイアを無視した。


まさか病気が治って正気に戻ったのだろうか…?

この国を出て帰りたくなったのではないだろうか。

デルフィナに、言い様のない不安がよぎる。




「……自分の国に…帰りたくなったのだろうか……」



デルフィナは、自分でも信じられない位に弱気な発言をした。


こんなに冷たくあしらわれているのに、アンドリューがこの国を出て行く事を考えると胸が痛い。



「返すわけ無いでしょう。」



母は不敵な笑みを浮かべる。



「元王だろうが何だろうが、ここ「彼の国」の所有物になったものを返すわけ無いでしょ。
奪いに来るなら、そんな泥棒猫はオブザイアとカラナィアで殲滅よ。」



元、「獅子の国」の王女マリアンナは、少女の様な可愛らしい見た目とは裏腹に、女傑でもある。


いくつもの国を落として来た「獅子の国」の王サーリオン、その妹に相応しい強かさを持っている。



「我が国の物は、塵一つたりとも奪われはしないわ。」

    

確かに母の言う事は正しい…。

と言うか、初めてアンドリューと逢った時、アンドリュー殺されかけてなかったか?

    

女王はアンドリューの元に向かった。



今は彼の部屋だが、元々は牢の替わりに閉じ込めた元貴賓室に。







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