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元傍若無人な若き王の怒り2
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貴賓室のドアをノックする。
が、返事が無い。
勝手に部屋に入っても良いのだろうか…
妻が夫の部屋に入って駄目な訳がない!
よし、入ろう!
………いや、怖いな……
汚物を見るような目で見られるかも知れぬ……
それは…イヤだ…怖い。
よしオブザイアになって入ろう!
アンドリューは、オブザイアの妻だと自称してるのだから、大丈夫だろう!
あと、心配なのはオブザイアになった後の自分の思考だ。
残しとけよ!デルフィナ(私)らしさ!
散々扉の前で悩んだ末に、女王はオブザイアに変化した。
貴賓室の扉の前でオブザイアに変化し、「ヨシ!」と一度大きく頷いたオブザイアは、貴賓室の扉をいきなり開けた。
「たのもーーーっ!!!」
貴賓室の中に入ったオブザイアがアンドリューの姿を探す。
アンドリューは、ベッドに潜って寝ていた。
「真っ昼間から寝ているとは、いい身分だな!お前は!」
アンドリューのベッド端にオブザイアがバフンっと大きな音を立て座った。
キングサイズを遥かに越える大きさのベッドだが、3メートル程の巨体のオブザイアが座ると激しく波打つ。
そのせいで、ベッドの上で寝ていたアンドリューが跳ね上がる。
ビョインと跳ね上がった拍子に、アンドリューはベッド縁に腰掛けるオブザイアの腰に抱き付いた。
「ぢょわーーーっ!!」
今まで自分で言った事はおろか、聞いた事さえない叫び声が漏れた。
「オブザイア殿!初めて俺の部屋に!
ああ、ヤバい、嬉しい…!
ところで、…抱きます?抱かれます?」
変わってねぇ!ぜんっぜん変わってねぇ!
「おっ…!おまっ!アホか!
うわわわわ!下履き脱がせようとすんな!!」
「いやぁ、俺、昔から我慢出来ないタチだから!」
「どこ触ってやがる!!」
我慢出来ない。だからこその傍若無人な王だもんな!
ヤバい!怖い!こいつ、やっぱ怖いわ!
「………………女王……」
「……うむ、妾だ…な…」
自分の下に組み敷かれた女王の姿に、テンションだだ下がりのアンドリュー。
ベッドの上で二人重なったまま気不味い空気が流れる。
あのような巨体でありながらアンドリューに組み敷かれかけてしまい、身の危険を感じたオブザイアは逃げる為に女王に戻った。
「じゃあ、さっさと俺のベッドから降りて下さい。」
それがベッドに横たわる妻に言う台詞か!
オブザイアに対する態度との温度差酷すぎるだろう!
解せぬわ!
そうは思っても、大人しくベッドから降りて椅子に座る女王。
「最近、そなたの様子がおかしいのでな…
気になったのだ………オブザイアが。」
なぜ妾はこやつに媚びを売るような言い方をするのか…
腹が立つ…!私自身にな!
「オブザイア殿、気にしないでしょ?そんな事。
俺の事が気になったのは女王でしょう。」
おや?何と…妾の事を気に掛けてくれているのか…?
「そんな些末な事など気にもしない、大きな人なんですよ、オブザイア殿は……
ああ、心までもが大らかで美しい…」
ああ、そうかい!期待して損したわ!
「…一応は…その…わ、妾は…そなたの妻であるからな…」
「女王………………恥じらうのはキモいです。」
夫の心配をする妻をキモいだと!?
こやつ…!殴ってやろうか…!
「俺がおかしいと思えたのでしたら、国からの書簡のせいですね…
まぁ生きていてくれて良かっただの、信じておりましただの…取って付けたような美辞麗句が並んでましてね…」
オブザイアとして初めてアンドリューと逢った時、アンドリューは側近達の謀略により、暗殺される所だった。
オブザイアは殺すつもりだったアンドリューを結果的には助けたが、アンドリューは国に戻らず、生きているとの報告も一切せずにいたため、世間では傍若無人な若き王は「彼の国」の狂戦士に殺されたと噂されていたのだ。
それが、狂戦士の背中にくっついて毎回のように戦場に現れるのだ。
「手懐けたのだろうと…言うのだ…」
「手懐けた…とな?」
ボソッと呟いたアンドリューに女王が聞き返す。
ピリピリとした空気が部屋に広がり始めた。
「俺が!オブザイア殿を手なづけたと!
あの阿呆どもが言うのだ!
オブザイア殿のような美しい方を!
俺ごときが!」
「……………へー……。」
女王は感情の無い返事を返した。
━━妾は今、きっと目も鼻も口も、棒一本になっているに違いない。
オブザイア=妾なのに、あやつの中で、オブザイアと妾の間にはイコールではなく、亜空間が広がっているに違いない。━━
「そして、その阿呆どもが言うのだ!
うまくたぶらかして、「彼の国」の女王を手に入れましたねと!」
「…………へー……。」
「俺の妻を馬鹿にする事は、俺を馬鹿にしているのと同義だ!」
「………へー……。俺の妻。オブザイアが。」
「…?何を言っている女王、俺の妻はお前だろう?
お前を、たぶらかされるような程度の低い器の女王だと言われた事にも腹を立てていると言っているのだ。」
何だと!?わ、妾を妻だと言ったのか!?
アンドリューが妾を妻だと…。
きゅんっ…!
む、胸がトキメクではないか!
「オブザイア殿は俺の夫だから!
オブザイア殿の妻は俺!女王は俺の妻!」
ややこしい事を言いおってからに!!
ああ、そうかい!妾のトキメきを返せ!
が、返事が無い。
勝手に部屋に入っても良いのだろうか…
妻が夫の部屋に入って駄目な訳がない!
よし、入ろう!
………いや、怖いな……
汚物を見るような目で見られるかも知れぬ……
それは…イヤだ…怖い。
よしオブザイアになって入ろう!
アンドリューは、オブザイアの妻だと自称してるのだから、大丈夫だろう!
あと、心配なのはオブザイアになった後の自分の思考だ。
残しとけよ!デルフィナ(私)らしさ!
散々扉の前で悩んだ末に、女王はオブザイアに変化した。
貴賓室の扉の前でオブザイアに変化し、「ヨシ!」と一度大きく頷いたオブザイアは、貴賓室の扉をいきなり開けた。
「たのもーーーっ!!!」
貴賓室の中に入ったオブザイアがアンドリューの姿を探す。
アンドリューは、ベッドに潜って寝ていた。
「真っ昼間から寝ているとは、いい身分だな!お前は!」
アンドリューのベッド端にオブザイアがバフンっと大きな音を立て座った。
キングサイズを遥かに越える大きさのベッドだが、3メートル程の巨体のオブザイアが座ると激しく波打つ。
そのせいで、ベッドの上で寝ていたアンドリューが跳ね上がる。
ビョインと跳ね上がった拍子に、アンドリューはベッド縁に腰掛けるオブザイアの腰に抱き付いた。
「ぢょわーーーっ!!」
今まで自分で言った事はおろか、聞いた事さえない叫び声が漏れた。
「オブザイア殿!初めて俺の部屋に!
ああ、ヤバい、嬉しい…!
ところで、…抱きます?抱かれます?」
変わってねぇ!ぜんっぜん変わってねぇ!
「おっ…!おまっ!アホか!
うわわわわ!下履き脱がせようとすんな!!」
「いやぁ、俺、昔から我慢出来ないタチだから!」
「どこ触ってやがる!!」
我慢出来ない。だからこその傍若無人な王だもんな!
ヤバい!怖い!こいつ、やっぱ怖いわ!
「………………女王……」
「……うむ、妾だ…な…」
自分の下に組み敷かれた女王の姿に、テンションだだ下がりのアンドリュー。
ベッドの上で二人重なったまま気不味い空気が流れる。
あのような巨体でありながらアンドリューに組み敷かれかけてしまい、身の危険を感じたオブザイアは逃げる為に女王に戻った。
「じゃあ、さっさと俺のベッドから降りて下さい。」
それがベッドに横たわる妻に言う台詞か!
オブザイアに対する態度との温度差酷すぎるだろう!
解せぬわ!
そうは思っても、大人しくベッドから降りて椅子に座る女王。
「最近、そなたの様子がおかしいのでな…
気になったのだ………オブザイアが。」
なぜ妾はこやつに媚びを売るような言い方をするのか…
腹が立つ…!私自身にな!
「オブザイア殿、気にしないでしょ?そんな事。
俺の事が気になったのは女王でしょう。」
おや?何と…妾の事を気に掛けてくれているのか…?
「そんな些末な事など気にもしない、大きな人なんですよ、オブザイア殿は……
ああ、心までもが大らかで美しい…」
ああ、そうかい!期待して損したわ!
「…一応は…その…わ、妾は…そなたの妻であるからな…」
「女王………………恥じらうのはキモいです。」
夫の心配をする妻をキモいだと!?
こやつ…!殴ってやろうか…!
「俺がおかしいと思えたのでしたら、国からの書簡のせいですね…
まぁ生きていてくれて良かっただの、信じておりましただの…取って付けたような美辞麗句が並んでましてね…」
オブザイアとして初めてアンドリューと逢った時、アンドリューは側近達の謀略により、暗殺される所だった。
オブザイアは殺すつもりだったアンドリューを結果的には助けたが、アンドリューは国に戻らず、生きているとの報告も一切せずにいたため、世間では傍若無人な若き王は「彼の国」の狂戦士に殺されたと噂されていたのだ。
それが、狂戦士の背中にくっついて毎回のように戦場に現れるのだ。
「手懐けたのだろうと…言うのだ…」
「手懐けた…とな?」
ボソッと呟いたアンドリューに女王が聞き返す。
ピリピリとした空気が部屋に広がり始めた。
「俺が!オブザイア殿を手なづけたと!
あの阿呆どもが言うのだ!
オブザイア殿のような美しい方を!
俺ごときが!」
「……………へー……。」
女王は感情の無い返事を返した。
━━妾は今、きっと目も鼻も口も、棒一本になっているに違いない。
オブザイア=妾なのに、あやつの中で、オブザイアと妾の間にはイコールではなく、亜空間が広がっているに違いない。━━
「そして、その阿呆どもが言うのだ!
うまくたぶらかして、「彼の国」の女王を手に入れましたねと!」
「…………へー……。」
「俺の妻を馬鹿にする事は、俺を馬鹿にしているのと同義だ!」
「………へー……。俺の妻。オブザイアが。」
「…?何を言っている女王、俺の妻はお前だろう?
お前を、たぶらかされるような程度の低い器の女王だと言われた事にも腹を立てていると言っているのだ。」
何だと!?わ、妾を妻だと言ったのか!?
アンドリューが妾を妻だと…。
きゅんっ…!
む、胸がトキメクではないか!
「オブザイア殿は俺の夫だから!
オブザイア殿の妻は俺!女王は俺の妻!」
ややこしい事を言いおってからに!!
ああ、そうかい!妾のトキメきを返せ!
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