孤高の女王の国と狂戦士。そして傍若無人の若き王。

DAKUNちょめ

文字の大きさ
10 / 22

元傍若無人な若き王の怒り2

しおりを挟む
貴賓室のドアをノックする。

が、返事が無い。

勝手に部屋に入っても良いのだろうか…


妻が夫の部屋に入って駄目な訳がない!

よし、入ろう!


   

………いや、怖いな……

汚物を見るような目で見られるかも知れぬ……

それは…イヤだ…怖い。


よしオブザイアになって入ろう!
 

アンドリューは、オブザイアの妻だと自称してるのだから、大丈夫だろう!


あと、心配なのはオブザイアになった後の自分の思考だ。


残しとけよ!デルフィナ(私)らしさ!





散々扉の前で悩んだ末に、女王はオブザイアに変化した。


貴賓室の扉の前でオブザイアに変化し、「ヨシ!」と一度大きく頷いたオブザイアは、貴賓室の扉をいきなり開けた。

   

「たのもーーーっ!!!」

  

貴賓室の中に入ったオブザイアがアンドリューの姿を探す。

アンドリューは、ベッドに潜って寝ていた。

  

「真っ昼間から寝ているとは、いい身分だな!お前は!」

 

アンドリューのベッド端にオブザイアがバフンっと大きな音を立て座った。


キングサイズを遥かに越える大きさのベッドだが、3メートル程の巨体のオブザイアが座ると激しく波打つ。
    

そのせいで、ベッドの上で寝ていたアンドリューが跳ね上がる。


ビョインと跳ね上がった拍子に、アンドリューはベッド縁に腰掛けるオブザイアの腰に抱き付いた。

    

「ぢょわーーーっ!!」

     

今まで自分で言った事はおろか、聞いた事さえない叫び声が漏れた。

    

「オブザイア殿!初めて俺の部屋に!
ああ、ヤバい、嬉しい…!
ところで、…抱きます?抱かれます?」

 

変わってねぇ!ぜんっぜん変わってねぇ!



「おっ…!おまっ!アホか!
うわわわわ!下履き脱がせようとすんな!!」



「いやぁ、俺、昔から我慢出来ないタチだから!」



「どこ触ってやがる!!」

 

我慢出来ない。だからこその傍若無人な王だもんな!
     

ヤバい!怖い!こいつ、やっぱ怖いわ!




    

「………………女王……」



「……うむ、妾だ…な…」




自分の下に組み敷かれた女王の姿に、テンションだだ下がりのアンドリュー。


ベッドの上で二人重なったまま気不味い空気が流れる。


あのような巨体でありながらアンドリューに組み敷かれかけてしまい、身の危険を感じたオブザイアは逃げる為に女王に戻った。

    

「じゃあ、さっさと俺のベッドから降りて下さい。」



それがベッドに横たわる妻に言う台詞か!

オブザイアに対する態度との温度差酷すぎるだろう!

解せぬわ!




そうは思っても、大人しくベッドから降りて椅子に座る女王。

     

「最近、そなたの様子がおかしいのでな…
気になったのだ………オブザイアが。」



なぜ妾はこやつに媚びを売るような言い方をするのか…

腹が立つ…!私自身にな!



「オブザイア殿、気にしないでしょ?そんな事。

俺の事が気になったのは女王でしょう。」

     

おや?何と…妾の事を気に掛けてくれているのか…?

   

「そんな些末な事など気にもしない、大きな人なんですよ、オブザイア殿は……

ああ、心までもが大らかで美しい…」



ああ、そうかい!期待して損したわ!



「…一応は…その…わ、妾は…そなたの妻であるからな…」

 

「女王………………恥じらうのはキモいです。」



夫の心配をする妻をキモいだと!?
こやつ…!殴ってやろうか…!



     
「俺がおかしいと思えたのでしたら、国からの書簡のせいですね…

まぁ生きていてくれて良かっただの、信じておりましただの…取って付けたような美辞麗句が並んでましてね…」



オブザイアとして初めてアンドリューと逢った時、アンドリューは側近達の謀略により、暗殺される所だった。


オブザイアは殺すつもりだったアンドリューを結果的には助けたが、アンドリューは国に戻らず、生きているとの報告も一切せずにいたため、世間では傍若無人な若き王は「彼の国」の狂戦士に殺されたと噂されていたのだ。



それが、狂戦士の背中にくっついて毎回のように戦場に現れるのだ。

     

「手懐けたのだろうと…言うのだ…」



「手懐けた…とな?」    



ボソッと呟いたアンドリューに女王が聞き返す。

ピリピリとした空気が部屋に広がり始めた。


     

「俺が!オブザイア殿を手なづけたと!

あの阿呆どもが言うのだ!

オブザイア殿のような美しい方を!

俺ごときが!」



     

「……………へー……。」





女王は感情の無い返事を返した。

     


━━妾は今、きっと目も鼻も口も、棒一本になっているに違いない。

オブザイア=妾なのに、あやつの中で、オブザイアと妾の間にはイコールではなく、亜空間が広がっているに違いない。━━

     
 

「そして、その阿呆どもが言うのだ!
うまくたぶらかして、「彼の国」の女王を手に入れましたねと!」


     

「…………へー……。」




「俺の妻を馬鹿にする事は、俺を馬鹿にしているのと同義だ!」




「………へー……。俺の妻。オブザイアが。」




「…?何を言っている女王、俺の妻はお前だろう?
お前を、たぶらかされるような程度の低い器の女王だと言われた事にも腹を立てていると言っているのだ。」




何だと!?わ、妾を妻だと言ったのか!?

アンドリューが妾を妻だと…。     

きゅんっ…!

む、胸がトキメクではないか!




「オブザイア殿は俺の夫だから!
オブザイア殿の妻は俺!女王は俺の妻!」


     

ややこしい事を言いおってからに!!

ああ、そうかい!妾のトキメきを返せ!

    
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

屈辱と愛情

守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。

「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある

柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった 王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。 リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。 「わかりました。あなたには、がっかりです」 微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。

事務仕事しかできない無能?いいえ、空間支配スキルです。~勇者パーティの事務員として整理整頓していたら、いつの間にか銅像が立っていました~

水月
恋愛
「在庫整理しかできない無能は不要だ」 第一王子から、晩餐会の場で婚約破棄と国外追放を告げられた公爵令嬢ユズハ。 彼女のギフト【在庫整理】は、荷物の整理しかできないハズレスキルだと蔑まれていた。 だが、彼女は知っていた。 その真価は、指定空間内のあらゆる物質の最適化であることを。 追放先で出会った要領の悪い勇者パーティに対し、ユズハは事務的に、かつ冷徹に最適化を開始する。 「勇者様、右腕の筋肉配置を効率化しました」 「魔王の心臓、少し左にずらしておきましたね」 戦場を、兵站を、さらには魔王の命までをも在庫として処理し続けた結果、彼女はいつしか魔王討伐勇者パーティの一人として、威圧感溢れる銅像にまでなってしまう。 効率を愛する事務屋令嬢は、自分を捨てた国を不良債権として切り捨て、再出発する。

月の後宮~孤高の皇帝の寵姫~

真木
恋愛
新皇帝セルヴィウスが即位の日に閨に引きずり込んだのは、まだ十三歳の皇妹セシルだった。大好きだった兄皇帝の突然の行為に混乱し、心を閉ざすセシル。それから十年後、セシルの心が見えないまま、セルヴィウスはある決断をすることになるのだが……。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

処理中です...