【R18】夜の帳に聖なる契り 『転生後の異世界で、腐女子のわたしがBLネタにしていた推しに喰われる漫画を描く罰ゲーム』

DAKUNちょめ

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64話◆画家設定のミュゲ、夫のカティスと妹のメイと旅に出ます!

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わたしはメイが用意してくれた旅の衣装に着替えた。

コルセットを締めたらワンピースに見えるがブラウスとスカートは別で、汚れたら片側だけ洗濯出来る。

丈夫な生地で出来ており、ブーツがよく似合う。


初めて着るタイプの衣装に少し嬉しくなり、クルリと回って見た。


「伯爵家の婦人として旅をするのは危険なので、身分を偽らせて頂きます。よろしいですか?」


「よろしいです!!」


カチュアの問いかけに、テンション上がりまくりのわたしが挙手して答える。


確かに貴族婦人が、従者も護衛もろくに居ない状態で旅とか、危ないかもね!

つか、やだよ!そんなお高くとまった感じの旅行みたいなの。


「良い返事です。では…我々の設定ですが……
奥様はメグミンと言う名の画家で、諸国を回って絵を描いている。私はその夫でカティスという名の剣士。
メイは、名前はそのままでメグミンの妹という事にします。」



……………一番年上のメイがわたしの妹……。

いや、それより!わたし、メグミンて名前なんすか!?

偽名がリアルネーム??しかも画家設定!?

そいでカチュアが夫!!!


「そ、その設定…ムリが無い?な、なんと言うか……色々と。」


「そんな事は無いよ…メグミン…。」


カチュアが優しい笑みを浮かべ、わたしの頬を撫でる。

もう、夫役になってんの!?

ま、まだ邸ん中じゃないか!!

つか、あまりその名前を周知させたくないのだけど!

カチュアはメグミンという同人作家を崇拝し過ぎて、おかしなテンションになってる!!やめんか!


「そうよ!お姉ちゃん!!」

「がふっ!」


体当たりに近い勢いで、メイが飛び付いて来た。

抱き締められたまま、思い切り胸に頬擦りしてくる。


ちょっと!ちょっと待って!何だか別の意味で、この旅が危険なモノになりそうな予感がスル!!

わ、わたし、メイとカチュアに食われたりしませんか!?



「カチュア、メイ、少しはわきまえなさい。特にメイ。」


開いたドアの前にスチュワートさんが立っており、笑顔だが圧を放ちつつ言う。


「メグミン呼びは、お止めなさい。
その名前はサイモン様にとって特別な御名前。
サイモン様が知ったら大変な事になります。
それとメイ、奥様に過度な接触はお止めなさい。
サイモン様が知ったら、もっと大変な事になります。
貴女の命が。」


「ぐふっ…!」


メイが名残惜しそうにわたしから離れた。

確かに、こんな事をサイモンが知ったら、豆柴がお空のお星さまになるかも知れない。

サイモンの場合、ジョークで済まない可能性がある。


「奥様…。」


優しい笑みを浮かべたスチュワートさんが、わたしの耳の上にスズランの花をさした。

え?スチュワートさんが?女性の髪に花をさすなんて…。

…何かキザとゆーか…意外な事をする。


「旅のお守りでございます。
ミュゲは幸福を運ぶ花とも言われております。
……サイモン様が、奥様をスズランのような方だとおっしゃっておりました。」


「さ、サイモン…スチュワートさんにも教えたんだ…」


「ええ、奥様はヒマワリスズランだと。
自分は意味は分からないが、ヒマワリバズーカだと、それは嬉しそうに…」


ヒマワリバズーカは、熱でボンヤリしたわたしが口を滑らせただけだから忘れて下さい!
意味も知らなくていいです!


「では、奥様の名前はミュゲに致しましょう。
メグにも少し似てますし馴染み易いかと。」


カチュアが提案すれば、スチュワートさんが微笑みながら頷く。


「カチュア、メイ、奥様をお願い致します。
サイモン様がお帰りになる際、お二人様が笑顔でおられますよう…。」


今さらだけど、わたしがサイモンを追って旅に出るというのは日本人だった頃のぶらり一人旅とは違い、とても危険な事をしようとしているのだと気付く。


治安も現代日本とは全然違うし、何より今のわたしの立場自体が誰かに狙われているかも知れない状況。

それでも……サイモンの近くに居られないなんて、嫌だ。



「スチュワートさん…!わたし、サイモンの近くに行きます!
絶対に無事に帰って来ますから!」


わたしがヒールナー邸に来てから、まだ日が浅いのに…邸の皆がわたしを大切にしてくれているのだと分かる。


「ええ、待っておりますよ。」


優しい笑みを浮かべたスチュワートさんに見送られて、わたし達は邸を出た。



馬は2頭、わたしはカチュアと馬に乗る。

意外にもメイは一人で馬の手綱を握っていた。



わたしもその内一人で馬に乗れるようになるかしら?









「奥様、若奥様に花を渡して来ました。」


「ありがとう、スチュワート。これで、あの子の状況を少しばかり知る事が出来るわ。」


温室の幽霊こと、ヒールナー伯爵夫人は温室の植物に水をやりながらスチュワートの方を振り向いた。


「兄さんも行くのね。邸が寂しくなるわ。」


「ミランダ嬢に何かあったら寂しくなる所じゃ済まないからな。」


スチュワートは片眼鏡モノクルを外し、鼻の下にたくわえた髭を剃って旅装束を身に着けていた。


「その姿を見るのは久しぶりだねスチュワート。義娘を頼むよ。」


ヒールナー伯爵が夫人であるグレイスの隣に立って言えば、スチュワートが笑う。


その笑顔は、いつもの柔らかく優しい笑みではなく、どこか挑発的な雰囲気の不敵な笑み。


「俺が居ない間ぐらいは好きなだけイチャイチャしてろよ。
お前も息子のサイモンに負けず劣らず、変態なんだから。」


スチュワートはつばの広い帽子を目深に被り顔を陰で隠してマントを羽織る。

幅広の剣をマントの下に持ち、ミランダ達の後を追うように邸を出た。


「イチャイチャする暇があればね…。
グレイス、君の得た情報にある神聖国とか言う薄っぺらい出来たてホヤホヤの国なんだけどさ…他に何か分からない?」


植物に水をやるヒールナー伯爵夫人を伯爵が後ろから抱き締めながら尋ねれば、グレイスは首を傾げる。


「私の得る情報には限度があるからね。
遠くの情報も手に入るかわりに、曖昧な事しか分からないとか…。だからこそ、その確認には人が直接行かないと。」



グレイスは稀有な植物魔法を使う。

植物が触手の様に伸びて術者の思い通りに敵を攻撃する等と言う事はなく、グレイスが使えるのは世界各地に在る植物から、情報を得る事が出来るという珍しい魔法。


だが得られる情報の幅は狭く、必ずしも正しい情報とは限らない。


グレイスはヒールナー伯爵夫人となってからずっと、この魔法を行使している。


「サイモンが、殿下と同じように転移魔法を取得していたら話は早かったのにねぇ。」



「……使えてたんですけどねぇ、小さい頃は。
あの頃は、別人みたいだったんですもの。
多属性の強力魔法使えるわ、教えた事もないのに剣の腕は一流だわ、プチプチ言っていて化け物じみていましたもの。」


ヒールナー伯爵夫妻が、互いに顔を見て苦笑する。


危なっかしくて王都に置いておけずに、サイモンには田舎で幼少期を過ごさせた。

ミニレオンハルトとして生を受けてしまった彼が、成長と共にレオンハルトとしての自我が薄れたので、王都に呼び戻したのだが、それがゲーム上では自分は養子として貰われた子で家族に疎ましく思われているというサイモンのネガティブな思考を作る設定となってしまった。



「あんな、どんよりしていた子が、あんなに幸せそうに笑うなんて…メグミンは私にとっても宝よ!絶対守るし、手放せないわ!」



ヒールナー伯爵夫人グレイスが鼻息荒く宣言する。

そんな彼女を見て、ヒールナー伯爵が微笑む。



「君の心をも掴むなんて、凄い子だよね。全力で守ろう。

……所でその……メグミンて呼び方は…なんだい?」

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