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73話◆狼クンと、ぽってり君。
一匹狼を気取った感じの少年が睨みを効かせ、騒がしかった教室がシン…と静かになった。
とゆーか、騒がしかったのはピヨちゃんと取り巻きっぽい3人だけなんだけど。
……巻き込まれた僕もか。
教室のドアが開き、教室が静まり返ったタイミングを見計らったかの様に、このクラスの担任らしき教師が教室に入って来た。
先ほどの入学式で、アカネちゃんを講堂に連れて来たモノクルを着けた厳しそうな顔をした堅物っぽい中年の男性教師だ。
教室の中が騒がしかった様子を知っているようで、教師は教壇に立つと教室に散った生徒をジロッと見渡して口を開いた。
「…優秀生徒を集めたAクラスに入れたからと浮かれているのかも知れんが…私は実力主義だ。
貴族階級の上下も年齢や性別も私には関係無い。
この私が教えるにはまだ値しない、未熟な年齢のお前達だ。
私の受け持つクラスに不相応と見なせば、即Bクラスに移って貰うからな。」
……教室に入って来るなり、名乗りもせずに何の牽制?
教師の刺すような視線は僕とピヨちゃんに向けられた。
要は……まだ中等部に来る年齢じゃない僕とピヨちゃんが、この場に居るのが納得出来ないって話?
二人とも侯爵家の子どもだから、親のコネで何かズルでもしたと思われてる?
つか年齢も家柄も気にしないって言ったけど、意識しまくってるのアンタじゃん。
僕の席の横でわぁわぁ騒いでいたピヨちゃんと取り巻きクン達がバツが悪そうに空いてる席に座った。
全員が着席した所で教師が「ハァッ」と億劫そうな溜め息をついた。
ホント、僕達の担任をするのが嫌そうだな。
「一年間お前達の担任をする事になったグラリオだ。
先ほども言ったが、私の教えを受けるにはお前達の年齢では未熟過ぎる。
だからといって手心を加えるつもりは無い。
ついて来れぬ者は容赦無く切り捨てるからな。」
再び生徒達の顔をジロッと睨み、最終的にピヨちゃんと僕に視線が注がれる。
何てゆーかもう……これ、自分は子どもが嫌いだって言ってんだよな。
家柄どうこうとかより、僕とピヨちゃんが幼いから特に気に食わないと。
いや別にいいんだけどね。実力主義、大いに結構だし。
今日の中等部は入学式と、担任やクラスメートとの顔合わせだけで授業はなく早々と解散となった。
従者がおらず、まだ寮内への引っ越しも終わらせてない者もいるし、明日の準備などもあるし…。
てゆーか、グラリオ先生が早く帰れと生徒達を教室から追い出した。
どんだけ僕達の相手すんのが億劫なんだか。
皆がぞろぞろと教室から出て行く際に、ピヨちゃんが僕に声を掛けようと近付いて来ようとしたが一定距離を保ち近寄らせなかった。
半径2メートルを保ち続ける。距離を詰めさせない。
早足で近付いて来られたら早足で遠退く。
「アヴニール!待て!ボクと話をしろ!!」
やなこった。またミライがどうのこうの言うんだろ。
あれは幻の女です。
もう現れないし、現れたとしてもピヨちゃんのお嫁さんには絶対なりません。
つか、似ているってだけで僕との接点は無いハズだ。
僕の邸から帰る途中で、たまたま会ったお姉さんってだけなんだから。
だから僕は何にも知らんって言い張る。
僕は軽いステップでピヨちゃんから距離を保ち続け、やがてゼェゼェ言ってついてこれなくなったピヨちゃんを尻目に、教室を出たばかりの一匹狼クンを追いかけた。
学舎のエントランスを歩く彼を見つけ、隣に並んで声を掛ける。
「さっきは、ありがとう。助けてくれたんだよね?」
ピカピカの中学一年生な年齢の彼は、今年小学4年生な年齢の僕より歳上だ。
でも同級生だから、あえてタメ口でいく。
「別に助けたつもりはなかった。
だが弱い者イジメは見ていて気分が悪いからな。」
「弱い者イジメ………」
に、見えたのか。
小さい僕が、ピヨちゃん達に寄って集って何か言われているように見えたんだな。
「お前、飛び級制度で入学したヤツだろ?
勉強が出来てだか魔法の才能があるんだか知らないが、グラリオ先生は魔法剣の教師だ。
剣の腕が良い生徒に肩入れするらしいからな…気をつけろよ?」
一匹狼クンは幼い僕が剣が扱えるとは思ってもいない様だ。
頭が良いとかピヨちゃんみたいに生まれ持った魔法の才能があって試験合格したタイプだと思っている様子。
そんな理由からか、優しめなお兄ちゃん目線でアドバイスする様な話し方をする。
「剣を使える生徒をひいきするって事?
でも剣が扱えなくても、勉強や魔法力が特化してAクラスに入った人も居るでしょ。
担任だからって、そんな生徒をどうこう出来る権限は無いと思うけれど…。」
ピヨちゃんは僕の次点ではあるが、魔法力が認められて飛び級制度を合格している。
彼の場合は力をもて余し暴走気味だったので、早く学園に入れて制御を身に着けさせるって意味で合格したんだと思う。
剣を扱えなくても、彼はニコラウス同様に有能な魔法使いとなれる素質がある。
あの性格と魔力を上手く制御出来れば。
国の戦力ともなりそうな、そんな逸材を自分の好みでどうにかするって??
「嫌な態度を取られる位の覚悟はしとけって事だ。
あの先生、魔法使いを嫌ってるみたいだしな。
…………俺はウォルフ、お前は?」
魔法使い嫌いだから態度が悪いって何なんだ!と心の中で苛立ちの雄叫びをあげたが口から文句が出る前に、一匹狼クンが自己紹介してくれた。
彼の名前がまさかの狼で、ちょっとベタ過ぎて吹き出しそうになった。
「忠告ありがとう、気をつけるよ。
僕はアヴニール、よろしくねウォルフ!」
僕はウォルフの手を取り握手をした。
握手をした手をブンブン振って喜びをあらわにする。
何か……やっと、マトモな男友達が出来た気がするよ。
「あ、ああ、よろしくな…」
僕のハイテンションに少し引き気味なウォルフが、握手をしたまま一歩後ずさった。
「ずいぶんと楽しそうじゃないか、ウォルフ。」
ウォルフが背後から声を掛けられビクッと身体を強張らせた。
学舎の廊下でウォルフと握手をしたままの僕は、上半身を傾けてウォルフの背後の人物を見た。
何か、ぽってりした子どもが腰に手を当て偉そうにしている。
こちらもピヨちゃんみたいに取り巻きらしき同級生を3人従えているな。
こちらの世界、イヤミな奴に取り巻き3人てのは必須アイテムなのか?
「あなたには…関係無いだろう…。」
おや、ウォルフ。声が小さくなった。
身体を強張らせたまま何か怯えてるみたいだし、さっきまでのクールな一匹狼的覇気が無い。
「ああ!?何だその口のきき方は!
オレのおもちゃだったクセに!!」
ぽってり君はズカズカと僕とウォルフの間に割って入ると、ウォルフの襟首を掴んだ。
ウォルフは抵抗もせず、襟首を掴まれたままで目線だけを逸らす。
「今は違います…。離して下さい。」
「ふん!!お前がAクラスに入るなんてな。
いい気になるなよ。」
ぽってり君はウォルフの身体を突き飛ばす様にしてウォルフの襟首を解放し、取り巻きを連れて去って行った。
僕の事は見えてなかったのか終始無視されていた。
去って行ったぽってり君の背を見送り、少し間を置いてからウォルフに訊ねた。
「ずいぶんとキャラの濃い……
いや、横暴な態度の人だったけど…知り合い?」
「…………アフォンデル伯爵家の長男だ。」
「!!」
驚きの余りに声を失う。
彼が!あのぽってり君が!
我がローズウッド侯爵家を目の敵にしているアフォンデル伯爵んトコのボンボン!
そうか、あのぽってり君のせいで僕は気持ち悪い魔法使いのオッサンに誘拐されたのか。
で、ぽってり君の姉君が僕の姉様を陥れようとした。
ろくなウチじゃないな!アフォンデル伯爵家とやらは!
「知り合いと言うか…
俺は2年前まで、父に頼まれアフォンデル伯爵家に通っていた。」
貴族の子どもが同じく貴族の子どもを遊び相手にする事はままある話だから、ウォルフがアフォンデル伯爵家に行っていても不思議ではない。
アフォンデル伯爵家の話を続けて聞きたかった僕は、口が重くなったウォルフを学舎の中から連れ出して中庭のベンチに移動した。
噴水の前にある、ゲームではイチャイチャイベントの舞台でもあったベンチに二人並んで腰掛けて話の続きを催促する。
重い口調でポツリポツリと語るウォルフの話を聞いていくと、ウォルフの家は男爵家でアフォンデル伯爵家の世話になっており逆らえない。
幼い頃から数年に渡りアフォンデル伯爵家の長男の遊び相手をしていたウォルフだが、出来の良いウォルフが癪に障る様になったぽってり君から苛めを受ける様になったと。
「ウォルフは、黙って嫌がらせを受ける様なタイプには見えないんだけど。」
もしかして……この、ちょっとツッパリテイストな出で立ちは、中学デビュー系か?
「抵抗は出来ないだろ。父の立場もあるし。」
お父さんの為に黙って我慢していたって事?偉いなぁ……
僕だったら倍返しだね。
チクれない様に釘もぶっ刺すよ。
「ああ…それでウォルフは弱い者イジメが嫌いなんだね。」
僕がピヨちゃん達にイジメを受けているように見えたらしいウォルフが僕を助けた理由がこれか。
「で…どうするの?これからも難くせを付けて来そうだよ、あのヒト。」
今日は僕の存在が見えてなかったようだけど、僕がローズウッド侯爵家のアヴニールだと知れば僕にもイチャモン付けて来そう。
「学園に行けば、彼と会うのは分かっていた。
クラスは違うからな、なるべく関わらない様にするさ…。」
「そうだね。」
僕もなるべく、そうしよう。
それに、イジメと言えば僕には静観出来ない問題がある。
姉様がアカネちゃんをイジメた事にならない様にしなきゃいけない。
学年が違うから、教室内での言い掛かりなんかは僕がフォロー出来ないけど……
そこはリュースとニコラウスを頼るしかない。
「初日に悪役令嬢と絡むイベント、何かあったっけ……
アカネちゃんの場合、イベントの有無に関係無く畳み掛けて来そうなんだよなぁ。」
姉様のクラスも今日は初顔合わせだ。
どうなってる事やら……
▼
▼
▼
高等部の1学年。
昨年度までは学園で一番下級生だった彼らは、中等部の出来た今年より後輩の模範となるべき先輩ともなった。
教師達も未成熟な子どもを相手の教育に慣れていない者もおり、中等部の担任となった者は貧乏くじを引いた様な扱いだ。
皆が手探り状態での教育現場となる為か、教師達の間にもピリピリした緊張感がある。
「今年学園の高等部に入学してきた君達は特に、気をつけて貰いたい。
先輩達に敬意を払い、後輩達には模範を示し……特にAクラスの君達には常に多くの注目が集まるのだからな。」
高等部1学年Aクラスの担任が顔合わせの挨拶にて、問題を起こすなと皆に釘を刺した。
━━トラブルメーカーのアカネちゃんは、そのAクラスに居る。
とゆーか、騒がしかったのはピヨちゃんと取り巻きっぽい3人だけなんだけど。
……巻き込まれた僕もか。
教室のドアが開き、教室が静まり返ったタイミングを見計らったかの様に、このクラスの担任らしき教師が教室に入って来た。
先ほどの入学式で、アカネちゃんを講堂に連れて来たモノクルを着けた厳しそうな顔をした堅物っぽい中年の男性教師だ。
教室の中が騒がしかった様子を知っているようで、教師は教壇に立つと教室に散った生徒をジロッと見渡して口を開いた。
「…優秀生徒を集めたAクラスに入れたからと浮かれているのかも知れんが…私は実力主義だ。
貴族階級の上下も年齢や性別も私には関係無い。
この私が教えるにはまだ値しない、未熟な年齢のお前達だ。
私の受け持つクラスに不相応と見なせば、即Bクラスに移って貰うからな。」
……教室に入って来るなり、名乗りもせずに何の牽制?
教師の刺すような視線は僕とピヨちゃんに向けられた。
要は……まだ中等部に来る年齢じゃない僕とピヨちゃんが、この場に居るのが納得出来ないって話?
二人とも侯爵家の子どもだから、親のコネで何かズルでもしたと思われてる?
つか年齢も家柄も気にしないって言ったけど、意識しまくってるのアンタじゃん。
僕の席の横でわぁわぁ騒いでいたピヨちゃんと取り巻きクン達がバツが悪そうに空いてる席に座った。
全員が着席した所で教師が「ハァッ」と億劫そうな溜め息をついた。
ホント、僕達の担任をするのが嫌そうだな。
「一年間お前達の担任をする事になったグラリオだ。
先ほども言ったが、私の教えを受けるにはお前達の年齢では未熟過ぎる。
だからといって手心を加えるつもりは無い。
ついて来れぬ者は容赦無く切り捨てるからな。」
再び生徒達の顔をジロッと睨み、最終的にピヨちゃんと僕に視線が注がれる。
何てゆーかもう……これ、自分は子どもが嫌いだって言ってんだよな。
家柄どうこうとかより、僕とピヨちゃんが幼いから特に気に食わないと。
いや別にいいんだけどね。実力主義、大いに結構だし。
今日の中等部は入学式と、担任やクラスメートとの顔合わせだけで授業はなく早々と解散となった。
従者がおらず、まだ寮内への引っ越しも終わらせてない者もいるし、明日の準備などもあるし…。
てゆーか、グラリオ先生が早く帰れと生徒達を教室から追い出した。
どんだけ僕達の相手すんのが億劫なんだか。
皆がぞろぞろと教室から出て行く際に、ピヨちゃんが僕に声を掛けようと近付いて来ようとしたが一定距離を保ち近寄らせなかった。
半径2メートルを保ち続ける。距離を詰めさせない。
早足で近付いて来られたら早足で遠退く。
「アヴニール!待て!ボクと話をしろ!!」
やなこった。またミライがどうのこうの言うんだろ。
あれは幻の女です。
もう現れないし、現れたとしてもピヨちゃんのお嫁さんには絶対なりません。
つか、似ているってだけで僕との接点は無いハズだ。
僕の邸から帰る途中で、たまたま会ったお姉さんってだけなんだから。
だから僕は何にも知らんって言い張る。
僕は軽いステップでピヨちゃんから距離を保ち続け、やがてゼェゼェ言ってついてこれなくなったピヨちゃんを尻目に、教室を出たばかりの一匹狼クンを追いかけた。
学舎のエントランスを歩く彼を見つけ、隣に並んで声を掛ける。
「さっきは、ありがとう。助けてくれたんだよね?」
ピカピカの中学一年生な年齢の彼は、今年小学4年生な年齢の僕より歳上だ。
でも同級生だから、あえてタメ口でいく。
「別に助けたつもりはなかった。
だが弱い者イジメは見ていて気分が悪いからな。」
「弱い者イジメ………」
に、見えたのか。
小さい僕が、ピヨちゃん達に寄って集って何か言われているように見えたんだな。
「お前、飛び級制度で入学したヤツだろ?
勉強が出来てだか魔法の才能があるんだか知らないが、グラリオ先生は魔法剣の教師だ。
剣の腕が良い生徒に肩入れするらしいからな…気をつけろよ?」
一匹狼クンは幼い僕が剣が扱えるとは思ってもいない様だ。
頭が良いとかピヨちゃんみたいに生まれ持った魔法の才能があって試験合格したタイプだと思っている様子。
そんな理由からか、優しめなお兄ちゃん目線でアドバイスする様な話し方をする。
「剣を使える生徒をひいきするって事?
でも剣が扱えなくても、勉強や魔法力が特化してAクラスに入った人も居るでしょ。
担任だからって、そんな生徒をどうこう出来る権限は無いと思うけれど…。」
ピヨちゃんは僕の次点ではあるが、魔法力が認められて飛び級制度を合格している。
彼の場合は力をもて余し暴走気味だったので、早く学園に入れて制御を身に着けさせるって意味で合格したんだと思う。
剣を扱えなくても、彼はニコラウス同様に有能な魔法使いとなれる素質がある。
あの性格と魔力を上手く制御出来れば。
国の戦力ともなりそうな、そんな逸材を自分の好みでどうにかするって??
「嫌な態度を取られる位の覚悟はしとけって事だ。
あの先生、魔法使いを嫌ってるみたいだしな。
…………俺はウォルフ、お前は?」
魔法使い嫌いだから態度が悪いって何なんだ!と心の中で苛立ちの雄叫びをあげたが口から文句が出る前に、一匹狼クンが自己紹介してくれた。
彼の名前がまさかの狼で、ちょっとベタ過ぎて吹き出しそうになった。
「忠告ありがとう、気をつけるよ。
僕はアヴニール、よろしくねウォルフ!」
僕はウォルフの手を取り握手をした。
握手をした手をブンブン振って喜びをあらわにする。
何か……やっと、マトモな男友達が出来た気がするよ。
「あ、ああ、よろしくな…」
僕のハイテンションに少し引き気味なウォルフが、握手をしたまま一歩後ずさった。
「ずいぶんと楽しそうじゃないか、ウォルフ。」
ウォルフが背後から声を掛けられビクッと身体を強張らせた。
学舎の廊下でウォルフと握手をしたままの僕は、上半身を傾けてウォルフの背後の人物を見た。
何か、ぽってりした子どもが腰に手を当て偉そうにしている。
こちらもピヨちゃんみたいに取り巻きらしき同級生を3人従えているな。
こちらの世界、イヤミな奴に取り巻き3人てのは必須アイテムなのか?
「あなたには…関係無いだろう…。」
おや、ウォルフ。声が小さくなった。
身体を強張らせたまま何か怯えてるみたいだし、さっきまでのクールな一匹狼的覇気が無い。
「ああ!?何だその口のきき方は!
オレのおもちゃだったクセに!!」
ぽってり君はズカズカと僕とウォルフの間に割って入ると、ウォルフの襟首を掴んだ。
ウォルフは抵抗もせず、襟首を掴まれたままで目線だけを逸らす。
「今は違います…。離して下さい。」
「ふん!!お前がAクラスに入るなんてな。
いい気になるなよ。」
ぽってり君はウォルフの身体を突き飛ばす様にしてウォルフの襟首を解放し、取り巻きを連れて去って行った。
僕の事は見えてなかったのか終始無視されていた。
去って行ったぽってり君の背を見送り、少し間を置いてからウォルフに訊ねた。
「ずいぶんとキャラの濃い……
いや、横暴な態度の人だったけど…知り合い?」
「…………アフォンデル伯爵家の長男だ。」
「!!」
驚きの余りに声を失う。
彼が!あのぽってり君が!
我がローズウッド侯爵家を目の敵にしているアフォンデル伯爵んトコのボンボン!
そうか、あのぽってり君のせいで僕は気持ち悪い魔法使いのオッサンに誘拐されたのか。
で、ぽってり君の姉君が僕の姉様を陥れようとした。
ろくなウチじゃないな!アフォンデル伯爵家とやらは!
「知り合いと言うか…
俺は2年前まで、父に頼まれアフォンデル伯爵家に通っていた。」
貴族の子どもが同じく貴族の子どもを遊び相手にする事はままある話だから、ウォルフがアフォンデル伯爵家に行っていても不思議ではない。
アフォンデル伯爵家の話を続けて聞きたかった僕は、口が重くなったウォルフを学舎の中から連れ出して中庭のベンチに移動した。
噴水の前にある、ゲームではイチャイチャイベントの舞台でもあったベンチに二人並んで腰掛けて話の続きを催促する。
重い口調でポツリポツリと語るウォルフの話を聞いていくと、ウォルフの家は男爵家でアフォンデル伯爵家の世話になっており逆らえない。
幼い頃から数年に渡りアフォンデル伯爵家の長男の遊び相手をしていたウォルフだが、出来の良いウォルフが癪に障る様になったぽってり君から苛めを受ける様になったと。
「ウォルフは、黙って嫌がらせを受ける様なタイプには見えないんだけど。」
もしかして……この、ちょっとツッパリテイストな出で立ちは、中学デビュー系か?
「抵抗は出来ないだろ。父の立場もあるし。」
お父さんの為に黙って我慢していたって事?偉いなぁ……
僕だったら倍返しだね。
チクれない様に釘もぶっ刺すよ。
「ああ…それでウォルフは弱い者イジメが嫌いなんだね。」
僕がピヨちゃん達にイジメを受けているように見えたらしいウォルフが僕を助けた理由がこれか。
「で…どうするの?これからも難くせを付けて来そうだよ、あのヒト。」
今日は僕の存在が見えてなかったようだけど、僕がローズウッド侯爵家のアヴニールだと知れば僕にもイチャモン付けて来そう。
「学園に行けば、彼と会うのは分かっていた。
クラスは違うからな、なるべく関わらない様にするさ…。」
「そうだね。」
僕もなるべく、そうしよう。
それに、イジメと言えば僕には静観出来ない問題がある。
姉様がアカネちゃんをイジメた事にならない様にしなきゃいけない。
学年が違うから、教室内での言い掛かりなんかは僕がフォロー出来ないけど……
そこはリュースとニコラウスを頼るしかない。
「初日に悪役令嬢と絡むイベント、何かあったっけ……
アカネちゃんの場合、イベントの有無に関係無く畳み掛けて来そうなんだよなぁ。」
姉様のクラスも今日は初顔合わせだ。
どうなってる事やら……
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高等部の1学年。
昨年度までは学園で一番下級生だった彼らは、中等部の出来た今年より後輩の模範となるべき先輩ともなった。
教師達も未成熟な子どもを相手の教育に慣れていない者もおり、中等部の担任となった者は貧乏くじを引いた様な扱いだ。
皆が手探り状態での教育現場となる為か、教師達の間にもピリピリした緊張感がある。
「今年学園の高等部に入学してきた君達は特に、気をつけて貰いたい。
先輩達に敬意を払い、後輩達には模範を示し……特にAクラスの君達には常に多くの注目が集まるのだからな。」
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※こちらの作品は小説家になろうやカクヨムでも投稿しています。