完璧城主の哀悼記もしくは天然転生少女の奮闘記

翡翠

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藍玉さんのお務め

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 私が、藍玉さんとして…?無理無理!話したこともない人の役を演じるなんて、プロ女優でも出来っこない!真っ青になった私に、蒼玉が追い討ちをかける。

「じゃあ、宮廷のものにどう説明しろっていうんだ。穀雨宮と繋がっていると知られれば、命はないぞ。ただでさえ…」

 ただでさえ、何よ。反論しようとしたけど、いちいち正論だからできない。ちぇっ…

「分かりました。でも、バレても文句言わないでくださいね。」

「お前の命がなくなるだけだからな。」

 んぐっ…

「じゃあ、せめて、バレないように、ヒトに会わなくていいようにしてください!」

 ーーーーーーーーー数時間後ーーーーーーーーーーー

 …って、言ったはずだったんだけど。なぜか私は、着せ替え人形のように飾り立てられていた。

「藍玉さまがお戻りになって、私どもは大変安堵しておりました。どうかお顔だけでもお見せいただきたく…」

 とのことらしい。宮廷で開かれる、貴族たちのパーティー。聞いた話では数十人が参加するとか…さっそくバレる気しかしない。

「藍玉さま。ご準備が整いましたので、こちらへ。」

 春林さんがいいなあ、なんて甘い期待はあっさりと裏切られる。部屋を出るとスタンバイしていたのは17.18くらいの女の人だった。
 しずしずって言葉がこの上なく似合う彼女に連れられることしばらく。到着したのは、中学校の運動場なんてメじゃないくらい広い中庭だった。まだ人はちらほらって感じ。

「うわぁ!すっごーい!」

 あちこちに植えられた木々の花々は、赤、ピンク、白、青…なんとも言えない香りがほわほわと立ち上っている。芝生の緑とあわさってすごく鮮やか!真っ白なテーブルとイスも高級感漂ってるんですけど!

「…藍玉さま…おかわりになられましたね。」

 げっ!背の高い木を見上げた格好のまま、私は固まった。もうバレそう…

「前はもっと、悲壮感が漂っていらした…あ、申し訳ございません。つい…」

 あれ、なんか思ってたのと違う…春林さんの話だと、蒼玉にべったりな藍玉さんが召使いたちに嫌われて、恨まれてる…みたいなイメージだったんだけど。
 目の前のこの召使いさんは、恨んでるというより私を恐がってるみたい。指先が小刻みに震えている。

「さ、さぁ、藍玉さま。お席に参りましょう。」

 気がついたら周りにはたくさんの人たち。蒼玉も幽玄さんに付き添われて席に着いていた。よ、よし。藍玉さんのことは、とりあえず後回しだ!

「それでは、皆さま、乾杯といきましょう。」

 幽玄さんがグラスを持ち上げた。
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