完璧城主の哀悼記もしくは天然転生少女の奮闘記

翡翠

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それぞれの思惑

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 藍玉さんは、私に驚きの言葉を告げたあと、淡い光となって消えてしまった。
 なんとなく、受け入れてしまう自分がいる。見ると私の腕も淡く光っていた。
 帰ろう。帰って、蒼玉に藍玉さんの気持ちを伝えなきゃ。
 なぜ、藍玉さんが襲われた日、宮廷の外に出たのか。出られたのか。穀雨宮は、貴族たちの、藍玉さんへの恨みを利用したんだ。
 たぶん、藍玉さんが殺されるところを貴族たちは見たんだと思う。
 化け物みたいに私を見ていた人がいたのは、そのためだったってこと。
 ああ、そろそろだな。蒼玉。ちゃんと、話したい。少しでいい。時間を…

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 「よもぎ!」

 ひええっ!超美麗な顔のドアップ!

「お、落ち着いてくださいっ!蒼玉さま!」

 なんで目覚めたばっかの私の方が落ち着いてるのよ。
 蒼玉は、心配になるくらい取り乱していた。幽玄さんがわたわたしている。それもそのはず…よくみると、蒼玉は上半身を包帯でぐるぐるにされていた。

「よもぎさま。もう隠すことでもありませんので申しますが、惨敗、でございます。」

 フリーズする私に幽玄さんがそう告げた。

「よもぎさまは覚えていないと思いますが、蒼玉さまの傷は…」

「幽玄!」

 蒼玉が焦ったように叫んで、顔をしかめる。痛むんだろう。

「…私が、やったんですね?」

 幽玄さんが頷いた。やっぱり…藍玉さん、私、守るどころか…いや、そんなこと気にしてたらやってられない。

「よもぎ。おれは、大丈夫だ。少し、話たいことがある。幽玄。」

 蒼玉が言い終える前に、幽玄さんはぴしっとおじきして部屋を出ていた。以心伝心とはこのことってカンジ。…よし。

「蒼玉さまっ!ごめんなさい…は、後でいくらでもいいますから、ちょっと私の推理、聞いてほしいですっ!」

「よもぎの?」

「はいっ!」

 藍玉さんの話を聞いて、私なりにたどり着いた結論。蒼玉も気づいてるかもだけど、私の中で整理しておきたいし。
 蒼玉はふっと笑った。

「じゃあ、よもぎ探偵に推理の材料追加だな。」

 材料…?

「よもぎがよもぎとしての意識を失ったあと。お前は、藍玉の記憶に支配された。穀雨宮に間接的に操られるカタチで、おれを殺そうとしたんだ。」

「…蒼玉さまは、藍玉さんの見た目をした私を攻撃できない。それを、利用したんですね。」

 蒼玉だけじゃない。幽玄さんも、ほかの白露宮もそうだ。本気が出せなかったはず。

「そう。問題は、穀雨宮がトドメをさす直前であわててやめたことだ。なぜか、わかるか?よもぎ探偵?」

 もちろん。でもこの言い方、やっぱり蒼玉も全部わかってるんだ。

「じゃあ、さて…」
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