ハーフ&ハーフ

黒蝶

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日常篇

好きだからこその感情

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「...」
家に着いても、木葉は黙ったままだ。
無意識のうちに、何か怒らせるようなことをしてしまったのだろうか。
「木葉、一緒にお菓子を食べない?」
「食べたい...。紅茶の用意をするね」
「うん。ありがとう」
いつもより少ない会話を終えて、そのまま準備をはじめる。
「...できたよ」
「美味しそう...!」
木葉が少し元気になったような気がして、今なら訊いてもいいのかもしれないと覚悟を決める。
「...ねえ、木葉。元気がないみたいだったけど、私何かしたかな?」
「違うよ、そうじゃないんだ。ただ...」
「ただ?」
木葉は顔を林檎のように赤く染めて、小さく呟いた。
「ラッシュさんは朝動けない訳じゃないし、僕が知らない間に七海と過ごしても不自然じゃないし...。
でも、嫉妬しちゃったんだ。子どもっぽいって思われたくないと思ったけど...態度に出ちゃった」
最後の方になるにつれて、だんだん声が小さくなった。
そんな様子を見ていると胸の中に愛しさが溢れ出して、自分でもどうしようもないほど膨れあがっていく。
「木葉」
「ごめんね、子どもっぽくて呆れたよね...」
「好き」
「好きって...え!?」
耳まで真っ赤になった木葉に、どう話せば上手く伝えられるだろう。
「だって...もし私のことを木葉が何も思ってなかったら、嫉妬なんてしないでしょ?
私も、木葉が好きだから嫉妬しちゃうこともあるよ」
「え、そうなの?」
私はゆっくり頷いて、そのときのことを思いおこす。
──それは、今から10日程前のこと。
私は買い物をしていて帰りがすっかり遅くなってしまい、丁度木葉が働く本屋さんの近くを通った。
そのとき彼は沢山の女性に囲まれていて、話し掛けられなかったのだ。
かっこいいですね、なんて言いながらスキンシップをとろうとする女性たちを見つめていると...胸の中にはもやもやとしたものが広がっていた。
「そんなことがあったなんて...」
話すつもりなんてなかった。
けれど、これで木葉の不安を少しでもなくすことができるならその方がいい。
「あの日、私は声をかけられなかった。でも、ずっともやもやしてた」
「嫉妬してくれたってこと?」
「そうだよ。だって、好きだから。いつだって1番側にいてほしいって思ってる」
「七海...ありがとう、僕も愛してる!」
がばっと抱きしめられて、そのまま動けなくなる。
頬に熱が集まるのを感じて、どんどん鼓動が高鳴っていく。
木葉はきちんと言葉にしてくれるけれど、それが時々くすぐったくて恥ずかしい。
どんどん紅茶が冷めていくことなんて気にもならないほど、私たちの間はぬくもりで満ちていた。
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