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隠暮篇(かくれぐらしへん)
デートタイム
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「バナナチョコミントとストロベリーバニラください」
「どうして私が食べたいものが分かったの?」
「ずっとメニュー見てたから」
七海は嘘を吐けるタイプではない。
その素直さが好きだというのは言うまでもないが、時折純粋すぎて心配になる。
「ほら、向こうで食べよう?」
「ありがとう」
「...ごめん、電話みたいだからちょっとだけ待ってて」
「分かった。気をつけてね」
相変わらず体調がいい訳ではない僕は、今日も結局こうして抑えるしかない。
「僕はただ、七海の側に...」
誰も来ない場所で、ひたすら自らの腕に爪と牙を突き立てる。
大切な人の側にいられるのならこの程度の傷など惜しくない。
...僕の半分は化け物で、そのおかげで治りが早いのだから。
「おまたせ」
「やっぱり調子が悪いんじゃ...」
「違うよ。心配させちゃってごめん。ちょっと、買いたかったものがあったんだ」
「買いたかったもの?」
しゃら、と音がして鞄の中から箱を取り出す。
「クリスマスプレゼント、ちゃんとしたものを渡したかったんだ」
「綺麗なネックレス...本当にもらっていいの?」
「勿論だよ」
「ありがとう。それから、その...」
七海の言葉を待っているとぎゅっと抱きしめられた。
「木葉がかっこよすぎるから、一緒に新しい服を買いに行きたい...です」
「それじゃあ理由になってないよ」
おろおろして話す彼女を見ていると、それだけで笑ってしまう。
幸せな気持ちでいっぱいになる。
「それじゃあ行きましょうか、お姫様?」
冗談めかしてそう告げると、七海の顔は林檎色に染まっていた。
「七海が着てくれるならどんな服でもいいんだけど...そうだ、このズボンにこのシャツを合わせるのは?」
「大人っぽいけど着こなせるかな?」
「きっと似合うよ」
七海が着替えている間に、自分の耳元にそっと触れる。
...買ったばかりだし、これだけ外れづらいなら大丈夫だろう。
「お、おまたせ...」
「七海、すごく似合ってるね。それから...」
「こ、木葉!?」
七海の耳を優しくもみほぐし、まだ未使用だった方のそれを付けてみる。
「...うん、やっぱり似合うね」
「これってもしかして、イヤーカフ?」
「片方は僕が使ってるから、使ってない方を持っててほしいんだ。
これだけ然り気無いと、お揃いだってあんまり分からないでしょ?」
「どうしてそれを...」
「この前雑誌の記事を読んでたから、なんとなくそうなんじゃないかなって思っただけ。
あまりに分かりやすいものだと照れちゃうでしょ?僕も...七海も」
七海は小さくそうだねと笑った。
もう少し遊んで行こうと話して、色々なお店をまわる。
ふたりで手を繋ぎ、彼女は買ったばかりの服を着たままで歩いていく。
「本当に買ってもらっちゃってよかったの?」
「日頃のお礼もこめてるから、着てもらえると嬉しいな」
「...うん。ありがとう」
ただ歩いているだけなはずなのに、いつもより街が輝いているように感じた。
──空が紺碧色に染まるまであと少し。
「どうして私が食べたいものが分かったの?」
「ずっとメニュー見てたから」
七海は嘘を吐けるタイプではない。
その素直さが好きだというのは言うまでもないが、時折純粋すぎて心配になる。
「ほら、向こうで食べよう?」
「ありがとう」
「...ごめん、電話みたいだからちょっとだけ待ってて」
「分かった。気をつけてね」
相変わらず体調がいい訳ではない僕は、今日も結局こうして抑えるしかない。
「僕はただ、七海の側に...」
誰も来ない場所で、ひたすら自らの腕に爪と牙を突き立てる。
大切な人の側にいられるのならこの程度の傷など惜しくない。
...僕の半分は化け物で、そのおかげで治りが早いのだから。
「おまたせ」
「やっぱり調子が悪いんじゃ...」
「違うよ。心配させちゃってごめん。ちょっと、買いたかったものがあったんだ」
「買いたかったもの?」
しゃら、と音がして鞄の中から箱を取り出す。
「クリスマスプレゼント、ちゃんとしたものを渡したかったんだ」
「綺麗なネックレス...本当にもらっていいの?」
「勿論だよ」
「ありがとう。それから、その...」
七海の言葉を待っているとぎゅっと抱きしめられた。
「木葉がかっこよすぎるから、一緒に新しい服を買いに行きたい...です」
「それじゃあ理由になってないよ」
おろおろして話す彼女を見ていると、それだけで笑ってしまう。
幸せな気持ちでいっぱいになる。
「それじゃあ行きましょうか、お姫様?」
冗談めかしてそう告げると、七海の顔は林檎色に染まっていた。
「七海が着てくれるならどんな服でもいいんだけど...そうだ、このズボンにこのシャツを合わせるのは?」
「大人っぽいけど着こなせるかな?」
「きっと似合うよ」
七海が着替えている間に、自分の耳元にそっと触れる。
...買ったばかりだし、これだけ外れづらいなら大丈夫だろう。
「お、おまたせ...」
「七海、すごく似合ってるね。それから...」
「こ、木葉!?」
七海の耳を優しくもみほぐし、まだ未使用だった方のそれを付けてみる。
「...うん、やっぱり似合うね」
「これってもしかして、イヤーカフ?」
「片方は僕が使ってるから、使ってない方を持っててほしいんだ。
これだけ然り気無いと、お揃いだってあんまり分からないでしょ?」
「どうしてそれを...」
「この前雑誌の記事を読んでたから、なんとなくそうなんじゃないかなって思っただけ。
あまりに分かりやすいものだと照れちゃうでしょ?僕も...七海も」
七海は小さくそうだねと笑った。
もう少し遊んで行こうと話して、色々なお店をまわる。
ふたりで手を繋ぎ、彼女は買ったばかりの服を着たままで歩いていく。
「本当に買ってもらっちゃってよかったの?」
「日頃のお礼もこめてるから、着てもらえると嬉しいな」
「...うん。ありがとう」
ただ歩いているだけなはずなのに、いつもより街が輝いているように感じた。
──空が紺碧色に染まるまであと少し。
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