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遡暮篇(のぼりぐらしへん)
複雑
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そのまま疲れて眠ってしまったらしく、次に見たものは朝陽が差しこむ空だった。
隣では木葉がぐったりした様子で眠っていて、やっぱり夢ではなさそうだと体を起こす。
いつもなら朝御飯を作りに台所へと向かうのだけれど、どうやってこの部屋に来たのか分からない。
(そうだ、昨日はお母さんのことを知って...)
どうして死んだのかまでは分からないけれど、少しだけ私が知らなかったことを見ることはできた。
ただ、やっぱり理解は追いついていない。
ぼんやりしながら歩いていると、目の前にひとりの神様の姿がふわりと現れた。
「おはよう。大丈夫?」
「...ごめん。色々なことがありすぎて、頭がついていけてない」
私はそう答えるのでせいいっぱいだった。
「それ、持って帰る?」
「...いいの?」
それは、昨日開いて読んでいた1冊のノートだった。
「少しずつ続きを読んでみればいい。知りたかったことが分かるかもしれないから」
首を小さく縦にふると、美桜さんにそっと頭を撫でられる。
その手はとても冷たくて、もしかすると掃除をしていたのかもしれないとはっとした。
「起こしてくれれば手伝えたのに...」
「木葉が寝ているのだから無理せずゆっくり休んでいればいい」
「私を運んでくれたのは木葉なの?」
「...あなたのことを心配してた」
「そうなんだ...」
木葉だって複雑な事情を抱えて生きている。
けれど、私にそれができるだろうか。
母親は御子、私は神子、父親は...父親?
「美桜さん、私の父親ってどんな人だったの?」
「一言で言うなら優しい人だった。まさか殺されてしまうとは思っていなかったけれど...もしかして、飛ばして読んだ?」
頷くと美桜さんはその頁を開いて見せてくれる。
「ここに書いてある」
【今日は彼が実家に雇われたであろう人間に襲われました。
病院に行ったけど間に合わなかった...ごめんなさい】
古いシミのようなものがあって、泣きながら綴ったのだとすぐに理解した。
「...お母さん」
「それは持って帰っていい。海穂のことを分かりたいなら、それを読むのが1番の近道になるはずだから」
淹れてもらった白桃の香りがするお茶を飲みながら、木葉が起きるのを待つ。
空には厚い雲がはびこりはじめて、太陽の光が嘘みたいに消えてしまった。
(もうどうしたらいいか分からないよ...)
隣では木葉がぐったりした様子で眠っていて、やっぱり夢ではなさそうだと体を起こす。
いつもなら朝御飯を作りに台所へと向かうのだけれど、どうやってこの部屋に来たのか分からない。
(そうだ、昨日はお母さんのことを知って...)
どうして死んだのかまでは分からないけれど、少しだけ私が知らなかったことを見ることはできた。
ただ、やっぱり理解は追いついていない。
ぼんやりしながら歩いていると、目の前にひとりの神様の姿がふわりと現れた。
「おはよう。大丈夫?」
「...ごめん。色々なことがありすぎて、頭がついていけてない」
私はそう答えるのでせいいっぱいだった。
「それ、持って帰る?」
「...いいの?」
それは、昨日開いて読んでいた1冊のノートだった。
「少しずつ続きを読んでみればいい。知りたかったことが分かるかもしれないから」
首を小さく縦にふると、美桜さんにそっと頭を撫でられる。
その手はとても冷たくて、もしかすると掃除をしていたのかもしれないとはっとした。
「起こしてくれれば手伝えたのに...」
「木葉が寝ているのだから無理せずゆっくり休んでいればいい」
「私を運んでくれたのは木葉なの?」
「...あなたのことを心配してた」
「そうなんだ...」
木葉だって複雑な事情を抱えて生きている。
けれど、私にそれができるだろうか。
母親は御子、私は神子、父親は...父親?
「美桜さん、私の父親ってどんな人だったの?」
「一言で言うなら優しい人だった。まさか殺されてしまうとは思っていなかったけれど...もしかして、飛ばして読んだ?」
頷くと美桜さんはその頁を開いて見せてくれる。
「ここに書いてある」
【今日は彼が実家に雇われたであろう人間に襲われました。
病院に行ったけど間に合わなかった...ごめんなさい】
古いシミのようなものがあって、泣きながら綴ったのだとすぐに理解した。
「...お母さん」
「それは持って帰っていい。海穂のことを分かりたいなら、それを読むのが1番の近道になるはずだから」
淹れてもらった白桃の香りがするお茶を飲みながら、木葉が起きるのを待つ。
空には厚い雲がはびこりはじめて、太陽の光が嘘みたいに消えてしまった。
(もうどうしたらいいか分からないよ...)
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