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遡暮篇(のぼりぐらしへん)
ふたりきりのお茶会
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木葉が部屋を出た後、シェリとふたりきりの時間が続く。
「そうだ、紅茶のおかわりいらない?」
「い、いいの...?」
「他に飲みたいものはある?」
「...ほ、ホットミルク」
「それじゃあ少しだけ待っててね」
それだけ話して杖を動かす。
前よりずっと俊敏に動けるようにはなったけれど、それでもやっぱり遅いのが難点だ。
相手を待たせたくないのに、どうしても待たせることになってしまう。
「ごめん。ちょっと冷めちゃったかもしれないけど...」
「あり、がと。...いた、だきます」
ゆっくりとカップを傾けるその姿はお人形のような可憐さを持っていて、見ているだけで癒される。
少し濃く淹れてしまったそれを、彼女は文句ひとつ言わずに飲んでくれた。
「すごく、甘い...こ、いうの、好き」
「そうなの?」
はじめは気を遣わせたのだと思っていたけれど、どうやらそういうわけではないらしい。
心からそう思って楽しんでくれていることに安心しながら、なかなか戻ってこない木葉のことが気にかかる。
(ノワールの怪我、実は結構酷いのかな...)
色々考えながら自分の分の紅茶を淹れていると、おずおずといった様子で横から手が伸びてくる。
「わ、私に、やらせて...」
「それじゃあお願いします」
「お、お願い、します...」
ぱっと表情を明るくしたシェリはご機嫌な様子で紅茶を丁寧に注いでくれる。
見ているだけで勉強になる部分も多く、思わずじっと見つめてしまっていた。
「あ、あの、何か、変...」
「ごめん。そうじゃなくて、すごく手際がいいんだなと思って見惚れちゃったんだ」
「...ポットの、お湯は、このくらい。それから、えっと、茶葉は...」
たどたどしいものではあったけれど、いくつかの要点をまとめて教えてくれる。
聞き入っていると、彼女ははっとしたような表情を浮かべた。
「ご、ごめん、なさ、」
「教えてもらえてすごく助かったよ。...ありがとう」
「う、ううん」
そんな話をしながら、シェリについてもっと詳しく知りたくなった私は普段どんなことをしているのか然り気無く訊いてみる。
すると彼女は、掃除や家事をしながら他の人たちとも話をするのだと楽しそうに言った。
「その人たちのこと、すごく大切なんだね」
「...うん」
ゆっくり頷いた瞬間の表情は花のように明るいもので、やっぱり見ているだけで安心した。
冷えきる前になんとか飲みきったカップを見つめながら、次はどんな話をしようかと考える。
できるだけ明るい気持ちで過ごせるようにとは思うけれど、彼女が自分のことを責めないように話すにはどんなことがいいだろう。
「そうだ、紅茶のおかわりいらない?」
「い、いいの...?」
「他に飲みたいものはある?」
「...ほ、ホットミルク」
「それじゃあ少しだけ待っててね」
それだけ話して杖を動かす。
前よりずっと俊敏に動けるようにはなったけれど、それでもやっぱり遅いのが難点だ。
相手を待たせたくないのに、どうしても待たせることになってしまう。
「ごめん。ちょっと冷めちゃったかもしれないけど...」
「あり、がと。...いた、だきます」
ゆっくりとカップを傾けるその姿はお人形のような可憐さを持っていて、見ているだけで癒される。
少し濃く淹れてしまったそれを、彼女は文句ひとつ言わずに飲んでくれた。
「すごく、甘い...こ、いうの、好き」
「そうなの?」
はじめは気を遣わせたのだと思っていたけれど、どうやらそういうわけではないらしい。
心からそう思って楽しんでくれていることに安心しながら、なかなか戻ってこない木葉のことが気にかかる。
(ノワールの怪我、実は結構酷いのかな...)
色々考えながら自分の分の紅茶を淹れていると、おずおずといった様子で横から手が伸びてくる。
「わ、私に、やらせて...」
「それじゃあお願いします」
「お、お願い、します...」
ぱっと表情を明るくしたシェリはご機嫌な様子で紅茶を丁寧に注いでくれる。
見ているだけで勉強になる部分も多く、思わずじっと見つめてしまっていた。
「あ、あの、何か、変...」
「ごめん。そうじゃなくて、すごく手際がいいんだなと思って見惚れちゃったんだ」
「...ポットの、お湯は、このくらい。それから、えっと、茶葉は...」
たどたどしいものではあったけれど、いくつかの要点をまとめて教えてくれる。
聞き入っていると、彼女ははっとしたような表情を浮かべた。
「ご、ごめん、なさ、」
「教えてもらえてすごく助かったよ。...ありがとう」
「う、ううん」
そんな話をしながら、シェリについてもっと詳しく知りたくなった私は普段どんなことをしているのか然り気無く訊いてみる。
すると彼女は、掃除や家事をしながら他の人たちとも話をするのだと楽しそうに言った。
「その人たちのこと、すごく大切なんだね」
「...うん」
ゆっくり頷いた瞬間の表情は花のように明るいもので、やっぱり見ているだけで安心した。
冷えきる前になんとか飲みきったカップを見つめながら、次はどんな話をしようかと考える。
できるだけ明るい気持ちで過ごせるようにとは思うけれど、彼女が自分のことを責めないように話すにはどんなことがいいだろう。
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