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遡暮篇(のぼりぐらしへん)
頑張り屋の君を
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あまりの凄惨さに、僕は黙りこむことしかできない。
事態は僕が考えていたよりずっと深刻なものだった。
ただ、重要なことがあまり理解できていない。
「親戚の人に追われているのはどうしてなの?」
「...悪意をもって追いかけてきてることは分かる。もしかすると、あの家の神子に何かあったのかもしれない。
何年か前に追いかけられたとき、『あの子をあんな目に遭わせて』って言ってたから」
やってないことをやってないと証明するのは難しい。
だからきっと、七海は相手にまともに話すら聞いてもらえずに必死で逃げているのだろう。
逃げるしかないときだって、この世界にはある。
「...それなら、これからはふたりで一緒に逃げよう」
「私は誰かを巻きこみたい訳じゃ、」
「それは分かってる。でも、僕がこうしたいんだ」
彼女のような優しい言葉は出てこない。
だが、どうしても涙を止めたかった。
どんな些細なことでもいいから、僕の気持ちを届かせたかったのだ。
「僕は、ふたりで一緒にいられることが嬉しいんだ。
七海は今までずっとひとりで頑張ってきた。でも、これからはそうやってひとりで背負ってほしくない。
...ずっと一緒にいるんだから、僕にも背負ってきた重いものをちょうだい?」
どんな表情をされるだろうと不安に思っていると、ぽたぽたと新しい涙が零れていく。
いつもより弱々しいその体を壊れてしまわないように抱きしめる。...心が壊れてしまわないように。
「私は、ずっと独りで解決しないといけないって、そう思ってた。そうじゃないと、誰かが不幸になってしまうんじゃないかって...」
そこで止まってしまった言葉の続きを待っていると、背中に腕がまわされる。
「でも、これからは木葉のことをもう少し頼ってもいい...?」
「勿論。お互いのことを知れた、いい数日になったかもしれないね」
小さく頷くのを感じながら、腕の力を少しだけ強める。
本当は喉が渇いて仕方がないのだが、そんなことよりも七海の心を支えたい。
強そうに見えて実は誰よりも繊細なそれを、これから先も護っていきたいのだ。
「...話は終わったのか?」
それから少しして、タイミングを見計らったようにラッシュさんが飲み物を持ってきてくれる。
「...怪しいやつは追い払っておいた」
「ありがとう」
すれ違い様、僕にだけ聞こえるようにそう囁かれる。
ラッシュさんの察知能力と心からの気遣いには敵わない。
事態は僕が考えていたよりずっと深刻なものだった。
ただ、重要なことがあまり理解できていない。
「親戚の人に追われているのはどうしてなの?」
「...悪意をもって追いかけてきてることは分かる。もしかすると、あの家の神子に何かあったのかもしれない。
何年か前に追いかけられたとき、『あの子をあんな目に遭わせて』って言ってたから」
やってないことをやってないと証明するのは難しい。
だからきっと、七海は相手にまともに話すら聞いてもらえずに必死で逃げているのだろう。
逃げるしかないときだって、この世界にはある。
「...それなら、これからはふたりで一緒に逃げよう」
「私は誰かを巻きこみたい訳じゃ、」
「それは分かってる。でも、僕がこうしたいんだ」
彼女のような優しい言葉は出てこない。
だが、どうしても涙を止めたかった。
どんな些細なことでもいいから、僕の気持ちを届かせたかったのだ。
「僕は、ふたりで一緒にいられることが嬉しいんだ。
七海は今までずっとひとりで頑張ってきた。でも、これからはそうやってひとりで背負ってほしくない。
...ずっと一緒にいるんだから、僕にも背負ってきた重いものをちょうだい?」
どんな表情をされるだろうと不安に思っていると、ぽたぽたと新しい涙が零れていく。
いつもより弱々しいその体を壊れてしまわないように抱きしめる。...心が壊れてしまわないように。
「私は、ずっと独りで解決しないといけないって、そう思ってた。そうじゃないと、誰かが不幸になってしまうんじゃないかって...」
そこで止まってしまった言葉の続きを待っていると、背中に腕がまわされる。
「でも、これからは木葉のことをもう少し頼ってもいい...?」
「勿論。お互いのことを知れた、いい数日になったかもしれないね」
小さく頷くのを感じながら、腕の力を少しだけ強める。
本当は喉が渇いて仕方がないのだが、そんなことよりも七海の心を支えたい。
強そうに見えて実は誰よりも繊細なそれを、これから先も護っていきたいのだ。
「...話は終わったのか?」
それから少しして、タイミングを見計らったようにラッシュさんが飲み物を持ってきてくれる。
「...怪しいやつは追い払っておいた」
「ありがとう」
すれ違い様、僕にだけ聞こえるようにそう囁かれる。
ラッシュさんの察知能力と心からの気遣いには敵わない。
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