ハーフ&ハーフ

黒蝶

文字の大きさ
229 / 258
断暮篇(たちぐらしへん)

つきまとうもの

しおりを挟む
特に変わらない日常生活を送ることができる、それが普通ではないことはよく分かっていた...はずだった。
「買いたいものは全部揃った?」
「うん。今日はありがとう」
「僕がやりたかっただけだから」
夜食を楽しんだ翌日の夕方、そんな話をしながら食材の買い出しをしているところに1羽の烏が翼をはためかせているのが目に入った。
中に入ってはいけないと伝えておいたからか、外でおろおろしながら待っているようだ。
「お会計、これで終わらせておいて。荷物は僕が持つから、もし袋詰めが終わってもここにいてね」
七海をひとりにしてしまうのは不安で仕方がないが、あんなに慌てた様子のノワールを見るのは初めてだ。
財布を渡して見つからないように外に出る。
まだ翼の怪我が治りきっていないので、腕に止まらせて話を聞くことにした。
「ノワール、どうかしたの?」
外に1歩出ただけですぐに状況を理解した。
周りに数人の男たちが張り込んでいて、その目は明らかに七海の方を向いている。
...僕に
「大丈夫だよ、僕がなんとかするから」
七海にこの状況を知られたくなくて、勢いをつけて走りこむ。
相手の懐に忍びこみ、そのまま手刀をおろした。
「...次はどのお兄さんが相手してくれるの?」
そうしてなんとか1分かけずに相手の処理を終える。
「知らせてくれてありがとう。...七海に見つからないように移動させておかないとね」
なんとか取り逃がさなかったが、七海に手を出そうとしているにしては弱すぎる。
今は考えても仕方がないと、急ぎ足で中に戻った。
「おまたせ。待たせちゃってごめんね」
「ううん、全然...」
なんだか背中を見られているような気がする。
不自然に砂ぼこりでもついていただろうか...そう思っていると、七海の手が僕の肩に触れた。
「どうかしたの?」
「...ちょっとよくないものがついてたから」
どういう意味なのかは分からなかったが、取り敢えずありがとうとだけ口にする。
それ以上何か話すと余計なことまで言ってしまいそうで、なかなか言葉にすることができなかった。
「杖の先、そろそろ換えた方がよさそうだね」
「そう、だね...」
家まで誰かがつけてきている様子はなかった。
別のものの気配も感じなかったし、恐らく家までは来られなかったのだろう。
「七海、大丈夫?」
「う、うん...。木葉こそ平気?」
何故そんなことを訊かれたのか分からなかったが、曖昧な返答しかできない。
荷物を整理してひとり部屋に戻り、恐る恐る服の下を見てみる。
「やっぱり...」
そこには、何かに掴まれたような痣ができていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話

登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

処理中です...