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断暮篇(たちぐらしへん)
穏やかな雰囲気
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「夕飯できたよ!食べられそう?」
「うん。ありがとう」
足に負担をかけないように僕が作るからと苦し紛れに誤魔化し、追っ手についても色々考えながら手早く完成させた。
あくまでいつもどおりに振る舞っているつもりだが、実際ちゃんとできているだろうか。
「室内用のも先っぽを取り替えた方がよさそうだね」
「大丈夫、自分でやるから...」
「僕にやらせて」
こんなときでも七海は遠慮の塊だ。
自分でできることはやろうとしてくれているのは分かっているが、こんなときくらい役に立ちたい。
「...よし、できた」
「ごめんね、痛んでいるのに全然気づいてなくて...」
「僕がたまたま気づいただけだから、そんなに気にしないで」
いつもどおりの食卓に、いつもどおりの光景。
僕がこれから護っていきたいのは些細な日常だ。
「この煮物、すごく美味しい」
「ほとんど圧力鍋に頑張ってもらったんだ。独りでいるときはあんまり使ったことがなかったし、折角だからやってみようって思って...」
他愛のない会話をしていると、どこかからノワールが帰ってきたのが目に入る。
話しかけに行くべきかとも思ったが、どうやら何か届け物を持っているらしい。
「...食べ終わったらノワールのところに行ってあげて。多分あれは、七海宛の荷物だと思うから」
「え、ノワールが戻ってきたの?」
「ついさっき、後ろを通っていくのが見えた」
「そうなんだ...ありがとう」
ラッシュさんたちとは包みの色が違うから、美桜さんからの荷物だというのはすぐ分かる。
だが、何故こんなことがあった日に偶然届くのだろう。
...それとも、偶然ではない?
「ごちそうさまでした。すごく美味しかった」
「喜んでもらえたならよかった。また今度作るね」
先に入浴してくるように伝え、若干余ってしまった煮物を見つめる。
結局僕には、七海に踏みこむ覚悟がまだ足りていない。
もしかすると何か分かったことがあって連絡をしたのかもしれないのに、それさえも訊こうとすらしなかった。
「...我慢、しないと」
血がほしい。
クレールがないなかで欲求を押し殺すのは正直自信がないが、そうも言っていられないと自らを律する。
「...どうすればいいんだろう」
仮初めでもいいから、少しでも長く平穏な時間を過ごしたい。
...七海がただ笑っていてくれればそれでいい、そんなことを思いながら包丁を強く握りしめた。
「うん。ありがとう」
足に負担をかけないように僕が作るからと苦し紛れに誤魔化し、追っ手についても色々考えながら手早く完成させた。
あくまでいつもどおりに振る舞っているつもりだが、実際ちゃんとできているだろうか。
「室内用のも先っぽを取り替えた方がよさそうだね」
「大丈夫、自分でやるから...」
「僕にやらせて」
こんなときでも七海は遠慮の塊だ。
自分でできることはやろうとしてくれているのは分かっているが、こんなときくらい役に立ちたい。
「...よし、できた」
「ごめんね、痛んでいるのに全然気づいてなくて...」
「僕がたまたま気づいただけだから、そんなに気にしないで」
いつもどおりの食卓に、いつもどおりの光景。
僕がこれから護っていきたいのは些細な日常だ。
「この煮物、すごく美味しい」
「ほとんど圧力鍋に頑張ってもらったんだ。独りでいるときはあんまり使ったことがなかったし、折角だからやってみようって思って...」
他愛のない会話をしていると、どこかからノワールが帰ってきたのが目に入る。
話しかけに行くべきかとも思ったが、どうやら何か届け物を持っているらしい。
「...食べ終わったらノワールのところに行ってあげて。多分あれは、七海宛の荷物だと思うから」
「え、ノワールが戻ってきたの?」
「ついさっき、後ろを通っていくのが見えた」
「そうなんだ...ありがとう」
ラッシュさんたちとは包みの色が違うから、美桜さんからの荷物だというのはすぐ分かる。
だが、何故こんなことがあった日に偶然届くのだろう。
...それとも、偶然ではない?
「ごちそうさまでした。すごく美味しかった」
「喜んでもらえたならよかった。また今度作るね」
先に入浴してくるように伝え、若干余ってしまった煮物を見つめる。
結局僕には、七海に踏みこむ覚悟がまだ足りていない。
もしかすると何か分かったことがあって連絡をしたのかもしれないのに、それさえも訊こうとすらしなかった。
「...我慢、しないと」
血がほしい。
クレールがないなかで欲求を押し殺すのは正直自信がないが、そうも言っていられないと自らを律する。
「...どうすればいいんだろう」
仮初めでもいいから、少しでも長く平穏な時間を過ごしたい。
...七海がただ笑っていてくれればそれでいい、そんなことを思いながら包丁を強く握りしめた。
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