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断暮篇(たちぐらしへん)
動乱
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僕が弱かったせいで、七海の命は散ってしまおうとしている。
ここまで重傷となると、僕では手を出すことができない。
「...まだいる」
雇われものだろうか。
武器を持った人間たちを見ると、戦わないわけにはいかない。
だが、このまま全員の相手をしている暇がないのも確かだ。
臨戦態勢をとろうとすると、すぐ近くで見知った声がした。
「...よくできました」
はっとふりかえると、そこには予想どおりの人物が怒りを露にして立っていた。
「ラッシュさん、お母さん...」
「お嬢さんの手当ては治療院の奴に頼んである。...早く行け」
「でも、」
「大丈夫。ここは私たちだけでもなんとかできそうだから」
今宵は満月。それが意味するところは分かっているつもりだ。
...現に、純血種特有の殺気が出ている。
「そ、そんなことさせるわけないだろ...!おい、早くそいつらを、」
「...あら、そいつらとは何方のことかしら?」
あれだけ恐ろしい形相の母親を見たことがあっただろうか。
実行部隊にはあまり効いていないのか、半分ほどがこちらに向かってくる。
...だが、それも数秒前の話だ。
あちらこちらに屍のように倒れているそれらを1箇所に集め、ふたりはふっと息を吐いた。
「ラッシュ、少し力を入れすぎじゃなかった...?」
「俺よりもおまえの殺気にあてられたんじゃないか、ケイト?」
この状況でもふたりは冷静で、そのおかげもあって僕も少しずつ落ち着いてくる。
「...ヴァンパイアが書いた契約書がどれほどの効力を持つか知ってる?
知らないでしょうから、これからここで書いてもらいましょうか」
「ば、化け物...」
「おいおい、偉そうに威張ってたからちゃんと気絶させずに残しておいてやったのに...。もしかして、消し灰にされたいのか?」
「ひっ...」
「嫌ならサインしろ。もししないならこの場で全て消すことになる」
あれだけ自信たっぷりだった相手も、流石にここまでされてしまえば動くことができなかったらしい。
震える手で万年筆を握っている姿はただの男にしか見えなかった。
「...ほら、今のうちに運ぶぞ」
「え、あ、うん...」
「おまえも怪我してるだろ。大丈夫だ、お嬢さんは絶対助かる」
「...そう、だね」
ずっと抱きしめている体にはまだぬくもりが残っている。
今から治療すれば、頑張れば間に合うのかもしれない。
だが、それよりも七海に無理をさせてしまったことが辛かった。
「立てるか?」
「...うん。僕は大丈夫」
「急ぐぞ」
その言葉にただ頷くことしかできない。
空から降り注ぐ月明かりは寂しげで、更に気分が沈んでいった。
ここまで重傷となると、僕では手を出すことができない。
「...まだいる」
雇われものだろうか。
武器を持った人間たちを見ると、戦わないわけにはいかない。
だが、このまま全員の相手をしている暇がないのも確かだ。
臨戦態勢をとろうとすると、すぐ近くで見知った声がした。
「...よくできました」
はっとふりかえると、そこには予想どおりの人物が怒りを露にして立っていた。
「ラッシュさん、お母さん...」
「お嬢さんの手当ては治療院の奴に頼んである。...早く行け」
「でも、」
「大丈夫。ここは私たちだけでもなんとかできそうだから」
今宵は満月。それが意味するところは分かっているつもりだ。
...現に、純血種特有の殺気が出ている。
「そ、そんなことさせるわけないだろ...!おい、早くそいつらを、」
「...あら、そいつらとは何方のことかしら?」
あれだけ恐ろしい形相の母親を見たことがあっただろうか。
実行部隊にはあまり効いていないのか、半分ほどがこちらに向かってくる。
...だが、それも数秒前の話だ。
あちらこちらに屍のように倒れているそれらを1箇所に集め、ふたりはふっと息を吐いた。
「ラッシュ、少し力を入れすぎじゃなかった...?」
「俺よりもおまえの殺気にあてられたんじゃないか、ケイト?」
この状況でもふたりは冷静で、そのおかげもあって僕も少しずつ落ち着いてくる。
「...ヴァンパイアが書いた契約書がどれほどの効力を持つか知ってる?
知らないでしょうから、これからここで書いてもらいましょうか」
「ば、化け物...」
「おいおい、偉そうに威張ってたからちゃんと気絶させずに残しておいてやったのに...。もしかして、消し灰にされたいのか?」
「ひっ...」
「嫌ならサインしろ。もししないならこの場で全て消すことになる」
あれだけ自信たっぷりだった相手も、流石にここまでされてしまえば動くことができなかったらしい。
震える手で万年筆を握っている姿はただの男にしか見えなかった。
「...ほら、今のうちに運ぶぞ」
「え、あ、うん...」
「おまえも怪我してるだろ。大丈夫だ、お嬢さんは絶対助かる」
「...そう、だね」
ずっと抱きしめている体にはまだぬくもりが残っている。
今から治療すれば、頑張れば間に合うのかもしれない。
だが、それよりも七海に無理をさせてしまったことが辛かった。
「立てるか?」
「...うん。僕は大丈夫」
「急ぐぞ」
その言葉にただ頷くことしかできない。
空から降り注ぐ月明かりは寂しげで、更に気分が沈んでいった。
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