王子と内緒の人魚姫

黒蝶

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赤城玲音 篇

第42話

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「ご飯だよ」
黒羽はこの一言だけで幸せになる。
♪「腹が減っては戦はできぬ、だからね」
◇「ご飯は資本...」
◆「二人ともひでーよ...」
みんなそれぞれ、食べはじめる。
黒羽は魚を食べることは絶対にできないので卵焼き・おふが入った味噌汁が中心になる。
みんなと楽しく会話をしながら食べられるのは幸せなことだと思う。
◆「そういえば、二人は仕事はいいのか?」
◇「急いで終わらせた」
♪「僕も終わった」
◆「相変わらず仕事早いな」
「あの...」
◇♪「ごめんなさいはいらない」
(予想されてた...)
「えっと、なら...ありがとう」
ふわり。
◇「それがいい」
♪「笑ってくれてよかった」
「二人とも...」
◆「...」
(玲音?)
玲音の様子が明らかにおかしい。
「玲音?顔色悪いよ...?」
◆「平気だからあんまり気にするな?なっ」
(やっぱり様子がおかしい...)
「今日はこれから出掛けない...?」
◇「賛成」
♪「いいね!」
(気分転換になるし...)
◆「ダメだ!」
「え...」
◆「あ、いや、その...とにかく!今日はダメだ!」
◇♪「...?」
二人も玲音の様子がおかしいことに気づいた。
(...どうして)
「...ごちそうさま」
◆「黒羽、まだ残って...」
「しばらく一人にして」
◆「なっ...」
「玲音は...大事なことはいつも教えてくれない。私のことを思ってくれてるからかもしれないけど、私は悲しいよ!」
(泣くつもりなんてなかったのに)
黒羽は部屋へと入ってしまった。
◇「今のは玲音が悪い。物は言い様...」
♪「何があったか知らないけど、なんであんな態度とったんだよ」
◆「...」
玲音は一つのメールを見せる。
◇♪「これって...!」
◆「黒羽には言えまいと思ってたんだけど...説明、しなきゃな...。よし!謝ってくる!」
黒羽を思ってとはいえ、黒羽を傷つけてしまったことには変わりない。
玲音は黒羽の部屋へと駆け出した。

《玲音
今日は魔女が最も力が強くなる日だ。
恐らくだが家が一番安全だろう。
気をつけろ。何が起こるか分からん。
今日だけは、極力家から出るな。
                                                            魔王》
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