王子と内緒の人魚姫

黒蝶

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緑川真人 篇

第5話

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▼「薬はできた。俺はもう行く。じゃあな」
▲「渚!ありがとう!」
▼「...」
ふっと笑うと、渚は部屋を出た。
▲「あと俺にできそうなことは...」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「真人...」
▲「あ、ごめん、起こしちゃった?」
真人は花瓶に花を生けている。
(身体が随分楽になってる...)
氷のう・体温計・薬...どれだけ必死で看病してくれたのかがよく分かる。
「そのお花、なあに?」
▲「ああ、これはね...カラーっていうんだ。花言葉は、『清浄』。もしかしたら、病気も祓ってくれるかも、なんて...」
少し照れたように真人は視線をそらす。
「...私のために?」
▲「少しでも元気になってくれたらいいなって...」
「...嬉しい」
ふわり。
▲「...!」
(どうして驚いているんだろう...)
▲「あ、なにか食べられそう?」
「うん。少しなら...」
▲「じゃあ、お粥を用意してくるね!」
そう言うと、真人は部屋を出てしまった。
(さっきのこと、聞けなかったな...)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
▲「ふーふー...」
わざわざ冷まして黒羽の口まで運んでくれる。
「...美味しい」
▲「よかった、失敗したんじゃないかと思った...」
「すっごく美味しいよ」
ふわり。
▲「...」
「わ、私...笑うと、変かな?」
▲「ご、ごめん!その、えっと、綺麗だなって思って...」
「え...?」
(き、綺麗だなんて...)
かあっと頬が熱くなるのを感じる。
▲「ごめん!えっと、薬飲まなきゃね...」
(この気持ちを、なんていうんだろう...)
▲「黒羽ちゃん、口開けて」
「ん...」
苦いはずの薬も、この時は少し甘く感じた...。
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