王子と内緒の人魚姫

黒蝶

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緑川真人 篇

第28話

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この日は花屋の仕事だった。
「いらっしゃいませ...」
黒羽はレジ打ちを続けていた。
ただ、あの事件以来、一つだけ変わったことがあった。
...時々真人が様子を見にやってくるのだ。
▲「お疲れ様」
黒羽にしか聞こえないようにこっそりと呟いては店の奥に行く、真人のそんな動きが黒羽はとても嬉しかった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
お昼の休憩時間。
「真人、ありがとう」
ふわり。
▲「どうして黒羽がお礼を言うの?」
「真人が話しかけてくれたから、お仕事頑張れたよ」
▲「...俺の方が、いつも元気をもらってるから。まだ半分も返せてないよ」
「そんなことないよ、いつも真人は...私を笑顔にしてくれる。私の方こそ、真人にいつも元気をもらってるよ?」
▲「...黒羽には敵わない」
そんな会話をしていると、店に誰かがきたようだった。
☆「おまえたちに頼みたい」
「遥...!」
▲「なにかイベントがあるの?」
☆「パーティーの花のデザインを頼めるか?できれば控えめな色がいいらしいのだが...」
▲「難しいかもしれないけど、やってみるよ!」
『控えめな色』というのは、セレブにしては珍しいものだと真人は考えながら、しかし親友の遥の頼みを簡単に断ろうとは思わなかった。
「控えめな色って、紫とか、白?」
▲「うん、そんな感じかな」
☆「別に赤とか入っていても問題はない。だがどうやら、主催者が白が好きらしくてな...」
「気を遣ってるんだね。遥も、大変だね...」
☆「お前に比べれば楽なものだ。それではできたら一度俺に見せてくれ」
▲「了解」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
遥が帰ったあと...
▲「黒羽も手伝ってくれる?」
「私が?力になれるかどうか...」
▲「そばにいてくれるだけでも充分だよ。...あとは、どんなお花がいいとか一緒につくってほしいんだ。嫌かな?」
「ううん、私もやってみたい!」
▲「作業は明日から。しばらく花屋もお休みにしないと...。黒羽となら、楽しく作れそうだ」
「うん、私も楽しみ...」
黒羽は、不安よりも期待に胸を膨らませていた。
(どんなお花がいいかな?)
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