王子と内緒の人魚姫

黒蝶

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茶園 渚篇

第5話

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▼「...何してる」
次の日起きてみると、黒羽が掃除をしていた。
「おいてもらうだけでは悪いから...」
▼「座ってろ。...まだ傷が痛むだろ?」
「渚は優しいね」
ふわり。
▼「はあ?どこが優しいんだよ?」
「全部?」
渚はふっと笑って、黒羽の頭を小突いた。
▼「そんな事言う奴、おまえが初めてだよ」
渚はキッチンへ行ってしまった。
「あ、白玉!おはよう」
白玉は黒羽にかなりなついたようだ。
▼「...」
渚が人参を差し出しても、全く食べようとしない。
▼「体調が悪いのか?」
「白玉、ご飯食べられないの...?」
(もしかして)
「渚、キッチン借りるね!」
渚に白玉を渡し、黒羽はキッチンへと向かった。
そして...
「白玉!これなら食べられるかな?」
白玉は鼻をふんふんとさせ、もぐもぐと食べはじめた。
▼「!?何故だ...」
「ウサギ林檎みたいに可愛いのが食べたいのかなって...。だから、お花の形にしてみたの」
▼「白玉、降りて食え。それより...手、見せろ」
「!」
黒羽の指は血で染まっていた。
▼「案外不器用なんだな。絆創膏をとってくるから、待ってろ」
「ありがとう」
ふわり。
▼「手、出せ」
「うん」
渚は素早く手当てを済ませ、朝食を食べはじめた。
「いただきます」
黒羽は箸の使い方やその他のマナーだけは海で勉強してきたのでとても綺麗に食べていた。
「もぐもぐ...!美味しい...」
(...あれ?)
突然視界が歪む。
▼「おい、どうした!?」
「なんでも、ないよ...。どうしてかな...。誰かとご飯を食べるのが、初めてだからかもしれない...」
▼「はあ?おまえ、親は?」
「...お父さんは、知らない。お母さんは...殺された」
▼「...そうか」
渚は何も聞かず、それだけポツリと呟いた。
▼「飯は、色んなやつと食べるから美味いんだ。調理者も作りがいもある」
「よく分からないけれど、美味しいよ...」
ふわり。
▼「そうか」
渚は黒羽が泣き止むまで、黙って側にいた。
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