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青海 錬 続篇
第3話
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♪「黒羽、腕痛くない?」
「うん、大丈夫だよ」
♪「それならよかった」
錬は重い荷物を一人で運ぼうとする。
するとそこへ、一人の従業員が通りかかった。
ー「お客様、お荷物お運びします」
♪「ありがとうございます」
ちん、と音がしてドアが開く。
♪「黒羽、乗って」
「え?」
(この箱、何だろう...)
黒羽は不審に思いつつ、その箱のなかに乗る。
『まもなく、二十階です』
「二十階...?」
♪「いい景色らしいよ」
そんな他愛ない会話を聞いていた従業員が、微笑ましそうにこう言ってきた。
ー「それにしても、仲のよろしいご夫婦ですね!」
「ごふっ...⁉」
(どうしよう、違いますって言わないと!)
♪「ええ、はい、まあ...。あの、展望レストランを予約できますか?」
ー「勿論です」
錬が誤魔化してくれたと安心していたが、次の一言で黒羽は再び焦る。
♪「なら、できるだけ奥の席をお願いします。妻は足が悪いので」
ー「まあ、そうでしたか。では、奥のお席を十八時にご用意させていただきます」
(妻⁉妻って...)
♪「ありがとうございました」
黒羽もそれに合わせて慌ててお辞儀する。
パタンと部屋のドアが閉まると同時に、黒羽は錬に話しかけた。
「錬、私は奥さんじゃないよ...?」
♪「ごめんね。僕がそういうことにしたかったんだ」
「え...?」
♪「僕たちが夫婦に見られるのが、嬉しくて」
錬は照れたのを誤魔化すように黒羽の頭をそっと撫でた。
「錬らしいね」
♪「それに、今のうちに『奥さん』って言われ慣れておかないと、黒羽困るでしょ?」
「...!」
黒羽は顔を真っ赤にした。
♪「そういうところ、可愛い」
黒羽が真っ赤なっている横で、錬はクスクスと笑っていた。
「...ねえ、錬」
♪「どうしたの?」
「あの、大きな箱みたいなものは...」
♪「!ごめん、エレベーター初めてだった?」
黒羽はこくりと頷く。
「エスカレーターは知ってるけど、エレベーター?は初めてだったよ」
♪「ごめんね、気づかなくて...」
「ううん、気にしないで!楽しかったから。わくわくしたよ」
ふわり。
♪「やっぱり黒羽には敵わないや。...あ、そろそろ夕食の時間だよ。行こう」
「うん」
錬は黒羽に歩調を合わせ、ゆっくりと進む。
黒羽にはそんな細やかな気遣いも嬉しくて。
黒羽は思わず頬がゆるむのを抑えられなかった。
「うん、大丈夫だよ」
♪「それならよかった」
錬は重い荷物を一人で運ぼうとする。
するとそこへ、一人の従業員が通りかかった。
ー「お客様、お荷物お運びします」
♪「ありがとうございます」
ちん、と音がしてドアが開く。
♪「黒羽、乗って」
「え?」
(この箱、何だろう...)
黒羽は不審に思いつつ、その箱のなかに乗る。
『まもなく、二十階です』
「二十階...?」
♪「いい景色らしいよ」
そんな他愛ない会話を聞いていた従業員が、微笑ましそうにこう言ってきた。
ー「それにしても、仲のよろしいご夫婦ですね!」
「ごふっ...⁉」
(どうしよう、違いますって言わないと!)
♪「ええ、はい、まあ...。あの、展望レストランを予約できますか?」
ー「勿論です」
錬が誤魔化してくれたと安心していたが、次の一言で黒羽は再び焦る。
♪「なら、できるだけ奥の席をお願いします。妻は足が悪いので」
ー「まあ、そうでしたか。では、奥のお席を十八時にご用意させていただきます」
(妻⁉妻って...)
♪「ありがとうございました」
黒羽もそれに合わせて慌ててお辞儀する。
パタンと部屋のドアが閉まると同時に、黒羽は錬に話しかけた。
「錬、私は奥さんじゃないよ...?」
♪「ごめんね。僕がそういうことにしたかったんだ」
「え...?」
♪「僕たちが夫婦に見られるのが、嬉しくて」
錬は照れたのを誤魔化すように黒羽の頭をそっと撫でた。
「錬らしいね」
♪「それに、今のうちに『奥さん』って言われ慣れておかないと、黒羽困るでしょ?」
「...!」
黒羽は顔を真っ赤にした。
♪「そういうところ、可愛い」
黒羽が真っ赤なっている横で、錬はクスクスと笑っていた。
「...ねえ、錬」
♪「どうしたの?」
「あの、大きな箱みたいなものは...」
♪「!ごめん、エレベーター初めてだった?」
黒羽はこくりと頷く。
「エスカレーターは知ってるけど、エレベーター?は初めてだったよ」
♪「ごめんね、気づかなくて...」
「ううん、気にしないで!楽しかったから。わくわくしたよ」
ふわり。
♪「やっぱり黒羽には敵わないや。...あ、そろそろ夕食の時間だよ。行こう」
「うん」
錬は黒羽に歩調を合わせ、ゆっくりと進む。
黒羽にはそんな細やかな気遣いも嬉しくて。
黒羽は思わず頬がゆるむのを抑えられなかった。
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