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祈願
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どこからか飛んできた、光の槍。
それは俺を貫こうとして手鞠に突き刺さる。
「手鞠!」
『…無事?当たらなかった?』
「俺は平気だけど、手鞠は…」
『大丈夫。私は人形だから、簡単には死なないの』
「すごく痛そうだ」
それが強がりか本当のことなのかは分からない。
ただ、どちらにしても痛くないはずがないのだ。
『私を置いて逃げて。じゃないと、あなたたちも狙われてしまうわ』
「そんなこと、できるわけないだろ」
俺はあのときとは違う。
少なくとも、あのときより体力はつけられたはずだ。
だから、僕は今度こそ周りにある大切な世界を護ってみせる。
「瑠璃、ふたりを頼む」
『あなたは何を…』
「…俺、昔からかくれんぼは得意なんだ」
手鞠に刺さった槍の彼女から1番遠い場所ごく一部をへし折り、それを持ったままひたすら走る。
気配で追ってきているなら、あの男はこれでこっちに来てくれるはずだ。
「隠れても無駄だから出ておいでよ。こっちでしょ?」
思っていた以上に速い。それでも、追いつかれるわけにはいかないんだ。
「ほら、次はちゃんと消してあげるから止まって」
どうしてあの男は平然とあんなことを口走れるんだ。
そんなことを言ったら相手が傷つくことも理解できないのか。
「やっと見つけ、」
「わあ!?」
敢えて大げさに驚いてみせると、相手は少し怯んだようだった。
「すみません。このあたりってあんまり人が来ないので驚いてしまって…」
「いえ。こちらこそすみません。足音をたてないで走っていたものですから」
「こんな時間にジョギングですか?俺にはそんな体力ないな…」
できるだけ普通を装って話しているものの、だんだん足が震えそうになる。
見られたら終わりだ……そう思うとなんとか隠しとおすことを考えた。
「それじゃあ、俺はこれで失礼します」
そう話して相手に背を向けた直後だった。
足に激しい痛みが走る。
見ない方がいいと分かっていても見ずにはいられない。
右足に光の槍が突き刺さっていた。
「…やっぱり化け物のようだ」
「どうして、何が、」
「その左眼の色、覚えがあるんだよ。走ったのが失敗だったね」
前髪が乱れていることに気づかなかった俺のミスだ。
このままだと確実にやられる…そう思った瞬間、鞄が光を帯びはじめる。
端の方から落ちかけながら発光しているそれは、夜陽炎からもらったミサンガだ。
「その程度のまじないに俺が負けると?」
訳も分からず立ちあがれないまま鞄をかざす。
俺は…僕はただ、みんなを護りたいだけなんだ。
「お願いだ、力を貸してくれ!」
この男が誰彼構わず傷つけるというなら、確実に止める。
せめて瑠璃がふたりを連れて逃げるまで時間を稼ぎたい。
この鞄に詰まっている想い出全てを…僕自身を賭けて。
「おまえの相手は俺だ」
それは俺を貫こうとして手鞠に突き刺さる。
「手鞠!」
『…無事?当たらなかった?』
「俺は平気だけど、手鞠は…」
『大丈夫。私は人形だから、簡単には死なないの』
「すごく痛そうだ」
それが強がりか本当のことなのかは分からない。
ただ、どちらにしても痛くないはずがないのだ。
『私を置いて逃げて。じゃないと、あなたたちも狙われてしまうわ』
「そんなこと、できるわけないだろ」
俺はあのときとは違う。
少なくとも、あのときより体力はつけられたはずだ。
だから、僕は今度こそ周りにある大切な世界を護ってみせる。
「瑠璃、ふたりを頼む」
『あなたは何を…』
「…俺、昔からかくれんぼは得意なんだ」
手鞠に刺さった槍の彼女から1番遠い場所ごく一部をへし折り、それを持ったままひたすら走る。
気配で追ってきているなら、あの男はこれでこっちに来てくれるはずだ。
「隠れても無駄だから出ておいでよ。こっちでしょ?」
思っていた以上に速い。それでも、追いつかれるわけにはいかないんだ。
「ほら、次はちゃんと消してあげるから止まって」
どうしてあの男は平然とあんなことを口走れるんだ。
そんなことを言ったら相手が傷つくことも理解できないのか。
「やっと見つけ、」
「わあ!?」
敢えて大げさに驚いてみせると、相手は少し怯んだようだった。
「すみません。このあたりってあんまり人が来ないので驚いてしまって…」
「いえ。こちらこそすみません。足音をたてないで走っていたものですから」
「こんな時間にジョギングですか?俺にはそんな体力ないな…」
できるだけ普通を装って話しているものの、だんだん足が震えそうになる。
見られたら終わりだ……そう思うとなんとか隠しとおすことを考えた。
「それじゃあ、俺はこれで失礼します」
そう話して相手に背を向けた直後だった。
足に激しい痛みが走る。
見ない方がいいと分かっていても見ずにはいられない。
右足に光の槍が突き刺さっていた。
「…やっぱり化け物のようだ」
「どうして、何が、」
「その左眼の色、覚えがあるんだよ。走ったのが失敗だったね」
前髪が乱れていることに気づかなかった俺のミスだ。
このままだと確実にやられる…そう思った瞬間、鞄が光を帯びはじめる。
端の方から落ちかけながら発光しているそれは、夜陽炎からもらったミサンガだ。
「その程度のまじないに俺が負けると?」
訳も分からず立ちあがれないまま鞄をかざす。
俺は…僕はただ、みんなを護りたいだけなんだ。
「お願いだ、力を貸してくれ!」
この男が誰彼構わず傷つけるというなら、確実に止める。
せめて瑠璃がふたりを連れて逃げるまで時間を稼ぎたい。
この鞄に詰まっている想い出全てを…僕自身を賭けて。
「おまえの相手は俺だ」
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