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「あ、あの、室星先生」
「どうした?」
「お姉ちゃんが食べたらいけないものってありますか?」
先生はその質問だけで察したらしく、満面の笑みで答えた。
「検査に影響を及ぼす可能性があるからオレンジジュースは避けてほしい。
あとは特に問題ない。ベッドの上で退屈しているはずだから、いつでも会いに行ってくれ」
「ありがとうございます」
先生はとても優しい人で、一言一言に思いやりの心を感じる。
気合を入れてスーパーに入ると、やっぱりはじまっていた。
「お弁当作り、頑張らないと」
《…それで、これが買い物が難しくなる理由か》
「うん」
タイムセールは私にとって戦場だ。
ここでお得な買い物をできればいいけど、狙っているもの全部が手に入るわけじゃない。
《こっちだ》
「あ、卵が安くなってる」
《それと、向こうに飲み物と菓子がつまれている》
「お菓子は少ししかいらないけど、飲み物はほしいな…」
白露が指示を出してくれたおかげで動きやすかった。
「ありがとう。楽しく買い物できたよ」
《…そうか》
「あとはこれを旧校舎の調理室に持っていって、」
《伏せろ》
白露の強めの口調に従うと、頭の上を何かが通過していった。
立ちあがろうとしたらまた何かが迫ってきて、体勢を崩してしまう。
「あ!」
袋を叩きつけた衝撃で卵が割れてしまった。
《キキキ、美味そうなの見つけた!》
《半狂といったところか。そのまま学園の方へ──》
袋を置いて、せいいっぱい笑顔を作って水鉄砲を撃つ。
《痛い、痛い…!》
「あなたより大きな傷を負った人が待ってるの。それに、よくも大事な卵を…」
《た、卵?》
「重罪だから」
《何ヲ…ぎゃあああ!》
そこからどうやって相手を追い払ったか覚えていない。
ただ、白露がちょっとだけ楽しそうに笑っていた。
「…?どうかしたの?」
《なんでもない。卵ならこっちのものを使えばいい》
「ふたパック買っておいてよかった。…割れちゃった方も2個以外は食べられそうだし、これなら間に合いそう」
《そうか》
白露と一緒に旧校舎で料理をするなんて新鮮だ。
いつもより広いキッチンで、なんとかお弁当を完成させる。
「何作ってるの?」
「お姉ちゃんに届けるお弁当だよ。瞬君も食べる?」
「いいの?」
「勿論。余り物で申し訳ないんだけど…」
「ありがとう。いただきます。…美味しい」
瞬君は楽しそうに笑って、私がつけていたエプロンを外す。
「片づけは僕がやっておくから、早く行ってあげて」
「え?」
「おかずをもらったお礼。それに、これから僕も夕飯を作るつもりだから使うものも多いんだ」
「ありがとう。それじゃあお願いしようかな」
「いってらっしゃい」
瞬君は私たちに手をふってお見送りしてくれた。
…お姉ちゃん、喜んでくれるかな?
「どうした?」
「お姉ちゃんが食べたらいけないものってありますか?」
先生はその質問だけで察したらしく、満面の笑みで答えた。
「検査に影響を及ぼす可能性があるからオレンジジュースは避けてほしい。
あとは特に問題ない。ベッドの上で退屈しているはずだから、いつでも会いに行ってくれ」
「ありがとうございます」
先生はとても優しい人で、一言一言に思いやりの心を感じる。
気合を入れてスーパーに入ると、やっぱりはじまっていた。
「お弁当作り、頑張らないと」
《…それで、これが買い物が難しくなる理由か》
「うん」
タイムセールは私にとって戦場だ。
ここでお得な買い物をできればいいけど、狙っているもの全部が手に入るわけじゃない。
《こっちだ》
「あ、卵が安くなってる」
《それと、向こうに飲み物と菓子がつまれている》
「お菓子は少ししかいらないけど、飲み物はほしいな…」
白露が指示を出してくれたおかげで動きやすかった。
「ありがとう。楽しく買い物できたよ」
《…そうか》
「あとはこれを旧校舎の調理室に持っていって、」
《伏せろ》
白露の強めの口調に従うと、頭の上を何かが通過していった。
立ちあがろうとしたらまた何かが迫ってきて、体勢を崩してしまう。
「あ!」
袋を叩きつけた衝撃で卵が割れてしまった。
《キキキ、美味そうなの見つけた!》
《半狂といったところか。そのまま学園の方へ──》
袋を置いて、せいいっぱい笑顔を作って水鉄砲を撃つ。
《痛い、痛い…!》
「あなたより大きな傷を負った人が待ってるの。それに、よくも大事な卵を…」
《た、卵?》
「重罪だから」
《何ヲ…ぎゃあああ!》
そこからどうやって相手を追い払ったか覚えていない。
ただ、白露がちょっとだけ楽しそうに笑っていた。
「…?どうかしたの?」
《なんでもない。卵ならこっちのものを使えばいい》
「ふたパック買っておいてよかった。…割れちゃった方も2個以外は食べられそうだし、これなら間に合いそう」
《そうか》
白露と一緒に旧校舎で料理をするなんて新鮮だ。
いつもより広いキッチンで、なんとかお弁当を完成させる。
「何作ってるの?」
「お姉ちゃんに届けるお弁当だよ。瞬君も食べる?」
「いいの?」
「勿論。余り物で申し訳ないんだけど…」
「ありがとう。いただきます。…美味しい」
瞬君は楽しそうに笑って、私がつけていたエプロンを外す。
「片づけは僕がやっておくから、早く行ってあげて」
「え?」
「おかずをもらったお礼。それに、これから僕も夕飯を作るつもりだから使うものも多いんだ」
「ありがとう。それじゃあお願いしようかな」
「いってらっしゃい」
瞬君は私たちに手をふってお見送りしてくれた。
…お姉ちゃん、喜んでくれるかな?
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