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第3幕
言葉の力☆
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「染さん、どれが好きですか?」
「もらえるならどれでもいいよ」
「それじゃあ...はい」
玉子サンドを渡すと、染さんはふっと微笑む。
「...?あの、」
「この前俺が玉子焼き定食頼んでたから?」
「...苦手、でしたか?」
間違えたのかと思って焦っていると、染さんは一口囓って言ってくれた。
「俺、無類の卵好きなんだ。よく気づいたな」
「何度か真昼が持っていったのを見ていたので。ところで、大学には戻らなくて大丈夫なんですか...?」
「今日はもう授業が終わったんだ。御舟はあと二科目かな、多分」
どうして染さんがやってきたのか分からなくて、ついまじまじと見つめてしまう。
「俺、何か変なこと言った?」
「いえ、そうじゃなくて、その...」
私に何か用事できたのではありませんか、その一言が言えなくてもどかしくなってしまう。
(聞いてみるだけだし、大丈夫だよね...?)
染さんは深刻そうな表情で私をじっと見つめる。
「染さん...?」
染さんはがばっと私を抱きしめる。
「ごめん、少しだけこうしててもいい?」
弱々しい声で告げられて、身動きがとれなくなる。
「...何か、あったんですか?」
「ちょっと嫌なことがあって...大学で。俺はこんななりだろ?だから、からかわれたりすることも多いんだ」
染さんには事情がある。
どんなことなのか詳しくは知らないけど、その出来事がきっかけで女の子らしい服を着られなくなったことだけは分かる。
「私は、染さんのこと好きですよ」
「佐藤ちゃん...?」
思ったままに言葉を続ける。
「私は、染さんみたいにかっこよくはなれないし、今だって上手く説明できないけど...染さんは染さんだから。私は染さんだからお友だちになりたいって思ったんです」
「...佐藤ちゃん」
はっとして言葉を止める。
もしかすると、言われたくないことを言ってしまったのかもしれない...。
言葉は下手だし、上手く伝えられた気がしない。
「あ、あの...」
「そんなふうに言ってくれるの、御舟以外で初めてだ」
染さんは私をもう一度抱きしめなおして、そっと耳打ちしてきた。
「ありがとう、佐藤ちゃん」
体が離れたとき見えた染さんの表情は笑顔だった。
(またこの感覚...)
ありがとうという言葉には、不思議な力があると思う。
...私の心を、こんなにも温かくしてくれるのだから。
「もらえるならどれでもいいよ」
「それじゃあ...はい」
玉子サンドを渡すと、染さんはふっと微笑む。
「...?あの、」
「この前俺が玉子焼き定食頼んでたから?」
「...苦手、でしたか?」
間違えたのかと思って焦っていると、染さんは一口囓って言ってくれた。
「俺、無類の卵好きなんだ。よく気づいたな」
「何度か真昼が持っていったのを見ていたので。ところで、大学には戻らなくて大丈夫なんですか...?」
「今日はもう授業が終わったんだ。御舟はあと二科目かな、多分」
どうして染さんがやってきたのか分からなくて、ついまじまじと見つめてしまう。
「俺、何か変なこと言った?」
「いえ、そうじゃなくて、その...」
私に何か用事できたのではありませんか、その一言が言えなくてもどかしくなってしまう。
(聞いてみるだけだし、大丈夫だよね...?)
染さんは深刻そうな表情で私をじっと見つめる。
「染さん...?」
染さんはがばっと私を抱きしめる。
「ごめん、少しだけこうしててもいい?」
弱々しい声で告げられて、身動きがとれなくなる。
「...何か、あったんですか?」
「ちょっと嫌なことがあって...大学で。俺はこんななりだろ?だから、からかわれたりすることも多いんだ」
染さんには事情がある。
どんなことなのか詳しくは知らないけど、その出来事がきっかけで女の子らしい服を着られなくなったことだけは分かる。
「私は、染さんのこと好きですよ」
「佐藤ちゃん...?」
思ったままに言葉を続ける。
「私は、染さんみたいにかっこよくはなれないし、今だって上手く説明できないけど...染さんは染さんだから。私は染さんだからお友だちになりたいって思ったんです」
「...佐藤ちゃん」
はっとして言葉を止める。
もしかすると、言われたくないことを言ってしまったのかもしれない...。
言葉は下手だし、上手く伝えられた気がしない。
「あ、あの...」
「そんなふうに言ってくれるの、御舟以外で初めてだ」
染さんは私をもう一度抱きしめなおして、そっと耳打ちしてきた。
「ありがとう、佐藤ちゃん」
体が離れたとき見えた染さんの表情は笑顔だった。
(またこの感覚...)
ありがとうという言葉には、不思議な力があると思う。
...私の心を、こんなにも温かくしてくれるのだから。
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