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終幕
耐えきった先で☆
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「どうした?」
「真昼はいつから鍛えてるの...?」
少し驚いた表情をして、真昼はくっと笑った。
「いつからだろうな...。というか、まさかそんなことを聞かれるとは思ってなかった」
「だって、その...初めて、だから」
「まあ、人に見せるようなものじゃないからな」
私の半袖パーカーが入らなかったらしく、いつの間にか敷かれていたレジャーシートの上に綺麗に畳んで置かれた。
「...それより、ちょっと泳がないか?」
「深いところは自信ない...」
「なら、これに乗っとけ」
そう言って差し出されたのは、少し大きめの浮き輪だった。
「こう?」
腰のあたりにつけようとすると、真昼はふっと笑った。
「そんなにぶかぶかなのに、それじゃ意味ないだろ」
「わっ、」
いきなり抱きあげられて、少しだけ声を出してしまった。
「...ほら、そこに掴まってろ」
「真昼はどうするの?」
「俺は浮き輪持って泳ぐからいいんだよ」
そう言って、真昼は私が乗った浮き輪を押すようにしながら泳いでいく。
「...やっぱり鍛えてるんだね」
「そういえば、さっきちゃんと理由を話さなかったな」
真剣な声で、真昼はただ一言だけ言った。
「鍛えてるってほどでもないけど...何故と言われたら大事なものを護る為の力を身につけたかったからとしか答えられない」
今は顔が見えないから分からないけれど、きっと哀しいような寂しいような表情をしていると思う。
(何があったんだろう)
何もなくて、なんとなくで決められるようなことじゃない。
けれど、私にはやっぱり踏みこむ勇気がなかった。
「...よし、そろそろ戻るか」
「う、うん」
まずい。いつもより喉の渇きを強く感じる。
(駄目、今日はまだ...まだ我慢する)
「...大丈夫か?」
「うん、平気」
「それじゃあ、着替えたらここに集合な」
「...?うん、分かった」
この後に、何か予定があるのだろうか。
私はできるだけ急いで着替えて、真昼の側に戻る。
「待った...?」
「全然。それより、ちょっと寝てろ」
「どうして?」
そのとき、激しい眠気に襲われる。
体が重くて何も考えられない。
(もう、駄目...)
倒れそうになった瞬間、真昼の体温を近くで感じる。
「大丈夫だから。ちゃんと連れて帰るからな」
だんだん体が重くなってきて、そのまま瞼を閉じる。
...意識を手放す前に聞いたのは、ここまで我慢させてごめんという言葉だった。
「真昼はいつから鍛えてるの...?」
少し驚いた表情をして、真昼はくっと笑った。
「いつからだろうな...。というか、まさかそんなことを聞かれるとは思ってなかった」
「だって、その...初めて、だから」
「まあ、人に見せるようなものじゃないからな」
私の半袖パーカーが入らなかったらしく、いつの間にか敷かれていたレジャーシートの上に綺麗に畳んで置かれた。
「...それより、ちょっと泳がないか?」
「深いところは自信ない...」
「なら、これに乗っとけ」
そう言って差し出されたのは、少し大きめの浮き輪だった。
「こう?」
腰のあたりにつけようとすると、真昼はふっと笑った。
「そんなにぶかぶかなのに、それじゃ意味ないだろ」
「わっ、」
いきなり抱きあげられて、少しだけ声を出してしまった。
「...ほら、そこに掴まってろ」
「真昼はどうするの?」
「俺は浮き輪持って泳ぐからいいんだよ」
そう言って、真昼は私が乗った浮き輪を押すようにしながら泳いでいく。
「...やっぱり鍛えてるんだね」
「そういえば、さっきちゃんと理由を話さなかったな」
真剣な声で、真昼はただ一言だけ言った。
「鍛えてるってほどでもないけど...何故と言われたら大事なものを護る為の力を身につけたかったからとしか答えられない」
今は顔が見えないから分からないけれど、きっと哀しいような寂しいような表情をしていると思う。
(何があったんだろう)
何もなくて、なんとなくで決められるようなことじゃない。
けれど、私にはやっぱり踏みこむ勇気がなかった。
「...よし、そろそろ戻るか」
「う、うん」
まずい。いつもより喉の渇きを強く感じる。
(駄目、今日はまだ...まだ我慢する)
「...大丈夫か?」
「うん、平気」
「それじゃあ、着替えたらここに集合な」
「...?うん、分かった」
この後に、何か予定があるのだろうか。
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「待った...?」
「全然。それより、ちょっと寝てろ」
「どうして?」
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