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終幕
招かれざる客☆
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「真昼...?」
入り口の近くで固まってしまった真昼に話しかけてみるけれど、返事がない。
視線を外へ向けると、そこには会いたくない人物が立っていた。
「...舞花」
「千夜、大丈夫か?」
「佐藤ちゃん?」
「なんでもありません。...真昼、鍵お願い」
二人に心配や迷惑をかけたくなくて、平気なふりをして扉を開ける。
「千夜...!あのね、一度話がしたくて、」
「私にはない」
そう答えると、取り巻きに囲まれる。
「折角舞花がきてくれてるのにその態度かよ?」
「...」
「何とか言ったら?」
私はただ、無言を貫き通す。
どうしようかと思っていると、私の前に一人の女性が庇うように立つ。
「...一人によってたかって言い寄るのって、卑怯なんじゃないのか」
(染さん...)
「二人とも、いいから...」
舞花が出てきて、染さんを睨みながら話を強引に続けようとする。
「...誤解させてしまったならごめんなさい。私は、」
「こんなに震えてるのに、嫌がってるのが分からないわけ?」
「ただ、千夜と話がしたいんです」
「それなら日を改めて、一人でくればいい。...そもそも、どうして人を引き連れてくるのか理解できないんだけど」
染さんは淡々と言葉を続ける。
(染さん...)
「おとこおんなはひっこんでなよ。ていうか、その格好で女なの?」
「女捨ててるのか、笑える」
...何かにヒビが入る音がする。
「...」
染さんは、ただ黙っている。
「ちょっと、二人とも失礼だよ」
ヒビが更に大きく入っていくような感覚に陥りながら、染さんの背中を見つめる。
ただ黙っているわけじゃない、染さんは...。
(これでいいの?)
染さんは私を友だちだと言ってくれた。
相談にだってのってくれて、今夜もまたこうして助けようとしてくれている。
それなのに、何もしないままでいいの?
「だってさ、こんなのさ、」
ぱりんという音がして、気づいたときには染さんの前に出ていた。
「もうやめて!」
「千夜?」
「これ以上、何も知らないくせに勝手なこと言わないで...」
「佐藤ちゃん、いいから、」
「よくない。...護ってくれてありがとう」
染さんの方を一瞬だけ確認すると、目を潤ませた美女が見える。
舞花たちに向き直って、
「こんなに綺麗な人を、私は他に知らない。大切な友人を傷つけるのは絶対に赦さないから」
今度は、私が染さんを護る番だ。
「...あなたたちにとっての友人って何?」
入り口の近くで固まってしまった真昼に話しかけてみるけれど、返事がない。
視線を外へ向けると、そこには会いたくない人物が立っていた。
「...舞花」
「千夜、大丈夫か?」
「佐藤ちゃん?」
「なんでもありません。...真昼、鍵お願い」
二人に心配や迷惑をかけたくなくて、平気なふりをして扉を開ける。
「千夜...!あのね、一度話がしたくて、」
「私にはない」
そう答えると、取り巻きに囲まれる。
「折角舞花がきてくれてるのにその態度かよ?」
「...」
「何とか言ったら?」
私はただ、無言を貫き通す。
どうしようかと思っていると、私の前に一人の女性が庇うように立つ。
「...一人によってたかって言い寄るのって、卑怯なんじゃないのか」
(染さん...)
「二人とも、いいから...」
舞花が出てきて、染さんを睨みながら話を強引に続けようとする。
「...誤解させてしまったならごめんなさい。私は、」
「こんなに震えてるのに、嫌がってるのが分からないわけ?」
「ただ、千夜と話がしたいんです」
「それなら日を改めて、一人でくればいい。...そもそも、どうして人を引き連れてくるのか理解できないんだけど」
染さんは淡々と言葉を続ける。
(染さん...)
「おとこおんなはひっこんでなよ。ていうか、その格好で女なの?」
「女捨ててるのか、笑える」
...何かにヒビが入る音がする。
「...」
染さんは、ただ黙っている。
「ちょっと、二人とも失礼だよ」
ヒビが更に大きく入っていくような感覚に陥りながら、染さんの背中を見つめる。
ただ黙っているわけじゃない、染さんは...。
(これでいいの?)
染さんは私を友だちだと言ってくれた。
相談にだってのってくれて、今夜もまたこうして助けようとしてくれている。
それなのに、何もしないままでいいの?
「だってさ、こんなのさ、」
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「千夜?」
「これ以上、何も知らないくせに勝手なこと言わないで...」
「佐藤ちゃん、いいから、」
「よくない。...護ってくれてありがとう」
染さんの方を一瞬だけ確認すると、目を潤ませた美女が見える。
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今度は、私が染さんを護る番だ。
「...あなたたちにとっての友人って何?」
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