ノーヴォイス・ライフ

黒蝶

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第45話

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「そうだ、渡したいものがあるんだった」
お茶を飲み終えた頃、穂さんが鞄から紙袋を取り出す。
「本当はもっとロマンチックな場所でやるんだろうけど…これ、クリスマスプレゼント」
「……!」
「開けてみて」
穂さんが用意してくれたなんてすごく嬉しい。
ラッピングを開けてみると、中から可愛らしい小物たちが飛び出した。
「ごめん。あんまり好みとか知らずに買っちゃったから、気に入ってもらえるかどうか…」
「【すごく嬉しいです。ありがとうございます。大切に使います】」
「そこまで喜んでもらえるとは思ってなかったんだけど、桜雪が笑ってくれてよかった」
「【私のも、受け取ってもらえますか?】」
迷子センターでの一件があったあの日、監査部長さんから聞いた情報を元に穂さんのプレゼントを探しに行っていた。
気に入ってもらえないかもしれないと不安になるけれど、なんとか汚さなかった袋を渡す。
「開けてもいい?」
その言葉に頷いて、穂さんの反応を待つ。
「これ、俺が好きなメーカー…ありがとう。普段使いできそうなペンが欲しかったんだ」
悩みに悩んでペンとネクタイピンを選んだものの、いらないと言われてしまったらどうしようと思っていた。
だけど、目の前の笑顔はきっと嘘じゃない。
「初めて会った日から、ずっと惹かれてたんだ。護りたいとか抱きしめたいとか…気づいたらそんなことばかり考えてた」
穂さんの真剣な表情を前に動けなくなる。
頬を赤らめながら、彼はいつもどおり真っ直ぐな言葉で伝えてくれた。
「本当にロマンの欠片もないけど、今ここで言わせてほしい。…好きです。俺と付き合ってください」
いつかそんな関係になれればいいと思っていた。
だけど、私から言ったら優しい穂さんは断らないかもしれない。
一歩踏み出す勇気がなくて、ずっと言えなかった。
「【…迷惑をかけると思います】」
「迷惑だなんて思わないよ。もう君がいない未来を考えられないんだ。
会う度に緊張して、だけどいつも優しく笑いかけてくれて…全部を受け止めたい」
「【本当に、後悔しませんか?】」
「そっちこそ俺で後悔しない?」
…惚れた方が負けだとよく言うけれど、それが本当だと今なら分かる。
「【私も好きです。これからもただ側にいさせてください】」
「こ、断られるかと思った…」
ガッツポーズする穂さんを見ていると、さっきまでの憂鬱な気分がどこかへ飛んでいく。
この人とずっと一緒にいたい。
…そう願ってもいいだろうか。
「それじゃあ、改めまして…これからもよろしくね、桜雪」
「【こちらこそよろしく、お】」
そこまで書いてペンを止めた。
まずは敬語を外すところから頑張ってみよう。
ふたりで歩いていけるように…穂さんの隣を歩けるように。
「敬語、外そうとしてくれてるんだね。ありがとう」
雪花が舞い踊るなか、ふたりきりの教室で抱きしめあう。
このぬくもりを忘れることはきっと一生ない。
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