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逆境を壊す
第59話
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「お疲れ様。今日は冷えそうだから帰り気をつけてください。
特にバスや電車の人たちは停まる可能性もあるから、できるだけ早く帰るようにしましょう」
そんな店長さんの声に、他の人たちはばらばらと帰りはじめる。
こゆきが入ったケージを揺らさないように気をつけながら、ゆっくり歩いて帰った。
白い息をはきながら家に帰ると、スマホが光っていることに気づく。
【返信遅くなっちゃってごめんね。こちらこそ素敵な贈り物をありがとう。毎日大切に持ってるよ】
なかなか会えなくても、こんなふうに連絡を取りあえることが嬉しい。
こゆきは猫カフェにいる間も元気に遊んでいたみたいで、店長さんがつけてくれた記録ノートを受け取った。
【左側から話しかけると、怖がらずにゆっくり近づいてきてくれます。
鈴がついたおもちゃが好きみたいで、好物のたまごボーロを食べている間も離しませんでした】
ほっこりした気持ちになりながら、すやすや眠るこゆきの頭を撫でる。
レポート課題を仕上げて、そのままソファーで寝てしまった。
翌日はこゆきを預かってもらって、予約していた本を取りに行く。
「ありがとうございました」
本屋を出たところで誰かにぶつかる。
フードをかぶっていたその人は、少しよろめいたものの転ばなかった。
「……!」
勢いよく頭を下げると、相手のフードが風で落ちていく。
その顔は、ポスターで見たものに違いなかった。
「こちらこそぶつかってすみません。…そうだ、今度イベントやるのでもしよければきてください」
またあの広告だ。一応受け取って一礼する。
それと同時に、周囲からひそひそ話す声が聞こえた。
「ねえ、あれって…」
「SKIRDのクロじゃない!?」
「今は解散してソロでやってるんだよね?サインもらえないかな…」
目立つのが嫌で、足早にその場を離れる。
今度のイベントの主催者の人という認識しかなかったけど、すごい人だったんだ。
一旦近くのカフェに着いてすぐ調べてみると、何曲か音源が出てきた。
早速聴いてみようと再生をタップした瞬間、心が揺さぶられる。
ひとつひとつの言葉が心に突き刺さって抜けない。
苦しい思いがこめられた歌詞、それを引き出すメロディー…そして、どこまでも届きそうな歌声。
こんなに素敵な音楽を作れるのに、どうして解散してしまったんだろう。
これ以上はお店の迷惑になりそうで、ココアを飲んですぐに出る。
「あれ、桜雪?」
「…!【こんにちは】」
穂さんは手をふりながら駆け寄ってきてくれた。
「今日はこゆきは預けてるの?」
首を縦にふると、穂さんは笑って手を握った。
「今から俺の家においで。勿論、嫌じゃなければだけど」
特にバスや電車の人たちは停まる可能性もあるから、できるだけ早く帰るようにしましょう」
そんな店長さんの声に、他の人たちはばらばらと帰りはじめる。
こゆきが入ったケージを揺らさないように気をつけながら、ゆっくり歩いて帰った。
白い息をはきながら家に帰ると、スマホが光っていることに気づく。
【返信遅くなっちゃってごめんね。こちらこそ素敵な贈り物をありがとう。毎日大切に持ってるよ】
なかなか会えなくても、こんなふうに連絡を取りあえることが嬉しい。
こゆきは猫カフェにいる間も元気に遊んでいたみたいで、店長さんがつけてくれた記録ノートを受け取った。
【左側から話しかけると、怖がらずにゆっくり近づいてきてくれます。
鈴がついたおもちゃが好きみたいで、好物のたまごボーロを食べている間も離しませんでした】
ほっこりした気持ちになりながら、すやすや眠るこゆきの頭を撫でる。
レポート課題を仕上げて、そのままソファーで寝てしまった。
翌日はこゆきを預かってもらって、予約していた本を取りに行く。
「ありがとうございました」
本屋を出たところで誰かにぶつかる。
フードをかぶっていたその人は、少しよろめいたものの転ばなかった。
「……!」
勢いよく頭を下げると、相手のフードが風で落ちていく。
その顔は、ポスターで見たものに違いなかった。
「こちらこそぶつかってすみません。…そうだ、今度イベントやるのでもしよければきてください」
またあの広告だ。一応受け取って一礼する。
それと同時に、周囲からひそひそ話す声が聞こえた。
「ねえ、あれって…」
「SKIRDのクロじゃない!?」
「今は解散してソロでやってるんだよね?サインもらえないかな…」
目立つのが嫌で、足早にその場を離れる。
今度のイベントの主催者の人という認識しかなかったけど、すごい人だったんだ。
一旦近くのカフェに着いてすぐ調べてみると、何曲か音源が出てきた。
早速聴いてみようと再生をタップした瞬間、心が揺さぶられる。
ひとつひとつの言葉が心に突き刺さって抜けない。
苦しい思いがこめられた歌詞、それを引き出すメロディー…そして、どこまでも届きそうな歌声。
こんなに素敵な音楽を作れるのに、どうして解散してしまったんだろう。
これ以上はお店の迷惑になりそうで、ココアを飲んですぐに出る。
「あれ、桜雪?」
「…!【こんにちは】」
穂さんは手をふりながら駆け寄ってきてくれた。
「今日はこゆきは預けてるの?」
首を縦にふると、穂さんは笑って手を握った。
「今から俺の家においで。勿論、嫌じゃなければだけど」
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