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逆境を壊す
第67話
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「え、桜雪!?」
穂さんはすごく驚いていて、慌てた様子で立ちあがる。
「いつからいたの?」
「…【少し前から】」
「全然気づいてなかった…」
「【真島先生と仲良しなんですか?】」
「りっ君…真島先生とは昔なじみなんだ。小さい頃のお隣さんで、引っ越してからも文通したりして、ずっと交流は続いてた」
穂さんが落ち着いて話しているのを見て、信頼していることがすごく良く分かる。
ただ、今日はほっこりする話だけで終わらせることはできない。
「桜雪?」
「…【私は、重荷だなんて思ってないよ】」
「そこも聞いてたんだね」
盗み聞きになってしまったことを申し訳なく思いながら、考えていることを少しずつ形にしていく。
「【穂さんのことが知れて、すごく嬉しかった。ずっと苦しかったんだろうなって思った。
…だけど、穂さんのことばかり聞かせてもらったから、今日は少しだけ私の話をするね】」
なんとなくフェアじゃない気がしていた。
話すのは怖いけれど、これで穂さんが迷惑だって心を閉ざしてしまう方がもっと嫌だ。
「【歌うのが好きで、小さい頃から声優さんや歌手の人たちに憧れてた。
だけど、変な声だって笑われて、他にも色々あって…声が出なくなった】」
「そんなことがあったなんて…」
話したら嫌われると思っていたけれど、穂さんは黙って私が書き終わるのを待ってくれた。
「【嫌なことだらけで、学校に行けなくなった。もう終わりだと思っていた。
だけど、室星先生や白井先生が通信制への転入を薦めてくれたおかげで今がある。穂さんとも出会えたから、悪いことばかりじゃなかったよ】」
「…今、楽しい?」
その問いに、迷わず首を縦にふる。
もっと苦しいことが待っていたら…そう毎日怯えていた。
その恐怖から少し抜け出せたのは、穂さんがいてくれるからだ。
「【旧校舎で会って、初めて話をしたとき…嬉しかった。ここにいてもいいんだって思えた。
だから私は、あなたの苦しみを少しでも和らげられるように一緒にいたい。
…勿論、好きだからという気持ちもあるけど、困ったときは支えあいたい】」
私に希望をくれた人は、限りなく絶望に近い場所にいる。
だったら、今度は私が力になりたい。
「…ありがとう。やっぱり俺にとっての魔法使いは桜雪だ」
抱きしめられるのと同時に、手からノートが滑り落ちる。
それを拾った穂は固まってしまった。
【私は、穂に頼られたい。声がない私でも、穂を支えたい】
目の前の彼の顔は歪んで、ぽたぽたと涙が零れる。
けれど、その表情は笑顔だった。
「ありがとう桜雪。…俺も桜雪のことをもっと知って、助けられるように頑張るよ」
月明かりがさしこむなか、優しく唇が重ねられる。
初めてのキスは少ししょっぱい味がした。
穂さんはすごく驚いていて、慌てた様子で立ちあがる。
「いつからいたの?」
「…【少し前から】」
「全然気づいてなかった…」
「【真島先生と仲良しなんですか?】」
「りっ君…真島先生とは昔なじみなんだ。小さい頃のお隣さんで、引っ越してからも文通したりして、ずっと交流は続いてた」
穂さんが落ち着いて話しているのを見て、信頼していることがすごく良く分かる。
ただ、今日はほっこりする話だけで終わらせることはできない。
「桜雪?」
「…【私は、重荷だなんて思ってないよ】」
「そこも聞いてたんだね」
盗み聞きになってしまったことを申し訳なく思いながら、考えていることを少しずつ形にしていく。
「【穂さんのことが知れて、すごく嬉しかった。ずっと苦しかったんだろうなって思った。
…だけど、穂さんのことばかり聞かせてもらったから、今日は少しだけ私の話をするね】」
なんとなくフェアじゃない気がしていた。
話すのは怖いけれど、これで穂さんが迷惑だって心を閉ざしてしまう方がもっと嫌だ。
「【歌うのが好きで、小さい頃から声優さんや歌手の人たちに憧れてた。
だけど、変な声だって笑われて、他にも色々あって…声が出なくなった】」
「そんなことがあったなんて…」
話したら嫌われると思っていたけれど、穂さんは黙って私が書き終わるのを待ってくれた。
「【嫌なことだらけで、学校に行けなくなった。もう終わりだと思っていた。
だけど、室星先生や白井先生が通信制への転入を薦めてくれたおかげで今がある。穂さんとも出会えたから、悪いことばかりじゃなかったよ】」
「…今、楽しい?」
その問いに、迷わず首を縦にふる。
もっと苦しいことが待っていたら…そう毎日怯えていた。
その恐怖から少し抜け出せたのは、穂さんがいてくれるからだ。
「【旧校舎で会って、初めて話をしたとき…嬉しかった。ここにいてもいいんだって思えた。
だから私は、あなたの苦しみを少しでも和らげられるように一緒にいたい。
…勿論、好きだからという気持ちもあるけど、困ったときは支えあいたい】」
私に希望をくれた人は、限りなく絶望に近い場所にいる。
だったら、今度は私が力になりたい。
「…ありがとう。やっぱり俺にとっての魔法使いは桜雪だ」
抱きしめられるのと同時に、手からノートが滑り落ちる。
それを拾った穂は固まってしまった。
【私は、穂に頼られたい。声がない私でも、穂を支えたい】
目の前の彼の顔は歪んで、ぽたぽたと涙が零れる。
けれど、その表情は笑顔だった。
「ありがとう桜雪。…俺も桜雪のことをもっと知って、助けられるように頑張るよ」
月明かりがさしこむなか、優しく唇が重ねられる。
初めてのキスは少ししょっぱい味がした。
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