路地裏のマッチ売りの少女

黒蝶

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Until the day when I get engaged. -Of light, ahead of it...-

第83話

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ー**ー
俺はその夜、なかなか寝つけなかった。
(...駄目だ、頭が冴えて眠れない)
「すぅ...」
隣ではメルがぐっすりと眠っている。
俺はメルを起こさないように、そっとベッドを抜け出した。
「...」
俺は夜の街を走った。
メルを置いていきたくはなかったが、どうしても気になってしまったのだ。
なので、バーへと急いだ。
だが、既に男はいなかった。
長居できる場所ではないことを、俺はよく知っている。
それなのにきてしまったことをとても後悔した。
(急いで帰らないと!)
俺は再び地面を蹴る。
早く帰らないと、メルに何かあったら...。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「はあ...はあ...」
俺はほっと一息つく。
「カムイ、どこに行っていたんですか...?」
メルがリビングで待っていた。
ー*ー
私は目が覚めてしまった。
でも、隣にあるはずのぬくもりがなかった。
(カムイはどこへ行ってしまったのでしょうか?)
キッチン、お風呂、お手洗い...。
どこにもいなかった。
私はとても不安になった。
(もしカムイが、何か事件に巻きこまれていたらどうしましょう...)
エリックさんに連絡しようか悩んでいたところに、カムイが帰ってきた。
「はあ...はあ...」
「カムイ、どこに行っていたんですか...?」
「...ちょっとね」
どうして誤魔化したのだろうか。
「でも、それだけ汗をかいているのに、」
「なんでもないから」
カムイが遠くなったような気がして、なんだか距離をおかれているように感じて...私は寂しくなった。
「...私だけだったんですね」
「え、」
「私はカムイに色々なお話をしてほしいって思ったのに、そう思うのは私だけだったんですね」
「メル、違、」
「違わないじゃないですか」
止めようと思うのに、言葉が、想いが、涙が溢れてくる。
「カムイはいつも大切なことは教えてくれないじゃないですか!『なんでもない』って誤魔化して、いつも一人で全てをかかえこんで...。私がいる意味は、何もないんですか?私はカムイのことをもっと知りたいのに、どうして何も教えてくれないんですか?教えてくれないと、分かる努力をすることもできないのに、なのに、どうして...」
言葉が詰まって出てこなくなってしまった。
しばらくして、体を強く抱きしめられた。
「ごめんね、メル。ごめん...。俺はこういうとき、人にどこまで話していいのか分からなくなる。話せば相手を傷つけるかもしれない。怖がらせてしまうかもしれない。...だから、話さないでいようと思ったんだ。でも、まさかそれが逆にメルを不安にさせていたなんて思わなかった」
「カム、」
唇を塞がれる。
少し長いキスのあと、カムイが私と視線をあわせて話してくれる。
「俺は、メルが嫌いとかそんなことは思ってないよ。でも、メルが辛い思いをするのは堪えられない。俺はメルを守りたいのに、危険なことばかりさせて...。メルが苦しむのを、見たくない」
「カムイはずるいです。私だって、カムイを守りたいのに...」
「そんなに可愛いことを言われたら、またキスしたくなる」
「...むう」
「今回は俺が全面的に悪かった。ごめんね。もし次があったらちゃんと言うから」
「...!はい、約束です!」
安心したら眠くなってしまった。
あれだけ我儘を言ったのに、カムイは私を怒らない。
本当に優しい人だと思った。
カムイは私をソファーへ横にならせてくれた。
「おやすみ」
私の意識はそのまま落ちていった。
ー**ー
まさかメルがあんなことを思っていたなんて、全く知らなかった。
(それにしても、あれだけはっきり思っていることを言ってくれるなんてな)
俺は嬉しすぎてどうにかなりそうだった。
むう、と怒ったり、約束だとふにゃふにゃの笑顔になったり...可愛い一面が沢山見られた。
メルの背中をとんとんと軽くたたくと、そのまま眠ってしまった。
「ん...」
俺の手を握ったまま、幸せそうな顔をしている。
起こさないようにそっと運ぶ。
俺は隣でそっと横になる。
(もしかすると、お昼過ぎまで寝てしまうかもしれないけど...たまにはそんな日があってもいいか)
俺はメルの方を見て、あいている方の手でそっと頭を撫でた。
「きみは俺が守る」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
気がつくと、朝日が昇りはじめていた。
いつの間にか、眠ってしまったようだ。
「おはようございます」
「メル、おはよう」
「わあ...綺麗な景色ですね」
窓からさしこむ光を見て、メルがにこにこしている。
「そうだね」
「あの、カムイ」
「ん?」
「夜は、その...ごめんな、」
「メルが言いたいことを言ってくれて、俺は嬉しかった。だから、謝らないで?」
「やっぱりカムイは優しいです」
メルの声には、夜のような不安はない。
(元気になってよかった)
「メル、今夜もやっぱりバーには行くんだけど...」
「連れていってください!」
「うん、分かった。じゃあ、俺から離れないでね」
「はい!」
メルは元気よく返事をした。
(今日で情報が全て揃うといいんだけど...)
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