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Until the day when I get married.-Light of a new request-
第154話
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私が書くはずだった書類を、裁判の偉い人が持ってきてくれた。
「...終わった」
「エリック、あとで連絡してきなさい。必要なものがあるなら、私が持ってくるわ」
「...ああ」
私はエリックの視線の先を見た。
そこには、いつも無垢な笑顔でいる少女とは思えないほど、無表情のメルが座っていた。
私はメルに近づく。
「...手、もっと緩めて?」
「ごめんなさい...」
メルは手を強く握りすぎて、血が滲んでしまっていた。
「あいつは死なない。...必ずな」
エリックはメルの眼帯をつけ直していた。
「私がもっと早くあの方の存在に気づいていれば、ちゃんと避けられたのに...。おばあさまも私の目の前で、私のせいで...そう思うと、怖くなってしまうんです」
今にも泣きだしそうな顔でメルはそう言った。
「カムイは、起きるよ。きっと元気になる」
私もメルを支えたい。
メルは小さく頷いた。
ー*ー
アイリスさんとエリックさんのお陰で、落ち着いたような気がする。
「ご家族の方は...」
「私です」
「俺たちも一緒に聞いていいですか?」
「分かりました。...治療は終わりましたが、まだ油断を許さない状態です。深く切られていたようで、目を覚ますのに時間がかかるかもしれません。...今夜が峠です」
それだけ言って、お医者さんはいなくなった。
『峠』って、どういう意味だろう。
「...明日までに起きなければ、いつ起きるか分からないということだ」
「そんな!どうして、私を庇って...」
「メル、落ち着け。おまえたちの家の鍵を借りる。着替えを持ってくる。...カムイだって、患者服は嫌がるだろうからな」
「カムイの側にいてもいいですか?」
「勿論だ。メルにはカムイの側にいてやってほしい」
私は混乱しながら、ベッドに横たえるカムイの手を握った。
先程より温かくなっている。
きっと起きる。
起きて、おはようって言ってくれる。
私はこの手を離したくないと思った。
服の血がついてしまわないようにしながら、私はいつの間にか爪が食いこんで出血していた手に包帯をまいてもらって、もう一度カムイの手を握った。
(起きてください...)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「着替えを持ってきたぞ」
「ありがとうございます」
私は上手く笑えなかった。
笑顔を作れなかった。
(カムイがいないと、私はもう笑えません)
「...ごめん。こんなときに聞くのは間違ってるのかもしれないけど...聞いてもいい?」
「私に答えられることなら、ちゃんと答えます」
アイリスさんは遠慮がちにこう聞いてきた。
「左眼で何を視たの?」
「私の左眼は、『元に戻す方法を見つける力』があるみたいです。だから...『もし流れている血を一気に元に戻せたらどうなるのか』ということを考えて、傷口がどこにあるのか探しました」
「そんなことまでできるのか」
エリックさんもアイリスさんも、驚いた表情で私を見ていた。
私は昔のことを思い出していた。
《いいかい、メル。『能力の制御』は知ることからはじまるんだよ》
《『能力の制御』、ですか?》
《メルは視たくないものまで視えてしまうんだろう?》
《...はい》
《それをコントロールするには、能力を知ることから逃げてはいけないよ》
《分かりました!》
ナタリーさんには詳しく話していなかったが、おばあさまに教えてもらったやり方で私は徐々に抑えられるようになったのだ。
いつもは抑えているので、ここまで視ることができるとは思っていなかったのだろう。
(カムイの為ならなんでもします)
「ありがとう」
「いえ、私はただ答えただけですから」
それから沈黙が続いた。
夕方になり、エリックさんは立ちあがった。
「アイリス、行くぞ」
「でも、」
「俺たちがいたら、メルの邪魔になるだろう」
「...分かった」
「メル、また明日」
「...はい」
二人が帰ったあと、私はエリックさんが持ってきてくれた洋服に着替えた。
着替えたあとは、ずっとカムイの手を握っていた。
「カムイ、起きてください...。私もカムイを愛しています。だからお願い...私の、側にっ、いてください」
気づくと、あたりはもうすっかり暗くなっていた。
静寂のなか、私はカムイに話しかけて祈りつづけた。
(まだ話していないこと、いっぱいあるんですよ...)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
目を開けると、そこは見たことがあるような場所だった。
真っ暗で、寂しい場所。
俺は帰りたい。
...愛しい彼女の処へ。
彼女はきっと泣いている。
自分のせいだと、泣いている。
俺はその涙を拭ってあげたい。
「...違うって、伝えたいんだ」
きみのせいじゃないって、
俺がずっと側で守るからって、
愛してるって、
...言葉にならない想いを、全部伝えたい。
そんなことを考えていると、優しいおばあさんの声がした。
「そうかい、そうかい。それなら、あの子を頼んだよ」
「...!」
ああ、そうか。
ここは、この場所は...
そんなことを考えていると、目の前が光に包まれ、そして...
「...終わった」
「エリック、あとで連絡してきなさい。必要なものがあるなら、私が持ってくるわ」
「...ああ」
私はエリックの視線の先を見た。
そこには、いつも無垢な笑顔でいる少女とは思えないほど、無表情のメルが座っていた。
私はメルに近づく。
「...手、もっと緩めて?」
「ごめんなさい...」
メルは手を強く握りすぎて、血が滲んでしまっていた。
「あいつは死なない。...必ずな」
エリックはメルの眼帯をつけ直していた。
「私がもっと早くあの方の存在に気づいていれば、ちゃんと避けられたのに...。おばあさまも私の目の前で、私のせいで...そう思うと、怖くなってしまうんです」
今にも泣きだしそうな顔でメルはそう言った。
「カムイは、起きるよ。きっと元気になる」
私もメルを支えたい。
メルは小さく頷いた。
ー*ー
アイリスさんとエリックさんのお陰で、落ち着いたような気がする。
「ご家族の方は...」
「私です」
「俺たちも一緒に聞いていいですか?」
「分かりました。...治療は終わりましたが、まだ油断を許さない状態です。深く切られていたようで、目を覚ますのに時間がかかるかもしれません。...今夜が峠です」
それだけ言って、お医者さんはいなくなった。
『峠』って、どういう意味だろう。
「...明日までに起きなければ、いつ起きるか分からないということだ」
「そんな!どうして、私を庇って...」
「メル、落ち着け。おまえたちの家の鍵を借りる。着替えを持ってくる。...カムイだって、患者服は嫌がるだろうからな」
「カムイの側にいてもいいですか?」
「勿論だ。メルにはカムイの側にいてやってほしい」
私は混乱しながら、ベッドに横たえるカムイの手を握った。
先程より温かくなっている。
きっと起きる。
起きて、おはようって言ってくれる。
私はこの手を離したくないと思った。
服の血がついてしまわないようにしながら、私はいつの間にか爪が食いこんで出血していた手に包帯をまいてもらって、もう一度カムイの手を握った。
(起きてください...)
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「着替えを持ってきたぞ」
「ありがとうございます」
私は上手く笑えなかった。
笑顔を作れなかった。
(カムイがいないと、私はもう笑えません)
「...ごめん。こんなときに聞くのは間違ってるのかもしれないけど...聞いてもいい?」
「私に答えられることなら、ちゃんと答えます」
アイリスさんは遠慮がちにこう聞いてきた。
「左眼で何を視たの?」
「私の左眼は、『元に戻す方法を見つける力』があるみたいです。だから...『もし流れている血を一気に元に戻せたらどうなるのか』ということを考えて、傷口がどこにあるのか探しました」
「そんなことまでできるのか」
エリックさんもアイリスさんも、驚いた表情で私を見ていた。
私は昔のことを思い出していた。
《いいかい、メル。『能力の制御』は知ることからはじまるんだよ》
《『能力の制御』、ですか?》
《メルは視たくないものまで視えてしまうんだろう?》
《...はい》
《それをコントロールするには、能力を知ることから逃げてはいけないよ》
《分かりました!》
ナタリーさんには詳しく話していなかったが、おばあさまに教えてもらったやり方で私は徐々に抑えられるようになったのだ。
いつもは抑えているので、ここまで視ることができるとは思っていなかったのだろう。
(カムイの為ならなんでもします)
「ありがとう」
「いえ、私はただ答えただけですから」
それから沈黙が続いた。
夕方になり、エリックさんは立ちあがった。
「アイリス、行くぞ」
「でも、」
「俺たちがいたら、メルの邪魔になるだろう」
「...分かった」
「メル、また明日」
「...はい」
二人が帰ったあと、私はエリックさんが持ってきてくれた洋服に着替えた。
着替えたあとは、ずっとカムイの手を握っていた。
「カムイ、起きてください...。私もカムイを愛しています。だからお願い...私の、側にっ、いてください」
気づくと、あたりはもうすっかり暗くなっていた。
静寂のなか、私はカムイに話しかけて祈りつづけた。
(まだ話していないこと、いっぱいあるんですよ...)
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目を開けると、そこは見たことがあるような場所だった。
真っ暗で、寂しい場所。
俺は帰りたい。
...愛しい彼女の処へ。
彼女はきっと泣いている。
自分のせいだと、泣いている。
俺はその涙を拭ってあげたい。
「...違うって、伝えたいんだ」
きみのせいじゃないって、
俺がずっと側で守るからって、
愛してるって、
...言葉にならない想いを、全部伝えたい。
そんなことを考えていると、優しいおばあさんの声がした。
「そうかい、そうかい。それなら、あの子を頼んだよ」
「...!」
ああ、そうか。
ここは、この場所は...
そんなことを考えていると、目の前が光に包まれ、そして...
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