202 / 220
Until the day when I get married.-Light of a new request-
第155話
しおりを挟む
そこは、見知らぬ部屋だった。
真夜中なのか、あたりが真っ暗だ。
「...っ!」
体を起こそうとすると、腹部に痛みがはしった。
(...『痛い』?)
そこでようやく気づいた。
そうか、俺は生きているのか。
視界にはいったのは、ベッドに突っ伏している愛しい人。
俺はそっと綺麗な黒髪を梳いた。
「...カムイ?」
ー*ー
一緒に過ごす、楽しい一日。
「メル」
「カムイ...!」
どんどん遠くに行ってしまう。
おばあさまの時と同じ...。
もう独りは嫌。
お願い、私も一緒に...!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
うっすらと目を開ける。
(夢、だったんですね)
私はもう一度眠ろうとしたが、髪に何かが触れている気配がしてゆっくりと体を起こした。
「...カムイ?」
「起こ、した...?」
目の前でカムイが喋っている。
「夢じゃ、ないですよね?」
「うん。...おはよう、メル」
私は力いっぱい抱きしめた。
「よかった...!私、カムイ、がっ...いなくなったら、って...っ、思って、それで...」
「...ごめん」
私は溢れる思いを止められなかった。
よかった、生きてる、動いてる...!
もう出ないと思っていた涙がぽたぽたと零れおちる。
カムイは私の顔をあげさせて、何度もごめんねと言っていた。
「もう...泣かせないって、約束、した、のに...」
私が落ち着くまで、ずっと頭を撫でてくれていた。
ー**ー
言葉が上手く出てこない。
本当には言いたいことが沢山あるが、喉につっかえてしまう。
「メル」
ぎゅうっと抱きついてくるメルは、俺の為にずっと泣いてくれている。
「カムイ...っ、好き...ですっ」
嗚咽をもらしながら、一生懸命伝えてくれた。
「いなくっ、ならないで...くださいっ。私を、独りにっ、しない、でっ、ください...」
「ごめん。もう、泣かせない...愛し、てる」
腹部の痛みを堪えながら、ちゃんと伝えられた。
『愛してる』...一番伝えたかった言葉だ。
ごめんもありがとうもだけど、愛してると言いたかった。
(もう悲したせたりしない)
「メル...笑っ、て?」
「はい...っ」
メルはにこっとしてくれた。
そのときも、一筋の涙が頬を伝っていた。
俺はいつの間にか、その涙を舌で掬ってしまっていた。
「ひゃっ...」
メルはくすぐったそうにしていたが、嫌がっている様子はなかった。
(涙って、こんなに甘いものなのか)
「...ちょっと、待ってて」
「カムイ?」
俺はメルの頭を撫でながら、そっと通信機の電源を入れた。
「エリック」
『...おい、おまえ』
「エリック、ごめん...」
『すぐ行く!』
「でも、アイリス、が...起きて、ないんじゃ、ない?」
『起きている。一緒に連れていく』
俺はメルを見てエリックがくると話した。
...いつの間にか、朝陽がのぼりはじめていた。
ー*ー
「カムイ!」
「ごめん。二人にも...心配、かけて」
「動いても平気?」
「うん。問題、ないよ」
カムイは話しづらいのか、途中途中つまりながら話していた。
「起きたんですね。おはようございます。私はあなたの主治医です」
「俺は、医者です。カルテを、見せて...もらえま、せんか?」
「分かりました」
カムイは自分で自分を診察しているようだった。
「思った、より...酷く、なくて、よかった」
「奥様のお陰ですね」
私はその言葉に動揺した。
(なんだか恥ずかしいです!)
「ずっと、ついてて、くれた、から...」
「そうではなく、止血箇所がとてもよかったんです。もう少しずれていたら、臓器が傷ついていたかもしれません。...ご自宅に戻られてもかまいませんが、どうしますか?」
「戻り、ます。...俺たちの、家へ」
「では手続きはこちらで済ませておきます。もし何かあればすぐに知らせてください。馬車を呼んでおきます」
お医者さんはそれだけ言っていなくなってしまった。
私は内心ぎくりとしていた。
(止血したこと、カムイに知られてしまいました...)
「もう無理はするな。いいな?」
「...ごめん」
エリックさんは怒っている様子でそう言っていた。
ー**ー
しばらくして馬車がきた。
馬車に乗ったあと、俺はさりげなく聞いてみた。
「医師が、言って、いたこと...って、どういう、こと?」
「...メル、話した方がいいと思うぞ」
「実は、左眼の力を使いました」
『止血箇所を正確に見つける』なんて、なかなかできることじゃない。
特に俺が負った怪我では、見つけるのは困難なはずだ。
「メルが、見つけ、たの?」
「はい...」
「メルを怒らないで」
「怒ら、ないよ」
「それならいい」
アイリスがじっと俺の方を見ている。
その目は申し訳なさそうにしていて、俺はアイリスが何を思っているのかよく分かった。
「アイリス、自分を、責めなくて、いい。きみの、せいじゃ、ない、から」
「ごめんなさい」
「あれは誰も悪くないだろう」
「アイリスさんのせいじゃないです」
(この状況じゃ、話せそうにないな)
俺はメルと二人きりになってから話そうと思った。
メルの左眼のことを聞くのも、不思議な夢の話も。
二人できちんと話をしようと、そう思った。
真夜中なのか、あたりが真っ暗だ。
「...っ!」
体を起こそうとすると、腹部に痛みがはしった。
(...『痛い』?)
そこでようやく気づいた。
そうか、俺は生きているのか。
視界にはいったのは、ベッドに突っ伏している愛しい人。
俺はそっと綺麗な黒髪を梳いた。
「...カムイ?」
ー*ー
一緒に過ごす、楽しい一日。
「メル」
「カムイ...!」
どんどん遠くに行ってしまう。
おばあさまの時と同じ...。
もう独りは嫌。
お願い、私も一緒に...!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
うっすらと目を開ける。
(夢、だったんですね)
私はもう一度眠ろうとしたが、髪に何かが触れている気配がしてゆっくりと体を起こした。
「...カムイ?」
「起こ、した...?」
目の前でカムイが喋っている。
「夢じゃ、ないですよね?」
「うん。...おはよう、メル」
私は力いっぱい抱きしめた。
「よかった...!私、カムイ、がっ...いなくなったら、って...っ、思って、それで...」
「...ごめん」
私は溢れる思いを止められなかった。
よかった、生きてる、動いてる...!
もう出ないと思っていた涙がぽたぽたと零れおちる。
カムイは私の顔をあげさせて、何度もごめんねと言っていた。
「もう...泣かせないって、約束、した、のに...」
私が落ち着くまで、ずっと頭を撫でてくれていた。
ー**ー
言葉が上手く出てこない。
本当には言いたいことが沢山あるが、喉につっかえてしまう。
「メル」
ぎゅうっと抱きついてくるメルは、俺の為にずっと泣いてくれている。
「カムイ...っ、好き...ですっ」
嗚咽をもらしながら、一生懸命伝えてくれた。
「いなくっ、ならないで...くださいっ。私を、独りにっ、しない、でっ、ください...」
「ごめん。もう、泣かせない...愛し、てる」
腹部の痛みを堪えながら、ちゃんと伝えられた。
『愛してる』...一番伝えたかった言葉だ。
ごめんもありがとうもだけど、愛してると言いたかった。
(もう悲したせたりしない)
「メル...笑っ、て?」
「はい...っ」
メルはにこっとしてくれた。
そのときも、一筋の涙が頬を伝っていた。
俺はいつの間にか、その涙を舌で掬ってしまっていた。
「ひゃっ...」
メルはくすぐったそうにしていたが、嫌がっている様子はなかった。
(涙って、こんなに甘いものなのか)
「...ちょっと、待ってて」
「カムイ?」
俺はメルの頭を撫でながら、そっと通信機の電源を入れた。
「エリック」
『...おい、おまえ』
「エリック、ごめん...」
『すぐ行く!』
「でも、アイリス、が...起きて、ないんじゃ、ない?」
『起きている。一緒に連れていく』
俺はメルを見てエリックがくると話した。
...いつの間にか、朝陽がのぼりはじめていた。
ー*ー
「カムイ!」
「ごめん。二人にも...心配、かけて」
「動いても平気?」
「うん。問題、ないよ」
カムイは話しづらいのか、途中途中つまりながら話していた。
「起きたんですね。おはようございます。私はあなたの主治医です」
「俺は、医者です。カルテを、見せて...もらえま、せんか?」
「分かりました」
カムイは自分で自分を診察しているようだった。
「思った、より...酷く、なくて、よかった」
「奥様のお陰ですね」
私はその言葉に動揺した。
(なんだか恥ずかしいです!)
「ずっと、ついてて、くれた、から...」
「そうではなく、止血箇所がとてもよかったんです。もう少しずれていたら、臓器が傷ついていたかもしれません。...ご自宅に戻られてもかまいませんが、どうしますか?」
「戻り、ます。...俺たちの、家へ」
「では手続きはこちらで済ませておきます。もし何かあればすぐに知らせてください。馬車を呼んでおきます」
お医者さんはそれだけ言っていなくなってしまった。
私は内心ぎくりとしていた。
(止血したこと、カムイに知られてしまいました...)
「もう無理はするな。いいな?」
「...ごめん」
エリックさんは怒っている様子でそう言っていた。
ー**ー
しばらくして馬車がきた。
馬車に乗ったあと、俺はさりげなく聞いてみた。
「医師が、言って、いたこと...って、どういう、こと?」
「...メル、話した方がいいと思うぞ」
「実は、左眼の力を使いました」
『止血箇所を正確に見つける』なんて、なかなかできることじゃない。
特に俺が負った怪我では、見つけるのは困難なはずだ。
「メルが、見つけ、たの?」
「はい...」
「メルを怒らないで」
「怒ら、ないよ」
「それならいい」
アイリスがじっと俺の方を見ている。
その目は申し訳なさそうにしていて、俺はアイリスが何を思っているのかよく分かった。
「アイリス、自分を、責めなくて、いい。きみの、せいじゃ、ない、から」
「ごめんなさい」
「あれは誰も悪くないだろう」
「アイリスさんのせいじゃないです」
(この状況じゃ、話せそうにないな)
俺はメルと二人きりになってから話そうと思った。
メルの左眼のことを聞くのも、不思議な夢の話も。
二人できちんと話をしようと、そう思った。
0
あなたにおすすめの小説
短編【シークレットベビー】契約結婚の初夜の後でいきなり離縁されたのでお腹の子はひとりで立派に育てます 〜銀の仮面の侯爵と秘密の愛し子〜
美咲アリス
恋愛
レティシアは義母と妹からのいじめから逃げるために契約結婚をする。結婚相手は醜い傷跡を銀の仮面で隠した侯爵のクラウスだ。「どんなに恐ろしいお方かしら⋯⋯」震えながら初夜をむかえるがクラウスは想像以上に甘い初体験を与えてくれた。「私たち、うまくやっていけるかもしれないわ」小さな希望を持つレティシア。だけどなぜかいきなり離縁をされてしまって⋯⋯?
教養が足りない、ですって
たくわん
恋愛
侯爵令嬢エリーゼは、公爵家の長男アレクシスとの婚約披露宴で突然婚約破棄される。理由は「教養が足りず、公爵夫人として恥ずかしい」。社交界の人々の嘲笑の中、エリーゼは静かに会場を去る。
セレナの居場所 ~下賜された側妃~
緑谷めい
恋愛
後宮が廃され、国王エドガルドの側妃だったセレナは、ルーベン・アルファーロ侯爵に下賜された。自らの新たな居場所を作ろうと努力するセレナだったが、夫ルーベンの幼馴染だという伯爵家令嬢クラーラが頻繁に屋敷を訪れることに違和感を覚える。
皆様ありがとう!今日で王妃、やめます!〜十三歳で王妃に、十八歳でこのたび離縁いたしました〜
百門一新
恋愛
セレスティーヌは、たった十三歳という年齢でアルフレッド・デュガウスと結婚し、国王と王妃になった。彼が王になる多には必要な結婚だった――それから五年、ようやく吉報がきた。
「君には苦労をかけた。王妃にする相手が決まった」
ということは……もうつらい仕事はしなくていいのねっ? 夫婦だと偽装する日々からも解放されるのね!?
ありがとうアルフレッド様! さすが私のことよく分かってるわ! セレスティーヌは離縁を大喜びで受け入れてバカンスに出かけたのだが、夫、いや元夫の様子が少しおかしいようで……?
サクッと読める読み切りの短編となっていります!お楽しみいただけましたら嬉しく思います!
※他サイト様にも掲載
差し出された毒杯
しろねこ。
恋愛
深い森の中。
一人のお姫様が王妃より毒杯を授けられる。
「あなたのその表情が見たかった」
毒を飲んだことにより、少女の顔は苦悶に満ちた表情となる。
王妃は少女の美しさが妬ましかった。
そこで命を落としたとされる少女を助けるは一人の王子。
スラリとした体型の美しい王子、ではなく、体格の良い少し脳筋気味な王子。
お供をするは、吊り目で小柄な見た目も中身も猫のように気まぐれな従者。
か○みよ、○がみ…ではないけれど、毒と美しさに翻弄される女性と立ち向かうお姫様なお話。
ハピエン大好き、自己満、ご都合主義な作者による作品です。
同名キャラで複数の作品を書いています。
立場やシチュエーションがちょっと違ったり、サブキャラがメインとなるストーリーをなどを書いています。
ところどころリンクもしています。
※小説家になろうさん、カクヨムさんでも投稿しています!
春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話
登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。
宿敵の家の当主を妻に貰いました~妻は可憐で儚くて優しくて賢くて可愛くて最高です~
紗沙
恋愛
剣の名家にして、国の南側を支配する大貴族フォルス家。
そこの三男として生まれたノヴァは一族のみが扱える秘技が全く使えない、出来損ないというレッテルを貼られ、辛い子供時代を過ごした。
大人になったノヴァは小さな領地を与えられるものの、仕事も家族からの期待も、周りからの期待も0に等しい。
しかし、そんなノヴァに舞い込んだ一件の縁談話。相手は国の北側を支配する大貴族。
フォルス家とは長年の確執があり、今は栄華を極めているアークゲート家だった。
しかも縁談の相手は、まさかのアークゲート家当主・シアで・・・。
「あのときからずっと……お慕いしています」
かくして、何も持たないフォルス家の三男坊は性格良し、容姿良し、というか全てが良しの妻を迎え入れることになる。
ノヴァの運命を変える、全てを与えてこようとする妻を。
「人はアークゲート家の当主を恐ろしいとか、血も涙もないとか、冷酷とか散々に言うけど、
シアは可愛いし、優しいし、賢いし、完璧だよ」
あまり深く考えないノヴァと、彼にしか自分の素を見せないシア、二人の結婚生活が始まる。
ざまぁに失敗したけど辺境伯に溺愛されています
木漏れ日
恋愛
天才魔術師セディが自分の番である『異界渡りの姫』を召喚したとき、16歳の少女奈緒はそれに巻き込まれて、壁外という身分を持たない人々が住む場所に落ちました。
少女は自分を異世界トリップに巻き込んだ『異界渡り姫』に復讐しようとして失敗。なぜかロビン辺境伯は少女も『異界渡りの姫』だと言って溺愛するのですが……
陰陽の姫シリーズ『図書館の幽霊って私のことですか?』と連動しています。
どちらからお読み頂いても話は通じます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる