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約束のスピカ
問7
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その夜、僕は襲われやすいのかまた人間じゃない何かに絡まれた。
「もう、しつこいなあ…」
《これで俺、強クなれル?》
「無理だよ。僕が壊しちゃうから」
一文字に斬ると、相手の身体が崩れていく。
耳にざわざわ残るような話し方だったから、さっきの人は手遅れだったんだろう。
早く部屋に戻ろうとしていると、中庭から話し声が聞こえた。
「はあ、だりい…」
「なんで俺らがこんなことになったんだろうな」
その声を聞き間違えるはずがない。
僕のことが視えないと分かっていても、どうしても怖くて柱に隠れてしまう。
「あいつが死んだりするから…」
「新しいサンドバック、どうするよ?」
「いいおもちゃが見つかればいいけど、あいつほど耐えられる奴いんの?」
けたけたと嗤うその声も、吐き出される汚い言葉も、上から目線の醜い態度も…何も変わってない。
考えていたら腹がたってきた。
僕は別にあんな奴らのことなんてどうでもいい。
だけど、人が死んでもなんとも思わないなんて化け物じゃないか。
少なくとも、僕は笑っていられなかった。
──ある寒い夜、おばあちゃんの家に行くと冷たくなっていた。
『おばあちゃん、寒いの?』
『瞬君、おばあちゃんはね…』
おばあちゃんの担当医だったお医者さんを困らせた。
近々私は星になる…おばあちゃんの言葉の意味が分かったのはそのときだ。
『嘘だ、昨日まであんなに元気だったのに』
『突然心臓が悪くなったの。私が見つけたときには、もう…』
喪服を着ても僕の心には穴が開いたままで、見ているだけで苦しい。
おばあちゃんの顔は優しいままだったけど、ずっとひとりで泣き続けてた。
それから、何故かグロテスクなものを見るのが苦手になってしまった。
生物分野の授業ではどうしても臓器の働きについていろいろな話が出てくるけど、見るだけで吐き気がしてしまう。
…そのぐらい傷ついたのは、死んだ相手が大切だったからなのかもしれない。
「…次のターゲット?」
ぐっと拳に力を入れると、近くの硝子にひびが入った。
《そんなことしたら、絶対に許さない…!》
《はい、ストップ》
後ろから手を握られてはっと顔をあげると、傷があった場所からどろどろと血みたいなものが流れていた。
《あ、れ、僕…》
《君は感情が高ぶると駄目みたいだね。ゆっくり深呼吸してみよっか》
言われたとおりにしていたら、少しずつ落ち着いてきた。
《俺が誰か分かる?》
「おかげ、さん…」
《正解》
相変わらずフードを被ったままのおかげさんは、僕が力を入れていた手をゆっくり解いた。
その直後、小さな悲鳴が聞こえる。
「な、なあ、今なんで硝子が…」
「まさか俺たち、呪われてるんじゃ…」
相手は小さく悲鳴をあげて、すぐにその場は静かになった。
フードをちらちらさせながら、おかげさんは僕の手を握りなおす。
《これからは気をつけて。負の感情が大きくなりすぎると、最悪暴走してそのまま消えるしかなくなるから》
ぱっと離された手で追いかけようとしたけど、おかげさんはどこかに溶けこむようにして消えてしまった。
これからは怒らないように気をつけようと思いつつ、やっぱりおかげさんのことを何も知らないんだと落ちこんでしまう。
空には星が輝いていて、もう少し近くで見てみようと屋上へ向かった。
「もう、しつこいなあ…」
《これで俺、強クなれル?》
「無理だよ。僕が壊しちゃうから」
一文字に斬ると、相手の身体が崩れていく。
耳にざわざわ残るような話し方だったから、さっきの人は手遅れだったんだろう。
早く部屋に戻ろうとしていると、中庭から話し声が聞こえた。
「はあ、だりい…」
「なんで俺らがこんなことになったんだろうな」
その声を聞き間違えるはずがない。
僕のことが視えないと分かっていても、どうしても怖くて柱に隠れてしまう。
「あいつが死んだりするから…」
「新しいサンドバック、どうするよ?」
「いいおもちゃが見つかればいいけど、あいつほど耐えられる奴いんの?」
けたけたと嗤うその声も、吐き出される汚い言葉も、上から目線の醜い態度も…何も変わってない。
考えていたら腹がたってきた。
僕は別にあんな奴らのことなんてどうでもいい。
だけど、人が死んでもなんとも思わないなんて化け物じゃないか。
少なくとも、僕は笑っていられなかった。
──ある寒い夜、おばあちゃんの家に行くと冷たくなっていた。
『おばあちゃん、寒いの?』
『瞬君、おばあちゃんはね…』
おばあちゃんの担当医だったお医者さんを困らせた。
近々私は星になる…おばあちゃんの言葉の意味が分かったのはそのときだ。
『嘘だ、昨日まであんなに元気だったのに』
『突然心臓が悪くなったの。私が見つけたときには、もう…』
喪服を着ても僕の心には穴が開いたままで、見ているだけで苦しい。
おばあちゃんの顔は優しいままだったけど、ずっとひとりで泣き続けてた。
それから、何故かグロテスクなものを見るのが苦手になってしまった。
生物分野の授業ではどうしても臓器の働きについていろいろな話が出てくるけど、見るだけで吐き気がしてしまう。
…そのぐらい傷ついたのは、死んだ相手が大切だったからなのかもしれない。
「…次のターゲット?」
ぐっと拳に力を入れると、近くの硝子にひびが入った。
《そんなことしたら、絶対に許さない…!》
《はい、ストップ》
後ろから手を握られてはっと顔をあげると、傷があった場所からどろどろと血みたいなものが流れていた。
《あ、れ、僕…》
《君は感情が高ぶると駄目みたいだね。ゆっくり深呼吸してみよっか》
言われたとおりにしていたら、少しずつ落ち着いてきた。
《俺が誰か分かる?》
「おかげ、さん…」
《正解》
相変わらずフードを被ったままのおかげさんは、僕が力を入れていた手をゆっくり解いた。
その直後、小さな悲鳴が聞こえる。
「な、なあ、今なんで硝子が…」
「まさか俺たち、呪われてるんじゃ…」
相手は小さく悲鳴をあげて、すぐにその場は静かになった。
フードをちらちらさせながら、おかげさんは僕の手を握りなおす。
《これからは気をつけて。負の感情が大きくなりすぎると、最悪暴走してそのまま消えるしかなくなるから》
ぱっと離された手で追いかけようとしたけど、おかげさんはどこかに溶けこむようにして消えてしまった。
これからは怒らないように気をつけようと思いつつ、やっぱりおかげさんのことを何も知らないんだと落ちこんでしまう。
空には星が輝いていて、もう少し近くで見てみようと屋上へ向かった。
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