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泣けないver.
どしゃぶり
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プチお茶会が終わる頃、外の雨は激しさを増す。
「美味しかった...」
詩音は先程より落ち着いた様子でそう告げる。
話の続きをしたいところだが、訊いてしまってもいいのだろうか。
「続き、今なら話せそうな気がする」
「それなら僕はちゃんと聞きたい」
詩音は大きく息を吸い、続きを話しはじめた。
嫌がらせをしてくる人たちから、彼女は必死で逃げようとしたらしい。
だが、相手は運動部のエースで金持ちの子どもたちだ。
練習スペースもかなりあるのだと噂があるのは僕も知っていた。
そんな相手に足の速さで勝つのは、なかなか難しい。
そして話は、ここからが衝撃的だった。
「追いつかれた後、傘を折られてちゃった。...優翔がくれた傘、お気に入りだったのに」
「あの傘、ずっと使ってくれてたんだね」
「それから、泥水をかけられた。口の中が変な味になって、それで...」
詩音は肩を震わせている。
僕はただ寄り添うことしかできない。
...何故そんな発想に繋がるのかというほど、残酷なことは日常に山ほど転がっている。
それに気づけない大人は大人失格だ。
「気づけなくてごめん。怖かったよね...。痛いし、辛いし、誰に助けを求めたらいいかなんて分からない。
...その気持ちはすごく分かる気がする」
何度やめてと言ってもやめてくれない。
口の中に広がる泥の味も、今でもちゃんと覚えている。
それに...誰にも話さない、話せない。
泣きじゃくる彼女の口から聞いたものは、どれも身に覚えがある出来事だった。
だから僕は、ただ強く抱きしめる。
教師としては不正解でも、恋人としてならこのくらいのことはしたい。
「私が、いるから...?」
「それは違うよ。やってくる方は、やっても大丈夫そうな子を見つける目を持ってる。
だから...それは君のせいじゃない。そもそも、そんなにいい目があるなら別のことに使えばいいのにね」
いつの時代も、人は自分と違う意見の者を見下し蔑まずにはいられない。
僕は自らの身を以てそれをよく知っている。
みんな同じなはずなのに、何故少数派はいつも押し退けられてしまうのだろう。
「やっぱり、あのとき死ねばよかったのかな...?」
その切実な問いに即答した。
「それだけは絶対に違う。僕が詩音がいなかったら、きっと今日この場にいなかった。...君は僕を救ってくれたんだ。
今度は僕が支えたい。大切な恋人を護りたいんだ」
「優翔...」
「僕に護らせてくれないかな?...詩音」
外では雷鳴が轟いている。
だが、ふたりきりの空間にそんなものは関係なかった。
「...もし駄目だったら、通信制高校のことを、もっと教えてくれる...?」
「勿論だよ」
詩音がまだ戦うつもりなら、僕はそれをせいいっぱい支えよう。
やられた方が一生ものの傷を背負って、色々な場所に移動しなければならないほど追い詰められるこの社会は...絶対に間違っているから。
「美味しかった...」
詩音は先程より落ち着いた様子でそう告げる。
話の続きをしたいところだが、訊いてしまってもいいのだろうか。
「続き、今なら話せそうな気がする」
「それなら僕はちゃんと聞きたい」
詩音は大きく息を吸い、続きを話しはじめた。
嫌がらせをしてくる人たちから、彼女は必死で逃げようとしたらしい。
だが、相手は運動部のエースで金持ちの子どもたちだ。
練習スペースもかなりあるのだと噂があるのは僕も知っていた。
そんな相手に足の速さで勝つのは、なかなか難しい。
そして話は、ここからが衝撃的だった。
「追いつかれた後、傘を折られてちゃった。...優翔がくれた傘、お気に入りだったのに」
「あの傘、ずっと使ってくれてたんだね」
「それから、泥水をかけられた。口の中が変な味になって、それで...」
詩音は肩を震わせている。
僕はただ寄り添うことしかできない。
...何故そんな発想に繋がるのかというほど、残酷なことは日常に山ほど転がっている。
それに気づけない大人は大人失格だ。
「気づけなくてごめん。怖かったよね...。痛いし、辛いし、誰に助けを求めたらいいかなんて分からない。
...その気持ちはすごく分かる気がする」
何度やめてと言ってもやめてくれない。
口の中に広がる泥の味も、今でもちゃんと覚えている。
それに...誰にも話さない、話せない。
泣きじゃくる彼女の口から聞いたものは、どれも身に覚えがある出来事だった。
だから僕は、ただ強く抱きしめる。
教師としては不正解でも、恋人としてならこのくらいのことはしたい。
「私が、いるから...?」
「それは違うよ。やってくる方は、やっても大丈夫そうな子を見つける目を持ってる。
だから...それは君のせいじゃない。そもそも、そんなにいい目があるなら別のことに使えばいいのにね」
いつの時代も、人は自分と違う意見の者を見下し蔑まずにはいられない。
僕は自らの身を以てそれをよく知っている。
みんな同じなはずなのに、何故少数派はいつも押し退けられてしまうのだろう。
「やっぱり、あのとき死ねばよかったのかな...?」
その切実な問いに即答した。
「それだけは絶対に違う。僕が詩音がいなかったら、きっと今日この場にいなかった。...君は僕を救ってくれたんだ。
今度は僕が支えたい。大切な恋人を護りたいんだ」
「優翔...」
「僕に護らせてくれないかな?...詩音」
外では雷鳴が轟いている。
だが、ふたりきりの空間にそんなものは関係なかった。
「...もし駄目だったら、通信制高校のことを、もっと教えてくれる...?」
「勿論だよ」
詩音がまだ戦うつもりなら、僕はそれをせいいっぱい支えよう。
やられた方が一生ものの傷を背負って、色々な場所に移動しなければならないほど追い詰められるこの社会は...絶対に間違っているから。
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